ゲスト
(ka0000)
林道の鎌鼬
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/03 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/06/12 19:00
オープニング
●
林道を往く一人の男。旅人である彼はそこを抜けた先の町へと向かっていた。
先日まで滞在していた隣町から目的地へはこの道を辿るのが最も早い。他の道を往けば数倍はかかってしまう程だ。
頻繁に使われる道だけあって整備は行き届いており、道行は極めて快適だ。
だというのに真昼間、晴天の林道に彼以外の利用者は見当たらなかった。
砂利を踏む男の足音と鳥や虫の鳴き声が林から聞こえてはいるが、こうも人の気配が無いというのは少々気味が悪い。
そういえば――男は依然立ち寄った先で聞いた話を思い出す。
最近、この林道に怪異の噂があった。
そこを通ろうとする者が大勢襲われているというのに、その犯人を誰も目にしていないというのだ。
被害に遭った者は鋭利な刃物で切り裂かれた様な傷を負っていた。異変を感じてすぐさま逃げ出した者は軽傷で済んだというが、中には死人も出ているとか。
盗賊か何かが潜んでいるのでは、という憶測も出たがどんな腕利きでも誰の目にもつかず襲い掛かるなど出来るものなのか。
いいや、きっと不可能だろう。だからこそ、見えざる襲撃者の噂はやがて一つの形に纏まっていった。
曰く――かまいたち。風と同化した鼬の様な空想上の生き物の仕業ではないかと囁かれるようになったのだという。
しかし男は、かまいたちという怪物の話を以前にも耳にした事があった。
魑魅魍魎――その正体は、目に見えるかどうか分からないほどの小粒の石。
突風に吹かれた小石が肌を掠め、まるで風に裂かれたように見えるのだという。おあつらえ向きにこの林道の地面はそんな小石で溢れている。
なんとも、話題の襲撃者の正体がただの小石とは拍子抜けもいいとこである。尤もこの手の話は尾ひれが付いて語られるのが常で、化生の実体など所詮はこんなものだ。
あぁ、悠々とここを通り抜けて隣町で自慢げに語ってやるのはいいかもしれない。そう思えばこの静まった道が面白くもある。
男は軽い笑みを浮かべながら歩みを続けていった。
――と、数分前の余裕も最早懐かしい。そんなものは一気に何処かへ消え去ってしまった。
男の目前にはズタズタに引き裂かれた荷馬車が倒れている。壊れた荷台からごろりと転がるそれ――無惨に裂かれた人の死体が凄惨さを物語る。
死者が出ているなど、ただの噂と信じきっていた男はそれを前にして呆然と立ち尽くしていた。
そう、立ち尽くしてしまった――噂が真実だと悟ったならば、すぐにその場を走り去るべきだったのだ。
――瞬間、男の全身に無数の裂傷が奔る。突然の痛みに悲鳴を上げつつ、男は周囲を見渡す。
周りには誰もいない。人も、林に住まう小動物の姿も見当たらない――だが、体が裂かれる痛みは再び訪れる。
かまいたち――不可視の刃を手にした怪物の姿を夢想する。たかが小石などと笑うことはもう出来ない。頭に浮かべたおぞましい姿に男は堪らず駆け出した。
やってきた方か向かっていた方か、そんな事は構わずただただ林道の出口へ向かい男は走る。
慌てふためく男の走りは不恰好で決して速くはない。だが、それでも着実に最初の位置からは移動している。
だというのに、かまいたちの追撃は止まない。後を付いてくる姿も足音も無く、男の体に裂傷を刻んでいく。
それが幾度繰り返されたか、男の走った後には赤い血が斑に飛び散っていた。息を切らしつつ逃げるも、やがて足が縺れてその場に転がってしまう。
倒れた男へも容赦なくかまいたちは攻め立てる。増え続ける体中の痛みが男の恐怖を加速させる。立ち上がることすら忘れ、男は手足を振り回し見えざる敵を追い払おうと必死にもがく。
惨めな抵抗、それが襲撃者を捉える事など無い――と思われた。
だが、男の右手に奔る激痛と共に――其れは姿を現した。
男の右手に深々と突き刺さる何か。手のひらを突き破ったそれは血塗れになりその形を現出させていた。
大きさは女の片手でも覆える程に小さいが、血に赤く濡れた虫がそこにはいた。
蜂の様に尻に刃物の様な武器をぶら下げた虫。恐ろしい凶器を持った姿も勿論印象的ではあるが、何よりも驚くべきは――その姿が透明だった事だ。
男は全てを理解した。血で汚れてようやく姿を現したその小さな虫こそが、かまいたちの正体だった。
風のように速い訳でも、小石のように小さい訳でもない。ただ単純に、そいつは見えなかったのだ。
その正体に辿り着いた男は、軽い錯乱状態にあったさっきまでとは段違いに落ち着いていた。“何か”、未知という鎧が剥がれた存在への畏怖は激減する。
そうして冷静になってみれば周囲からは虫の羽音が幾つも聞こえていた。一、二、三……二十はいると数えて無駄だと悟る。
右手に突き刺さったまま暴れる虫に視線を移すと、なんとなくそれを握り潰してみた。すると呆気なく、それは死に絶えた。
ハ――血塗れの男は小さく笑う。蓋を開ければ風と小石にも劣る正体だ。この様な生物がいる事がそもそも驚きだが、ただの虫でしかない。
その特殊性は脅威だが、透明の正体が分かってしまえば対処法など幾らもあるだろう。
近々、かまいたちの調査にハンターを派遣するなどという話も聞いていたが……覚醒者ならばこいつらも容易く殲滅出来るのだろうか。
……少しばかりの心残り、この怪異の正体を誰にも伝えられない事が惜しく思う。かまいたちなどと嘯いて結果がこんな下らぬオチ、さぞや笑いを取れただろうに――――
林道を往く一人の男。旅人である彼はそこを抜けた先の町へと向かっていた。
先日まで滞在していた隣町から目的地へはこの道を辿るのが最も早い。他の道を往けば数倍はかかってしまう程だ。
頻繁に使われる道だけあって整備は行き届いており、道行は極めて快適だ。
だというのに真昼間、晴天の林道に彼以外の利用者は見当たらなかった。
砂利を踏む男の足音と鳥や虫の鳴き声が林から聞こえてはいるが、こうも人の気配が無いというのは少々気味が悪い。
そういえば――男は依然立ち寄った先で聞いた話を思い出す。
最近、この林道に怪異の噂があった。
そこを通ろうとする者が大勢襲われているというのに、その犯人を誰も目にしていないというのだ。
被害に遭った者は鋭利な刃物で切り裂かれた様な傷を負っていた。異変を感じてすぐさま逃げ出した者は軽傷で済んだというが、中には死人も出ているとか。
盗賊か何かが潜んでいるのでは、という憶測も出たがどんな腕利きでも誰の目にもつかず襲い掛かるなど出来るものなのか。
いいや、きっと不可能だろう。だからこそ、見えざる襲撃者の噂はやがて一つの形に纏まっていった。
曰く――かまいたち。風と同化した鼬の様な空想上の生き物の仕業ではないかと囁かれるようになったのだという。
しかし男は、かまいたちという怪物の話を以前にも耳にした事があった。
魑魅魍魎――その正体は、目に見えるかどうか分からないほどの小粒の石。
突風に吹かれた小石が肌を掠め、まるで風に裂かれたように見えるのだという。おあつらえ向きにこの林道の地面はそんな小石で溢れている。
なんとも、話題の襲撃者の正体がただの小石とは拍子抜けもいいとこである。尤もこの手の話は尾ひれが付いて語られるのが常で、化生の実体など所詮はこんなものだ。
あぁ、悠々とここを通り抜けて隣町で自慢げに語ってやるのはいいかもしれない。そう思えばこの静まった道が面白くもある。
男は軽い笑みを浮かべながら歩みを続けていった。
――と、数分前の余裕も最早懐かしい。そんなものは一気に何処かへ消え去ってしまった。
男の目前にはズタズタに引き裂かれた荷馬車が倒れている。壊れた荷台からごろりと転がるそれ――無惨に裂かれた人の死体が凄惨さを物語る。
死者が出ているなど、ただの噂と信じきっていた男はそれを前にして呆然と立ち尽くしていた。
そう、立ち尽くしてしまった――噂が真実だと悟ったならば、すぐにその場を走り去るべきだったのだ。
――瞬間、男の全身に無数の裂傷が奔る。突然の痛みに悲鳴を上げつつ、男は周囲を見渡す。
周りには誰もいない。人も、林に住まう小動物の姿も見当たらない――だが、体が裂かれる痛みは再び訪れる。
かまいたち――不可視の刃を手にした怪物の姿を夢想する。たかが小石などと笑うことはもう出来ない。頭に浮かべたおぞましい姿に男は堪らず駆け出した。
やってきた方か向かっていた方か、そんな事は構わずただただ林道の出口へ向かい男は走る。
慌てふためく男の走りは不恰好で決して速くはない。だが、それでも着実に最初の位置からは移動している。
だというのに、かまいたちの追撃は止まない。後を付いてくる姿も足音も無く、男の体に裂傷を刻んでいく。
それが幾度繰り返されたか、男の走った後には赤い血が斑に飛び散っていた。息を切らしつつ逃げるも、やがて足が縺れてその場に転がってしまう。
倒れた男へも容赦なくかまいたちは攻め立てる。増え続ける体中の痛みが男の恐怖を加速させる。立ち上がることすら忘れ、男は手足を振り回し見えざる敵を追い払おうと必死にもがく。
惨めな抵抗、それが襲撃者を捉える事など無い――と思われた。
だが、男の右手に奔る激痛と共に――其れは姿を現した。
男の右手に深々と突き刺さる何か。手のひらを突き破ったそれは血塗れになりその形を現出させていた。
大きさは女の片手でも覆える程に小さいが、血に赤く濡れた虫がそこにはいた。
蜂の様に尻に刃物の様な武器をぶら下げた虫。恐ろしい凶器を持った姿も勿論印象的ではあるが、何よりも驚くべきは――その姿が透明だった事だ。
男は全てを理解した。血で汚れてようやく姿を現したその小さな虫こそが、かまいたちの正体だった。
風のように速い訳でも、小石のように小さい訳でもない。ただ単純に、そいつは見えなかったのだ。
その正体に辿り着いた男は、軽い錯乱状態にあったさっきまでとは段違いに落ち着いていた。“何か”、未知という鎧が剥がれた存在への畏怖は激減する。
そうして冷静になってみれば周囲からは虫の羽音が幾つも聞こえていた。一、二、三……二十はいると数えて無駄だと悟る。
右手に突き刺さったまま暴れる虫に視線を移すと、なんとなくそれを握り潰してみた。すると呆気なく、それは死に絶えた。
ハ――血塗れの男は小さく笑う。蓋を開ければ風と小石にも劣る正体だ。この様な生物がいる事がそもそも驚きだが、ただの虫でしかない。
その特殊性は脅威だが、透明の正体が分かってしまえば対処法など幾らもあるだろう。
近々、かまいたちの調査にハンターを派遣するなどという話も聞いていたが……覚醒者ならばこいつらも容易く殲滅出来るのだろうか。
……少しばかりの心残り、この怪異の正体を誰にも伝えられない事が惜しく思う。かまいたちなどと嘯いて結果がこんな下らぬオチ、さぞや笑いを取れただろうに――――
解説
『依頼内容』
小さな町同士を繋ぐととある林道に向かっていただきます。
その場所で最近起きている奇怪な事件について調査、そしてその原因の排除をお願い致します。
具体的には、かまいたち――と噂される見えない襲撃者についての調査になります。
『場所』
目的地である林道は普通の道。周りの林もそれほど深い訳ではない。
砂利道であり、悪路には成り得ない。
『PL情報』
かまいたちの正体である虫の存在はPL情報になります。
スタート時点では一般に噂されている「見えないのに襲ってくるかまいたちのような存在がいる」としかPCは知っていません。
(『補足』
“正体”はぶっちゃけ、弱いです。痛いけど。
なんというか……虫なので。痛いけど。
いざ戦闘になればさほど長いものにはならないと思いますので、そこに辿り着くまでの過程を重視したいと考えております。
相談&プレイング執筆の際、ご協力下さい……)
小さな町同士を繋ぐととある林道に向かっていただきます。
その場所で最近起きている奇怪な事件について調査、そしてその原因の排除をお願い致します。
具体的には、かまいたち――と噂される見えない襲撃者についての調査になります。
『場所』
目的地である林道は普通の道。周りの林もそれほど深い訳ではない。
砂利道であり、悪路には成り得ない。
『PL情報』
かまいたちの正体である虫の存在はPL情報になります。
スタート時点では一般に噂されている「見えないのに襲ってくるかまいたちのような存在がいる」としかPCは知っていません。
(『補足』
“正体”はぶっちゃけ、弱いです。痛いけど。
なんというか……虫なので。痛いけど。
いざ戦闘になればさほど長いものにはならないと思いますので、そこに辿り着くまでの過程を重視したいと考えております。
相談&プレイング執筆の際、ご協力下さい……)
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
今回は調査……だと思います。如何にかまいたちの正体を突き止める、それがメインです。
補足にありますように、戦闘主体にはならないと思うのでプレイング執筆の際にはご留意下さい。
面倒な条件を出してしまっているかもしれませんが……皆様の参加をお待ちしております。
今回は調査……だと思います。如何にかまいたちの正体を突き止める、それがメインです。
補足にありますように、戦闘主体にはならないと思うのでプレイング執筆の際にはご留意下さい。
面倒な条件を出してしまっているかもしれませんが……皆様の参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/10 13:09
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013) 人間(リアルブルー)|34才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/06/02 23:03:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/02 18:33:22 |