ゲスト
(ka0000)
邂逅への道~山岳猟団
マスター:有坂参八

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/06 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/06/15 19:00
オープニング
●
辺境の要衝、パシュパティ砦。
帝国軍より独立を果たし義勇軍となった対歪虚部隊山岳猟団は、怠惰との戦が終わった後もこの砦に留まり、近隣の歪虚への牽制を続けていた。
「物資が足りん」
団長、八重樫敦(kz0056)は帳簿を見ながら、顰め面でつぶやく。
「それだけではないぞ団長。食料も、武器も、馬も、薬も足りん」
隣の副団長ガーハートが、遠い目で言葉を添えた。
猟団独立の際の戦闘で受けた被害は、思いの外大きかった。物資のみならず、人員にも傷病による欠員が出ている。
「はは、最初の頃に戻っちまったなァ」
団員の一人が、何が面白いのかゲラゲラと笑った。
状況は悪いが、悲観的な団員は少ない。帝国軍時代から見れば大差無いのと同時に……何より彼らが一人の例外なく、自らの意志でこの道を選んだからだろう。『国ではなく、理念に殉じる』と。
「団長、シバ(kz0048)の爺殿が戻ったぜ。なんか怪我してやがる」
別の団員が、団長に駆け寄って来て報告した。
『蛇』と呼ばれる老兵シバは、時折ふらりと姿を消しては、少しするとまた唐突に戻ってくる……それは猟団にとって、嵐の先触れの様な事象だった。
戦うべき敵、あるいは、守るべきものが現れる、というような。
「見張り以外の全団員とシバを、砦の庭に集めろ。即応員もだ」
八重樫の一声。にわかに砦は、騒がしくなった。
●
騎乗して砦に戻ったシバはそのまま、まるで落馬するかのように乗馬から転げ落ちた。
慌てて周囲の団員がキャッチすると、シバはフラつきながらも自分の足で地面に立ち、八重樫に報告した。
「ヴァルカン族が歪虚の襲撃を受けておる」
シバの報告。八重樫が眉を潜める。
同時に辺境部族出身の団員の多くは、驚きや戸惑いの声を上げた。
「『火打ち』の連中か。こりゃ良くねぇ、長く保たねぇわ」
「火打ち?」
「ヴァルカンの槌は無形の火すら叩いて武器にする、てね。鍛冶をやらせりゃ赤き大地でも指折りだが、戦士としちゃぁ頼りねぇ、って奴らだな」
「職人って訳か、なら弱くても俺らドワーフの仲間だな」
「いやー、一緒にされちゃアレだと思うぜ?」
「おう、どういう意味だ!」
「……あいつらは自分から歪虚の出る領域に飛び込むような連中じゃない。何があったんだ」
団員同士の、好き勝手なやりとり。
八重樫が手を挙げる仕草で静止し、言葉を告げる。
「……ヴァルカン族はこの砦に向かっていた、それ自体は事前にシバから報告を受けている」
「なに?」
目を見開いた副団長に、シバがふっと笑った。
「儂とヴァルカン族の長は旧知でな、あの者達は自由に使える工房を探しておった。ちょうどこの砦の地下に武器庫と工房があるじゃろう」
「なるほど、庇護の代わりに職人を迎えると……だが、その道中で歪虚に襲われたってとこかい」
「囲まれたのは不覚であったわ。ヴァルカン族は直掩の団員と共に廃村に逃げ込み、儂のみが包囲を脱してここに至るので、精一杯じゃった」
「敵は」
八重樫の問に、シバが答える。
「村を襲ったのは怠惰の巨人達だが……儂の目に狂いがなくば、何か様子がおかしかった」
「おかしかった?」
「一ツ目を守るトロル達だ。馬に並走してきた上に、何か鎧の様なものを着込んでおった。心せよ、恐らくはこれまでとは、毛色が異なる相手ぞ」
「まぁ、とにかく味方が歪虚に襲われてるってんなら作戦開始だ、火打ちとやらの連中を助けに行こうぜ」
盛り上がる団員達とは裏腹、シバの表情は深刻である。
「距離を考えれば、馬でなければ間に合うまい。いま、動ける騎兵はどれくらいいる?」
その問に答えたのは、副団長にして騎兵隊指揮官のガーハート。
「……即座に動けるのは私を含め六騎だ。先の戦闘では、馬にも騎手にもかなりの被害が出たからな」
ガーハートの表情も険しいが、団長の八重樫は迷わず方針を固めた。
「足りない分は即応員で補う。動ける人員だけでヴァルカン族の救出に向かうぞ」
「了解!」
騎兵隊の精鋭が、急ごしらえの厩舎にむけて駆け出した。
八重樫も続こうとしたが、ガーハートがそれを止めた。
「団長、ここは任せてほしい。私の本分はただの兵站構築だが……それでもこの猟団で騎兵を預かるのは私と、私の騎兵隊だ」
かつて帝国軍からの独立に最も反対した軍人の言葉に、傭兵出身の団長は沈黙した。
ガーハートは、言葉を続けた。
「『まずは敵の注意を惹く。連携を断つ。そして殺す』。私も、猟団の流儀は理解しているつもりだ」
「…………いってこい」
ごく端的な指示を下した八重樫に、ガーハートはリアルブルー式で敬礼し、自身も愛馬へ駆けた。
「ほ、あやつも染まってきたのう」
そこにシバが意気揚々と、ガーハートの背を追うが……
「お前は待機だ」と八重樫。
「何故じゃっ!?」
振り向いたシバの脇腹を、八重樫は指差した。鎧の隙間から流れ落ちる赤い液体。加えて、先の戦の傷を覆った包帯には、赤黒く、あるいは濁り黄ばんだ染みが見える。
「傷病者が好き勝手に動き回るな。お前が本来、歩くにも支障をきたす体調なのは判っている」
「何をう、これくらいなんでもないわ、儂が若い頃はなぁ」
口答えしようとしたシバに、八重樫は面倒そうにため息をついた。
「この爺を捕まえておけ、縛ってでも休ませろ」
『イエッサー!』
「な、何じゃ貴様ら、何をする! えーい離せ、離さんかぃ!」
息を揃えた団員達がコントめいてシバを捕まえ、兵舎へと連行していく。
シバはなにか喚いたが、八重樫は聞く耳を持たなかった。
……老兵は、何かを焦っている。
その焦りが何か、確信となる情報はないが……予想はつく。
「……」
八重樫は、不動の鉄面皮で考え込んだ。
これからのことを考えなければならなかった。
猟団が進む、その先の道に起こる試練を。
辺境の要衝、パシュパティ砦。
帝国軍より独立を果たし義勇軍となった対歪虚部隊山岳猟団は、怠惰との戦が終わった後もこの砦に留まり、近隣の歪虚への牽制を続けていた。
「物資が足りん」
団長、八重樫敦(kz0056)は帳簿を見ながら、顰め面でつぶやく。
「それだけではないぞ団長。食料も、武器も、馬も、薬も足りん」
隣の副団長ガーハートが、遠い目で言葉を添えた。
猟団独立の際の戦闘で受けた被害は、思いの外大きかった。物資のみならず、人員にも傷病による欠員が出ている。
「はは、最初の頃に戻っちまったなァ」
団員の一人が、何が面白いのかゲラゲラと笑った。
状況は悪いが、悲観的な団員は少ない。帝国軍時代から見れば大差無いのと同時に……何より彼らが一人の例外なく、自らの意志でこの道を選んだからだろう。『国ではなく、理念に殉じる』と。
「団長、シバ(kz0048)の爺殿が戻ったぜ。なんか怪我してやがる」
別の団員が、団長に駆け寄って来て報告した。
『蛇』と呼ばれる老兵シバは、時折ふらりと姿を消しては、少しするとまた唐突に戻ってくる……それは猟団にとって、嵐の先触れの様な事象だった。
戦うべき敵、あるいは、守るべきものが現れる、というような。
「見張り以外の全団員とシバを、砦の庭に集めろ。即応員もだ」
八重樫の一声。にわかに砦は、騒がしくなった。
●
騎乗して砦に戻ったシバはそのまま、まるで落馬するかのように乗馬から転げ落ちた。
慌てて周囲の団員がキャッチすると、シバはフラつきながらも自分の足で地面に立ち、八重樫に報告した。
「ヴァルカン族が歪虚の襲撃を受けておる」
シバの報告。八重樫が眉を潜める。
同時に辺境部族出身の団員の多くは、驚きや戸惑いの声を上げた。
「『火打ち』の連中か。こりゃ良くねぇ、長く保たねぇわ」
「火打ち?」
「ヴァルカンの槌は無形の火すら叩いて武器にする、てね。鍛冶をやらせりゃ赤き大地でも指折りだが、戦士としちゃぁ頼りねぇ、って奴らだな」
「職人って訳か、なら弱くても俺らドワーフの仲間だな」
「いやー、一緒にされちゃアレだと思うぜ?」
「おう、どういう意味だ!」
「……あいつらは自分から歪虚の出る領域に飛び込むような連中じゃない。何があったんだ」
団員同士の、好き勝手なやりとり。
八重樫が手を挙げる仕草で静止し、言葉を告げる。
「……ヴァルカン族はこの砦に向かっていた、それ自体は事前にシバから報告を受けている」
「なに?」
目を見開いた副団長に、シバがふっと笑った。
「儂とヴァルカン族の長は旧知でな、あの者達は自由に使える工房を探しておった。ちょうどこの砦の地下に武器庫と工房があるじゃろう」
「なるほど、庇護の代わりに職人を迎えると……だが、その道中で歪虚に襲われたってとこかい」
「囲まれたのは不覚であったわ。ヴァルカン族は直掩の団員と共に廃村に逃げ込み、儂のみが包囲を脱してここに至るので、精一杯じゃった」
「敵は」
八重樫の問に、シバが答える。
「村を襲ったのは怠惰の巨人達だが……儂の目に狂いがなくば、何か様子がおかしかった」
「おかしかった?」
「一ツ目を守るトロル達だ。馬に並走してきた上に、何か鎧の様なものを着込んでおった。心せよ、恐らくはこれまでとは、毛色が異なる相手ぞ」
「まぁ、とにかく味方が歪虚に襲われてるってんなら作戦開始だ、火打ちとやらの連中を助けに行こうぜ」
盛り上がる団員達とは裏腹、シバの表情は深刻である。
「距離を考えれば、馬でなければ間に合うまい。いま、動ける騎兵はどれくらいいる?」
その問に答えたのは、副団長にして騎兵隊指揮官のガーハート。
「……即座に動けるのは私を含め六騎だ。先の戦闘では、馬にも騎手にもかなりの被害が出たからな」
ガーハートの表情も険しいが、団長の八重樫は迷わず方針を固めた。
「足りない分は即応員で補う。動ける人員だけでヴァルカン族の救出に向かうぞ」
「了解!」
騎兵隊の精鋭が、急ごしらえの厩舎にむけて駆け出した。
八重樫も続こうとしたが、ガーハートがそれを止めた。
「団長、ここは任せてほしい。私の本分はただの兵站構築だが……それでもこの猟団で騎兵を預かるのは私と、私の騎兵隊だ」
かつて帝国軍からの独立に最も反対した軍人の言葉に、傭兵出身の団長は沈黙した。
ガーハートは、言葉を続けた。
「『まずは敵の注意を惹く。連携を断つ。そして殺す』。私も、猟団の流儀は理解しているつもりだ」
「…………いってこい」
ごく端的な指示を下した八重樫に、ガーハートはリアルブルー式で敬礼し、自身も愛馬へ駆けた。
「ほ、あやつも染まってきたのう」
そこにシバが意気揚々と、ガーハートの背を追うが……
「お前は待機だ」と八重樫。
「何故じゃっ!?」
振り向いたシバの脇腹を、八重樫は指差した。鎧の隙間から流れ落ちる赤い液体。加えて、先の戦の傷を覆った包帯には、赤黒く、あるいは濁り黄ばんだ染みが見える。
「傷病者が好き勝手に動き回るな。お前が本来、歩くにも支障をきたす体調なのは判っている」
「何をう、これくらいなんでもないわ、儂が若い頃はなぁ」
口答えしようとしたシバに、八重樫は面倒そうにため息をついた。
「この爺を捕まえておけ、縛ってでも休ませろ」
『イエッサー!』
「な、何じゃ貴様ら、何をする! えーい離せ、離さんかぃ!」
息を揃えた団員達がコントめいてシバを捕まえ、兵舎へと連行していく。
シバはなにか喚いたが、八重樫は聞く耳を持たなかった。
……老兵は、何かを焦っている。
その焦りが何か、確信となる情報はないが……予想はつく。
「……」
八重樫は、不動の鉄面皮で考え込んだ。
これからのことを考えなければならなかった。
猟団が進む、その先の道に起こる試練を。
解説
●依頼内容
廃村に孤立したヴァルカン族、及び護衛の猟団員を救援する
なお、迅速な移動及び戦闘を期す為、参加する全ハンターに騎乗を義務付けるものとする
騎乗していない者には乗用馬が貸し出されるが、一定のペナルティが生じる事に注意されたし
以上。
●地理
ヴァルカン族が逃げ込んだのは山間にある廃村で、入り口部分以外は切り立った崖に囲まれており、正面以外からの侵入は不可能。
巨人達は正面突破を試みてはいるものの一度に通過はできず、入り口の前でたむろしている状態。
サイクロプスが先頭に立って村へ突入を図り、オーガ、トロルがその後に続こうとしている構図です。
救援隊となる猟団騎兵隊は、敵陣形の背後から接敵、まずはトロルを相手取る形となります。
●敵情報
・トロル変種×6
岩のような体躯を持つ3~4mの巨人。生命力が高い。
馬に追随する足の早さを持つというシバの報告から、怠惰の眷属トロルの変種であると思われます。
他、村の入り口にオーガ10体とサイクロプス1体が集結しており、こちらは先にヴァルカン族達と交戦します。
しかし、まずは足の速いトロル変種をどうにかしなければ、村の入口に到達するのは困難でしょう。
●味方
山岳猟団副団長ガーハート率いる騎兵6騎が同行します。
いずれも軍馬に騎乗し、カービンやライフルで武装した精鋭の竜騎兵です。
基本的にはハンターの提案にも呼応してくれるので、上手く連携して下さい。
●連動
蒼かなたMSの依頼「邂逅への道~流浪部族」との連動依頼です。
2つの依頼の結果は、互いに大きな影響を及ぼし合います。
●その他
質問には八重樫が回答します(が、愛想悪し)。
また、今回も共通称号『山岳猟団即応員』を配布しております。
ご興味をもたれた方は、マスター紹介ページをご参照ください。
廃村に孤立したヴァルカン族、及び護衛の猟団員を救援する
なお、迅速な移動及び戦闘を期す為、参加する全ハンターに騎乗を義務付けるものとする
騎乗していない者には乗用馬が貸し出されるが、一定のペナルティが生じる事に注意されたし
以上。
●地理
ヴァルカン族が逃げ込んだのは山間にある廃村で、入り口部分以外は切り立った崖に囲まれており、正面以外からの侵入は不可能。
巨人達は正面突破を試みてはいるものの一度に通過はできず、入り口の前でたむろしている状態。
サイクロプスが先頭に立って村へ突入を図り、オーガ、トロルがその後に続こうとしている構図です。
救援隊となる猟団騎兵隊は、敵陣形の背後から接敵、まずはトロルを相手取る形となります。
●敵情報
・トロル変種×6
岩のような体躯を持つ3~4mの巨人。生命力が高い。
馬に追随する足の早さを持つというシバの報告から、怠惰の眷属トロルの変種であると思われます。
他、村の入り口にオーガ10体とサイクロプス1体が集結しており、こちらは先にヴァルカン族達と交戦します。
しかし、まずは足の速いトロル変種をどうにかしなければ、村の入口に到達するのは困難でしょう。
●味方
山岳猟団副団長ガーハート率いる騎兵6騎が同行します。
いずれも軍馬に騎乗し、カービンやライフルで武装した精鋭の竜騎兵です。
基本的にはハンターの提案にも呼応してくれるので、上手く連携して下さい。
●連動
蒼かなたMSの依頼「邂逅への道~流浪部族」との連動依頼です。
2つの依頼の結果は、互いに大きな影響を及ぼし合います。
●その他
質問には八重樫が回答します(が、愛想悪し)。
また、今回も共通称号『山岳猟団即応員』を配布しております。
ご興味をもたれた方は、マスター紹介ページをご参照ください。
マスターより
この依頼をご紹介致します、有坂参八と申します。
今回は蒼かなたMSとの連動にして、騎兵戦が焦点となる依頼となります。
救援である猟団側が奮起すればするほど、孤立したヴァルカン族側の戦況は良くなるはずです。
一方で、怠惰の歪虚になにやら不穏な変化もある様子。ご注意下さい。
それでは、皆様のご武運をお祈り致しております。
今回は蒼かなたMSとの連動にして、騎兵戦が焦点となる依頼となります。
救援である猟団側が奮起すればするほど、孤立したヴァルカン族側の戦況は良くなるはずです。
一方で、怠惰の歪虚になにやら不穏な変化もある様子。ご注意下さい。
それでは、皆様のご武運をお祈り致しております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/18 18:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/01 16:17:29 |
|
![]() |
質問卓 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/06/06 00:26:48 |
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![]() |
仕事の時間です 真田 天斗(ka0014) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/06/06 16:09:36 |