ゲスト
(ka0000)
輝けアイドル!訓練兵グリューエリンの勧誘
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/13 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/07/22 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
ゾンネンシュトラール帝国第一師団兵営、帝国歌舞音曲部隊に与えられた一室。
CDデッキやスピーカー、何枚かのディスク、電力を供給するための手回し発電機などといった、クリムゾンウェストであればサルヴァトーレ・ロッソまで行かなければ手に入らないような非常に珍しい物品があちこちに置かれ、いかにもリアルブルーのアイドル文化を研究するにふさわしい雰囲気を作り出していた。――棚の上のアイドル少女のフィギュアが、異彩を放っているが。
ちなみに部隊員ならば自由に使用できることになっているが、全て部隊長クレーネウス・フェーデルバールの私物である。
休暇を使ってサルヴァトーレ・ロッソの立ち入り自由区域を訪れ、兵役で貯め込んだ貯金を惜しみなく放出して購入したものだ。
そんな室内を、物珍しげにきょろきょろ見回していた翠の瞳は、けれど今は困惑に揺れていた。
「……私が、ですか? 先日の研究交流会のような、人前で歌って踊る者……『あいどる』になれと仰いますの?」
「その通りだね」
部隊長クレーネウスは、ゆったりと椅子に身を沈める。執務机を挟んで向かい合うように座った少女は、ぎゅっと唇を引き結ぶ。
「仕事内容は、歌舞音曲による帝国軍の士気高揚、まぁつまり歌って踊って……戦場に出ることもあるから、自分の身を守るために戦ってももらうだろう。もちろん、単独で敵陣に放り出されるようなことはないだろうが。
君は今訓練兵、すなわち三等兵だけど、引き受けてくれるならば二等兵として、この帝国歌舞音曲部隊への採用となる。
……悪い話ではないと思うのだがね。グリューエリン・ヴァルファー君」
部屋の向こう側では、この話し合いにどう決着がつくのかと、部隊員達が事務に勤しむふりをしながら熱い視線を送っている。
けれどその視線にも気づかぬ様子でじっと考え込んでいた、グリューエリンと呼ばれた炎色の髪の少女は――首を横に振った。
「お断りいたしますわ、フェーデルバール兵長殿」
「ほう、何故だい?」
「私、この武に名高き帝国軍で、武名ではなく軟弱なる歌舞音曲の腕前によって地位を上げたいなどとは思いませんの」
部隊長の愛するアイドル文化を『軟弱』と評したグリューエリンの一言に、さっと部屋に緊張が走る。
ぎゅっ、とグリューエリンが、膝の上に置いた拳を握りしめた。唇が僅かに震え、引き締められる。
けれど、微笑を浮かべた表情を、部隊長クレーネウスは動かさなかった。
「ふむ。……君の気持ちは分かった。もう戻って構わないよ、グリューエリン君」
「ご理解いただきまして、感謝いたしますわ」
立ち上がり、敬礼。そして固い動きのまま、グリューエリンは部屋を後にする。
ばたん、とドアの閉まる音。
「んー、駄目かー駄目なのかー!」
「駄目でしたねー」
「あー部隊長怒るかと思ってびびりましたよー」
悔しげに叫ぶクレーネウスに、部隊員達が力の抜けた声をかける。
「いけると思ったんだがなー。こないだの研究交流会で結構楽しんでたみたいだったしさー」
「でもこれは、これ以上部隊長が推しても難しそうですねぇ」
「そうそう俺が……ん?」
何か思いついたように、クレーネウスは目を見開く。
そして、ぽんと手を叩いた。
「そうか、俺じゃなければいけるかもしれない」
自らハンターズソサエティに赴いたクレーネウスは、依頼の募集に集まったハンター達に説明を終え、満面の笑みを向けた。
「というわけで、帝国軍訓練兵のグリューエリン・ヴァルファーを、我が部隊のアイドルとなるよう勧誘してもらいたい」
はっきり言ってしまえば、丸投げであった。
「でも、1回断られているんでしょう?」
「だからだよ。俺がもう1回勧誘してもしつこいだけだろうし、ハンターならではの説得の切り口があるかもしれないじゃないか」
「別の人じゃ駄目なんですか?」
至極当然のその問いに、クレーネウスはそうだねと頷く。
「もちろん、引き受けてくれる人間を探すのは可能だろう。けど、アイドルの素質において、彼女に勝る者がいるとは俺には思えない。グリューエリン・ヴァルファーは非常に可愛らしいし、声も結構いいと思う。それに上官の話だと何事にも熱心に取り組む性格らしいし――野心もある」
「野心?」
首を傾げたハンターに頷いて、クレーネウスは抱えていたファイルを開いた。
その一番最初に挟んである、炎色の髪に翠の瞳を持つ美しい少女の似顔絵を見せながら、クレーネウスは口を開く。
「グリューエリン・ヴァルファー、14歳。帝国軍の訓練兵。彼女の出自であるヴァルファー家は、元々旧帝国の貴族だ」
「旧帝国ということは、革命前の?」
「そう。ヴァルファー家当主、グリューエリンの父親は、反乱を起こした先代皇帝に従っており、旧帝国の者達からは裏切り者と呼ばれている。……が、そのヴァルファー家当主は、戦場での敵前逃亡の罪を得て、今は強制労働に駆り出されているんだ」
旧帝国から見れば、許しがたい裏切り者。
新帝国から見れば、敵を前に逃げた臆病者。
それが、グリューエリンが生まれたヴァルファー家の評価だ。
「1年ほど前、13歳の成人前にして軍に志願したグリューエリンは、面接のときに『家名復興が私の目的です』と言ったそうだ。ただ生活の糧を求めて軍に入った人間を否定するわけじゃないけれど、アイドルとして名を上げていくには強い野心が欲しいからね」
そう言って目を細めてから、多少真剣な表情になってクレーネストはファイルを閉じ、ハンター達に向き直る。
「だけど、意志が強いだけに、俺が同じように説得しても承諾してくれるとは思えない。だから、皆の知恵と力を借りたいんだ」
よろしくお願いします、と、クレーネウスは深く頭を下げた。
――帝国軍訓練兵舎の一室。
「迫る闇を切り払え、我らの歌を剣に乗せて……」
小さな声で少女が歌うのは、あのアイドル文化研究交流会でハンター達が歌った曲の1つ。
服も着替えぬまま、枕を腕に抱えてベッドにうつ伏せになった少女の炎色の髪が、波打つように広がる。
「……いけませんわ。私、父とは違うのです。武を捨てて逃げた父とは違うのですから」
――私が武に背を向けて、違う道を歩むわけにはいかないのです――!
ぽふん、と枕に顔をうずめて。
そのまま、何かを振り切るかのように、グリューエリンは首を強く振った。
ゾンネンシュトラール帝国第一師団兵営、帝国歌舞音曲部隊に与えられた一室。
CDデッキやスピーカー、何枚かのディスク、電力を供給するための手回し発電機などといった、クリムゾンウェストであればサルヴァトーレ・ロッソまで行かなければ手に入らないような非常に珍しい物品があちこちに置かれ、いかにもリアルブルーのアイドル文化を研究するにふさわしい雰囲気を作り出していた。――棚の上のアイドル少女のフィギュアが、異彩を放っているが。
ちなみに部隊員ならば自由に使用できることになっているが、全て部隊長クレーネウス・フェーデルバールの私物である。
休暇を使ってサルヴァトーレ・ロッソの立ち入り自由区域を訪れ、兵役で貯め込んだ貯金を惜しみなく放出して購入したものだ。
そんな室内を、物珍しげにきょろきょろ見回していた翠の瞳は、けれど今は困惑に揺れていた。
「……私が、ですか? 先日の研究交流会のような、人前で歌って踊る者……『あいどる』になれと仰いますの?」
「その通りだね」
部隊長クレーネウスは、ゆったりと椅子に身を沈める。執務机を挟んで向かい合うように座った少女は、ぎゅっと唇を引き結ぶ。
「仕事内容は、歌舞音曲による帝国軍の士気高揚、まぁつまり歌って踊って……戦場に出ることもあるから、自分の身を守るために戦ってももらうだろう。もちろん、単独で敵陣に放り出されるようなことはないだろうが。
君は今訓練兵、すなわち三等兵だけど、引き受けてくれるならば二等兵として、この帝国歌舞音曲部隊への採用となる。
……悪い話ではないと思うのだがね。グリューエリン・ヴァルファー君」
部屋の向こう側では、この話し合いにどう決着がつくのかと、部隊員達が事務に勤しむふりをしながら熱い視線を送っている。
けれどその視線にも気づかぬ様子でじっと考え込んでいた、グリューエリンと呼ばれた炎色の髪の少女は――首を横に振った。
「お断りいたしますわ、フェーデルバール兵長殿」
「ほう、何故だい?」
「私、この武に名高き帝国軍で、武名ではなく軟弱なる歌舞音曲の腕前によって地位を上げたいなどとは思いませんの」
部隊長の愛するアイドル文化を『軟弱』と評したグリューエリンの一言に、さっと部屋に緊張が走る。
ぎゅっ、とグリューエリンが、膝の上に置いた拳を握りしめた。唇が僅かに震え、引き締められる。
けれど、微笑を浮かべた表情を、部隊長クレーネウスは動かさなかった。
「ふむ。……君の気持ちは分かった。もう戻って構わないよ、グリューエリン君」
「ご理解いただきまして、感謝いたしますわ」
立ち上がり、敬礼。そして固い動きのまま、グリューエリンは部屋を後にする。
ばたん、とドアの閉まる音。
「んー、駄目かー駄目なのかー!」
「駄目でしたねー」
「あー部隊長怒るかと思ってびびりましたよー」
悔しげに叫ぶクレーネウスに、部隊員達が力の抜けた声をかける。
「いけると思ったんだがなー。こないだの研究交流会で結構楽しんでたみたいだったしさー」
「でもこれは、これ以上部隊長が推しても難しそうですねぇ」
「そうそう俺が……ん?」
何か思いついたように、クレーネウスは目を見開く。
そして、ぽんと手を叩いた。
「そうか、俺じゃなければいけるかもしれない」
自らハンターズソサエティに赴いたクレーネウスは、依頼の募集に集まったハンター達に説明を終え、満面の笑みを向けた。
「というわけで、帝国軍訓練兵のグリューエリン・ヴァルファーを、我が部隊のアイドルとなるよう勧誘してもらいたい」
はっきり言ってしまえば、丸投げであった。
「でも、1回断られているんでしょう?」
「だからだよ。俺がもう1回勧誘してもしつこいだけだろうし、ハンターならではの説得の切り口があるかもしれないじゃないか」
「別の人じゃ駄目なんですか?」
至極当然のその問いに、クレーネウスはそうだねと頷く。
「もちろん、引き受けてくれる人間を探すのは可能だろう。けど、アイドルの素質において、彼女に勝る者がいるとは俺には思えない。グリューエリン・ヴァルファーは非常に可愛らしいし、声も結構いいと思う。それに上官の話だと何事にも熱心に取り組む性格らしいし――野心もある」
「野心?」
首を傾げたハンターに頷いて、クレーネウスは抱えていたファイルを開いた。
その一番最初に挟んである、炎色の髪に翠の瞳を持つ美しい少女の似顔絵を見せながら、クレーネウスは口を開く。
「グリューエリン・ヴァルファー、14歳。帝国軍の訓練兵。彼女の出自であるヴァルファー家は、元々旧帝国の貴族だ」
「旧帝国ということは、革命前の?」
「そう。ヴァルファー家当主、グリューエリンの父親は、反乱を起こした先代皇帝に従っており、旧帝国の者達からは裏切り者と呼ばれている。……が、そのヴァルファー家当主は、戦場での敵前逃亡の罪を得て、今は強制労働に駆り出されているんだ」
旧帝国から見れば、許しがたい裏切り者。
新帝国から見れば、敵を前に逃げた臆病者。
それが、グリューエリンが生まれたヴァルファー家の評価だ。
「1年ほど前、13歳の成人前にして軍に志願したグリューエリンは、面接のときに『家名復興が私の目的です』と言ったそうだ。ただ生活の糧を求めて軍に入った人間を否定するわけじゃないけれど、アイドルとして名を上げていくには強い野心が欲しいからね」
そう言って目を細めてから、多少真剣な表情になってクレーネストはファイルを閉じ、ハンター達に向き直る。
「だけど、意志が強いだけに、俺が同じように説得しても承諾してくれるとは思えない。だから、皆の知恵と力を借りたいんだ」
よろしくお願いします、と、クレーネウスは深く頭を下げた。
――帝国軍訓練兵舎の一室。
「迫る闇を切り払え、我らの歌を剣に乗せて……」
小さな声で少女が歌うのは、あのアイドル文化研究交流会でハンター達が歌った曲の1つ。
服も着替えぬまま、枕を腕に抱えてベッドにうつ伏せになった少女の炎色の髪が、波打つように広がる。
「……いけませんわ。私、父とは違うのです。武を捨てて逃げた父とは違うのですから」
――私が武に背を向けて、違う道を歩むわけにはいかないのです――!
ぽふん、と枕に顔をうずめて。
そのまま、何かを振り切るかのように、グリューエリンは首を強く振った。
解説
●目的
帝国軍訓練兵グリューエリン・ヴァルファーの、帝国歌舞音曲部隊への勧誘。
一緒に外出しながら説得するなども、グリューエリンが承諾するならばOKです。
●クレーネストについて
同行が必要であれば、同行します。
同行しないならば、最後にどこからか出て来て「話は決まったな、どうぞよろしく頼む」と言う係です。
●グリューエリンについて
オープニングにある情報が、今回の全てです。
彼女がアイドルとして歌って踊るところを見たい方は、是非勧誘にご参加ください!
●これからの帝国歌舞音曲部隊とハンターの関わり
帝国歌舞音曲部隊はゾンネンシュトラール帝国軍の一組織なので、中立を旨とするハンターが所属することは出来ません。
しかし、部隊からハンターに依頼を出すことは出来ます。今回みたいに。
アイドルをやるとは言っているものの、彼らにはノウハウがありません。
ですので、今回首尾よくグリューエリンをスカウトできた場合は、依頼として彼女のレッスンをお願いしたり、舞台に上がる時のダンサーやコーラスなどをお願いすることもあると思います。
帝国軍訓練兵グリューエリン・ヴァルファーの、帝国歌舞音曲部隊への勧誘。
一緒に外出しながら説得するなども、グリューエリンが承諾するならばOKです。
●クレーネストについて
同行が必要であれば、同行します。
同行しないならば、最後にどこからか出て来て「話は決まったな、どうぞよろしく頼む」と言う係です。
●グリューエリンについて
オープニングにある情報が、今回の全てです。
彼女がアイドルとして歌って踊るところを見たい方は、是非勧誘にご参加ください!
●これからの帝国歌舞音曲部隊とハンターの関わり
帝国歌舞音曲部隊はゾンネンシュトラール帝国軍の一組織なので、中立を旨とするハンターが所属することは出来ません。
しかし、部隊からハンターに依頼を出すことは出来ます。今回みたいに。
アイドルをやるとは言っているものの、彼らにはノウハウがありません。
ですので、今回首尾よくグリューエリンをスカウトできた場合は、依頼として彼女のレッスンをお願いしたり、舞台に上がる時のダンサーやコーラスなどをお願いすることもあると思います。
マスターより
こんにちは、旅硝子です。
続きました。
帝国アイドルが続きました。
ほら、ね! 部隊長どころか皇帝陛下も割とノリノリだからね!
というわけで第2回、アイドル勧誘シナリオとなります。
どうぞよろしくお願いいたします!
続きました。
帝国アイドルが続きました。
ほら、ね! 部隊長どころか皇帝陛下も割とノリノリだからね!
というわけで第2回、アイドル勧誘シナリオとなります。
どうぞよろしくお願いいたします!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/15 01:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/08 19:39:20 |
|
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相談卓 蘇芳 和馬(ka0462) 人間(リアルブルー)|18才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/07/13 00:14:19 |