• 調査

ジェヴォーダンの獣

マスター:のどか

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/07/14 12:00
リプレイ完成予定
2014/07/23 12:00

オープニング

「いろいろ考えた結果、ルミちゃん、ハンターズオフィスの受付嬢になることにしました! どう、制服似合うでしょ?」
 そう言ってオフィスへと仕事を探しに来たハンター達の前でひらりと1回転して見せる彼女の名はルミ。
 本日付でオフィスに勤務することとなった新人の受付嬢である。
 鏡に自分の姿を映して見せて「きゃー、ルミちゃん可愛い☆」と顔を覆って見せる彼女に、そのノリについて行けない一部の周囲のハンター達はちょっと……いや、それなりに……いや、かなり引き気味であるのは言うまでもない。

「――という事で、そこのルミちゃんの視線に痺れるハンターさん達! 早速ですが、依頼です!」
 じゃじゃん、と謎の効果音と共にルミは1枚の紙を目の前に持ち出した。
 依頼書かと周囲のハンター達は一様にその紙を凝視するが、そこに描かれていたのは真っ赤な牛のような豚のような犬のような猫のようなそれでいてゴリラのような、ちょっと絵心の足りない奇怪なる4足の生き物の絵だった。
「ルミちゃん、こう見えてオカルトとか都市伝説とか大好きなんだけど~……皆は『ジェヴォーダンの獣』って知ってますか?」
 不意にそんな事を口走った彼女に、ハンター達は三者三様の反応を見せる。それは主にクリムゾンウエスト出身か、リアルブルー出身か。
 大きくはその2つに集約された事だろう。
「この世界の人は聞いたこと無いかもしれないけれど、ルミちゃんの生まれたリアルブルーには『ジェヴォーダンの獣』って言うおとぎ話みたいな都市伝説があるんだよ」
 そう言って、彼女は自分の世界に伝わるとある都市伝説を語り始めた。

 ――時は18世紀のフランス。
 ジェヴォーダン地方に現れた1つの残虐な怪異の物語。
 1764年6月1日。事件の記録としても残るその獣は、静かにその残虐な鎌首を擡げた。
 見積もりで198回の襲撃が行われ、死者は88人、負傷者は36人。
 また別の話では306回の襲撃に死者123人、負傷者51人。
 その多くが主に女性と子供であったと言う。
 あまりの被害件数に暦とした記録が残しきれない怪異の獣は、牛のような巨大なオオカミのような姿をしていたと言う。
 全身を血のような赤い毛が覆い、強靭な広い胸、特徴的な背中の黒い縞模様。
 悪魔をも思わせるその姿に人々は恐怖したという。
 獣の襲撃は捕食動物の『狩り』と言うには異常で、獲物を仕留めるために動きを憚る脚や喉元は狙わずその頭部を噛み砕くか食いちぎり死体は打ち捨てられる。美味しそうな家畜が傍に居るにも関わらず的確に人間を襲うその襲撃は明確な『殺人』を目的としているようにも捉えられていた。
 証言の一説では獣には仲間が居ただの、子連れだっただの様々あるが真実は定かではない。
 その生物学的なあまりの異常さに未確認生物だの何らかの組織の陰謀だのという憶測が飛び交い討伐を試みる人間も多く居たが、結局その獣は仕留められる事は無く、知らずの内に歴史の闇へと消えていったと言う。
 
「――と、そんなオカルト染みたお話なのです。ちなみに事件自体は実話なんだって、怖いよね~」
 そう語り終わるとルミは都市伝説以上に夢に出そうな怪画(誤植ではない)を仕舞い、ごそごそと机の上の今度こそ依頼書らしき束を漁るとその中から1つの紙を取り出した。
 ニコニコと楽しそうに微笑みながら、彼女はその依頼書をハンター達に広げて見せる。
「そんな中で、さっき受け付けたばっかりの新鮮な依頼が今日ここに」
 彼女が意気揚々と広げたその依頼書には、こう記されていた。
 
 ――獣の集団に村が襲われている。
 1ヶ月ほど前に山から現れたそいつらはその大半がよく居る狼のようであるが、ただの狼であるならば村の男達で対処もできただろう。
 しかしその中に1匹、明らかに違う『モノ』が混じっている。
 血のように紅い毛並みに研ぎ澄まされた刃のように鋭い牙と爪を持つ4足の獣は、ただの狼ではあり得ない異常に強靭な身体を持ち、村の者ではまったく歯が立たない。
 始めは逃げる途中で怪我をするなど些細な被害であったが、次第にヤツらの『狩り方』を心得て来たのか明確な死者が出始めた。それもか弱い女子供ばかりだ。
 その事に村の者達も大層心を痛め、先日、村の力自慢の大男と弓自慢の狩人が奴等を狩りに出かけたが、帰ってきたのは山の入り口に打ち捨てられた狼に食い散らかされたらしい首の無い死体だけだった。
 もはや我々の手には負えない。どうか、ハンター達の力を貸してほしい。
 
 そんな依頼書をハンター達に見せ終わると、受付嬢は飼い犬にお預けを喰らわすように一度依頼書を後ろ手に引いてみせる。
 そうして一息置くと、内緒話とでも言うようにそっと身を乗り出してこう囁いた。
「もし、この『1ヶ月ほど前』が正確な日付では『6月1日』だと言ったら……?」
 ルミは再び身を引くと、ニッコリと営業スマイルで依頼書を目の前にパンと叩き付ける。
「ゼッタイ、お土産話を聞かせてネ☆」
 そう言ってキャハ☆ とウインクする彼女を他所に、ハンター達はその依頼書を手に取った。
 ジェヴォーダンの怪異の伝説、そして直前に見せられた怪画の獣の姿を胸に抱きながら。

解説

 ジェヴォーダン事件に酷似した獣達の襲撃から村を救う依頼です。
 獣達はほぼ毎日、時間帯を気にせず気まぐれのように村の人々を襲います。
 主に1人で行動をしている時に襲われる事が多いようで、村では『例え昼であろうとも決して1人にならないように』という注意が勧告されているようです。
 証言によれば獣達は周辺の山を住処とし、そこから麓にある依頼主の村へ出向いて人々を襲っているとのこと。
 獣のようで獣らしからぬその行動に何の策も無しでは出会うことも、新たな犠牲者を防ぐ事すらも、時と運のみぞ知る事となるでしょう。

 具体的なルールとして『捜索判定』と『幸運判定』の2回の判定を1日として、出会うまでの日数で依頼の成功度が変動いたします。
 1日を徒労に過ごすたびに1人、村に新たな犠牲が出ます。
 プレイング補整は大きく掛けていくつもりですが1つの大掛かりな捜索を行うか、単純な策を何個も用意するか。
 限られた相談期間と字数の中で是非ともお考えください。
 
 なお、依頼人は村の安全のためにも村周辺が戦場となることを危惧しています。
 彼らの棲家である山か、山と村との境である広大な牧草地。それらの場所での事件の決着を望んでいます。
 また、一向に犠牲が減らない場合は依頼主の方が痺れを切らしてしまい「これ以上、君達には頼めない」と依頼は失敗になってしまいます。
 具体的には仏の顔も3度まで――4人目の犠牲者が現れてしまった場合、依頼主はそのような決断に至るでしょう。

マスターより

おはようございます、のどかです。
ジェヴォーダン事件よりちょうど2世紀半の時を経て、紅き世界に現れた血塗られた獣のスリルとサスペンスをお届けいたします。
フランスの事件の中では6人の勇気ある少年達が現れた『獣』を追い払ったという記録があるそうです。
今回参加された6名のハンター達はそんな少年達の勇気を受け継ぐ事ができるのでしょうか。

なお、ウザ――可愛い受付嬢は依頼『蒼の世界に帰りたい!』での初登場となります。
シナリオには関わりませんので参照は必須ではありません。

それでは、奮ってのご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/07/23 19:20

参加者一覧

  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 「ししょー」
    岩井崎 メル(ka0520
    人間(蒼)|17才|女性|機導師
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • 紫暗の刃
    ヴィルナ・モンロー(ka1955
    エルフ|23才|女性|闘狩人
  • 嵐影海光
    レベッカ・アマデーオ(ka1963
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 激しき闘争心
    ライガ・ミナト(ka2153
    人間(蒼)|17才|男性|闘狩人

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
岩井崎 メル(ka0520
人間(リアルブルー)|17才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/07/14 11:07:58
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/07/09 13:49:24