• 戦闘

ブルー・ブルー・メモリーズ

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/06/19 07:30
リプレイ完成予定
2015/06/28 07:30

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 聖機剣は、剣とは名ばかりの鈍器である。
 変形機構を持ち、その結果光の刃を形成するのだが、普通に使う分には打撃武器だ。
 剣で武装した一般人を殴りつけ気絶させ、ベルフラウは小さく息を吐いた。
「これで今月何件目だ? 反政府勢力の検挙は」
 同行していたゲルトが稲妻のような紋章の描かれたビラを拾い上げ呟く。
 革命戦争から十年以上、この帝国では現体制への反抗が根強い。
 正統ではない手段によって簒奪された王位を巡り、そしてその是非を巡り、人々は少なからず争い続けてきた。
 帝国は領内各地に師団とその拠点となる都市を置き人間同士の争いを監視してきたが、それが完全に根絶える事はいよいよなかった。
 そして今、各地ではヴルツァライヒの暗躍により反政府活動の火は少しずつ燃え広がりつつあった。
「今はまだ大きな騒動にはなっていないが、こんな事が続けばいずれは革命戦争の焼き直しになる」
「……でも、相手は殆ど恵まれない人達なんだよね。生活する為に仕方なくっていうか……」
「仕方なくなら犯罪を犯してもいいのか?」
 ゲルトの冷たい言葉にぐっと息を呑む。何故か胸が苦しくなり、目眩がした。
 よろけたベルフラウの肩を支えゲルトは首をひねる。
「ねえ、ゲルト君。私達って何のために戦ってるのかな……」
「俺は自分と家族の為に戦っている。イルリヒト機関で活躍し師団に士官待遇で配属されれば、妹や弟を食わせていける」
「え? そんな理由だったの?」
「そんなとはなんだ?」
「なんか、思ったより優しかったから……」
 ゲルトはベルフラウから手を離し、気絶している組織構成員達を縄で縛っていく。
「俺は反政府活動はやらないが、自分の為に他人を痛めつけている事実には変わりない。優しいというのは違うな」
 
 覚醒者の力は圧倒的だ。一般人が何人集まったところで蹴散らせる。
 だが、この力は本当に正しいのだろうか? 自分はなんの為に戦っているのか、それを考えると憂鬱だった。
 一方的な制圧戦の舞台となった廃村には乾いた風が吹く。
 ベルフラウとゲルトが担当したエリアは作戦完了したが、他のエリアではまだ銃声や叫び声が聞こえていた。
「あ……ハンターさん。そちらも終わったんですね」
 そこへハンター達が駆け寄る。彼らも自分の仕事はあっさり終わらせた所だ。
 浮かない表情のベルフラウへ声をかけようとしたハンターだが、そこへ短伝で連絡が入った。
『こ、こちらC班! 敵の中に歪虚が混じってる……しかも上位の……ぐわっ!?』
 驚くベルフラウ。ゲルトが駆け出すのに続き、ハンター達も現場に急いだ。



 C班が担当していたのは村のはずれにある貯蔵庫近辺だった。
 かつては農作物を溜め込んでいた貯蔵庫だが、今は別の用途に利用されている事が予想された。
 イルリヒトの推測では武器や弾薬といった想定であったが、開いた扉から出現しているのは無数のゾンビであった。
「ゾンビか……それより、高位の歪虚はどうした?」
「あそこだ! エミルとバートンが戦ってる!」
 見ればそこには白いタキシード姿の大男と向き合う二人の生徒の姿があった。
 エミルは火炎を放ち、バートンが斧で襲いかかるが、二人の攻撃を意に介さずタキシードは距離を詰め、拳でバートンの胸を貫いた。
「バートン!? う、嘘……こんなの聞いてなっいっぎ」
 ハイキックがエミルの首を一回転させると、少女の身体はどさりと倒れこんだ。
「ンッン~……? これで四人ですか。全く、コツコツ集めたゾンビを台無しにされるとは……我輩、激おこぷんぷん丸!」
 くわっと目を見開いた男は2メートルの巨体と立派な髭を揺らしながらハンター達へ近づく。
「……てめええ!! よくもエミルとバートンを!! 友達だったのに!!」
 泣き叫びながら剣を振り上げる生徒を羽交い締めにし、ゲルトは首を振る。
 パチンと小気味良く指を鳴らし、男はウィンクし。
「無意味な争いは止めたまえボーイ。勇気と無謀を履き違えてはいけない!」
 泣き崩れる生徒を庇うように構えるベルフラウ。それを見て男は目を丸くし。
「ンン~? 君はベルフラウ? 何故そちら側に?」
「へっ?」
「我輩です。素敵な紳士のカブラカンです。オルクス様に確かに納品した筈の君が何故ここに?」
 カブラカン。オルクス。そんな言葉を耳にする度動機が早まっていく。
「ベルフラウ、奴の戯言に耳を貸すな」
「そのベルフラウというのは君のコードネーム。“傷んだ青色”……オルクス様の血を受け、闇の契約者となった君の名ではないか」
「傷んだ……青色……」
 がくがくと膝が震え立っていられなくなる。
 何かがやけにうるさいと思ったら自分の心臓の音だ。
 首から提げた十字架を血が滲むほど握り、ベルフラウは目を見開く。
「君は我輩が納品した商品として、オルクス様の血液を受け入れた実験体だった。散々我輩と一緒に各地の帝国兵を殺し回ったというのに、記憶がないのかね?」
「わ、わ、わ、わた……私……」
 そうだ。ベルフラウには過去の記憶がない。
 日常的に言葉を交わしている身近な人の事以外はすぐに忘れてしまう。
 自分が何を救い、何を犠牲にしたのかさえ、もうハッキリ思い出せない。
 救った人達はどんな顔で、これまで倒した敵はどんな敵だったのか。
「はあっ、神様……はあっ、はあっ、は――あっ」


『……え? 元契約者? オルクスの……はあ。まあ二年は生きられないでしょうけど……え? 記憶を管理して実験体にする?』

 誰かの言葉が脳裏を過る。消毒液の匂いと硬いベッドの感触。
 違う。病院じゃない。もっと嫌な場所だ。機械油と、機械部品と、マテリアル鉱石と……。

『傷んだ青色ですか。ふぅん……じゃあ、まあ、記憶を消す薬を処方しつつ、経過観察を――』


「わあああっ!? ああっ!! 神様神様! 神様かみさま神様神様神様神さまああああっ!!」
 肉に食い込んだ血が掌からこぼれ落ちる。ベルフラウは半狂乱になりながら泣き叫ぶが、カブラカンは首をひねり。
「ンン? 君はそれが居ないことをとっくに理解しているのではなかったのかね?」
 ゲルトが発砲した弾丸がカブラカンの頬に当たり、弾かれる。
 男は服の下や皮膚の一部が鎧のように硬質化しているのだ。つまり、全く人ならざる存在であるということ。
「ベルフラウ! なんだ、どうした!?」
「あああ……ちがう……そんなつもりじゃ……お姉ちゃん……私……」
 ハンターが声をかけようと近づくと、ベルフラウは聖機剣を振るい、怯えるように後退する。
「先に殺したのはお前達だ……だから私は……私はあああっ!!」
「止せ、ベルフラウ!」
 ゲルトが取り押さえようと駆け寄った瞬間、展開した聖機剣の光の刃が軌跡を描いた。
 切り裂かれたゲルトが血を流し倒れる姿に、ハンターは混乱しつつも武器を手にした。

解説

●目的
カブラカンの撃退。


●概要
イルリヒト機関との合同任務中に緊急事態が発生。
廃村に反政府勢力が潜んでいるという情報にハンターが対処するケースがここ数ヶ月増え続けている。
今回の件も例に漏れず、非覚醒者、つまり高い戦闘力を持たない市民達を鎮圧した。
その後、イルリヒト生徒五名のチーム、C班が村の外れにて高位の歪虚と遭遇。
五名中四名戦死。また、応援にかけつけたベルフラウの様子がおかしくなり、ゲルトを攻撃した。
村の貯蔵庫からはゾンビが出現中。高位の歪虚とみられるカブラカンの存在もあり、状況は非常に混乱している。
これに伴い、一端本来の作戦を破棄。ハンター及びイルリヒト生の生存を優先し、目的を変更する。
カブラカンを撃退し、可能な限り多くの生徒と共に生還せよ。


●敵情報

『カブラカン』
白タキシードと立派なお髭の大男。
徒手空拳の格闘で人間を殴殺可能な怪力の持ち主。
また、非常に頑強な肌を持つ。

『ゾンビ』
貯蔵庫から出てきたゾンビ。
総数は不明だが、目視できる範囲に八体。



●友軍情報

『ゲルト』
ガントンファー使いの闘狩人。
ベルフラウの攻撃を受け倒れている。致命傷ではないが、まともな戦闘行動は不可能。

『ベルフラウ』
聖機剣使いの聖導士。“傷んだ青色”。
ひどく混乱しているようで、近づく者を無差別に攻撃する。
また、通常時より遥かに基本能力値が上昇している。これは強化ではなく、枷を外した状態。

『イルリヒト生』
一名がその場に居合わせ、村の方に他のチームが二つ、合計九名残っている。
全員が覚醒者だが、練度はハンターには及ばない。呼び寄せることも、先に逃すことも可能。

マスターより

お世話になっております、神宮寺です。

というわけで、イルリヒト生徒のお話です。
カブラカンはちょっとブラストエッジ編にも絡んでるやつです。まあ色々絡んでるんですが……。
カブラカンが割りとぶっとんだ強さなのと、ゾンビもいてベルフラウも暴れてるのですごいカオスです。
なんかちょっとCTSの頃の僕っぽいシナリオかも。
命大事にしてください。

それでは宜しくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/06/26 16:37

参加者一覧


  • カグラ・シュヴァルツ(ka0105
    人間(蒼)|23才|男性|猟撃士
  • Stray DOG
    ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • 無口の傭兵
    ダラントスカスティーヤ(ka0928
    人間(紅)|30才|男性|闘狩人
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 特務偵察兵
    水城もなか(ka3532
    人間(蒼)|22才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/06/19 00:01:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/14 01:26:28