• 東征
  • 調査

【東征】友好の印、裏切りの罠

マスター:DoLLer

このシナリオは2日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/06/27 09:00
リプレイ完成予定
2015/07/08 09:00

オープニング

 その長い長い荷馬車の列を櫓の上から見つけたエトファリカ兵は驚いた。
「なんだ、ありゃあ」
 幌の天辺や側面には、手書きながらゾンネンシュトラール帝国の御印が描かれている。そんな馬車が2台、3台、4台……。
 段々と増え、ついには奥の山林の木立にまで及び数が読めぬほどに続いていた。
「西から慰問物資が届くって言ってたが……すっげぇ」
 十数台の馬車が整然と進んでくる姿は、それを見つめるエトファリカ兵の心を躍らせるのに十分だった。
「ゾンネンシュトラール帝国ってのはそんなにすごいトコなのか」
「さあ、西のことはよくわかんねぇが……おい、隊長に報告だ」
 エトファリカ兵はすぐさま櫓から降りると大声で部隊長を呼びに行った。

 櫓の上が少々騒がしい動きをしたのを遠目にみつつ、先頭の馬車の幌に寝っ転がっていた女は起き上がって、御者に声をかけた。
「を、呼びに行ったねぇ。いーい? 帝国の義勇兵さん、これは長年忍びに忍び、耐え難きを耐えたエトファリカの人々に対するあたし達の心づくしだよ。ここいらを跋扈する妖怪とか歪虚とか、山賊とか、心無いハンターとか! とにかく誰にも渡しちゃダメだからね」
「もちろんです!」
 義勇兵、と呼ばれた男は意気揚々と拳を振り上げて応えた。腕章もなければ、軍服も着込んでいない彼らは間違いなくゾンネンシュトラール帝国の兵士ではなく一般人だと判る。
「向こうの人達、喜んでくれますかね?」
「お馬鹿! 喜んでくれるか、じゃなくてあんた達が喜ばせるの!! 物運んだだけで感謝されるなんて都合の良い事考えるな!」
 女は幌の上から飲み終えた缶ビールをスコンッと御者の男に投げつけて怒った。
「精いっぱい心を尽くして喜んでもらわなきゃ、帝国の人間はモノで釣ろうとしている、なんて思われるんだから、しゃっきりしなさい」
「はいっ! そうっすよね。帝国の良いところ見せてやらなきゃあ」
 義勇兵の顔が少し紅潮し、やる気に満ちた顔になったのを見下ろした女はにんまりと笑って、幌からさっと飛び降りた。
「よーし、その意気。んじゃ任せたよ? あたしは次の予定があるから」
「えぇっ!? アミィさんは一緒に行かれないんですかか? もう目の前ですよ」
 慌てる男にアミィと呼ばれた女は切なそうな顔をして言った。
「あたしがいたら、あんた達はただの使いッパーだと思われるでしょ。エトファリカの苦境に立ちあがったのはあんた達じゃない。あたしこそあんた達のお手伝いなんだからサ。行っておいで。英雄サマ」
 アミィは微笑むと馬車を送り出していった。
「いいかい、くれぐれも奪われないようにね! 悪い奴は口先三寸で奪い取ろうとするんだから!! 気を付けてねー」
 そう言って、馬車の一団を見送ったアミィは鼻歌まじりに来た道を悠々と戻って行ったが、すぐ、あ。と声を上げて振り返った。
「慰問物資進呈の書類回収するの忘れてた。……ま、いいか」


「村の食糧庫が襲われたんです!」
「こっちは残らず羊を強奪されたんだよ! それを取り返そうとした村の若い奴は殺されちまって!」
「村のみんな、このままじゃ飯も食えず餓死しちまう。お願いだ、救援を……」
 帝国の地方にある駐屯所ではいくつも村から集まった人間達の憤った声が聞こえてくる。
 このところ、山賊か何かが立て続けに村の食糧を強奪しており、地方に駐屯する兵士達も東奔西走して解決に当たってはいるが実績は上げられず、このありさまである。
「は、はい。ただ今、陳情しています……」
 兵士はしどろもどろに答えたが、はっきり言って見込みは薄いと感じていた。
 歪虚の攻撃は近年徐々に苛烈になっており、各師団が治める地方都市でも警戒が厳しくなっていた。兵士は削れない以上、食糧もそれなりに確保しなければならない。食糧備蓄を地方の農村に回してくれるような余裕はあまりないだろうと感じていた。
「陳情なんていいんだよ、あれは半年分くらいの量があるんだ。そんなすぐにさばききれない量だ。どっかにため込んでいるはずなんだよ!」
「そうだ、そうだ。取り返してくれよ!!」
 各地の村人たちは口々に騒ぎ立てていた。
 兵士は口を真一文字に結んで、どうにもならないこの状況をぐっと堪えるしかなかった。

 そんな駐屯地の掲示板には東方エトファリカを助け、みんなで歪虚に対抗しようという、義勇兵募集のポスターが貼られていた。
 少し前まで盛んに注目を与えていたそれも今はもう誰も見向きもしない。

解説

 帝国の地方にある村のいくつかが襲撃され、かなりの食糧が強奪されました。
 調査の結果、強奪された食糧はエトファリカへの慰問物資として移送されていることがわかりました。

●目的
 強奪された食糧を取り戻すことです。

 そのまま事情を説明して物資を取り返そうとすると、義勇兵達は貴方たちを詐欺師か何かだと思い込んで拒否されます。
 またうまく説得したとしても物資を心待ちにしていたエトファリカの人間に帝国やハンター達に対する不信を与える結果となります。

●慰問物資を贈ると旨のエトファリカに届いた文書
 少し調べればわかりますが偽造文書です。ただし、知識のない人やエトファリカのように長らく帝国と関係していなかったところからすると正式な国書だと思いこんでしまう程度には精密です。
 この書類により物資が運ばれてくるということは上層部まで行きわたっています。訂正すれば理解はしてくれますが、不信はやはり残ります。

●慰問物資
 実は帝国から物資を贈るという案件はありました。が、その準備はまだ整っておらず、しかも量は強奪された物資の半分以下です。

●成功判定
 村、帝国、エトファリカ、そして義勇兵。
 全てに納得のいく解決ができた場合を大成功とし、どこかしらに不満が残る結果があった場合は一か所ごとに成功度合いを差し引きます。

●有効なスキル
 話術、もしくは交渉術。

●登場人物について
 アミィ。人間。女。外見20歳少々。肩にパルムを乗せているそうです。彼女を見た人はゾンネンシュトラール帝国の兵士かハンターだと思っていました。もちろんどちらにも該当する人物は発見できません。
 義勇兵は純朴な青年達です。それぞれ馬車の御者をしていて十数人います。みんなエトファリカの人達を助けてあげたい一心で頑張っています。全員非覚醒者ですが、護身用に銃や盾などは装備しています。

マスターより

 一方を立てれば、一方が泥にまみれる。全員が立つ方法はあるのでしょうか。
 エトファリカといい関係を結ぶためにも、皆様のお力が必要です。
 貴方の道行く先に光あらんことを。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/07/05 04:22

参加者一覧

  • アークシューター
    静架(ka0387
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 強者
    メリエ・フリョーシカ(ka1991
    人間(紅)|17才|女性|闘狩人
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 帝国の猟犬
    ダリオ・パステリ(ka2363
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師

  • アーヴィン(ka3383
    人間(紅)|21才|男性|猟撃士
  • ゴージャス・ゴスペル
    久我・御言(ka4137
    人間(蒼)|21才|男性|機導師
  • DTよ永遠に
    水流崎トミヲ(ka4852
    人間(蒼)|27才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 食料取り戻すよっ
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/06/27 08:19:05
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/23 16:57:11