ゲスト
(ka0000)
クルセイダーの邂逅
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 不明
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/22 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/01 09:00
オープニング
●忍び寄る影
「ここは素敵な場所ですね! ロザリーさん!」
「でしょう? 先日、ある依頼の際に見つけたのですわ」
テレスの言葉に、ロザリーことロザリア=オルラランは微笑んだ。
グラズヘイム王国東部に位置するリンダールの森。森の中でもここは街道からそう離れておらず、背の低い草が広がっているだけで木もまばらだ。小鳥達はのどかにさえずり、初夏の日差しを浴びて色鮮やかな蝶が舞っている。
二人はそれぞれ木陰に荷物を置くと、広場でお互い向かい合い、武器を構えた。別に果し合いをしようというわけではない。二人はいずれもクルセイダーであり、今日は戦闘の訓練をしようということでこの場所にやって来たのだ。
「いきますよ、テレス」
「ええ、どこからでも?」
ロザリーの言葉に不敵な笑みを浮かべるテレス。
ロザリーの大きな瞳がすっと細められ、彼女は地を蹴った。ロザリーの右手のメイスが横薙ぎに振るわれ、それをテレスが丸盾で受ける。剣呑な音に梢の鳥は空へと飛び立った。
衝撃を受け流したテレスは距離を取ると、手に持つロッドをかざし、言葉を発した。同時に光の弾がロザリーへと放たれる。ロザリーはすばやく身をかわし、再び間合いを詰めると今度は彼女のメイスがテレスの胴を捉え……命中する寸前でぴたりと止められた。
「……さすがですね」
「なんの、まだまだですわ」
ロザリーとテレスは一旦離れ、再び訓練に没頭する。
そんな二人の側で、木々の中からひょこりと顔を出した一体の生物がいた。その生物は二人の荷物が置かれている場所にゆっくりと忍び寄る……。
こそこそと動くその生き物の姿は、一言で表現すると二本の脚で立つ猫であった。
●出会い、そして……
「はっ!!」
小さな休憩を何度か挟み、二人の聖導士はそれぞれの得物を振るい、またはスキルを行使した。
何度目かの打ち合いの後、ロザリーが口を開く。
「いい汗をかきました……そろそろお昼にしましょうか?」
「そうですね、ロザリーさん!」
同じことを考えていたのか、テレスも笑顔で応じた。
「あたし、今日はツナサンドを作ってきたんです!」
「ツナサンドですか! それは楽しみですね」
二人は先日、とある事件において、一緒にツナサンドを食べる機会があった。その時以来、彼女達はサンドイッチの中でもツナサンドがお気に入りとなっていた。
木陰の荷物に近寄り、中からバスケットを取り出すと蓋を開けるテレス。
ぱかっ。
……無い。
テレスが作ってきたというツナサンドは影も形もなく、籠の中にはパンくずがわずかに散らばっているだけであった。
「……」
しばし硬直していたテレスだったが、やがてゆっくりとロザリーの方を振り向いた。
「……ロザリーさん」
「はい?」
「その……いくらお腹が減っていたからといって、つまみ食いはどうかと思います……あたしも楽しみにしていたのに……」
「ちょちょちょ、ちょっとお待ちなさいテレス!? それは誤解ですわ! わたくしはそんなはしたない事はしておりませんわよ!?」
テレスが差し出した空のバスケットを見て、ロザリーは慌てて手を振った。しかし、テレスの瞳から疑念が晴れた様子はない。
「き、きっとあれでしょう。テレスが間違って別のバスケットを持ってきてしまったとか……そんなところでは?」
「そんなことはないと思うんですが……んー」
まだ納得したわけではないだろうが、気勢を削がれたらしいテレスに対し、ロザリーは言葉を続ける。
「仲間を疑うなんて、あってはならないことですわ。そうでしょう、テレス?」
「……そうですね……ごめんなさい、ロザリーさん。あまりのショックに動転していたみたいです……」
頭を下げるテレスに笑顔で頷くロザリー。
「分かっていただければよいのですわ……実はわたくしもツナサンドを作ってきたのですよ。テレスと考えることは一緒でしたね……ふふっ」
「ロザリーさん……」
自分のバスケットをいそいそと引き寄せるロザリー。もはや空腹も限界に近い。バスケットの蓋に素早く手を伸ばす。
ぱかっ。
……無い。
ロザリーが作ってきたというツナサンドは影も形もなく、テレスのそれと同様に籠の中にはパンくずがわずかに散らばっているだけであった。
「……」
ロザリーは蓋を開けた姿勢でしばらく動かない。やがて、顔を下に向けたままぽつりとつぶやいた。
「……テレス」
「はい?」
どんよりとした瞳をテレスへと向けるロザリー。
「今すぐ謝罪するなら、まだ間に合いますよ?」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよロザリーさん!? さっきと言ってることが逆じゃないですか!? 仲間を疑うなんてあってはならないと言ってましたよね!?」
テレスもバスケットの中身を見てロザリーが何を考えているかに気付き、慌てて手を振った。だが、ロザリーの疑いの眼差しはそのままである。
「わたくしもテレスを疑いたくはありません……しかしここに動かぬ証拠があります……!」
盗みを犯した我が子を責める母のように悲哀に満ちた表情で、空のバスケットを突きつけるロザリー。
「誤解ですよ! ロザリーさんこそ間違って別のバスケットを持ってきたんじゃ!?」
「……」
そんなことはないはずだが、先ほど自分が発した言葉をそのまま返されるとそれはそれで否定しづらい。
彼女達の間を沈黙が支配した。ややあって、二人のお腹がきゅるると鳴る。すくなくとも、両者がつまみ食いをしていないことは確かなようだ。
「仕方ないですね……あたし、いつも非常食を持ち歩いてるんで、今日はそれを食べましょう……」
テレスはベルトポーチに収めているナッツ類が入った袋を取り出す。中から木の実を摘み上げたテレスだったが、空腹のためか彼女はそれを取り落としてしまった。
ころころと転がったクルミを、突然茂みから出てきた何者かがダイビングキャッチした。五体投地するかのように地面に倒れているのは先ほどの猫である。
喜びの表情を浮かべ、クルミを手に二本脚で立ち上がる猫だったが、はたと視線に気付き、顔を横に向けた。そこには、二人の人間が自分を見つめている姿があった。
二人の視線が自分の口元に注がれていることに気付き、二本脚で立つ猫はツナサンドを食べた後に口を拭っていなかったことに思い至る。
猫は唐突に哀れを誘う声で鳴き始めたが……。
「テレス……どうやら犯人が見つかったようです……ユグディラ、でしたか?」
「ええ……あたしも初めて見ましたが……どうやら悪い生き物のようですね……」
二人は凄惨な笑みと共に己の武器を手に取った。
「ここは素敵な場所ですね! ロザリーさん!」
「でしょう? 先日、ある依頼の際に見つけたのですわ」
テレスの言葉に、ロザリーことロザリア=オルラランは微笑んだ。
グラズヘイム王国東部に位置するリンダールの森。森の中でもここは街道からそう離れておらず、背の低い草が広がっているだけで木もまばらだ。小鳥達はのどかにさえずり、初夏の日差しを浴びて色鮮やかな蝶が舞っている。
二人はそれぞれ木陰に荷物を置くと、広場でお互い向かい合い、武器を構えた。別に果し合いをしようというわけではない。二人はいずれもクルセイダーであり、今日は戦闘の訓練をしようということでこの場所にやって来たのだ。
「いきますよ、テレス」
「ええ、どこからでも?」
ロザリーの言葉に不敵な笑みを浮かべるテレス。
ロザリーの大きな瞳がすっと細められ、彼女は地を蹴った。ロザリーの右手のメイスが横薙ぎに振るわれ、それをテレスが丸盾で受ける。剣呑な音に梢の鳥は空へと飛び立った。
衝撃を受け流したテレスは距離を取ると、手に持つロッドをかざし、言葉を発した。同時に光の弾がロザリーへと放たれる。ロザリーはすばやく身をかわし、再び間合いを詰めると今度は彼女のメイスがテレスの胴を捉え……命中する寸前でぴたりと止められた。
「……さすがですね」
「なんの、まだまだですわ」
ロザリーとテレスは一旦離れ、再び訓練に没頭する。
そんな二人の側で、木々の中からひょこりと顔を出した一体の生物がいた。その生物は二人の荷物が置かれている場所にゆっくりと忍び寄る……。
こそこそと動くその生き物の姿は、一言で表現すると二本の脚で立つ猫であった。
●出会い、そして……
「はっ!!」
小さな休憩を何度か挟み、二人の聖導士はそれぞれの得物を振るい、またはスキルを行使した。
何度目かの打ち合いの後、ロザリーが口を開く。
「いい汗をかきました……そろそろお昼にしましょうか?」
「そうですね、ロザリーさん!」
同じことを考えていたのか、テレスも笑顔で応じた。
「あたし、今日はツナサンドを作ってきたんです!」
「ツナサンドですか! それは楽しみですね」
二人は先日、とある事件において、一緒にツナサンドを食べる機会があった。その時以来、彼女達はサンドイッチの中でもツナサンドがお気に入りとなっていた。
木陰の荷物に近寄り、中からバスケットを取り出すと蓋を開けるテレス。
ぱかっ。
……無い。
テレスが作ってきたというツナサンドは影も形もなく、籠の中にはパンくずがわずかに散らばっているだけであった。
「……」
しばし硬直していたテレスだったが、やがてゆっくりとロザリーの方を振り向いた。
「……ロザリーさん」
「はい?」
「その……いくらお腹が減っていたからといって、つまみ食いはどうかと思います……あたしも楽しみにしていたのに……」
「ちょちょちょ、ちょっとお待ちなさいテレス!? それは誤解ですわ! わたくしはそんなはしたない事はしておりませんわよ!?」
テレスが差し出した空のバスケットを見て、ロザリーは慌てて手を振った。しかし、テレスの瞳から疑念が晴れた様子はない。
「き、きっとあれでしょう。テレスが間違って別のバスケットを持ってきてしまったとか……そんなところでは?」
「そんなことはないと思うんですが……んー」
まだ納得したわけではないだろうが、気勢を削がれたらしいテレスに対し、ロザリーは言葉を続ける。
「仲間を疑うなんて、あってはならないことですわ。そうでしょう、テレス?」
「……そうですね……ごめんなさい、ロザリーさん。あまりのショックに動転していたみたいです……」
頭を下げるテレスに笑顔で頷くロザリー。
「分かっていただければよいのですわ……実はわたくしもツナサンドを作ってきたのですよ。テレスと考えることは一緒でしたね……ふふっ」
「ロザリーさん……」
自分のバスケットをいそいそと引き寄せるロザリー。もはや空腹も限界に近い。バスケットの蓋に素早く手を伸ばす。
ぱかっ。
……無い。
ロザリーが作ってきたというツナサンドは影も形もなく、テレスのそれと同様に籠の中にはパンくずがわずかに散らばっているだけであった。
「……」
ロザリーは蓋を開けた姿勢でしばらく動かない。やがて、顔を下に向けたままぽつりとつぶやいた。
「……テレス」
「はい?」
どんよりとした瞳をテレスへと向けるロザリー。
「今すぐ謝罪するなら、まだ間に合いますよ?」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよロザリーさん!? さっきと言ってることが逆じゃないですか!? 仲間を疑うなんてあってはならないと言ってましたよね!?」
テレスもバスケットの中身を見てロザリーが何を考えているかに気付き、慌てて手を振った。だが、ロザリーの疑いの眼差しはそのままである。
「わたくしもテレスを疑いたくはありません……しかしここに動かぬ証拠があります……!」
盗みを犯した我が子を責める母のように悲哀に満ちた表情で、空のバスケットを突きつけるロザリー。
「誤解ですよ! ロザリーさんこそ間違って別のバスケットを持ってきたんじゃ!?」
「……」
そんなことはないはずだが、先ほど自分が発した言葉をそのまま返されるとそれはそれで否定しづらい。
彼女達の間を沈黙が支配した。ややあって、二人のお腹がきゅるると鳴る。すくなくとも、両者がつまみ食いをしていないことは確かなようだ。
「仕方ないですね……あたし、いつも非常食を持ち歩いてるんで、今日はそれを食べましょう……」
テレスはベルトポーチに収めているナッツ類が入った袋を取り出す。中から木の実を摘み上げたテレスだったが、空腹のためか彼女はそれを取り落としてしまった。
ころころと転がったクルミを、突然茂みから出てきた何者かがダイビングキャッチした。五体投地するかのように地面に倒れているのは先ほどの猫である。
喜びの表情を浮かべ、クルミを手に二本脚で立ち上がる猫だったが、はたと視線に気付き、顔を横に向けた。そこには、二人の人間が自分を見つめている姿があった。
二人の視線が自分の口元に注がれていることに気付き、二本脚で立つ猫はツナサンドを食べた後に口を拭っていなかったことに思い至る。
猫は唐突に哀れを誘う声で鳴き始めたが……。
「テレス……どうやら犯人が見つかったようです……ユグディラ、でしたか?」
「ええ……あたしも初めて見ましたが……どうやら悪い生き物のようですね……」
二人は凄惨な笑みと共に己の武器を手に取った。
解説
グラズヘイム王国東部に位置するリンダールの森の中で、一匹の猫と二人の女性が追いかけっこをしています。二人は武器を持ち、鬼気迫る形相で猫を追い掛け回しており、猫は時には二脚で、時には四脚で木々の間を駆け回り、茂みの間を抜け、逃げ回っています。
皆さんは偶然にもこの場に通りかかりました。現場は森の中でもそれほど奥まった場所ではありません。
二足歩行の猫の正体はユグディラという種族です。幻獣の一種であり、人並みの知恵を持っていますが、人語は喋ることができません。
ユグディラは少なくとも邪悪な生き物ではありません。ただ、時折人間の社会で食料を盗んだり、畑を荒らしたりすることはあるようです。
なお、ロザリーたちも別にユグディラを捕まえてひどいことをしてやりたいと心底考えているわけではありません。
※二人とユグディラの力量について
・ロザリー
腕利きのクルセイダーとして名が通っています。
一部の仲間から『聖女』という二つ名で呼ばれていますが、その呼び名に反して武器を操る腕前はかなりのものです。
・テレス
ロザリーよりは劣りますが、それなりに経験を積んだクルセイダーです。
・ユグディラ
すばしっこいですが、ハンターとまともに戦えるほどの実力はありません。
相手の感覚を狂わせたり、ちょっとだけ幻惑させる魔法のような力を持っていますが、それもせいぜい対象を少しふらふらさせる程度のものです。
※その他
ロザリーとテレスについては、元々知り合いであっても構いませんし、初めて見る相手であっても構いません。
また、ユグディラについては、そういう幻獣について見聞きしていても構いませんし、知らなくても構いません(ユグディラはグラズヘイム王国内ではそれなりに知名度があるようです)。
ただ、今回登場しているユグディラ個人については、皆さんは初めての出会いになります。
皆さんは偶然にもこの場に通りかかりました。現場は森の中でもそれほど奥まった場所ではありません。
二足歩行の猫の正体はユグディラという種族です。幻獣の一種であり、人並みの知恵を持っていますが、人語は喋ることができません。
ユグディラは少なくとも邪悪な生き物ではありません。ただ、時折人間の社会で食料を盗んだり、畑を荒らしたりすることはあるようです。
なお、ロザリーたちも別にユグディラを捕まえてひどいことをしてやりたいと心底考えているわけではありません。
※二人とユグディラの力量について
・ロザリー
腕利きのクルセイダーとして名が通っています。
一部の仲間から『聖女』という二つ名で呼ばれていますが、その呼び名に反して武器を操る腕前はかなりのものです。
・テレス
ロザリーよりは劣りますが、それなりに経験を積んだクルセイダーです。
・ユグディラ
すばしっこいですが、ハンターとまともに戦えるほどの実力はありません。
相手の感覚を狂わせたり、ちょっとだけ幻惑させる魔法のような力を持っていますが、それもせいぜい対象を少しふらふらさせる程度のものです。
※その他
ロザリーとテレスについては、元々知り合いであっても構いませんし、初めて見る相手であっても構いません。
また、ユグディラについては、そういう幻獣について見聞きしていても構いませんし、知らなくても構いません(ユグディラはグラズヘイム王国内ではそれなりに知名度があるようです)。
ただ、今回登場しているユグディラ個人については、皆さんは初めての出会いになります。
マスターより
こんにちは、こんばんは。秋風落葉(しゅうふうらくよう)です。
なんというか、不幸な出会いでしたね。
ただ、この出会いもハンターの皆さんにかかると良い結果になるかも……?
ご参加お待ちしております。
※登場人物について補足
ロザリーは『クルセイダーの憂鬱』以降、『クルセイダーの※※』という名称のシナリオに登場しています。
テレスは『クルセイダーの競争』に登場しています。
もちろんこれらを参照していだたかなくても、参加にあたって特に支障はございません。
なんというか、不幸な出会いでしたね。
ただ、この出会いもハンターの皆さんにかかると良い結果になるかも……?
ご参加お待ちしております。
※登場人物について補足
ロザリーは『クルセイダーの憂鬱』以降、『クルセイダーの※※』という名称のシナリオに登場しています。
テレスは『クルセイダーの競争』に登場しています。
もちろんこれらを参照していだたかなくても、参加にあたって特に支障はございません。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/27 19:16
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ティス・フュラー(ka3006) エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/06/21 20:28:01 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/21 10:06:24 |