ゲスト
(ka0000)
【GFD】金槌亭で休息を
マスター:石田まきば

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/27 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/06 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●休日 ユレイテルの場合
「……久しぶりの気がするな」
前にこの場所を訪れてから三カ月は経っているだろうか。事務所にこもってばかりではつい仕事に手を付けてしまうからと、ユレイテルは食事を摂りに金槌亭へと足を運んでいた。
(気分転換にもなるだろう)
クネーデルズッペなら油っこさもないだろう、と注文を終えて席に着く。
役人として過ごしていた頃に比べれば、確かに扱う物事の重要性や背負うべき責任は大きくなったけれど、仕事量が増えている、と言う訳ではない。
当時から定期的な報告を兼ねてオプストハイムとナデルハイムの往復は行っていたし、マーフェルスに事務所を構えてからは更に移動が頻繁になる事を織り込んで、不在時の代理の育成には力を入れて足場を整えていた。
移動の多い生活はとっくに慣れていると言ってもいい。
長老会議への参加という具体的な業務は増えたが、最近の議案と言えば自分の選挙への立候補による彼らの対応と、人形師であるジエルデへの対応、器の今後……本当に『会議』をするべき案件は自分が長老になったことで大きく減ったことは既に知っている。
いつも通りの案件、例えば役人や警備隊の人事や、出て行った同胞への対処、高齢になった同胞のオプストへの転居願い等……それこそ常に起きるからこそ『いつも通りの対応』で事足りるものは部下達が細かい手順を全て済ませ、長老会は承認するだけなので会議は名目だけの集まりだ。呼び出される頻度は格段に減り、全員が集まるほどの案件でなければ代理でも事が足りた。
なにせ恭順派の集まりと言っても過言ではないのだ。決まった通りに、古いしきたりに則って事を進めるだけで仕事が成立するのだ。維新派としてはその在り方に不満が無いと言う訳にもいかないのだが、そこに口を出せる立場ではないことも分かっていた。少なくとも、今はまだその時ではない。
自分は維新派の立場を利用し、そして利用されて今の席を手に入れている。父リヒャルトもまだ現役で長老の席についているのがその証拠だ。
『お前は私の後継ぎとしては認められない』
実家で話す機会を得た時の言葉を思い出す。
確かにそうだ。父の背を見て育った割に、父の元で部下として、いずれは後継ぎとして勉強をする道を選ばなかった。役人の席を得た途端、家出同然にナデルハイムに居を移し独立したことはそれなりに父の人生設計を裏切っていたようだ。
『では、彼女は……いえ、何でもありません』
ならば監視役として寄越したパウラの意図は? 聞きかけたがやめた。父親は答えてくれないだろう。
パウラは確かにあの父に向けて報告書を送っている。しかしこれまでに不利益は起きていない。
(長老就任時にそれがどこまで影響したのか……)
資料として使われたはずだ。馬鹿正直なパウラのことだから聞いたままそのままを纏めているのだろう、良くも悪くも真っ直ぐな少女だ。本人は自らを恭順派だと思っているのだろうが、彼女ほど先入観無く物事を見れる存在は珍しい。エルフハイムと言う閉鎖社会においては貴重だ。
(親としての手心……も多くは無いがあったのだろう)
互いに冷静に相手を見るための緩衝材として、あれ以上の人選はなかったのかもしれない。
(………)
結局。職場を離れても、考えるのは仕事のことばかりだ。
それが自分の目標で生き甲斐なのだから、別に悪いことではないと考えている。
間違いと言うわけでもないだろう。
「イベントを、自分でも楽しむこと」
自分の考え方に柔軟性があるように、努めてきているつもりだけれど、あまり得意ではない分野と言うものがある。
「そういえば、今はリゼリオで催しがあるのだったか?」
今後、どれほどまでに手を、そして足を延ばしていけばいいのか……
「おまちどうさま」
カチャリ
「……あ、ああ。感謝する」
カウンターの向こうから店主がズッペを出してきた。そうだ、食事に来たのではなかったか。
スプーンを手に一口食べて、再び手が止まる。首を振ってまた一口、また止まる。
長い休日になりそうだった。
●休日? カミラの場合
「主人! 戻ったぞ!」
ドアベルを掻き消すほどの声量は本人の気分が高ぶっているからだろう。この師団都市マーフェルスを治めている権力者の声だとすぐに感じ取り、主人は皿を拭く手を止めた。
「特別審査員のお仕事は終えられたので?」
カミラがリゼリオに出張に出ていた事は、この都市に暮らす者なら大体の者が予想していた。料理人だということは周知の事実で、イベントの告知が出た後も、審査員は皇帝陛下かカミラか、どちらかになるだろうと予想をして子供達が賭け事遊びをする程度の知名度だからだ。
「ああ、あまり長居もしていられないからな……きちんと全部試食もして、わかる範囲でレシピを確認してきたぞ!」
我らが帝国の食材事情を考えると、どこまで再現できるかはわからないが。そう言いながらも目は輝いているから、きっと足りないものがあっても応用するなどして全て、試作するなり楽しむつもりでいるのだろう。
「息子なら……」
「わかっている、非番で帰ってきているだろう?」
借りていいか? すぐに誰かに話したいのだとその目が言っている。もう何度この目を見ただろう。
「奥に」
「助かる! イサ! イサーク! レシピの書き取りと改良に手を貸してくれ!」
「カミラ様、お帰りなさいませ!」
ドタバタと自宅スペースから降りてくる足音に落ち着きのなさを感じるけれど、それもまた自分の息子なのだから後で注意するとしよう。
料理人に憧れた息子は気付けばエルヴィンバルト要塞の厨房で働くことになった。それはひとえにこの酒場が要塞に近く、師団兵たちが立ち寄ってくれるほどの縁があったからだとも思っている。いつかここを継ぐのだと言ってくれているだけで十分だ……
(……やはり落ち着きは必要か)
再び皿を拭く作業を再開する。
(……おや)
カウンター席に座っているエルフ――その男が誰かということは勿論把握している――の手が完全に止まっていた。
「……そういえば御用達の店だったな……」
遠い目をしている。失念していたのだろうと推測し、エルフと言っても人とそう変わらないなと改めて思う。口に出すことはないが。
「お客様」
もし差支えなければと、控えめに声を掛けた。
「夕方ごろになるでしょうが……新レシピの試作料理がお出しできると思います」
「……?」
申し出の意図を測りかねているようだ。接点は少なくとも、接客業の長い主人には多少の表情が読める。
「これも何かのご縁です、お暇でしたら……味の感想を教えていただけたらと」
●休日 ユレイテルの場合
「……久しぶりの気がするな」
前にこの場所を訪れてから三カ月は経っているだろうか。事務所にこもってばかりではつい仕事に手を付けてしまうからと、ユレイテルは食事を摂りに金槌亭へと足を運んでいた。
(気分転換にもなるだろう)
クネーデルズッペなら油っこさもないだろう、と注文を終えて席に着く。
役人として過ごしていた頃に比べれば、確かに扱う物事の重要性や背負うべき責任は大きくなったけれど、仕事量が増えている、と言う訳ではない。
当時から定期的な報告を兼ねてオプストハイムとナデルハイムの往復は行っていたし、マーフェルスに事務所を構えてからは更に移動が頻繁になる事を織り込んで、不在時の代理の育成には力を入れて足場を整えていた。
移動の多い生活はとっくに慣れていると言ってもいい。
長老会議への参加という具体的な業務は増えたが、最近の議案と言えば自分の選挙への立候補による彼らの対応と、人形師であるジエルデへの対応、器の今後……本当に『会議』をするべき案件は自分が長老になったことで大きく減ったことは既に知っている。
いつも通りの案件、例えば役人や警備隊の人事や、出て行った同胞への対処、高齢になった同胞のオプストへの転居願い等……それこそ常に起きるからこそ『いつも通りの対応』で事足りるものは部下達が細かい手順を全て済ませ、長老会は承認するだけなので会議は名目だけの集まりだ。呼び出される頻度は格段に減り、全員が集まるほどの案件でなければ代理でも事が足りた。
なにせ恭順派の集まりと言っても過言ではないのだ。決まった通りに、古いしきたりに則って事を進めるだけで仕事が成立するのだ。維新派としてはその在り方に不満が無いと言う訳にもいかないのだが、そこに口を出せる立場ではないことも分かっていた。少なくとも、今はまだその時ではない。
自分は維新派の立場を利用し、そして利用されて今の席を手に入れている。父リヒャルトもまだ現役で長老の席についているのがその証拠だ。
『お前は私の後継ぎとしては認められない』
実家で話す機会を得た時の言葉を思い出す。
確かにそうだ。父の背を見て育った割に、父の元で部下として、いずれは後継ぎとして勉強をする道を選ばなかった。役人の席を得た途端、家出同然にナデルハイムに居を移し独立したことはそれなりに父の人生設計を裏切っていたようだ。
『では、彼女は……いえ、何でもありません』
ならば監視役として寄越したパウラの意図は? 聞きかけたがやめた。父親は答えてくれないだろう。
パウラは確かにあの父に向けて報告書を送っている。しかしこれまでに不利益は起きていない。
(長老就任時にそれがどこまで影響したのか……)
資料として使われたはずだ。馬鹿正直なパウラのことだから聞いたままそのままを纏めているのだろう、良くも悪くも真っ直ぐな少女だ。本人は自らを恭順派だと思っているのだろうが、彼女ほど先入観無く物事を見れる存在は珍しい。エルフハイムと言う閉鎖社会においては貴重だ。
(親としての手心……も多くは無いがあったのだろう)
互いに冷静に相手を見るための緩衝材として、あれ以上の人選はなかったのかもしれない。
(………)
結局。職場を離れても、考えるのは仕事のことばかりだ。
それが自分の目標で生き甲斐なのだから、別に悪いことではないと考えている。
間違いと言うわけでもないだろう。
「イベントを、自分でも楽しむこと」
自分の考え方に柔軟性があるように、努めてきているつもりだけれど、あまり得意ではない分野と言うものがある。
「そういえば、今はリゼリオで催しがあるのだったか?」
今後、どれほどまでに手を、そして足を延ばしていけばいいのか……
「おまちどうさま」
カチャリ
「……あ、ああ。感謝する」
カウンターの向こうから店主がズッペを出してきた。そうだ、食事に来たのではなかったか。
スプーンを手に一口食べて、再び手が止まる。首を振ってまた一口、また止まる。
長い休日になりそうだった。
●休日? カミラの場合
「主人! 戻ったぞ!」
ドアベルを掻き消すほどの声量は本人の気分が高ぶっているからだろう。この師団都市マーフェルスを治めている権力者の声だとすぐに感じ取り、主人は皿を拭く手を止めた。
「特別審査員のお仕事は終えられたので?」
カミラがリゼリオに出張に出ていた事は、この都市に暮らす者なら大体の者が予想していた。料理人だということは周知の事実で、イベントの告知が出た後も、審査員は皇帝陛下かカミラか、どちらかになるだろうと予想をして子供達が賭け事遊びをする程度の知名度だからだ。
「ああ、あまり長居もしていられないからな……きちんと全部試食もして、わかる範囲でレシピを確認してきたぞ!」
我らが帝国の食材事情を考えると、どこまで再現できるかはわからないが。そう言いながらも目は輝いているから、きっと足りないものがあっても応用するなどして全て、試作するなり楽しむつもりでいるのだろう。
「息子なら……」
「わかっている、非番で帰ってきているだろう?」
借りていいか? すぐに誰かに話したいのだとその目が言っている。もう何度この目を見ただろう。
「奥に」
「助かる! イサ! イサーク! レシピの書き取りと改良に手を貸してくれ!」
「カミラ様、お帰りなさいませ!」
ドタバタと自宅スペースから降りてくる足音に落ち着きのなさを感じるけれど、それもまた自分の息子なのだから後で注意するとしよう。
料理人に憧れた息子は気付けばエルヴィンバルト要塞の厨房で働くことになった。それはひとえにこの酒場が要塞に近く、師団兵たちが立ち寄ってくれるほどの縁があったからだとも思っている。いつかここを継ぐのだと言ってくれているだけで十分だ……
(……やはり落ち着きは必要か)
再び皿を拭く作業を再開する。
(……おや)
カウンター席に座っているエルフ――その男が誰かということは勿論把握している――の手が完全に止まっていた。
「……そういえば御用達の店だったな……」
遠い目をしている。失念していたのだろうと推測し、エルフと言っても人とそう変わらないなと改めて思う。口に出すことはないが。
「お客様」
もし差支えなければと、控えめに声を掛けた。
「夕方ごろになるでしょうが……新レシピの試作料理がお出しできると思います」
「……?」
申し出の意図を測りかねているようだ。接点は少なくとも、接客業の長い主人には多少の表情が読める。
「これも何かのご縁です、お暇でしたら……味の感想を教えていただけたらと」
解説
※ このシナリオには依頼人が存在しないため、報酬や成功の基準は存在しません。
*状況
主な舞台は、酒場『金槌亭』です
プレイングにて記載がなければ、基本的に酒場の1階での出来事となります
*金槌亭
エルヴィンバルト要塞からも気軽に通える場所に立つ酒場
二階で部屋貸しもしているが大抵は酔っぱらった客の介抱用で、広さはあるけれど調度品は最低限
一階の酒場は昼食の時間帯から、翌日の朝食の時間帯が営業時間です
帝国の基本メニューが揃っている
(芋関連、羊関連、お酒関連、白身魚系、クネーデルズッペのような家庭料理)
ちょっとしたアレンジが行われたりもするようです
夕方以降になると「どっちの料理にしよう?」にてエントリーされた料理のカミラアレンジが提供されます
試食希望の方は該当メニュー名をプレイングにどうぞ
*その他の施設
師団都市マーフェルス内であれば描写可能です
エルヴィンバルト要塞(外観なら見れます)
雑貨屋
エルフハイム維新派事務所(雑貨屋の二階)
市場等もありますが、食品関係は芋ばっかり酒ばっかり、道具類は鍛冶関連の店ばっかりです
宿屋もありますが、金槌亭と似たような形式です
*NPC情報
基本的に背景として存在しています
関わらない場合はリプレイにも登場しません
カミラ
第三師団の師団長
どっちの料理にしよう? で特別審査員の仕事を終えて帰って来たばかり
「今日ならまだ非番だからな!」とのこと
ユレイテル
エルフハイムの維新派長老
ものすごく珍しい休暇ができたが、正直過ごし方が分からない
イサーク
エルヴィンバルト要塞の厨房で修行中、金槌亭の次期主人
20歳前後の青年
過去に無名で登場済
第三師団兵、エルフハイム維新派についてはお呼び出し頂ければ登場可能
上記以外で「この人は?」と確認していただければお答えいたします
*注意
白紙はリプレイに描写できません、ご注意くださいませ
参加したらとりあえず『金槌亭で食事する』とでも送信しておきましょう
*状況
主な舞台は、酒場『金槌亭』です
プレイングにて記載がなければ、基本的に酒場の1階での出来事となります
*金槌亭
エルヴィンバルト要塞からも気軽に通える場所に立つ酒場
二階で部屋貸しもしているが大抵は酔っぱらった客の介抱用で、広さはあるけれど調度品は最低限
一階の酒場は昼食の時間帯から、翌日の朝食の時間帯が営業時間です
帝国の基本メニューが揃っている
(芋関連、羊関連、お酒関連、白身魚系、クネーデルズッペのような家庭料理)
ちょっとしたアレンジが行われたりもするようです
夕方以降になると「どっちの料理にしよう?」にてエントリーされた料理のカミラアレンジが提供されます
試食希望の方は該当メニュー名をプレイングにどうぞ
*その他の施設
師団都市マーフェルス内であれば描写可能です
エルヴィンバルト要塞(外観なら見れます)
雑貨屋
エルフハイム維新派事務所(雑貨屋の二階)
市場等もありますが、食品関係は芋ばっかり酒ばっかり、道具類は鍛冶関連の店ばっかりです
宿屋もありますが、金槌亭と似たような形式です
*NPC情報
基本的に背景として存在しています
関わらない場合はリプレイにも登場しません
カミラ
第三師団の師団長
どっちの料理にしよう? で特別審査員の仕事を終えて帰って来たばかり
「今日ならまだ非番だからな!」とのこと
ユレイテル
エルフハイムの維新派長老
ものすごく珍しい休暇ができたが、正直過ごし方が分からない
イサーク
エルヴィンバルト要塞の厨房で修行中、金槌亭の次期主人
20歳前後の青年
過去に無名で登場済
第三師団兵、エルフハイム維新派についてはお呼び出し頂ければ登場可能
上記以外で「この人は?」と確認していただければお答えいたします
*注意
白紙はリプレイに描写できません、ご注意くださいませ
参加したらとりあえず『金槌亭で食事する』とでも送信しておきましょう
マスターより
こんにちは、それともこんばんは、石田まきばです。
およそ五カ月ぶりのフリーアタックシナリオになります。
今回はおまけ要素として【GFD】タグ(ギルドフォーラムディナーの略)がついています。
参加者様からプレイングにて希望がありますと、ギルド名とメニュー名を合せてリプレイにて描写いたします。
実際の料理は帝国の食材事情が影響して、カミラアレンジが入る可能性が非常に高いです……そこは申し訳ありません、ご了承くださいませ。
それでは皆様、マーフェルスにて、良きハンター生活を!
スケジュールの都合により、リプレイの締切を延長させていただいております、ご了承くださいませ。
それでは、よろしくお願いします。
およそ五カ月ぶりのフリーアタックシナリオになります。
今回はおまけ要素として【GFD】タグ(ギルドフォーラムディナーの略)がついています。
参加者様からプレイングにて希望がありますと、ギルド名とメニュー名を合せてリプレイにて描写いたします。
実際の料理は帝国の食材事情が影響して、カミラアレンジが入る可能性が非常に高いです……そこは申し訳ありません、ご了承くださいませ。
それでは皆様、マーフェルスにて、良きハンター生活を!
スケジュールの都合により、リプレイの締切を延長させていただいております、ご了承くださいませ。
それでは、よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/05 04:36