●畑を荒らす猪達
「こらー、オラの畑さ入るでねえ！」
　畑に響く男性の声。彼、キサクはここの地主だ。
　キサクは野菜の菜園を持っており、栽培、販売を行って生計を立てている。
　この畑ではスイカを育てている。その実はようやく大きくなってきたところだというのに、そいつらは我が物顔でどっかりと畑に腰を下ろしていた。
　その畑の一区画、中央にいたのは、猪だ。しかも４体。
　ただでさえ、猪は獰猛な性格の動物だが、体のありえない箇所からいくつも角を生やしたそいつらが普通の猪であるはずがない。その猪は雑魔となり果てていたのだ。
　とはいえ、キサクにとっては雑魔だろうと、そうでなかろうと、自分の畑を荒らす者は全て敵なわけで。
「おめー達、こっちさ来い！」
　キサクは鎌を振り回し、猪達に道へ出るよう誘導するのだが、そいつらは知らん顔。キサクに気づくことなく、のっしのっしと畑の上を闊歩する。
　そこへ、一仕事終えたハンター達が偶々通りがかる。キサクは渡りに舟と、ハンター達へとすがりつく。
「ハンターさ、お願いだ！　オラの畑さ、守ってけれ！」
　ハンター達が畑を見ると、変わらず欠伸すらしている猪達。一応、群れのリーダーだけはハンター達に気づいたらしく、畑の中から視線だけ向けていた。爛々と輝く瞳は、『こっちに来るなら容赦はしない』と威嚇しているようにも見える。
　このままであれば、少なくとも人的被害はないが、今後、雑魔が人に危害を及ぼす可能性は大きい。
　それに、現状畑は雑魔によって荒らされかけている。キサクが丹精込めて育てたスイカも台無しになってしまうかもしれない。キサクの苦労を思えば、畑を守ってあげたい。
「後でハンターズソサエティさ行って、報酬も用意するだ。昼飯も用意するから、なんとかしてけろ！」
　キサクの悲痛な叫びを聞きいれたハンター達は、早速雑魔退治に乗り出すのだった。

　畑に現れた雑魔退治をお願い致します。

●目的
　猪型雑魔の討伐。
　できる限り、畑に被害が及ばないようにすること。
　被害が甚大の場合は依頼失敗となります。

●敵
　猪型雑魔……４体。
　１体は群れを率いるボスで、１回り大きな個体です。
　取り巻きは牙での攻撃の他、突進を仕掛けてきます。ボスは取り巻きの攻撃方法に加え、大きく吠えて敵に耐えがたい騒音を発するのと同時に味方全員の戦意を高揚することもあります。

●状況
　別の依頼を終えたハンター達は、畑へと猪型の雑魔が立ち入っているのに出くわします。
　猪のいる畑の大きさはだいたい５０メートル四方くらいの区画。この畑にはスイカが栽培されています。下手に歩き回るだけで果実に被害が出ますので、立ち回りに注意が必要です。
　なお、猪達も道から真っ直ぐ歩いてその区画へ侵入しており、４体は区画の丁度中央に陣取っております。
　奥は同じ大きさの畑（別の野菜が植えられています）が広がっております。手前側は道になっており、逆側は草原と林があり、畑はありません。
　依頼者もこの場にいる為、依頼者と畑に危害は及ばないよう気を付けながら、猪型雑魔の討伐を願います。
　無事、依頼を成功させた場合、依頼者から薄切りにしたスイカの差し入れがありますので、どうぞお召し上がりください。

　初めましての方も、どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
　猪型雑魔の退治を願います。食料を探しにやってきたのでしょうが、雑魔と有らば見過ごすことはできないでしょう。皆様の活躍に期待いたします。
　ささやかながら、依頼を成功することができれば、スイカの差し入れもあります。のんびりした一時を過ごしつつ、味わっていただければと思います。
　それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします！