• 調査

あおひかげ【1】

マスター:月宵

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/07/05 15:00
リプレイ完成予定
2015/07/14 15:00

オープニング

 辺境の地。そこには、様々な部族が存在している。彼らにはそれぞれ崇拝し、信仰するトーテムと言うものが存在する。
 彼ら部族をまとめあげるに不可欠なもの、言わば生命線と言ったところだろうか。

 そんな部族の中に『イチヨ族』と言うものがいる。彼らは流浪の少数部族で、各地を転々とする者達。
 彼らのトーテムの名は『概念精霊・コリオリ』と言う。
 彼らの信条は『他部族の信仰を信仰する』と言う変わったものだ。
 それが例え、如何なる信仰であろうとも……


●依頼が来ました。
「お断りします」
 ピシャリ、と言い切ったのはイチヨ族、族長サ・ナダ。黒い短髪が手伝ってか、一見若者にも見えるが実年齢は四十を越えた男性である。
 ここはイチヨ族のテント内部。そして精一杯をナダに頼み込んでいるのは、山麓の裾野に暮らすインデュー族の代表者だ。
 イチヨ族は祭事の補助を買って出て、それを生業に生計を建てているという少し変わった一族だ。少数部族の割に、それなりの時を過ごしてきた彼らは、またもそれなりに他集落から名が知れていた。

 こうやって、祭事の補助依頼が向こうから舞い込んでくることも珍しくはない。
 珍しくはないのだが……

「どうか、お力を貸してください! このままじゃ、集落の危機なんですよ」
 すがり付くインデュー族の男に、嘆息しつつナダは頭を下げた。
 内容は確かに祭事の補助だ。だが、同時に『祭事を創ってくれ』と言われた。
「此処は皆様と違い、まだ出来て100年にも満たない集落で、だから、意見も定まらず」
 インデュー族のトーテムは『火、それも特に蒼い火』だと言う。部族の絆を深めるには、トーテムを尊ぶには、祭事が一番に有効なのだ。

「で、他の集落に聞いたら『祭事の事ならイチヨ族』と」
「またそれですか」

 ナダはもう、何度その言葉を聞いたか知らない。だが、うんざりしているのだけは確かだ。いくつもの祭事を手伝う内に、イチヨ族の名は有名になっていた。そのことは、生活がこちらにもあるから別に良い。問題は……

 『イチヨ族が来ると祭が成功する』『イチヨ族が居たから、儀式が成功した』『豊作だった』なんて、話に尾ひれがつき始め最後には『祭事の事ならイチヨ族』だ。

 そう、他の信仰心を尊ぶ彼ら一族は『自分達へ信頼を置かれる』のは酷く不名誉なのだ。ナダとしては、こんなキャッチコピーは捨てたい。

 ……紆余曲折あり、で最後は結局。

「わかりました。ですが、此方の条件は守って下さい。一つは、我らの名を他で決して出さないこと。二つ目に、ハンターに来て貰いますが彼らをわたくし達と同等に扱うこと。わかりましたか?」
「も、勿論です。ありがとうございます! ありがとうございます!」


●依頼受けました。
 それから日は落ちて、イチヨ族による会議が始まった。
 と言っても、族長を合わせての三人。後一人いるのだが、今回の件には『今のところ』関わらないため来てはいない。

「このお人好し!」
「すみません」
 二十歳頃の若者に、四十越えの男が叱られている何とも無様な光景である。
「前田様落ち着いて下さい」
 それを止めに入る十五歳くらいの少年。前田、こと。マ・エダは祭事の補助でも、花形である司会進行を担当。対する少年は、ヤ・マダと言う。若いながら裏方準備に関しては、彼の右に出るものはいない。
 エダが機嫌悪いのは、当然ながらさっきのインデュー族の件だ。
 因みにいつもは正しき族長と部下の姿なのだ。信じて。
「で? なんで、了承しちゃたんですかぁ」
 語尾が上がってる辺り、まだエダの腹の虫はおさまらないようだ。
「その、あまりに集落のトーテムが不憫に思いまして……」
 詳しい理由をポツポツ、と観念したようにナダは白状した。

 事の始まりは、インデュー族の成り立ちにまで遡る。
 元々インデュー族は、別の集落の祭事の巫女であったらしい。
 巫女は祭壇で、覚醒時に赤色の羽衣のような火を纏う、とされていた。が、その巫女の火の色は蒼。
 こんなものは認められない、と審神者が巫女に告げたらしい。

 だが、巫女は「蒼くあろうが、これは火だ。私が敬う想いに違いはない」と反論し、その意見に賛成する民も多くいたのだ。

 その事が原因で、巫女はその集落を仲間と共に出奔した。
 そして、新たな土地を拓かんと土地に住む雑魔を蒼い火で滅し、その場所に新たな集落を作ったという。
 それが初代族長、トゥューハ・インデューになったと言う。
 しかし、その族長も今より数ヶ月前に没して、今は娘のアキエヴェが族長だと言う話だ。娘と言っても、夫もいる良い歳なわけだが。

「ただ、現族長は蒼い火どころか、覚醒者ですらなくてですね……」
 更に指導者が死んで、部下の舵取すら行われていないと言う状況。このままだと、分裂。最悪、元の集落へ出戻りである。自ら信念を持ち集落を出た母親の志を無碍にしたくはない。アキエヴェは、何としてもそれだけは避けたい、と願っているのだ。そこまで、説明を聞いてエダが薄ら笑いで族長に棘を放つ。

「ははぁん、他人事に聞こえず、放っておけなかったと?」
「うぐっ」
 そう、このインデュー族の状況は、イチヨ族に通ずるものがあった。

 『頭が優秀すぎて、部下が育たなかった』と言うものだ。

「どうしてこんなことに」
「族長が、頑張りすぎちゃった、からじゃないですか」
「そう、ですよね」
 先に告げた、イチヨ族の逆鞘問題。元々は、司会から裏方までを現役時代のナダが、頑張りすぎちゃった、ことが原因なのだ。
 当然、この尻拭いをするのは次世代の人間である。

「それに、生まれたばかりの信仰を潰えさすのは」
「わかった……」
 更なる言の葉を積み重ねようとした族長を彼は制した。
 ここに来て、エダが折れる。流石に今更断るのも、どうかとも思える。

(それに、女性の方々とか聞いたら黙ってらんないっての)
 と、下心がないわけではない。

「ありがとう御座います」
「で、俺らは何をすれば?」
「既にハンター達に依頼は通達しました。わたくし達は彼らの補助にまわります」
 あくまでも、補助ですよ。と強くナダが念を押してくる。
「それでは皆様、成功を祈りましょう。全ては御霊コリオリの元へ」

「「全ては御霊コリオリの元へ!!」」
 しかし、マダは口にしてから、はたと気付く。既にハンターに頼んでいた、とはつまり……

(族長、最初からこの展開になるの知ってたんじゃないですか!?)

解説

 ※今回のシナリオでは、ダイス判定が有り得ます。

 今回の目標は、最終目標である『インデュー族の祭事創作』を行うために、インデュー族の集落を調べることになります。
 具体的には、人道的であれば何をしても構いません(人に聞く、集落の外を調べる等)インデュー族からは、予め許可は取っております。しかし、皆様に土地勘はありません。何か策を練らないと、調べるのは難しいでしょう。

 一応の概要のみを、イチヨ族から簡単に説明されています。

 ・インデュー族の集落
 山にある50人程の集落。側には河川が流れていて、小舟などを使い移動をしている。主食は小麦。
 生産物として藍染があり、これを売って生計をたてている。
 トーテムは、『火。特に蒼い火』を信仰している。まだ出来て百年も満たない集落。
 どうも、前族長の権威が強すぎたためか、その人がいなくなってからは集落にバラつきが出ている。現族長はアキエヴェという36歳の女性(一般人)。

 ・イチヨ族
 PCの皆様を補助してくれる方々です。ですが、彼ら部族は『他部族への信仰思想の介入』を嫌煙しており、決して自ら前へは出てきません。
 

マスターより

 こんばんは、月宵です。初の続き物シナリオ、その一巻目になります。
 自由度が高いので、自らで判断することが多く、少々難しいかも知れません。 けど、お祭りを自分で作れたら、楽しいと思いませんか?
 不思議な部族、イチヨ族と共にこの依頼をお楽しみ下さい。

 それでは、ご参加お待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/07/13 06:18

参加者一覧

  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールド(ka1565
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 唯一つ、その名を
    Holmes(ka3813
    ドワーフ|8才|女性|霊闘士
  • 重装鉄壁
    八雲 奏(ka4074
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 咲き初めし白花
    ブリジット(ka4843
    人間(紅)|16才|女性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン インデュー族調査会議(相談卓)
ジュード・エアハート(ka0410
人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/07/05 14:29:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/07/01 23:38:31