ゲスト
(ka0000)
【讐刃】堕ちた男
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/07/08 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/17 22:00
オープニング
●力
一人のハンターが、その森を、必死になって逃げていた。
「はあっ……! はぁっ……!」
剣に、弓、硬質な鎧――重厚な装備。彼自身も、弱くない。
だがそれでも、『その対象』と戦うこともなく――いや、戦うことを既に諦めて、全速力で逃げていた。
ざっ、ざっ、と、枝をかき分けて彼を追うのは、人間だ。
いや、傍目には人間と全く違わない、『何か』。
ハンターより装備も劣る、見た目にはその辺りの山賊と変わらない、男だ。
「よぉ、待ってくれよ。そう逃げられちゃ、お前を殺せないだろ?」
「く、来るな……! うわっ!」
ハンターが転ぶと、山賊風の男は笑って距離を詰めた。
「はっは。お天道様は俺に味方したな。まぁ、どちらにしろお前は死ぬけどな」
どっ、と剣がハンターの脳天をつく。一撃で、男はハンターを殺害した。
男は、笑った。
「へへ……ハンターも目じゃねえこの力。やっぱり、最高だぜ!」
●墜ちた男
「あんたか」
山賊風の男が振り返ると、そこに影――ナハトがいた。
マントに身を包んだ、漆黒の人形。
男はひるみもせず、死体の横の地面にどっかと腰を下ろすと、ナハトに楽しげに声をかけた。
「へへ。力の調子はいいぜ。こんなに強くなれるんなら、もっと早く出会いたかったぜ」
「お前自身がそう思うのならば、何よりだ。ヴァレリオよ」
ナハトもかすかにだけ、笑うような調子で続ける。
「皆がお前ほど単純で安直な人間であれば、世界はこれほど複雑ではなかったろう」
「おいおい、貶してんのか? まぁ、そうじゃないと否定はしねぇけどな」
男――ヴァレリオと呼ばれた彼は、へへ、と笑いをこぼした。
「俺はもう、人間じゃねぇんだろ。ただの賊が、ハンターを殺せるようになったんだからそんくらいはわかる。でも、この力が存分に振るえるなら、むしろ嬉しいぜ」
血に塗れた剣を、舌なめずりするように見つめる、ヴァレリオだった。
●玩具
ルイスとガムズが死んだあと、ナハトが目を付けたのが、ヴァレリオである。
ナハトが力を与えて数週間、ヴァレリオは既に、ハンターを数人屠っている。ルイスと同様の行動を起こしているわけで、ナハトとしては狙い通りだ。
ナハトはヴァレリオを見る。
「ヴァレリオよ。お前はなぜ、それほど力を求める?」
「あん?」
ヴァレリオはしかめっ面を向けた。
ナハトが今までこれを聞かなかったのは、ルイスとは違い、ヴァレリオは普段から力を誇示するように人を殺して回るような賊だったからだ。
つまりは天然物というわけで……深く考えずとも、力を与えて問題のない存在だったのだ。
ヴァレリオは、へっ、と笑う。
「そんなの忘れた……いや、違うな。殺したいからさ。力があるのに手をのばさないなんて、男じゃねえだろ」
予期した通りの答えが返って、ナハトはそうかと言った。
ヴァレリオがこんな調子なのは、期待通りでもある。
だが同時に、予想通りでもあって――ナハトは既に、ヴァレリオに飽き始めていた。
再びの失敗を犯さないために、ヴァレリオには、最初からルイス以上の『力』を与えた。
だからハンターを殺してくれるのは結構なのだが……ナハトの欲求は、どうにもそれでは満たされない。端的に言えば、ヴァレリオは駒として面白くない。
「潮時か」
「あん? 何がだ」
「お前のことだ。だが、最後に少しは、楽しませてもらおうか」
ナハトは、山の向こうの村のことを説明した。
「一般人しかいない村だが、襲っていれば、ハンターがやってくるであろう場所でもある」
「はん、そこを襲えば強いやつと戦えるってか」
「その通りだ。だが、今度の相手は一人とはいかないぞ。おそらく、強い者が複数来るだろう」
「面白えじゃねえか。力が有り余ってたところだよ」
これまで、駒にした者は、簡単に人里へ出さないナハトだった。
が、最後となれば話が別だ。
ルイスはあのとき、最後に改心した挙げ句、要らぬことをべらべらとしゃべろうとした。そういう意味では、玩具として失格だ。だが、ヴァレリオならそんな心配はないだろう。
それに、ハンターに再び会ってみたい、という欲求もあった。
「人形を貸してやる。ヴァレリオよ、存分に暴れてこい」
●村へ
「村はこっちだ! 急いでくれ」
ハンターたちを馬に乗せ――そして自身も馬を駆りながら、農道を進む男がいた。
フリッツだ。
フリッツは事件のあと、嫉妬の歪虚ナハトを探して、各地を回っていた。
そして最近、覚醒者が殺される事件が再び発生しているということで、村の周辺に駐留していたのだった。
今回も、賊が現れたという村からの助けをいち早く受け取り、ハンターに依頼を呼びかけたのはフリッツだった。
問題の村へ急ぎながら、フリッツはハンターたちへ振り向く。
「賊が出た、という事件に、わざわざ君たちを呼んだのは理由があるんだ」
前方に見えてくる村の姿を見ながら、続ける。
「賊、というのがどうやら、ただの人間じゃないらしい。応戦してるハンターがいるんだが、彼が言うには、間違いなく『歪虚』だという」
ハンターであれば、歪虚が目の前に迫れば、その禍々しい空気でわかる。その賊、というのが、そうである、とフリッツは言っているらしい。
「歪虚には、元が人間の者もいるらしいが……そうであっても、いや、だからこそ、敵は歪虚そのものだ。迷っている暇はないだろう」
そうして、ハンターたちとフリッツは、村へ到着した。
多くの村人は逃げているようだが――村の道や農地、軒先にも……無造作にうち捨てられている死体が、既にあった。
そして、被害者達の血が点々と、敵の居場所を道しるべのように示していた。
それは、村の教会だった。
ばぁん、とフリッツが入口を蹴り開けると、そこにいた。
血に塗れた剣を持つ、山賊風の男が。
たった今まで応戦していたらしい若いハンターは、そのすぐ横で息絶えていた。
「あぁん? ああ……来たか。なるほど、確かにその辺のやつよりかは、全然強そうだな」
ハンターたちの姿をみとめると、彼は笑った。
「じゃぁ、そういうことで、楽しませてくれよな」
設備が大破し、床に血液が舞う教会で……彼は剣を構える。
彼のそばと、そしてもう一つの出口の向こうには……嫉妬の人形が複数体。
そして、割れたステンドグラスの、その先に見える森に紛れて――木立の高い位置に。
マントを被った、黒い影が見えていた。
ナハトはそこから、教会内を見下ろしていた。
くつくつと笑いながら。
「強力なハンターどもを追い詰め……そしてお前自身も果てるがいい。それで少しは、楽しめる」
玩具は脆い方が面白い。激しく弄くって壊れるときは、もっと。
「さあ、殺し合え」
一人のハンターが、その森を、必死になって逃げていた。
「はあっ……! はぁっ……!」
剣に、弓、硬質な鎧――重厚な装備。彼自身も、弱くない。
だがそれでも、『その対象』と戦うこともなく――いや、戦うことを既に諦めて、全速力で逃げていた。
ざっ、ざっ、と、枝をかき分けて彼を追うのは、人間だ。
いや、傍目には人間と全く違わない、『何か』。
ハンターより装備も劣る、見た目にはその辺りの山賊と変わらない、男だ。
「よぉ、待ってくれよ。そう逃げられちゃ、お前を殺せないだろ?」
「く、来るな……! うわっ!」
ハンターが転ぶと、山賊風の男は笑って距離を詰めた。
「はっは。お天道様は俺に味方したな。まぁ、どちらにしろお前は死ぬけどな」
どっ、と剣がハンターの脳天をつく。一撃で、男はハンターを殺害した。
男は、笑った。
「へへ……ハンターも目じゃねえこの力。やっぱり、最高だぜ!」
●墜ちた男
「あんたか」
山賊風の男が振り返ると、そこに影――ナハトがいた。
マントに身を包んだ、漆黒の人形。
男はひるみもせず、死体の横の地面にどっかと腰を下ろすと、ナハトに楽しげに声をかけた。
「へへ。力の調子はいいぜ。こんなに強くなれるんなら、もっと早く出会いたかったぜ」
「お前自身がそう思うのならば、何よりだ。ヴァレリオよ」
ナハトもかすかにだけ、笑うような調子で続ける。
「皆がお前ほど単純で安直な人間であれば、世界はこれほど複雑ではなかったろう」
「おいおい、貶してんのか? まぁ、そうじゃないと否定はしねぇけどな」
男――ヴァレリオと呼ばれた彼は、へへ、と笑いをこぼした。
「俺はもう、人間じゃねぇんだろ。ただの賊が、ハンターを殺せるようになったんだからそんくらいはわかる。でも、この力が存分に振るえるなら、むしろ嬉しいぜ」
血に塗れた剣を、舌なめずりするように見つめる、ヴァレリオだった。
●玩具
ルイスとガムズが死んだあと、ナハトが目を付けたのが、ヴァレリオである。
ナハトが力を与えて数週間、ヴァレリオは既に、ハンターを数人屠っている。ルイスと同様の行動を起こしているわけで、ナハトとしては狙い通りだ。
ナハトはヴァレリオを見る。
「ヴァレリオよ。お前はなぜ、それほど力を求める?」
「あん?」
ヴァレリオはしかめっ面を向けた。
ナハトが今までこれを聞かなかったのは、ルイスとは違い、ヴァレリオは普段から力を誇示するように人を殺して回るような賊だったからだ。
つまりは天然物というわけで……深く考えずとも、力を与えて問題のない存在だったのだ。
ヴァレリオは、へっ、と笑う。
「そんなの忘れた……いや、違うな。殺したいからさ。力があるのに手をのばさないなんて、男じゃねえだろ」
予期した通りの答えが返って、ナハトはそうかと言った。
ヴァレリオがこんな調子なのは、期待通りでもある。
だが同時に、予想通りでもあって――ナハトは既に、ヴァレリオに飽き始めていた。
再びの失敗を犯さないために、ヴァレリオには、最初からルイス以上の『力』を与えた。
だからハンターを殺してくれるのは結構なのだが……ナハトの欲求は、どうにもそれでは満たされない。端的に言えば、ヴァレリオは駒として面白くない。
「潮時か」
「あん? 何がだ」
「お前のことだ。だが、最後に少しは、楽しませてもらおうか」
ナハトは、山の向こうの村のことを説明した。
「一般人しかいない村だが、襲っていれば、ハンターがやってくるであろう場所でもある」
「はん、そこを襲えば強いやつと戦えるってか」
「その通りだ。だが、今度の相手は一人とはいかないぞ。おそらく、強い者が複数来るだろう」
「面白えじゃねえか。力が有り余ってたところだよ」
これまで、駒にした者は、簡単に人里へ出さないナハトだった。
が、最後となれば話が別だ。
ルイスはあのとき、最後に改心した挙げ句、要らぬことをべらべらとしゃべろうとした。そういう意味では、玩具として失格だ。だが、ヴァレリオならそんな心配はないだろう。
それに、ハンターに再び会ってみたい、という欲求もあった。
「人形を貸してやる。ヴァレリオよ、存分に暴れてこい」
●村へ
「村はこっちだ! 急いでくれ」
ハンターたちを馬に乗せ――そして自身も馬を駆りながら、農道を進む男がいた。
フリッツだ。
フリッツは事件のあと、嫉妬の歪虚ナハトを探して、各地を回っていた。
そして最近、覚醒者が殺される事件が再び発生しているということで、村の周辺に駐留していたのだった。
今回も、賊が現れたという村からの助けをいち早く受け取り、ハンターに依頼を呼びかけたのはフリッツだった。
問題の村へ急ぎながら、フリッツはハンターたちへ振り向く。
「賊が出た、という事件に、わざわざ君たちを呼んだのは理由があるんだ」
前方に見えてくる村の姿を見ながら、続ける。
「賊、というのがどうやら、ただの人間じゃないらしい。応戦してるハンターがいるんだが、彼が言うには、間違いなく『歪虚』だという」
ハンターであれば、歪虚が目の前に迫れば、その禍々しい空気でわかる。その賊、というのが、そうである、とフリッツは言っているらしい。
「歪虚には、元が人間の者もいるらしいが……そうであっても、いや、だからこそ、敵は歪虚そのものだ。迷っている暇はないだろう」
そうして、ハンターたちとフリッツは、村へ到着した。
多くの村人は逃げているようだが――村の道や農地、軒先にも……無造作にうち捨てられている死体が、既にあった。
そして、被害者達の血が点々と、敵の居場所を道しるべのように示していた。
それは、村の教会だった。
ばぁん、とフリッツが入口を蹴り開けると、そこにいた。
血に塗れた剣を持つ、山賊風の男が。
たった今まで応戦していたらしい若いハンターは、そのすぐ横で息絶えていた。
「あぁん? ああ……来たか。なるほど、確かにその辺のやつよりかは、全然強そうだな」
ハンターたちの姿をみとめると、彼は笑った。
「じゃぁ、そういうことで、楽しませてくれよな」
設備が大破し、床に血液が舞う教会で……彼は剣を構える。
彼のそばと、そしてもう一つの出口の向こうには……嫉妬の人形が複数体。
そして、割れたステンドグラスの、その先に見える森に紛れて――木立の高い位置に。
マントを被った、黒い影が見えていた。
ナハトはそこから、教会内を見下ろしていた。
くつくつと笑いながら。
「強力なハンターどもを追い詰め……そしてお前自身も果てるがいい。それで少しは、楽しめる」
玩具は脆い方が面白い。激しく弄くって壊れるときは、もっと。
「さあ、殺し合え」
解説
●目的
堕落者ヴァレリオの打倒。
●このシナリオについて
『【讐刃】憎悪の剣』から繋がっている形となります。
●状況
堕落者ヴァレリオが、農村を襲撃している。
ハンターたちは教会にてヴァレリオと遭遇、打倒を目指す。
●場所
農村とその教会。
・教会
かなり広い。設備は派手に破壊されており、主に左右にがれきの山となって積まれている。
敵影以外に生きた者はいない。だが、教会なのでどこかに地下室があり、その中に人が残っている可能性はある。
出入口は南側(ハンターの初期位置)と、北東の側の端。
ステンドグラスは北側中央。
教会の北はすぐ森になっている。
南側に村が広がり、左右は野原。
村にはまだ逃げ切れていない村人がいる。
●敵
・ヴァレリオ
山賊風の男。歪虚。
剣を装備しているが、目撃証言では雷撃のような遠距離攻撃も使うらしい。
・人形歪虚×5
3体が北東側出口の向こうに見える状態で、2体がヴァレリオの脇に控えている。
全員銃装備。
●ナハトについて
場を観察。
同時に、逃げの態勢は整えているようである。
●フリッツについて
戦闘に参加。ただしナハトを見て激昂している。
剣装備。
堕落者ヴァレリオの打倒。
●このシナリオについて
『【讐刃】憎悪の剣』から繋がっている形となります。
●状況
堕落者ヴァレリオが、農村を襲撃している。
ハンターたちは教会にてヴァレリオと遭遇、打倒を目指す。
●場所
農村とその教会。
・教会
かなり広い。設備は派手に破壊されており、主に左右にがれきの山となって積まれている。
敵影以外に生きた者はいない。だが、教会なのでどこかに地下室があり、その中に人が残っている可能性はある。
出入口は南側(ハンターの初期位置)と、北東の側の端。
ステンドグラスは北側中央。
教会の北はすぐ森になっている。
南側に村が広がり、左右は野原。
村にはまだ逃げ切れていない村人がいる。
●敵
・ヴァレリオ
山賊風の男。歪虚。
剣を装備しているが、目撃証言では雷撃のような遠距離攻撃も使うらしい。
・人形歪虚×5
3体が北東側出口の向こうに見える状態で、2体がヴァレリオの脇に控えている。
全員銃装備。
●ナハトについて
場を観察。
同時に、逃げの態勢は整えているようである。
●フリッツについて
戦闘に参加。ただしナハトを見て激昂している。
剣装備。
マスターより
教会内部での戦いがメインになりますが、外の敵も注意しておくといいかと思います。
ヴァレリオについては殺す以外の方法はないと思ってください。
PL情報になりますが、ナハトは不用意に攻撃すると、身の安全を重視してすぐに逃げます。
ある程度ナハトの意を汲んで行動してからであれば、戦闘力などの情報収集も可能になるでしょう。
ヴァレリオについては殺す以外の方法はないと思ってください。
PL情報になりますが、ナハトは不用意に攻撃すると、身の安全を重視してすぐに逃げます。
ある程度ナハトの意を汲んで行動してからであれば、戦闘力などの情報収集も可能になるでしょう。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/15 00:31
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/06 00:20:51 |
|
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相談卓 高円寺 義経(ka4362) 人間(リアルブルー)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/07/08 20:18:23 |