ゲスト
(ka0000)
愛の花
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/07/13 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/07/22 07:30
オープニング
●結婚させてください!
「貴様のような軟弱者に、大事な娘はやれん!」
重低音のきいた怒声に、二十代半ばの青年スミスは追い出された。いわゆる門前払いだ。
家に入れるのさえ拒んだのは、五十代後半の男。痩せ形のスミスとは対照的に、工夫顔負けの屈強さを誇る。
農作業によって鍛えられた筋肉は、スミスにないものだった。
村のパン屋の店内で販売を担当しているスミスは、見た目と職種だけで恋人の父親ロドルに軟弱者扱いされてしまった。
結婚の許しを求めにきたスミスは、簡単に引き下がれない。
「お願いします! 本気なんです。娘さんを……アイラを僕にくださいっ!」
めげずに頼み込むも、やはり頷いてはもらえない。
すると、スミスと恋仲のアイラも、一緒になってロドルへ頭を下げた。
「軟弱者でも構わない。私はスミスを愛しているの。夫婦になってもいいでしょう?」
「……可愛いひとり娘の頼みだ。俺だって叶えてやりたい。だが! 大切に育ててきたからこそ、娘を守れる強い男のもとへ嫁に出したいのだ!」
折れてくれない父親を説き伏せられず、アイラは母親のリーシャをすがるような目で見た。
頼みの母親は、小さく首を左右に振るだけ。夫のロドルと、想いは同じみたいだった。
「二人とも、どうしてわかってくれないの! もういい! 許してもらえないのなら、村を出てでもスミスと一緒になります!」
アイラは叫んだ。本気だった。
親子の縁を切られたとしても、スミスと共に未来を歩みたかった。
「アイラ……気持ちは嬉しいけれど、それだけは駄目だ」
諭すようにスミスは言う。
「君を大切に想う気持ちは、僕もロドルさんも同じだ。だからこそ、僕たちの結婚を祝福してもらいたい」
「で、でも、このままじゃ……」
「大丈夫。要は、僕が軟弱者じゃないと証明できればいいんだ。村の北、高くそびえる山の頂上に咲くという花の話を知っているよね」
この村では、有名な話だ。
かつて、そこで出会った若い男女が恋に落ち、愛を誓い合うと桃色の花が咲き誇った。
嘘か本当かはわからないが、村に古くから伝わっている。住んでいる者なら、誰もが知っている話だった。
その話に登場する花を、いつからか愛の花と呼ぶようになった。
昔は婚姻の際に、新郎側が取りに行ったりもしたらしいが、最近では山に登る者すらいない。
標高はさほどでもないが、頂上付近の傾斜がキツい。愛の花を取ろうとした際に、命を落とした者もいるといわれるほどだ。
危険と隣り合わせなのもあり、愛の花の話を知っていても、誰も取りに行かなくなったのである。
「あの山に登るというの? 危険だわ。山の近くまで行った人が、敵対的亜人らしき影を見たという話もあるのよ!」
「わかってる。だからこそ、愛の花を取ってくれば、僕が軟弱者じゃないという証明になる」
ゆったりとした口調でアイラに告げたあと、スミスはロドルの目を真っ直ぐに見た。
「僕が愛の花を取ってきたら、アイラとの結婚を認めてください」
やや悩むそぶりを見せてから、ロドルは頷いた。
「いいだろう。花を取ってくれば、お前を強い男と認める。喜んで、娘を嫁にやろう」
「ありがとうございます!」
話はまとまった。
その日のうちにスミスはアイラと一緒に、唯一山の頂上までを知る村長に話を聞きに行った。
地図を貰い、注意事項を聞いた。
余計に怖くなったアイラと対照的に、スミスの顔はやる気に満ち溢れていた。
こうしてスミスは、愛の花を取りに出発する。
●アイラの不安
ひとり残されたアイラ。スミズの無事を祈るが、不安で仕方ない。
山頂までは五時間ほどかかり、傾斜がキツい。鍛えているハンターならともかく、一般人には危険な場所だ。
頂上に近づくほど岩が多くなり、気温も下がる。凍えて死ぬほどではないが、薄着をしていたら風邪をひきかねない。
そのあたりの情報はスミスも一緒に村長から聞いたので、十分に服を着込んでいった。
寒さ対策は問題ないが、装備を多くすれば、その分だけ動きが鈍くなる。
不確定情報ではあるが、山を見上げた人が敵対的亜人らしき影を見たというのも気になる。
最近の話だ。目撃した人はコボルドが山に住み着いたかもしれないと言っていた。しかも、影は複数だったらしい。
アイラ自身が肉眼で確認したわけではないので、信憑性については不明だが、不安材料に変わりはない。
山の中で桃色の花を咲かせるのは愛の花ひとつだけ。どれを取ればいいか、迷ったりはしないはずだ。
山登りの装備を持っていったので、気をつけてさえいれば、花を取る際に山頂から転落する心配もないだろう。
天候については、北の山は安定してるのでさほど気にしなくてもいい。
問題はやはり、傾斜と複数の敵対的亜人らしき影だ。
普段なら逃げ切れるかもしれないが、動きの鈍ったスミスが襲われたりすれば、ひとたまりもない。
どんどん不安が大きくなり、泣きたいほど心配になる。
そこでアイラは、スミスに内緒でハンターへ依頼を出す。
できれば同行して守ってあげてほしいが、意外と頑固なスミスは果たして了承してくれるだろうか。
脇目も振らずに突っ走るタイプだけに、愛の花を見つけるのに集中して、敵対的亜人への対処が疎かになるかもしれない。
愛の花を手に入れたら嬉しさのあまり、慎重さを欠けさせて、斜面のキツい山を駆け下りようとしかねない。
愛の花が取れなかったとしても、スミスが無事ならそれでいい。
アイラは、何度も頭を下げてお願いする。
どうか、スミスを助けてくださいと。
「貴様のような軟弱者に、大事な娘はやれん!」
重低音のきいた怒声に、二十代半ばの青年スミスは追い出された。いわゆる門前払いだ。
家に入れるのさえ拒んだのは、五十代後半の男。痩せ形のスミスとは対照的に、工夫顔負けの屈強さを誇る。
農作業によって鍛えられた筋肉は、スミスにないものだった。
村のパン屋の店内で販売を担当しているスミスは、見た目と職種だけで恋人の父親ロドルに軟弱者扱いされてしまった。
結婚の許しを求めにきたスミスは、簡単に引き下がれない。
「お願いします! 本気なんです。娘さんを……アイラを僕にくださいっ!」
めげずに頼み込むも、やはり頷いてはもらえない。
すると、スミスと恋仲のアイラも、一緒になってロドルへ頭を下げた。
「軟弱者でも構わない。私はスミスを愛しているの。夫婦になってもいいでしょう?」
「……可愛いひとり娘の頼みだ。俺だって叶えてやりたい。だが! 大切に育ててきたからこそ、娘を守れる強い男のもとへ嫁に出したいのだ!」
折れてくれない父親を説き伏せられず、アイラは母親のリーシャをすがるような目で見た。
頼みの母親は、小さく首を左右に振るだけ。夫のロドルと、想いは同じみたいだった。
「二人とも、どうしてわかってくれないの! もういい! 許してもらえないのなら、村を出てでもスミスと一緒になります!」
アイラは叫んだ。本気だった。
親子の縁を切られたとしても、スミスと共に未来を歩みたかった。
「アイラ……気持ちは嬉しいけれど、それだけは駄目だ」
諭すようにスミスは言う。
「君を大切に想う気持ちは、僕もロドルさんも同じだ。だからこそ、僕たちの結婚を祝福してもらいたい」
「で、でも、このままじゃ……」
「大丈夫。要は、僕が軟弱者じゃないと証明できればいいんだ。村の北、高くそびえる山の頂上に咲くという花の話を知っているよね」
この村では、有名な話だ。
かつて、そこで出会った若い男女が恋に落ち、愛を誓い合うと桃色の花が咲き誇った。
嘘か本当かはわからないが、村に古くから伝わっている。住んでいる者なら、誰もが知っている話だった。
その話に登場する花を、いつからか愛の花と呼ぶようになった。
昔は婚姻の際に、新郎側が取りに行ったりもしたらしいが、最近では山に登る者すらいない。
標高はさほどでもないが、頂上付近の傾斜がキツい。愛の花を取ろうとした際に、命を落とした者もいるといわれるほどだ。
危険と隣り合わせなのもあり、愛の花の話を知っていても、誰も取りに行かなくなったのである。
「あの山に登るというの? 危険だわ。山の近くまで行った人が、敵対的亜人らしき影を見たという話もあるのよ!」
「わかってる。だからこそ、愛の花を取ってくれば、僕が軟弱者じゃないという証明になる」
ゆったりとした口調でアイラに告げたあと、スミスはロドルの目を真っ直ぐに見た。
「僕が愛の花を取ってきたら、アイラとの結婚を認めてください」
やや悩むそぶりを見せてから、ロドルは頷いた。
「いいだろう。花を取ってくれば、お前を強い男と認める。喜んで、娘を嫁にやろう」
「ありがとうございます!」
話はまとまった。
その日のうちにスミスはアイラと一緒に、唯一山の頂上までを知る村長に話を聞きに行った。
地図を貰い、注意事項を聞いた。
余計に怖くなったアイラと対照的に、スミスの顔はやる気に満ち溢れていた。
こうしてスミスは、愛の花を取りに出発する。
●アイラの不安
ひとり残されたアイラ。スミズの無事を祈るが、不安で仕方ない。
山頂までは五時間ほどかかり、傾斜がキツい。鍛えているハンターならともかく、一般人には危険な場所だ。
頂上に近づくほど岩が多くなり、気温も下がる。凍えて死ぬほどではないが、薄着をしていたら風邪をひきかねない。
そのあたりの情報はスミスも一緒に村長から聞いたので、十分に服を着込んでいった。
寒さ対策は問題ないが、装備を多くすれば、その分だけ動きが鈍くなる。
不確定情報ではあるが、山を見上げた人が敵対的亜人らしき影を見たというのも気になる。
最近の話だ。目撃した人はコボルドが山に住み着いたかもしれないと言っていた。しかも、影は複数だったらしい。
アイラ自身が肉眼で確認したわけではないので、信憑性については不明だが、不安材料に変わりはない。
山の中で桃色の花を咲かせるのは愛の花ひとつだけ。どれを取ればいいか、迷ったりはしないはずだ。
山登りの装備を持っていったので、気をつけてさえいれば、花を取る際に山頂から転落する心配もないだろう。
天候については、北の山は安定してるのでさほど気にしなくてもいい。
問題はやはり、傾斜と複数の敵対的亜人らしき影だ。
普段なら逃げ切れるかもしれないが、動きの鈍ったスミスが襲われたりすれば、ひとたまりもない。
どんどん不安が大きくなり、泣きたいほど心配になる。
そこでアイラは、スミスに内緒でハンターへ依頼を出す。
できれば同行して守ってあげてほしいが、意外と頑固なスミスは果たして了承してくれるだろうか。
脇目も振らずに突っ走るタイプだけに、愛の花を見つけるのに集中して、敵対的亜人への対処が疎かになるかもしれない。
愛の花を手に入れたら嬉しさのあまり、慎重さを欠けさせて、斜面のキツい山を駆け下りようとしかねない。
愛の花が取れなかったとしても、スミスが無事ならそれでいい。
アイラは、何度も頭を下げてお願いする。
どうか、スミスを助けてくださいと。
解説
●目的
スミスが愛の花を入手し、無事に村まで持ち帰る。
具体的には同行の説得、敵対的亜人への対処、帰路の安全確保となります。
●説得
スミスは意外と頑固で、他人の力に頼っては、強い男と認めてもらえないと思っています。
思い込んだら一直線タイプですが、現実的な面もあります。なにより、アイラを愛しています。
大切な人の存在を認識させた上で、説得すれば効果的です。
説得に成功で同行。失敗時は、隠れてスミスの動向を見守る形になります。
●敵対的亜人
山頂に存在するのは低レベルのコボルドです。山に住み着いたばかりですが、全部で十匹ほどいます。
山頂には愛の花があるため、スミスは敵対的亜人が迫ってきても、花だけを目指します。
敵対的亜人の殲滅が目的ではなく、あくまでもコボルドからスミスを守るのが第一目的になります。
コボルドは爪で攻撃。能力はさほど高くなく、特別な装備はありません。近距離戦がメインです。増援はありません。
●下山
愛の花を手に入れたスミスは、早くアイラに会いたいと全力で帰ろうとします。
足場の悪い山頂で躓いたり、敵対的亜人が生き残っている場合にはぶつかっていきかねません。
興奮と歓喜の涙で、前すらほとんど見えてない状態です。
落ち着かせてあげるか、起こりうる危険を事前に察知して対処するなど、上手くサポートをしてあげてください。
●現場情報
北の山に具体的な名称はありません。人の手はほとんど入っておらず、整備された登山道はありません。自然の山道を歩く感じです。
標高はおよそ二千メートル。頂上までの途中に、休憩するための小屋などはありません。
山頂付近は岩場も多く、足場はあまりよくありません。つまずかないような注意が必要です。雪はありません。
愛の花は山頂近くにあり、花の背後は崖です。注意してるのでスミスは落ちませんが、周囲への警戒は疎かになります。
スミスが愛の花を入手し、無事に村まで持ち帰る。
具体的には同行の説得、敵対的亜人への対処、帰路の安全確保となります。
●説得
スミスは意外と頑固で、他人の力に頼っては、強い男と認めてもらえないと思っています。
思い込んだら一直線タイプですが、現実的な面もあります。なにより、アイラを愛しています。
大切な人の存在を認識させた上で、説得すれば効果的です。
説得に成功で同行。失敗時は、隠れてスミスの動向を見守る形になります。
●敵対的亜人
山頂に存在するのは低レベルのコボルドです。山に住み着いたばかりですが、全部で十匹ほどいます。
山頂には愛の花があるため、スミスは敵対的亜人が迫ってきても、花だけを目指します。
敵対的亜人の殲滅が目的ではなく、あくまでもコボルドからスミスを守るのが第一目的になります。
コボルドは爪で攻撃。能力はさほど高くなく、特別な装備はありません。近距離戦がメインです。増援はありません。
●下山
愛の花を手に入れたスミスは、早くアイラに会いたいと全力で帰ろうとします。
足場の悪い山頂で躓いたり、敵対的亜人が生き残っている場合にはぶつかっていきかねません。
興奮と歓喜の涙で、前すらほとんど見えてない状態です。
落ち着かせてあげるか、起こりうる危険を事前に察知して対処するなど、上手くサポートをしてあげてください。
●現場情報
北の山に具体的な名称はありません。人の手はほとんど入っておらず、整備された登山道はありません。自然の山道を歩く感じです。
標高はおよそ二千メートル。頂上までの途中に、休憩するための小屋などはありません。
山頂付近は岩場も多く、足場はあまりよくありません。つまずかないような注意が必要です。雪はありません。
愛の花は山頂近くにあり、花の背後は崖です。注意してるのでスミスは落ちませんが、周囲への警戒は疎かになります。
マスターより
お世話になっております、鳴海惣流です。
今回は恋人の父親に、結婚を認めてもらいたい青年のお話となります。
コボルドへの対応が大成功の鍵となります。
どうか、スミスとアイラが無事に結婚できるように手助けをしてあげてください。
今回は恋人の父親に、結婚を認めてもらいたい青年のお話となります。
コボルドへの対応が大成功の鍵となります。
どうか、スミスとアイラが無事に結婚できるように手助けをしてあげてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/15 22:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/12 02:07:49 |
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【相談卓】お二人のために 華彩 理子(ka5123) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/07/13 06:23:12 |