• 戦闘

TRIGGER HAPPY

マスター:楠々蛙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2015/07/12 19:00
リプレイ完成予定
2015/07/21 19:00

オープニング

「煙草吸いて」
 荒野を行く荷馬車の屋根に寝転がりながら、呟く男が一人。黒髪黒瞳、二十歳そこそこの若い男だ。
「……」
 御者台で馬車を引く二頭の馬の手綱を握る男が沈黙を返す。こちらは金髪碧眼。年の頃は同じ程。
「煙草」
「うるっせえぞ、キャロル。俺だって吸いたいさ。けどとうに切れちまったよ、同じ事何度も言わせんな余計苛々する」
「何でもっと買い溜めしとかなかったんだ」
 寝転がりながら、黒髪男──キャロルが更に粒やく。
「聞こえなかったか? もう何億回も答えたが、金がないからだよ、金が! 食糧と水の分の金、そしてこの間の馬車の修理費、それで御破産だ。」
「食い物なら、そこに縄で縛ってあるのが居るじゃねえか、二頭も。やったなバリー、食い切れない肉と皮は次の街で売っちまおう」
「なら、手前がこの車を引っ張ってくれんだな? この馬鹿が、今すぐスレイプニルとブケパロスに謝りやがれ」
 金髪男──バリーが、馬車を引っ張る白馬と黒馬を指差した。
「はん、大層な名前付けやがって。八本足でもなけりゃ、両方とも雄じゃねえか」
「あの、すいませ」
「良いんだよ、こういうのは験さえ担げりゃ」
「ちょっと待」
「何が験だよ。軍馬なんぞから名前を取るから、馬車が壊れる様な戦いに巻き込まれん」
「ちょっと待ってっって、言ってるでしょ!」
 口喧嘩をしていた彼ら──道を行く馬車の前に、突然人影が躍り出る。
「危ねっ!」
「どぅわ?!」
 バリーが手綱を引いて馬車を急停止させ、その為に屋根の上のキャロルが、御者台へ尻から滑り落ちる。
「何なんだよ、畜生が」
 バリーの隣で尻を打ち付けたキャロルが、悪態を吐きながら前を見る。そこには、
「お願い、助けて」
 赤毛の少女。ようやく十を過ぎた頃だろうか。
「人が尻痛めてんのに、第一声がSOSか?」
「そ、それは仕方ないじゃない。幾ら声を掛けても気付かないし、大体屋根の上で寝転がったりしてる方が悪いのよ」
「誰も寝てなんかいねえ。俺は屋根の上から見張りを」
「見張りが役立たずだったから、私に気付けなかったんじゃない」
「な、何だとこの」
「キャロル、お前ちょっと黙ってろよ」
 言い返そうとしたキャロルをバリーが遮る。
「お嬢さん、助けるにも事情を聞かなきゃ何ともならん。まずは、話を聞かせてくれ」
「そ、そうね、ごめんなさい。えっとまず自己紹介からよね。私は、ラウラ=フアネーレ」
「ご丁寧にどうも、俺はバリー=ランズダウンだ。で、こっちの短気が」
「……キャロル=クルックシャンクだ」
 不機嫌さを隠さずに、キャロルが二人に続づいて名を告げる。
「で、用件は?」
 バリーの催促を受けて、少女──ラウラが説明を始めた。
「まず順を追って話すわね。実は私はこの土地の人間じゃなくて、遠くにある村に住んでたの。けどある日森の中で花を摘んでたら、人攫いに捕まっちゃった」
「そいつは難儀だったな。で、連中には引っ掛けてやったのか?」
「どういう意味? ……っ!」
 キャロルの言葉の意味がわからず、しばし首を傾げていたラウラが意味を悟り赤面する。
「ち、違うわ、本当に花を摘んでいたの! 私は薬師だから、その為の花よ! さ、最低だわ。あなた、女の子に対する口の利き方も知らないの?」
「ちょっとした冗句だろ?」
「キャロル、今のは俺もどうかと思う」
「さいで」
「悪いな、ミス・ラウラ。話を続けてくれ」
 相方の失言を詫びるバリーに、鼻を鳴らしてからラウラは説明を続ける。
「別にラウラで良いわ。それで、私はついさっきまでこの近くの、人攫い共が根城にしている洞窟に囚われていたんだけど」
「逃げ出して来たってわけだ」
「そういう事」
 バリーの言葉に、ラウラが頷く。
「よっぽど間の抜けた連中らしい」
 キャロルがまた口を挟む。
「引っ掛かる言い方ね。私が逃げ出せたのは、牢屋に抜け穴があったからよ。私くらいの背丈でやっと通れるくらい小さい穴だったから、見落としたのね」
「何にしても間抜けだ」
「そうね、それは否定しないわ。でも、彼らがもう少し利口だったら、私は逃げられなかったから良いじゃない。まあ、本当に利口だったら、悪い事もしないでしょうけど」
「そりゃそうだ。でも、もう連中とはおさらばした身で、何を助けてくれって? ああ、近場の街に送って欲しいのか?」
 バリーの問いに、ラウラは首を横に振って返答する。
「違う、まだ囚われている人達を助けて欲しいの。私よりも年は上だけど、皆まだ子供なのよ。あなた達ハンターでしょ。なら助けてよ」
「どうして、俺達がハンターだと?」
「馬車の横に書いてあるじゃない」
 言われてバリーは思い出す。『我らハンター、依頼求む』と先の修理の際に、ついでに宣伝を書いたのだった。
「それに、その銃。戦えるんでしょ?」
 ラウラが、キャロルの腰に提げられてあるリボルバーと、バリーの隣に掛けてあるライフルを指差した。
「まあ、それなりにな。相手次第さ」
「人攫い共は、二十人くらい居たわ。ほとんどが、あなた達と同じリアルブルー製の銃を持ってた。けど、二人だけ魔導銃を使ってるの」
「成程ね。となると、そいつら覚醒者の可能性ありだな」
「ああ、でないと、わざわざ規格が違う武器を持つ理由がない」
 キャロルの推測に、バリーが同意を示す。
「となると二人の覚醒者と二十近いガンマン共を相手取らなきゃならんぜ。俺達二人じゃ、間に合わない」
「じゃあ、さっき擦れ違ったハンター集団にも声掛けりゃ良いんじゃねえの?」
「まあ、それしかないな。だが、そうなると問題がある。ラウラ、金は幾ら持ってんだ?」
 バリーの問いに、ラウラは躊躇いがちに答える。
「お金は持っていないんだけど、その、これで代わりになる?」
 彼女が服の下から取り出し、手渡して来たのは、
「指輪か?」
 鎖に取り付けられた二つの指輪。
「中々の値打ちものだな、これは。だが、一体何でこんなものを?」
「父さんと母さんから貰ったものよ。二人の結婚指輪」
「は? なんだって、んなもんを……」
「二人が私に残してくれたの。必要な時に使いなさいって。使うべきは、きっと今なのよ。きっと、二人とも許してくれるわ、何たって、私の父さんと母さんなんだから」
 ラウラが浮かべた笑みを見て、バリーとキャロルが顔を見合わせる。すぐに、二人はラウラの方に向き直ると、
「OK、商談成立であります、ボス」
「何なりとご命令を、ボス」
 敬礼の真似事をしてみせる。
「うむ、良きにはからえ。」
 ラウラは即興の冗句に付き合い、存在しない髭をいじって応じる。
「ふふ、それじゃあ私を乗せて頂戴。ガンマンさん達」
 一転して少女の顔に戻ったラウラは、二人に手を伸ばした。

「あん? 商品が一つなくなった?」
「へえ、どうやらその様で」
 BAAAANG
「へえ、じゃねえんだよ。おい、草の根わけてでも探せ。アジトの場所が漏れれば、俺ら全員が、この馬鹿と同じ様になっちまうぞ」

解説

目標
囚われた子供の救出(9人)


フィールド
洞窟。
出入り口には、二人の見張り。付近は吹きさらしで、身を潜めながら近づく事は不可能。ラウラが使用した抜け穴は牢屋に通じており、身長145センチ以下の者しか通れない。他の侵入手段はなし
牢屋は戦闘場所とは隔絶されているので、救出対象が巻き込まれる事はない
内部には、木箱(破壊可能)や石柱などの障害物多数
尚、倒壊の怖れあり。倒壊の前兆から完全倒壊までは猶予がある


敵情報
敵方は基本的に遮蔽物の陰に隠れて、時折身を乗り出して射撃してきます
素人ガンマン×17
・武装……リボルバー、もしくは猟銃
・備考
非覚醒者。銃撃戦に不慣れ。

猟撃士Lv19
・武装……魔導拳銃

機導師Lv16
・武装……魔導銃
盾役の可能性も


味方情報
キャロル=クルックシャンク 青
・猟撃士Lv20
・武装……シングルアクションリボルバー(基本性能はリボルバーと同等、だがリロードの値が高く、リロードに1ラウンドを要する)主、副に1丁ずつ
・アクションスキル
ダブルシューティング
制圧射撃
跳弾
・一般スキル
騎乗(初級)
立体感覚
手品(初級)
・備考
前に出て、とにかく撃つ。
拳銃を2丁装備しているのは、リロードの手間を省く為。両手利き。瞬発、器用特化ステータス

バリー=ランズダウン 青
・猟撃士Lv20
・武装……両手レバーアクションライフル(基本性能は猟銃と同等)、副リボルバー
・アクションスキル
牽制射撃
威嚇射撃
ターゲッティング
・一般スキル
騎乗(初級)
目利き(初級)
交渉術(初級)
・備考
味方のフォローを念頭に置く

ラウラ=フネアーレ 紅
非戦闘員
・備考
牢屋に潜入し、救出対象を先導する

馬車
箱型の四輪馬車。大人八人まで収容可能。側面には乗り出して射撃する為の窓、後方に乗降り用の扉、前にも扉があり御者台との行き来が可能。側面に鉄板が打ち付けてある

救出対象
ラウラより囚われた期間が長く、衰弱気味。歩けるが、単独で機敏な動きは不可能

マスターより

西部劇風のシナリオです。敵も味方も撃って撃たれてのトリガーハッピー。
勿論、剣と魔法で参戦されてもノープロブレム。
人攫い共はラウラの脱走に気付き、アジトの場所を知るラウラを手元に置く為に躍起になっているでしょうから、そこを旨く利用すれば……。
洞窟までは自前の足を利用されても構いませんが、二人の馬車に固まった方が見張りの警戒度が緩むでしょう。
尚、解説では倒壊の恐れありとありますが、最終的にはほぼ間違いなく倒壊します。その際の行動も念頭に置いて頂ければ幸いです。
二人の銃は、西部劇を代表する銃器です。キャロルの拳銃のリロードの値が高いのは、リロードに手間が掛かる事で有名なリボルバーだからです。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/07/20 10:34

参加者一覧

  • いつか、本当の親子に。
    ライナス・ブラッドリー(ka0360
    人間(蒼)|37才|男性|猟撃士
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • HappyTerror
    リオン(ka1757
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • 竜潰
    ルナリリル・フェルフューズ(ka4108
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 淑やかなる令嬢
    ユリシウス(ka5002
    人間(紅)|18才|女性|猟撃士
  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/07/07 01:29:00
アイコン 相談卓
カッツ・ランツクネヒト(ka5177
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/07/12 19:17:25