ゲスト
(ka0000)
【燭光】悪意の産物
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/07/15 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/24 19:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
●
深い森の奥。鬱蒼とひしめき合う木々。木の枝で乱雑に組まれた小屋とも言い辛いあばら屋は、元々はゴブリンか何かの住処だったのだろうか。
その小屋の入り口付近に立たされた男は、何故自分はこんなところにいるのだろうかと思う。かつての帝国を取り戻す、その理想に向けて人生を捧げた終着点が、こんな場所なのだろうか。
鼻に感じるのは、圧倒的な腐臭。草木の香りなど容易く打ち消す濃密に過ぎる死の臭いは、まるで巨大な生物の死骸に飲み込まれてしまったかのようだ。今にも目の前が真っ赤に染まり、足下がぐずぐずに崩れていってしまう錯覚を覚える。
辺りを見渡すことは出来なかった。見たくない光景が広がっているだろうから……という思いもあるが何よりも、視界の真ん中に途轍もない印象で居座るものから、目を離すことが出来なかったからだ。
――白色の浴槽で優雅に湯を浴びる、金糸のような髪を揺らす一人の女。
粗末な小屋の中で素通りする風と陽光を受けるその白磁の肌は、ともすれば自ら光を放っているかのように幻想的で、
「何、ちょっと誘拐されたくらいでそんなビビってんの? ブルドッグみたいな顔してるくせに超震えててウケんだけど。きゃはははっ!」
その実、莫大な邪悪を孕んでいることが一目で見て取れた。
紅の引かれた唇が紡ぐのは、極めて軽薄で甘ったるい耳障りな笑い声。併せて切れ長の眼窩の奥で蠢く赤い瞳が、血に飢えた蛇のように男の心臓に絡みつく。
呼吸は知らず浅くなり、全身を苛む強烈な重圧に男は視線一つ動かせない。
「そんな固くなんなくていいっての。別に痛い事なんて何もしないんだから」
そもそもあんたなんかに興味ねえし、と女は吐き捨て、詰まらなそうにちゃぷちゃぷと湯を弄ぶ。――その湯の色が濁った赤で、浴槽の上に二つの人間のようなものが吊り下げられていることなど、最早どうでもいいことだった。
「ワルだかヴァルだか知んないけどさー、頼まれちゃったらやんないとだしぃ。まあ、ちょい面白そうだなーとは思ってんだけどねぇ」
「……なんで、俺を」
渾身の力で、男はか細い声を絞り出す。
「くふっ、聞きたいのぉ?」
女の唇が歪み、そこに悪戯な笑みが生まれる。一輪の可憐な毒花が咲くように。
「いいこと、してあげようと思ってね」
そして、男はその表情から、ますます視線が逸らせなくなっていく。
いや、逸らしてはいけないという脅迫感、と言った方が正しいかもしれない。
逸らしたいという思いが欠片もない、というのも当て嵌まる。
しかしそれは、逸らしたくない、という思いも含んでいるようで。
――女の瞳が、陽光の中でも仄赤く怪しげな輝きを増したことに、男は最期まで気がつかなかった。
●
「仕立屋ちゃーん、どんな感じ?」
「ハイ、ジュンチョウデス。アトニジカン、トイッタ、トコロデショウカ」
小屋の中から届いたエリザベートの声に、色あせた巨大なデッサン人形――仕立屋が抑揚の欠けた声で応えた。そのつるりとした手はちくちくと、その間にも絶え間なく針と糸を操っている。
素材と素材を縫い合わせ、一つの作品に変えていくこの瞬間が、仕立屋は好きだった。しかも、今回は過去に見ない量の、腐るほどの素材が集められている。
楽しい。楽しい。楽しい。
針を一つ通すごとに、仕立屋の心は躍る。
●
内部に充満した有毒ガスが、巨大な肉の塊に浮力を与える。重力を断ち切るには足りなかったが、それでも、ずりずりと無作為に残った腕で地面を掻きむしるように進むことを可能にさせた。
辺りに撒き散らされる悲鳴のような音は、押し出されたガスがいくつもの気管を通って噴き出す音だ。それの表面を覆う、無数の腐り崩れた人の顔。だらりと舌を垂らす無数の口元から、絶望と怨嗟の声は絶えず吐き出されている。
数十ものゾンビを繋ぎ作られた楕円の怪物――それは、地獄から這い出てきたようだと言っても全く過言ではない風貌で。
『我らの悲願を、叶えるためにぃ』
悲鳴と同時に、言葉が聞こえた。
『かつての帝国をぉっ、取り戻すためにぃっ!』
ブルーネンフーフの包囲へと向かう帝国兵の列に向けて、森の中から木々の合間を縫って怪物が悲鳴を伴い襲いかかる。数人の兵が為す術もなくその下敷きとなり、至近距離で吹き付ける毒に侵され瞬く間に肌がどす黒く変色していく。そして次の瞬間には、無数の腕に掴まれ、無数の口に噛みつかれて肉片と化した。
「な、なんだこいつは!」
『ぐ、ふふふ、素晴らしいぃだろう! これならば、皇帝などと騙る小娘も恐るるに足らぁず!』
声は内側から、表面の口を通して叫ぶ。
『全ては、我らヴァルツァライヒと――エリザベート様の望みのままにぃっ!』
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
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深い森の奥。鬱蒼とひしめき合う木々。木の枝で乱雑に組まれた小屋とも言い辛いあばら屋は、元々はゴブリンか何かの住処だったのだろうか。
その小屋の入り口付近に立たされた男は、何故自分はこんなところにいるのだろうかと思う。かつての帝国を取り戻す、その理想に向けて人生を捧げた終着点が、こんな場所なのだろうか。
鼻に感じるのは、圧倒的な腐臭。草木の香りなど容易く打ち消す濃密に過ぎる死の臭いは、まるで巨大な生物の死骸に飲み込まれてしまったかのようだ。今にも目の前が真っ赤に染まり、足下がぐずぐずに崩れていってしまう錯覚を覚える。
辺りを見渡すことは出来なかった。見たくない光景が広がっているだろうから……という思いもあるが何よりも、視界の真ん中に途轍もない印象で居座るものから、目を離すことが出来なかったからだ。
――白色の浴槽で優雅に湯を浴びる、金糸のような髪を揺らす一人の女。
粗末な小屋の中で素通りする風と陽光を受けるその白磁の肌は、ともすれば自ら光を放っているかのように幻想的で、
「何、ちょっと誘拐されたくらいでそんなビビってんの? ブルドッグみたいな顔してるくせに超震えててウケんだけど。きゃはははっ!」
その実、莫大な邪悪を孕んでいることが一目で見て取れた。
紅の引かれた唇が紡ぐのは、極めて軽薄で甘ったるい耳障りな笑い声。併せて切れ長の眼窩の奥で蠢く赤い瞳が、血に飢えた蛇のように男の心臓に絡みつく。
呼吸は知らず浅くなり、全身を苛む強烈な重圧に男は視線一つ動かせない。
「そんな固くなんなくていいっての。別に痛い事なんて何もしないんだから」
そもそもあんたなんかに興味ねえし、と女は吐き捨て、詰まらなそうにちゃぷちゃぷと湯を弄ぶ。――その湯の色が濁った赤で、浴槽の上に二つの人間のようなものが吊り下げられていることなど、最早どうでもいいことだった。
「ワルだかヴァルだか知んないけどさー、頼まれちゃったらやんないとだしぃ。まあ、ちょい面白そうだなーとは思ってんだけどねぇ」
「……なんで、俺を」
渾身の力で、男はか細い声を絞り出す。
「くふっ、聞きたいのぉ?」
女の唇が歪み、そこに悪戯な笑みが生まれる。一輪の可憐な毒花が咲くように。
「いいこと、してあげようと思ってね」
そして、男はその表情から、ますます視線が逸らせなくなっていく。
いや、逸らしてはいけないという脅迫感、と言った方が正しいかもしれない。
逸らしたいという思いが欠片もない、というのも当て嵌まる。
しかしそれは、逸らしたくない、という思いも含んでいるようで。
――女の瞳が、陽光の中でも仄赤く怪しげな輝きを増したことに、男は最期まで気がつかなかった。
●
「仕立屋ちゃーん、どんな感じ?」
「ハイ、ジュンチョウデス。アトニジカン、トイッタ、トコロデショウカ」
小屋の中から届いたエリザベートの声に、色あせた巨大なデッサン人形――仕立屋が抑揚の欠けた声で応えた。そのつるりとした手はちくちくと、その間にも絶え間なく針と糸を操っている。
素材と素材を縫い合わせ、一つの作品に変えていくこの瞬間が、仕立屋は好きだった。しかも、今回は過去に見ない量の、腐るほどの素材が集められている。
楽しい。楽しい。楽しい。
針を一つ通すごとに、仕立屋の心は躍る。
●
内部に充満した有毒ガスが、巨大な肉の塊に浮力を与える。重力を断ち切るには足りなかったが、それでも、ずりずりと無作為に残った腕で地面を掻きむしるように進むことを可能にさせた。
辺りに撒き散らされる悲鳴のような音は、押し出されたガスがいくつもの気管を通って噴き出す音だ。それの表面を覆う、無数の腐り崩れた人の顔。だらりと舌を垂らす無数の口元から、絶望と怨嗟の声は絶えず吐き出されている。
数十ものゾンビを繋ぎ作られた楕円の怪物――それは、地獄から這い出てきたようだと言っても全く過言ではない風貌で。
『我らの悲願を、叶えるためにぃ』
悲鳴と同時に、言葉が聞こえた。
『かつての帝国をぉっ、取り戻すためにぃっ!』
ブルーネンフーフの包囲へと向かう帝国兵の列に向けて、森の中から木々の合間を縫って怪物が悲鳴を伴い襲いかかる。数人の兵が為す術もなくその下敷きとなり、至近距離で吹き付ける毒に侵され瞬く間に肌がどす黒く変色していく。そして次の瞬間には、無数の腕に掴まれ、無数の口に噛みつかれて肉片と化した。
「な、なんだこいつは!」
『ぐ、ふふふ、素晴らしいぃだろう! これならば、皇帝などと騙る小娘も恐るるに足らぁず!』
声は内側から、表面の口を通して叫ぶ。
『全ては、我らヴァルツァライヒと――エリザベート様の望みのままにぃっ!』
解説
・概要
突如現れた巨大なゾンビを討伐し、ヴァルツァライヒに占拠された基地、ブルーネンフーフまでの道のりを確保せよ。
・敵
風船型ゾンビ「バルーン」――人型から獣型まで、様々なゾンビを無数に縫い合わせた姿を持つサイズ4の巨大な歪虚。表面に点在するゾンビの頭部から、霧状の毒を絶えず吐き出している。毒素は非常に強力で、この場で討伐しなければ辺り一帯が広く汚染されてしまうでしょう。
内部までゾンビが詰まっているとすれば移動など難しいと考えられるため、外側のゾンビは袋状で、内部のガスにより浮力を得て自重を支えていると思われます。ただしその場合、何かしらガスの発生源が内側に存在すると思われます。
・場所
森を迂回しブルーネンフーフへと続く、整備の足りない土道です。片側に森、反対側に荒野が広がっています。
・味方
帝国兵10人。全員が平均的な能力を持っています。ご自由にお使いください。
突如現れた巨大なゾンビを討伐し、ヴァルツァライヒに占拠された基地、ブルーネンフーフまでの道のりを確保せよ。
・敵
風船型ゾンビ「バルーン」――人型から獣型まで、様々なゾンビを無数に縫い合わせた姿を持つサイズ4の巨大な歪虚。表面に点在するゾンビの頭部から、霧状の毒を絶えず吐き出している。毒素は非常に強力で、この場で討伐しなければ辺り一帯が広く汚染されてしまうでしょう。
内部までゾンビが詰まっているとすれば移動など難しいと考えられるため、外側のゾンビは袋状で、内部のガスにより浮力を得て自重を支えていると思われます。ただしその場合、何かしらガスの発生源が内側に存在すると思われます。
・場所
森を迂回しブルーネンフーフへと続く、整備の足りない土道です。片側に森、反対側に荒野が広がっています。
・味方
帝国兵10人。全員が平均的な能力を持っています。ご自由にお使いください。
マスターより
連動の末端に乗っからせて頂きましたT谷です。
政治色の強い連動ですが、こちらは複雑なこともない戦闘物となっております。お気軽にどうぞ。
政治色の強い連動ですが、こちらは複雑なこともない戦闘物となっております。お気軽にどうぞ。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/23 19:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/14 10:34:59 |
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作品を壊しに サナトス=トート(ka4063) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/07/15 02:36:43 |