ゲスト
(ka0000)
活字とインクのにおい
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/07/20 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/29 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
グラズヘイム王国の第六街区。
うらぶれた共同住宅の一室に一人の自称物書きが住んでいた。二十五歳の男性、名をユマーリという。
「ここもだめか」
自作小説の紙束を抱えて方々の版元を巡ってみたもののすべて断られる。大方の感想は今時こんな古くさい友情物語など誰も読みはしないといったものだ。
ため息をついて財布の中身を確かめる。残っていたのは硬貨数枚だけ。その晩は投げ売りになっていた堅いパンで空腹を凌いだ。
ベットに横たわりながら窓からぼんやりと夜空の月を眺める。生きていくためにはとにかく金を稼がなくてはならなかった。
調理の腕にはそれなりに覚えがある。翌日、街角で見かけた貼り紙を頼りに酒場を訪ねてみると雇ってもらえた。
「面白いわ、この物語。トーランアの邂逅」
「そ、そうかい?」
数日後、物語が好きとだといっていた同僚の女性ララに小説を呼んでもらう。社交辞令かも知れないが誉められたことにユマーリは喜んだ。
「いくつも版元を回ってみたんだけど芳しくなくてね」
「勿体ないわね」
ある日、ララが興味深い話を持ってきてくれる。休日に二人で向かった先は埃と蜘蛛の巣ばかりの倉庫のような場所だった。
「本当に使って構わないのかい?」
「持ち主の許可はとっているから大丈夫。でもインクや紙の在庫はないから何とかしないといけないわね。裁断機の刃も研がないとまずいっていってたかな」
そこは数年前まで印刷所だった。棚に並んでいたたくさんの金属製の小さな棒は活字である。活版の印刷機も大丈夫そうだ。
それからのユマーリは酒場の仕事を頑張ってインクや紙代を稼ぐ。ララもお金を用立てるといってくれたが遠慮する。
休日に二人で活字を拾って版を組んで紙に印刷していった。
活字の数に余裕がないので版をまとめて用意することができない。それでも時間をかければ何とかなる。そう考えて少しずつ作業を進めてきたのだが事態は急変した。
「あと三週間か」
「仕事が終わった後に活字を拾っても……間に合いそうもないわね」
建物の持ち主から急遽買い手が決まったと連絡が届いたのである。
元々が無料で貸してもらっていた。三週間の猶予もかなり譲歩してくれたものだ。これ以上を願うのは我が儘である。
「活字を組むのは根気がいるからね。大変だから誰にでも頼めるものじゃないし、元々友達が少ないし」
「人手を用意するのならいい手があるわ。ハンターのみなさんにお願いするのよ」
ララは自分のお金でハンターズソサエティーに依頼するといいだした。
「しかし……」
「ここまでやったんだから私だって本になったところがみたいわ」
かかった費用は必ず返すとユマーリはララに約束する。ララは困った表情をしながら「うん」と頷いた。
翌日、ララがハンターズソサエティー支部を訪ねる。依頼したハンターがやって来たのはそれから六日後のこと。立ち退きの日まで残り十四日となっていた。
グラズヘイム王国の第六街区。
うらぶれた共同住宅の一室に一人の自称物書きが住んでいた。二十五歳の男性、名をユマーリという。
「ここもだめか」
自作小説の紙束を抱えて方々の版元を巡ってみたもののすべて断られる。大方の感想は今時こんな古くさい友情物語など誰も読みはしないといったものだ。
ため息をついて財布の中身を確かめる。残っていたのは硬貨数枚だけ。その晩は投げ売りになっていた堅いパンで空腹を凌いだ。
ベットに横たわりながら窓からぼんやりと夜空の月を眺める。生きていくためにはとにかく金を稼がなくてはならなかった。
調理の腕にはそれなりに覚えがある。翌日、街角で見かけた貼り紙を頼りに酒場を訪ねてみると雇ってもらえた。
「面白いわ、この物語。トーランアの邂逅」
「そ、そうかい?」
数日後、物語が好きとだといっていた同僚の女性ララに小説を呼んでもらう。社交辞令かも知れないが誉められたことにユマーリは喜んだ。
「いくつも版元を回ってみたんだけど芳しくなくてね」
「勿体ないわね」
ある日、ララが興味深い話を持ってきてくれる。休日に二人で向かった先は埃と蜘蛛の巣ばかりの倉庫のような場所だった。
「本当に使って構わないのかい?」
「持ち主の許可はとっているから大丈夫。でもインクや紙の在庫はないから何とかしないといけないわね。裁断機の刃も研がないとまずいっていってたかな」
そこは数年前まで印刷所だった。棚に並んでいたたくさんの金属製の小さな棒は活字である。活版の印刷機も大丈夫そうだ。
それからのユマーリは酒場の仕事を頑張ってインクや紙代を稼ぐ。ララもお金を用立てるといってくれたが遠慮する。
休日に二人で活字を拾って版を組んで紙に印刷していった。
活字の数に余裕がないので版をまとめて用意することができない。それでも時間をかければ何とかなる。そう考えて少しずつ作業を進めてきたのだが事態は急変した。
「あと三週間か」
「仕事が終わった後に活字を拾っても……間に合いそうもないわね」
建物の持ち主から急遽買い手が決まったと連絡が届いたのである。
元々が無料で貸してもらっていた。三週間の猶予もかなり譲歩してくれたものだ。これ以上を願うのは我が儘である。
「活字を組むのは根気がいるからね。大変だから誰にでも頼めるものじゃないし、元々友達が少ないし」
「人手を用意するのならいい手があるわ。ハンターのみなさんにお願いするのよ」
ララは自分のお金でハンターズソサエティーに依頼するといいだした。
「しかし……」
「ここまでやったんだから私だって本になったところがみたいわ」
かかった費用は必ず返すとユマーリはララに約束する。ララは困った表情をしながら「うん」と頷いた。
翌日、ララがハンターズソサエティー支部を訪ねる。依頼したハンターがやって来たのはそれから六日後のこと。立ち退きの日まで残り十四日となっていた。
解説
活版印刷の作業を手伝って本を完成させてください。
約二百頁の本を三百部完成させます。印刷済みは五十頁×三百強になります。
残り百五十頁×三百強を刷って製本する必要があります。
活字は一文字ずつの金属製の判子のような形です。それを文章通りに並べて版を組みます。(鏡文字なのでとてもわかりにくいです)
活字の数が少ないので一度に用意できる版はせいぜい七~十です。印刷後に版をばらして次の頁を準備する必要があります。
すべての印刷が終わった後に製本の作業です。
専用の機械二台を使って糸と針で縫い、本の形にまとめます。糊で表紙を貼り付けて、いらない部分を裁断すれば完成です。
常識的な必要経費はユマーリとララ持ちです。滞在期間中の食事や寝泊まりの家は提供されます。
質問があればハンターオフィス職員のフミナ・エミエール(kz0131)が卓で答えます。質問締め切りは出発の一日前までです。
約二百頁の本を三百部完成させます。印刷済みは五十頁×三百強になります。
残り百五十頁×三百強を刷って製本する必要があります。
活字は一文字ずつの金属製の判子のような形です。それを文章通りに並べて版を組みます。(鏡文字なのでとてもわかりにくいです)
活字の数が少ないので一度に用意できる版はせいぜい七~十です。印刷後に版をばらして次の頁を準備する必要があります。
すべての印刷が終わった後に製本の作業です。
専用の機械二台を使って糸と針で縫い、本の形にまとめます。糊で表紙を貼り付けて、いらない部分を裁断すれば完成です。
常識的な必要経費はユマーリとララ持ちです。滞在期間中の食事や寝泊まりの家は提供されます。
質問があればハンターオフィス職員のフミナ・エミエール(kz0131)が卓で答えます。質問締め切りは出発の一日前までです。
マスターより
一度でいいので活字で版組みをしてみたい天田です。
本が完成した暁には王都にある雑貨屋の片隅に置いてもらうことになります。
欲しい方には一冊ずつ配りますが、アイテム化はできませんのでご了承下さい。登場させられるのは天田のシナリオのみです。
本が完成した暁には王都にある雑貨屋の片隅に置いてもらうことになります。
欲しい方には一冊ずつ配りますが、アイテム化はできませんのでご了承下さい。登場させられるのは天田のシナリオのみです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/26 22:56