ゲスト
(ka0000)
男の憂鬱
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/07/27 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/05 15:00
オープニング
●憂鬱なリゲル
「見間違いなんかじゃない!」
まだ日も高いとある村で、三十代前半の男――リゲルが叫んだ。
相手はたった今、村の外の見回りから帰ってきたばかりの自警団だった。
村の近くには、優しい風の吹く草原がある。ピクニックに最適で、リゲルを含めて村の人間はよく利用する。
村から北に進めば、目的の草原につく。
さらに北へ一時間ほど歩いていけば、木々が覆い茂る森へ到着する。奥に行くほど深くなる、わりと大きめの森だ。
見晴らしのいい草原と違い、中に入れば日中でも薄暗い森には村人もあまり近づかない。
「そうは言っても、影も形も見当たらなかったぞ」
鎧を着こんだ屈強な中年男性がリゲルに言った。
自警団の団長である中年男性は、十名程度の団員を連れて草原へ出向いていた。リゲルから、ゴブリンを目撃したという知らせを受けたからだ。
嘘を言ったわけじゃない。確かにリゲルは見た。
草原を散歩している最中、離れたところから、こちらをじっと見ていたゴブリンの姿を。
襲われると思ったリゲルは、すぐに村へ逃げ帰った。その足で、自警団へ見たままを告げたのである。
本当にゴブリンがいたら大変だ。自警団はすぐに草原を調査した。その結果が、先ほどの台詞だった。
「もしかしたら、草原の北の森に隠れてるのかもしれない。そっちは探したのか?」
自警団の団長は「ああ」と頷いた。
「俺たちもその可能性を考えた。森の中に入って、可能な限り周囲を注意深く捜索した。だが、ゴブリンはいなかった」
――そんなバカな。
リゲルは愕然とした。
「そんなはずはない。俺は見たんだ。ゴブリンだけじゃない。近くにはコボルドらしき影もあった!」
「お前を疑ってるわけじゃないんだ」
団長は困ったような顔をした。どうするべきか、悩んでいるようだ。
「とにかく今日は家に帰れ。気をつけて見回るようにはするから」
納得はできていないが、見つからないと言われればそれまでだ。
しつこく食い下がろうとはせず、リゲルはひとりで住んでいる我が家へ帰宅することにした。
とりあえず、少し休みたかった。肩を落として帰路を歩いていると、唐突にリゲルは背後から声をかけられた。
「よう」
振り返ると、仲の良さげな家族が立っていた。唯一の親友と呼べる男と、その妻と息子の三人だった。
「家族で買い物か?」
リゲルの問いかけに、親友が頷く。
「これから、明日のピクニックのための買物をしにいくんだ」
「ピクニック?」
「ああ。いつもの北の草原さ。丁度いい季節だしな」
嫌な予感がした。
親友を大切に思っているリゲルは、即座に待ってくれと言った。
「実は俺、草原でゴブリンを見たんだ。コボルドっぽいのもいた」
「本当か?」
「確かに見たんだよ。なのに、調査してくれた自警団は発見できなかったらしい」
なんだ、と親友は安堵のため息をついた。
「見間違いだったんじゃないのか? それか、もう他の場所に移動したとかな」
親友の言うとおりであってくれたらとリゲルも思う。
しかし、一瞬だけ目が合ったゴブリンの凶悪そうな瞳の輝きが忘れられない。
「……もう少し、あとにしたらどうだ」
「ピクニックをか? そうはいっても、仕事を休めるのは明日だけなんだよ。大丈夫、注意しておくからさ」
リゲル以外の誰もゴブリンを目撃してないだけに、もう何も言えなかった。
親友と別れたあと、リゲルは自宅のベッドに飛び込んだ。
見たのは間違いないんだ。心の中で繰り返してるうちに、いつしかリゲルは眠りに落ちた。
夕方になり、リゲルは目を覚ます。
全身が汗でびっしょりだ。
見たのは悪夢。
親友の家族が、ゴブリンやコボルドに蹂躙されている光景だった。
単なる夢だ。
自分自身にそう言い聞かせて、気分を落ち着かせようとする。
なのに、どうしようもなく不安になる。
「……くそっ!」
いてもたってもいられなくなったリゲルは、ベッドから飛び起きると、駆け足で家を出た。
ハンターへ依頼を出すために。
●助けてほしい
「草原の安全を確保し、親友の家族が無事にピクニックを終えられるようにしてほしい」
リゲルはそう切り出した。
ピクニックの舞台は、町から少し離れた草原。北に森があり、南側がリゲルの村となる。それぞれ、草原から一キロメートル以上は離れている。
ピクニックの正確な時間は決まってないらしい。親友は昼過ぎを目安に出かけると言っていた。
リゲルが草原で目撃したのはゴブリン。側にコボルドらしい影も見た。複数だ。正確な数はわからない。
他に目撃証言はなく、襲われたという話もない。周囲は見間違いの可能性を考えてるみたいだが、リゲルは間違いなく見たと声を大にする。
コボルドらしき影はゴブリンの背後にいた。印象だけで言うなら、ゴブリンが命令でもしてそうな感じだった。
正確な数はわからないといったが、膨大な数でないのだけは確かだ。ゴブリンも含めて、二桁には届いてないと思う。
「連中にそこまでの知恵があるかはわからないが、俺に目撃されたせいで警戒してるのかもしれない。だとしたら、森の中にひっそりと隠れてる可能性がある」
リゲルひとりの時は姿を見せて、武装した自警団の調査では発見できなかった。
わざと弱そうな人間を襲おうとしてるのだとしたら、三人だけでピクニックをする親友一家が危険だ。
心配が杞憂に終われば問題ないが、どうにも嫌な予感がする。
せめて他に目撃した人間がいれば自警団も本腰を入れるだろうし、領主様に軍の派遣をお願いもできる。
ただ、やはり時間が少なさすぎる。
何もなければそれでいいが、襲われたりすれば一般人の親友一家が抵抗しきれるとは思えない。
「俺としては、家族水入らずのピクニックを楽しんでほしい。無駄足に終わるかもしれない依頼だが、どうか引き受けてほしい……!」
丁寧に頭を下げるリゲル。
親友家族がピクニックに出かける日は、すぐそこまで迫っていた。
「見間違いなんかじゃない!」
まだ日も高いとある村で、三十代前半の男――リゲルが叫んだ。
相手はたった今、村の外の見回りから帰ってきたばかりの自警団だった。
村の近くには、優しい風の吹く草原がある。ピクニックに最適で、リゲルを含めて村の人間はよく利用する。
村から北に進めば、目的の草原につく。
さらに北へ一時間ほど歩いていけば、木々が覆い茂る森へ到着する。奥に行くほど深くなる、わりと大きめの森だ。
見晴らしのいい草原と違い、中に入れば日中でも薄暗い森には村人もあまり近づかない。
「そうは言っても、影も形も見当たらなかったぞ」
鎧を着こんだ屈強な中年男性がリゲルに言った。
自警団の団長である中年男性は、十名程度の団員を連れて草原へ出向いていた。リゲルから、ゴブリンを目撃したという知らせを受けたからだ。
嘘を言ったわけじゃない。確かにリゲルは見た。
草原を散歩している最中、離れたところから、こちらをじっと見ていたゴブリンの姿を。
襲われると思ったリゲルは、すぐに村へ逃げ帰った。その足で、自警団へ見たままを告げたのである。
本当にゴブリンがいたら大変だ。自警団はすぐに草原を調査した。その結果が、先ほどの台詞だった。
「もしかしたら、草原の北の森に隠れてるのかもしれない。そっちは探したのか?」
自警団の団長は「ああ」と頷いた。
「俺たちもその可能性を考えた。森の中に入って、可能な限り周囲を注意深く捜索した。だが、ゴブリンはいなかった」
――そんなバカな。
リゲルは愕然とした。
「そんなはずはない。俺は見たんだ。ゴブリンだけじゃない。近くにはコボルドらしき影もあった!」
「お前を疑ってるわけじゃないんだ」
団長は困ったような顔をした。どうするべきか、悩んでいるようだ。
「とにかく今日は家に帰れ。気をつけて見回るようにはするから」
納得はできていないが、見つからないと言われればそれまでだ。
しつこく食い下がろうとはせず、リゲルはひとりで住んでいる我が家へ帰宅することにした。
とりあえず、少し休みたかった。肩を落として帰路を歩いていると、唐突にリゲルは背後から声をかけられた。
「よう」
振り返ると、仲の良さげな家族が立っていた。唯一の親友と呼べる男と、その妻と息子の三人だった。
「家族で買い物か?」
リゲルの問いかけに、親友が頷く。
「これから、明日のピクニックのための買物をしにいくんだ」
「ピクニック?」
「ああ。いつもの北の草原さ。丁度いい季節だしな」
嫌な予感がした。
親友を大切に思っているリゲルは、即座に待ってくれと言った。
「実は俺、草原でゴブリンを見たんだ。コボルドっぽいのもいた」
「本当か?」
「確かに見たんだよ。なのに、調査してくれた自警団は発見できなかったらしい」
なんだ、と親友は安堵のため息をついた。
「見間違いだったんじゃないのか? それか、もう他の場所に移動したとかな」
親友の言うとおりであってくれたらとリゲルも思う。
しかし、一瞬だけ目が合ったゴブリンの凶悪そうな瞳の輝きが忘れられない。
「……もう少し、あとにしたらどうだ」
「ピクニックをか? そうはいっても、仕事を休めるのは明日だけなんだよ。大丈夫、注意しておくからさ」
リゲル以外の誰もゴブリンを目撃してないだけに、もう何も言えなかった。
親友と別れたあと、リゲルは自宅のベッドに飛び込んだ。
見たのは間違いないんだ。心の中で繰り返してるうちに、いつしかリゲルは眠りに落ちた。
夕方になり、リゲルは目を覚ます。
全身が汗でびっしょりだ。
見たのは悪夢。
親友の家族が、ゴブリンやコボルドに蹂躙されている光景だった。
単なる夢だ。
自分自身にそう言い聞かせて、気分を落ち着かせようとする。
なのに、どうしようもなく不安になる。
「……くそっ!」
いてもたってもいられなくなったリゲルは、ベッドから飛び起きると、駆け足で家を出た。
ハンターへ依頼を出すために。
●助けてほしい
「草原の安全を確保し、親友の家族が無事にピクニックを終えられるようにしてほしい」
リゲルはそう切り出した。
ピクニックの舞台は、町から少し離れた草原。北に森があり、南側がリゲルの村となる。それぞれ、草原から一キロメートル以上は離れている。
ピクニックの正確な時間は決まってないらしい。親友は昼過ぎを目安に出かけると言っていた。
リゲルが草原で目撃したのはゴブリン。側にコボルドらしい影も見た。複数だ。正確な数はわからない。
他に目撃証言はなく、襲われたという話もない。周囲は見間違いの可能性を考えてるみたいだが、リゲルは間違いなく見たと声を大にする。
コボルドらしき影はゴブリンの背後にいた。印象だけで言うなら、ゴブリンが命令でもしてそうな感じだった。
正確な数はわからないといったが、膨大な数でないのだけは確かだ。ゴブリンも含めて、二桁には届いてないと思う。
「連中にそこまでの知恵があるかはわからないが、俺に目撃されたせいで警戒してるのかもしれない。だとしたら、森の中にひっそりと隠れてる可能性がある」
リゲルひとりの時は姿を見せて、武装した自警団の調査では発見できなかった。
わざと弱そうな人間を襲おうとしてるのだとしたら、三人だけでピクニックをする親友一家が危険だ。
心配が杞憂に終われば問題ないが、どうにも嫌な予感がする。
せめて他に目撃した人間がいれば自警団も本腰を入れるだろうし、領主様に軍の派遣をお願いもできる。
ただ、やはり時間が少なさすぎる。
何もなければそれでいいが、襲われたりすれば一般人の親友一家が抵抗しきれるとは思えない。
「俺としては、家族水入らずのピクニックを楽しんでほしい。無駄足に終わるかもしれない依頼だが、どうか引き受けてほしい……!」
丁寧に頭を下げるリゲル。
親友家族がピクニックに出かける日は、すぐそこまで迫っていた。
解説
●成功条件
ピクニック中の家族を、ゴブリンとコボルドから守る。
必ず殲滅する必要はありません。
今回の一件で敵対的亜人の存在が確認されますので、町に戻った家族が自警団に報告します。
後日、兵士などによりゴブリンやコボルドは退治されますので、取り逃がしても問題はありません。
●敵の情報
はっきり認識できたのはゴブリンが一匹。他にもコボルドらしき亜人の影を見た。
ゴブリンとコボルドを含めても二桁には届かない。十匹以下。
ゴブリンは低レベルで敵対的亜人。装備は棍棒と草鎧。主に接近戦を行う。
コボルドの装備はなく、自前の爪で攻撃。主に接近戦を行う。
コボルドを利用するゴブリンの知性は低く、単純です。策略を練ってきたりなどはしません。
●防衛手段
ハンターが現地入りするのは、家族がピクニックをする当日の朝になります。
家族が来る前に敵対的亜人への対処を行うか、同じ場所でピクニックなどをしたりして、ゴブリンなどが現れた際に家族を守るなどになります。
●家族情報
父親は一般人。武器は持っていません。妻と息子の戦闘能力は皆無です。
父親が家族を守ろうと奮闘しますが、戦力にはなりません。父親も護衛対象となります。
●その他
自警団はタイミング悪く通りかかりませんので、戦力として期待はできません。
自警団がゴブリンを発見できなかったのは、武装した人間の方が多く、警戒されたせいです。
ピクニック中の家族を、ゴブリンとコボルドから守る。
必ず殲滅する必要はありません。
今回の一件で敵対的亜人の存在が確認されますので、町に戻った家族が自警団に報告します。
後日、兵士などによりゴブリンやコボルドは退治されますので、取り逃がしても問題はありません。
●敵の情報
はっきり認識できたのはゴブリンが一匹。他にもコボルドらしき亜人の影を見た。
ゴブリンとコボルドを含めても二桁には届かない。十匹以下。
ゴブリンは低レベルで敵対的亜人。装備は棍棒と草鎧。主に接近戦を行う。
コボルドの装備はなく、自前の爪で攻撃。主に接近戦を行う。
コボルドを利用するゴブリンの知性は低く、単純です。策略を練ってきたりなどはしません。
●防衛手段
ハンターが現地入りするのは、家族がピクニックをする当日の朝になります。
家族が来る前に敵対的亜人への対処を行うか、同じ場所でピクニックなどをしたりして、ゴブリンなどが現れた際に家族を守るなどになります。
●家族情報
父親は一般人。武器は持っていません。妻と息子の戦闘能力は皆無です。
父親が家族を守ろうと奮闘しますが、戦力にはなりません。父親も護衛対象となります。
●その他
自警団はタイミング悪く通りかかりませんので、戦力として期待はできません。
自警団がゴブリンを発見できなかったのは、武装した人間の方が多く、警戒されたせいです。
マスターより
お世話になっております、鳴海惣流です。
今回は敵の情報が確定してない中での依頼になります。
とはいえ、総数は十匹以下で、増援もありません。
楽しみにしている家族のピクニックを無事に終了させ、依頼者のリゲルを安心させてあげてください。
今回は敵の情報が確定してない中での依頼になります。
とはいえ、総数は十匹以下で、増援もありません。
楽しみにしている家族のピクニックを無事に終了させ、依頼者のリゲルを安心させてあげてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/28 21:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
男の憂鬱(意味深) 水流崎トミヲ(ka4852) 人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/07/27 13:30:38 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/27 04:08:57 |