ゲスト
(ka0000)
キリング・エネミー・ソフトリー
マスター:ミノリアキラ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/07 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/08/16 07:30
オープニング
●峠道の攻防
見通しの悪い山道を、馬や、馬に引かせた荷馬車が整然と進んでいく。
隊商の列だ。
「右手側に何かいるぞー!」
突然、列の中ほどから声が上がった。
木立を揺らして、四つの影が列に迫っているのがみえる。
「止まるなっ、走れ、走れー!」
号令にしたがい、馬たちは砂埃をあげて駆け抜けていく。
謎の襲撃者たちは、行く手を塞ぐように飛び出してきた。
「ぐわっ」
先頭の男に石が投げつけられ、馬から転がり落ちる。
列の前に立ちはだかったのは、三匹のコボルドだ。背後にはゴブリンも控えている。
そのとき、荷馬車から一組の男女が降りてきた。
「フフ、ここから先は我々に任せてもらおうか……」
鎧をまとい、立派な剣を腰に帯びた男がニヤリと笑う。
彼らは兵士ではない。傭兵でもない。
ハンターズソサエティから派遣されてきた、正式なハンターである。
峠道に魔物が出るという噂をききつけ、あらかじめ護衛を依頼していたのだ。
「相手が悪かったようだな。お前たちはここで散る運命だ」
その表情には自信があふれ出ていた。
不意打ち作戦が成功し、どちらが勝つかはもはや自明の理である。
そして、彼らの任務は……。
あえなく失敗した。
●意外な理由
峠の麓の町。
任務失敗の報告を受け、ハンターズソサエティから派遣された調査員が現れた。
失敗の原因を突き止め、この件に対処できる後任のハンターを探すためだ。
まだ日が高く、客の少ない酒場で目的の人物は派手に酒をあおっていた。
装備や佇まいからすると、かなりの熟練者のようだ。
身分を明かした上で声をかけると、ベテランハンターはがっくりと肩を落とした。
「いったい、原因はなんなんだ?」
「それが……」
彼はゆっくりと話しはじめた。
隊商には、ハンターたち以外にもう二人の人物がいた。
商家の跡継ぎ息子と、付き添いの乳母である。
跡継ぎ息子は十八歳。
これまで都会で何不自由ない生活を送っていたのだが『そろそろ自分の家の稼業を覚える頃だ』と考えた父親の意向により、一行に加わったのだった。
「危険ですから、戦闘の間はくれぐれも荷馬車から出ないでください」
忠告すると、商家の若君は気丈に首を横に振った。
「いっ……いやっ、ボクはキミたちを雇う側のにっ、人間として、み、見届けるギムがあるっっ……!」
若者は青白い顔をしながら、必死に訴える。
「それに……ボクは長男だ。家の期待を裏切り、父上を悲しませるワケにはいかない!」
不安はあったが、雇用主の身内であるため無下にもできない。
仕方なく『絶対に、後ろの安全な場所に留まる』ことを条件に戦闘の見学を許可した。
それがすべての間違いの始まりであった……。
戦いが始まり、ベテランハンターが剣を鞘から抜いたときだった。
「行くぞっ! 八つ裂きにしてくれる!!」
背後から「ひいっ」という声が聞こえた。
「や、やめてくれ! 『八つ裂きにする』なんて乱暴で恐ろしい言葉は使わないでくれ!」
振り返るとそこには、体をブルブルと震わせる若者がいた。
「おお、旦那様の気まぐれにつき合わされて、なんておかわいそうな若旦那様。そこのアナタ! 坊ちゃんは人一倍体が弱く、心も繊細にできているんです! そのように野蛮な言葉は使わないでくださいます!?」
付き添いの乳母は本気でこの金持ちのボンボン息子を気の毒に思っているらしく、白いハンカチを目元に当てていた。
野蛮といわれても、これは戦いだ。命のやりとりを伴う行為なのだ……。
それをわかってついて来たのではないのか?
「いや、今はそれどころではない。とにかく、戦わねば……」
仕切り直しとばかりに、剣を構えて突撃の体勢をとる。
「剣! そのようにギラギラと尖った武器で斬られたら、痛くてたまらないに違いない! そんなものをボクに見せないでくれ~!」
坊ちゃんの悲鳴が耳をつんざき、出鼻をくじかれたベテランハンターは前のめりにつんのめった。
「ええい、後ろがうるさくて集中できない。さきに魔法を打ってくれ!」
仲間に声をかけると、彼女はしぶしぶ魔法を使う準備に入った。
「しかたないわね……」
マテリアルの光が手元に集まり、あとは発動させるだけ……といったところで、後ろの若者がわめいた。
「うわ~、まぶしすぎる! ばあや、やめさせてくれーっ!」
その悲鳴を聞きつけた乳母の瞳に正体不明の炎が灯る。
「若旦那様のためならば、わたくし命を惜しみませんわっ!」
突如、乳母の筋肉が、年配の女性とは思えないほど隆々と盛り上がり、全身から常人のものとは思えない気迫が溢れだした。
「ふぬうんッ!」
巨体でノシノシと走ってくると、丸太のような腕で女性ハンターを後ろから羽交い絞めにする。
「きゃああっ! ……う、動けない!?」
女性とはいえ、彼女も経験豊富なハンターであり、覚醒者でもある。
この乳母、その彼女を羽交い絞めにしてびくとも動かさないのである。
魔法は不発に終わった。
その後ろでは、バ……いや若旦那がわんわんと鳴き声を上げている。
このままでは、まともな戦闘はできまい……。
リーダーはやむを得ず決断をくだした。
「…………撤退!」
英断であった。
●優しく倒して?
「それで、町まで引き返してきたと……。……くっ……いや失礼っ……ハハ!」
笑いを隠せないでいる調査員を、ベテランハンターは睨みつけた。
しかし、この一件ですっかり自信を喪失してしまったらしい……。
「俺はもうこの件にはいっさい関わりたくない。そっちで後任を探してくれ」
それだけ言い残し、肩を落としたまま酒場を出て行ってしまった。
「あらら……思ったよりも重傷だなあ」
敵は大したことはないが、味方のはずの二人が大問題だ。
とくに若旦那の怖がりは度がすぎる。
いったいどうやって敵を倒せばいいのだろう?
調査員はひとり思案に耽っていた。
見通しの悪い山道を、馬や、馬に引かせた荷馬車が整然と進んでいく。
隊商の列だ。
「右手側に何かいるぞー!」
突然、列の中ほどから声が上がった。
木立を揺らして、四つの影が列に迫っているのがみえる。
「止まるなっ、走れ、走れー!」
号令にしたがい、馬たちは砂埃をあげて駆け抜けていく。
謎の襲撃者たちは、行く手を塞ぐように飛び出してきた。
「ぐわっ」
先頭の男に石が投げつけられ、馬から転がり落ちる。
列の前に立ちはだかったのは、三匹のコボルドだ。背後にはゴブリンも控えている。
そのとき、荷馬車から一組の男女が降りてきた。
「フフ、ここから先は我々に任せてもらおうか……」
鎧をまとい、立派な剣を腰に帯びた男がニヤリと笑う。
彼らは兵士ではない。傭兵でもない。
ハンターズソサエティから派遣されてきた、正式なハンターである。
峠道に魔物が出るという噂をききつけ、あらかじめ護衛を依頼していたのだ。
「相手が悪かったようだな。お前たちはここで散る運命だ」
その表情には自信があふれ出ていた。
不意打ち作戦が成功し、どちらが勝つかはもはや自明の理である。
そして、彼らの任務は……。
あえなく失敗した。
●意外な理由
峠の麓の町。
任務失敗の報告を受け、ハンターズソサエティから派遣された調査員が現れた。
失敗の原因を突き止め、この件に対処できる後任のハンターを探すためだ。
まだ日が高く、客の少ない酒場で目的の人物は派手に酒をあおっていた。
装備や佇まいからすると、かなりの熟練者のようだ。
身分を明かした上で声をかけると、ベテランハンターはがっくりと肩を落とした。
「いったい、原因はなんなんだ?」
「それが……」
彼はゆっくりと話しはじめた。
隊商には、ハンターたち以外にもう二人の人物がいた。
商家の跡継ぎ息子と、付き添いの乳母である。
跡継ぎ息子は十八歳。
これまで都会で何不自由ない生活を送っていたのだが『そろそろ自分の家の稼業を覚える頃だ』と考えた父親の意向により、一行に加わったのだった。
「危険ですから、戦闘の間はくれぐれも荷馬車から出ないでください」
忠告すると、商家の若君は気丈に首を横に振った。
「いっ……いやっ、ボクはキミたちを雇う側のにっ、人間として、み、見届けるギムがあるっっ……!」
若者は青白い顔をしながら、必死に訴える。
「それに……ボクは長男だ。家の期待を裏切り、父上を悲しませるワケにはいかない!」
不安はあったが、雇用主の身内であるため無下にもできない。
仕方なく『絶対に、後ろの安全な場所に留まる』ことを条件に戦闘の見学を許可した。
それがすべての間違いの始まりであった……。
戦いが始まり、ベテランハンターが剣を鞘から抜いたときだった。
「行くぞっ! 八つ裂きにしてくれる!!」
背後から「ひいっ」という声が聞こえた。
「や、やめてくれ! 『八つ裂きにする』なんて乱暴で恐ろしい言葉は使わないでくれ!」
振り返るとそこには、体をブルブルと震わせる若者がいた。
「おお、旦那様の気まぐれにつき合わされて、なんておかわいそうな若旦那様。そこのアナタ! 坊ちゃんは人一倍体が弱く、心も繊細にできているんです! そのように野蛮な言葉は使わないでくださいます!?」
付き添いの乳母は本気でこの金持ちのボンボン息子を気の毒に思っているらしく、白いハンカチを目元に当てていた。
野蛮といわれても、これは戦いだ。命のやりとりを伴う行為なのだ……。
それをわかってついて来たのではないのか?
「いや、今はそれどころではない。とにかく、戦わねば……」
仕切り直しとばかりに、剣を構えて突撃の体勢をとる。
「剣! そのようにギラギラと尖った武器で斬られたら、痛くてたまらないに違いない! そんなものをボクに見せないでくれ~!」
坊ちゃんの悲鳴が耳をつんざき、出鼻をくじかれたベテランハンターは前のめりにつんのめった。
「ええい、後ろがうるさくて集中できない。さきに魔法を打ってくれ!」
仲間に声をかけると、彼女はしぶしぶ魔法を使う準備に入った。
「しかたないわね……」
マテリアルの光が手元に集まり、あとは発動させるだけ……といったところで、後ろの若者がわめいた。
「うわ~、まぶしすぎる! ばあや、やめさせてくれーっ!」
その悲鳴を聞きつけた乳母の瞳に正体不明の炎が灯る。
「若旦那様のためならば、わたくし命を惜しみませんわっ!」
突如、乳母の筋肉が、年配の女性とは思えないほど隆々と盛り上がり、全身から常人のものとは思えない気迫が溢れだした。
「ふぬうんッ!」
巨体でノシノシと走ってくると、丸太のような腕で女性ハンターを後ろから羽交い絞めにする。
「きゃああっ! ……う、動けない!?」
女性とはいえ、彼女も経験豊富なハンターであり、覚醒者でもある。
この乳母、その彼女を羽交い絞めにしてびくとも動かさないのである。
魔法は不発に終わった。
その後ろでは、バ……いや若旦那がわんわんと鳴き声を上げている。
このままでは、まともな戦闘はできまい……。
リーダーはやむを得ず決断をくだした。
「…………撤退!」
英断であった。
●優しく倒して?
「それで、町まで引き返してきたと……。……くっ……いや失礼っ……ハハ!」
笑いを隠せないでいる調査員を、ベテランハンターは睨みつけた。
しかし、この一件ですっかり自信を喪失してしまったらしい……。
「俺はもうこの件にはいっさい関わりたくない。そっちで後任を探してくれ」
それだけ言い残し、肩を落としたまま酒場を出て行ってしまった。
「あらら……思ったよりも重傷だなあ」
敵は大したことはないが、味方のはずの二人が大問題だ。
とくに若旦那の怖がりは度がすぎる。
いったいどうやって敵を倒せばいいのだろう?
調査員はひとり思案に耽っていた。
解説
峠道にコボルド三匹とゴブリンの群れがやってきて、旅人や通りがかる人々を襲うため、荷を運ぶ隊商が立ち往生しています。
隊商を次の目的地まで無事に送り届けることが任務の内容ですが、その過程では思わぬ障害が発生するでしょう。
それというのもずばり、
・臆病すぎる若旦那
・過保護すぎる乳母
このふたりです。
若旦那のほうは、乱暴で野蛮な行為や言動、それに使われる道具などを見るとパニックに陥り、泣き叫んで集中力を奪い、命中力と回避力を損なわせます。
過保護すぎる乳母は、若旦那を助けるため、ハンターたちにしがみついて戦闘の邪魔をします。
抱き付かれたハンターは行動阻害&移動不能となります。
彼らの気分を害さないよう工夫して戦うなど、なんらかの対策を立てることが任務成功の近道です。
それから、本件を担当する調査員から追加の報告が上がっているので、以下に記載します。
『追加報告・例の乳母について
個人的に気になったので、あの怪力すぎる乳母について調べてみた。
噂によると彼女、どうやら我々と同じ覚醒者らしい。
ハンターとして登録こそしていないものの、若い頃は『熊殺しのハンナ』と恐れられていたとかなんとか。
二つ名の由来は……察してくれ。
さて、若旦那たちは町の宿屋で後任のハンターを待っている。
荷馬車は二台、通常の護衛が三名、馬はあわせて計7頭。
いずれもタフで足の速そうな馬だ。ずいぶん儲かっているみたいだな。
新たにわかったのはこんなところだ。
では、峠道に向かうハンター諸君の健闘を祈る。
大地と精霊の加護があらんことを。
――さすらいの調査員』
隊商を次の目的地まで無事に送り届けることが任務の内容ですが、その過程では思わぬ障害が発生するでしょう。
それというのもずばり、
・臆病すぎる若旦那
・過保護すぎる乳母
このふたりです。
若旦那のほうは、乱暴で野蛮な行為や言動、それに使われる道具などを見るとパニックに陥り、泣き叫んで集中力を奪い、命中力と回避力を損なわせます。
過保護すぎる乳母は、若旦那を助けるため、ハンターたちにしがみついて戦闘の邪魔をします。
抱き付かれたハンターは行動阻害&移動不能となります。
彼らの気分を害さないよう工夫して戦うなど、なんらかの対策を立てることが任務成功の近道です。
それから、本件を担当する調査員から追加の報告が上がっているので、以下に記載します。
『追加報告・例の乳母について
個人的に気になったので、あの怪力すぎる乳母について調べてみた。
噂によると彼女、どうやら我々と同じ覚醒者らしい。
ハンターとして登録こそしていないものの、若い頃は『熊殺しのハンナ』と恐れられていたとかなんとか。
二つ名の由来は……察してくれ。
さて、若旦那たちは町の宿屋で後任のハンターを待っている。
荷馬車は二台、通常の護衛が三名、馬はあわせて計7頭。
いずれもタフで足の速そうな馬だ。ずいぶん儲かっているみたいだな。
新たにわかったのはこんなところだ。
では、峠道に向かうハンター諸君の健闘を祈る。
大地と精霊の加護があらんことを。
――さすらいの調査員』
マスターより
モンスターペアレントって怖いですよね。
しかもこれだけ話題になっているのになくならないところをみると、本人はよかれと思ってやっていて、他人に迷惑をかけていることに気づいていない可能性が多いにあります。
今回の乳母&若旦那もそんな関係で、悪気はないんです。
ハンターの皆様に多大なご迷惑をおかけすると思いますが、くれぐれも雇用主の身内であることを忘れず、寛容に接し、知恵によって苦難を乗り越えてくださることを願います。
しかもこれだけ話題になっているのになくならないところをみると、本人はよかれと思ってやっていて、他人に迷惑をかけていることに気づいていない可能性が多いにあります。
今回の乳母&若旦那もそんな関係で、悪気はないんです。
ハンターの皆様に多大なご迷惑をおかけすると思いますが、くれぐれも雇用主の身内であることを忘れず、寛容に接し、知恵によって苦難を乗り越えてくださることを願います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/14 01:28
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
Kill'em All レイ・T・ベッドフォード(ka2398) 人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/08/07 00:04:41 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/06 01:17:17 |