ゲスト
(ka0000)
ジュランナと森の虚ろ
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/07 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/16 19:00
オープニング
ジェオルジにある、駐屯地の一つで――
陸軍の女性士官・ジュランナ少尉は、うつらうつらしながら、夢を見ていた。
若きジュランナは、想い人である青年、商家の息子フレデリコの家を訪ねている。
そしてフレデリコを前に、ジュランナは言う。
『フレデリコ。わたくし、あなたと付き合って差し上げてもよろしくてよ!』
『え……?』
困惑しているフレデリコに、ジュランナは興奮気味に続ける。
『あなたならまあ、家柄的にも釣り合いが取れてますし、イケメンですし……申し分ありませんわ。だからありがたく思いなさいな。わたくしの伴侶になれることを!』
裕福な家の出である上、学があり、美人。断られるはずもないと、ジュランナは自信満々だった。
だが、フレデリコは予想外の答えを発した。
『いやその……ごめん』
『え! ……何でですの!』
『何でって……そもそも僕、君とあんまり仲よくないよね?』
『え? いや……この前、わたくしの事を好きだと仰っていたじゃありませんの!』
『言ったことないよ。まぁ、美人だなとは言った気がするけど』
『それはもう告白と同義でしょ!』
『そんなわけないだろ……』
フレデリコは怖いものを見るような目で見たあと、決定的な言葉を放つ。
『というか僕、今恋人がいるから。アナベラ。彼女と付き合ってるから』
すると家の奥から一人の女性が出てきてフレデリコに並んだ。ジュランナは愕然とする。
『あ、あなた、時々フレデリコと一緒にいる乱暴女!?』
『乱暴女じゃなくて、彼女はハンターだよ』
『は、はんたー?』
『そう。暴れてるんじゃなくて仕事してるの』
『な、何にせよ、そんなわけのわからないことしてる女と、どーして! わたくしの方が家柄だっていいですわ!』
『家柄で恋人を決めるわけじゃないから』
ハンター女は、高価でも何でもない、粗野そうな服を着て――フレデリコに寄り添っていた。
そしてジュランナを一瞥して……『ぷ』と嘲笑を浴びせる。
「はぁッぁ!」
ジュランナはがばっと目を覚ました。椅子と机からばきがしゃんと転げ落ちて額を打つ。
「痛たた! ……あー、不愉快な夢ですわ」
額を押さえながら、立ち上がる。今一度思い出して椅子や戸棚を蹴り飛ばした。
すると後ろから……部下の男、レオン軍曹の冷静な声が響く。
「少尉。一応は備品ですので、そのくらいにしておきましょう」
「あぁん? わたくしがここで一番偉いからいいんですのよ!」
どすどすと蹴り続けるジュランナ。
一応注意はしたので、レオンは自分の書類整理に戻った。慣れているから、あとは放っておけば鎮まるのがわかっているのである。
その通り、ジュランナはすぐ飽きて部屋から出た。
だだっ広い村が見える。ここはその中にちょんと建つ、陸軍の駐屯地。
ジュランナ少尉は、ここで活動する陸軍の士官である。
といっても、のどかなジェオルジにおいては、陸軍は「駐在所のお巡りさん」のようなものである。ここでも、民家と変わらないような建物に……ジュランナ含めわずか三人の軍人が駐屯して、平和な日々を送っていた。
その三人目である、若い一般兵のロドリコが村から走ってきた。新人らしい動きでジュランナにびしと敬礼する。
「少尉! ご苦労様です。……えっと、その、聞きましたか?」
「何がですの」
「ゴブリンが出たという話です。何でも歪虚化しているそうで、山で目撃されたと」
「……歪虚! ゴブリン!」
言葉を聞くなり、ジュランナはがちゃがちゃと武器を準備しはじめる。
「これはチャンスですわ! 打って出ますわよ!」
ロドリコは、え? と混乱した。
「打って出るとは?」
「わたくし達でその歪虚をぐっちゃぐちゃにするのですわ! 久しぶりにハンターの面目をつぶすチャンスが来ましたわ! ほほほーほほ!」
「……相手は歪虚ですよ? 我々は覚醒者ではありませんし、ハンターに任せるのが吉なのでは……?」
「何言ってるんですの! ハンターに無駄足を踏ませてやるいい機会なのですわ! 今すぐ準備なさい!」
ロドリコがぽかんとしていると、レオンが出てきて肩に手をやる。
「ロドリコ。先々の為に注意しておこう。ジュランナ少尉は過去の男女トラブルからハンターに対抗心を燃やしている。軍人になったのもそのあたりが要因らしい」
「……は、……」
「だから、こういう事はまま起こる。ここに配属された以上、覚悟しておけ」
レオンの悟ったような言葉に、ロドリコはしばし何とも言えなかった。
「……では、本当に歪虚と戦いに行くのですか?」
「少尉である以上、命令は絶対だ。逃げるのは少尉が撤退命令を出したときだけだ」
「……」
「『行動力のある少尉だ』と思っておけ。それがチャームポイントだと」
すると銃を持ったジュランナが血走った目で出てきた。
「レオン軍曹! 歪虚を殺しに行きますわよ! 馬を出せい!」
「馬ですか。馬は新しい品種への入れ替えのため、今はおりませんよ」
「はあ!? 何でこの大事なときに! じゃー魔導トラックを出しなさい!」
「整備中です」
「あー! 何でですのよ! 移動手段を両方使えなくしてどうするんですの!」
「両方とも少尉のご命令で行ったことでしたが……」
「……じゃあバイクは! 魔導バイク!」
「そんなもの配備されていませんよ」
アァーッ!! と奇声を上げるジュランナ。
「どうするんですの! 見回りとは違うんですのよ! 徒歩はいやですわよ!」
「少尉が興味本位で購入なされた、自転車がありますが……」
「ええい、もうそれでよろしいですわ! 全軍出撃ですわよ!」
三人は自転車をこいで村道を進み始めた。
ぜーはーと息を上げながら、ロドリコは涙目だった。
「俺……ここでやっていけるのかな……」
「すぐに慣れる」
レオンは静かに答えた。
ハンターが依頼を受けて山に分け入ると……。
遠くに、『はんたーはくるな。しごとちゅう』と書かれている旗を掲げた軍人達が見えた。
厳密には旗を持っているのは一人だけである。
『ほーほほ! 対応の遅いハンターと、迅速に敵を殲滅した陸軍! イメージの差は歴然ですわ!』
歪虚がいるのに大声を張っているのがその本人だ。
どうやらハンターより先に歪虚を退治しようとしているらしい。
と、そこに、軍人三人のうち、比較的まともそうな男が足音を忍ばせて近づいてきた。
「すまない。足手まといになるだろうが我々はここを離れられない。少尉――あの彼女はかくかくしかじかの理由でハンターを逆恨みしているから……色々と注意して頂けると助かる」
そんなことを伝えてから、『レオンはどこですの!』と言う声が聞こえてくると、またすぐに戻って行った。
陸軍の女性士官・ジュランナ少尉は、うつらうつらしながら、夢を見ていた。
若きジュランナは、想い人である青年、商家の息子フレデリコの家を訪ねている。
そしてフレデリコを前に、ジュランナは言う。
『フレデリコ。わたくし、あなたと付き合って差し上げてもよろしくてよ!』
『え……?』
困惑しているフレデリコに、ジュランナは興奮気味に続ける。
『あなたならまあ、家柄的にも釣り合いが取れてますし、イケメンですし……申し分ありませんわ。だからありがたく思いなさいな。わたくしの伴侶になれることを!』
裕福な家の出である上、学があり、美人。断られるはずもないと、ジュランナは自信満々だった。
だが、フレデリコは予想外の答えを発した。
『いやその……ごめん』
『え! ……何でですの!』
『何でって……そもそも僕、君とあんまり仲よくないよね?』
『え? いや……この前、わたくしの事を好きだと仰っていたじゃありませんの!』
『言ったことないよ。まぁ、美人だなとは言った気がするけど』
『それはもう告白と同義でしょ!』
『そんなわけないだろ……』
フレデリコは怖いものを見るような目で見たあと、決定的な言葉を放つ。
『というか僕、今恋人がいるから。アナベラ。彼女と付き合ってるから』
すると家の奥から一人の女性が出てきてフレデリコに並んだ。ジュランナは愕然とする。
『あ、あなた、時々フレデリコと一緒にいる乱暴女!?』
『乱暴女じゃなくて、彼女はハンターだよ』
『は、はんたー?』
『そう。暴れてるんじゃなくて仕事してるの』
『な、何にせよ、そんなわけのわからないことしてる女と、どーして! わたくしの方が家柄だっていいですわ!』
『家柄で恋人を決めるわけじゃないから』
ハンター女は、高価でも何でもない、粗野そうな服を着て――フレデリコに寄り添っていた。
そしてジュランナを一瞥して……『ぷ』と嘲笑を浴びせる。
「はぁッぁ!」
ジュランナはがばっと目を覚ました。椅子と机からばきがしゃんと転げ落ちて額を打つ。
「痛たた! ……あー、不愉快な夢ですわ」
額を押さえながら、立ち上がる。今一度思い出して椅子や戸棚を蹴り飛ばした。
すると後ろから……部下の男、レオン軍曹の冷静な声が響く。
「少尉。一応は備品ですので、そのくらいにしておきましょう」
「あぁん? わたくしがここで一番偉いからいいんですのよ!」
どすどすと蹴り続けるジュランナ。
一応注意はしたので、レオンは自分の書類整理に戻った。慣れているから、あとは放っておけば鎮まるのがわかっているのである。
その通り、ジュランナはすぐ飽きて部屋から出た。
だだっ広い村が見える。ここはその中にちょんと建つ、陸軍の駐屯地。
ジュランナ少尉は、ここで活動する陸軍の士官である。
といっても、のどかなジェオルジにおいては、陸軍は「駐在所のお巡りさん」のようなものである。ここでも、民家と変わらないような建物に……ジュランナ含めわずか三人の軍人が駐屯して、平和な日々を送っていた。
その三人目である、若い一般兵のロドリコが村から走ってきた。新人らしい動きでジュランナにびしと敬礼する。
「少尉! ご苦労様です。……えっと、その、聞きましたか?」
「何がですの」
「ゴブリンが出たという話です。何でも歪虚化しているそうで、山で目撃されたと」
「……歪虚! ゴブリン!」
言葉を聞くなり、ジュランナはがちゃがちゃと武器を準備しはじめる。
「これはチャンスですわ! 打って出ますわよ!」
ロドリコは、え? と混乱した。
「打って出るとは?」
「わたくし達でその歪虚をぐっちゃぐちゃにするのですわ! 久しぶりにハンターの面目をつぶすチャンスが来ましたわ! ほほほーほほ!」
「……相手は歪虚ですよ? 我々は覚醒者ではありませんし、ハンターに任せるのが吉なのでは……?」
「何言ってるんですの! ハンターに無駄足を踏ませてやるいい機会なのですわ! 今すぐ準備なさい!」
ロドリコがぽかんとしていると、レオンが出てきて肩に手をやる。
「ロドリコ。先々の為に注意しておこう。ジュランナ少尉は過去の男女トラブルからハンターに対抗心を燃やしている。軍人になったのもそのあたりが要因らしい」
「……は、……」
「だから、こういう事はまま起こる。ここに配属された以上、覚悟しておけ」
レオンの悟ったような言葉に、ロドリコはしばし何とも言えなかった。
「……では、本当に歪虚と戦いに行くのですか?」
「少尉である以上、命令は絶対だ。逃げるのは少尉が撤退命令を出したときだけだ」
「……」
「『行動力のある少尉だ』と思っておけ。それがチャームポイントだと」
すると銃を持ったジュランナが血走った目で出てきた。
「レオン軍曹! 歪虚を殺しに行きますわよ! 馬を出せい!」
「馬ですか。馬は新しい品種への入れ替えのため、今はおりませんよ」
「はあ!? 何でこの大事なときに! じゃー魔導トラックを出しなさい!」
「整備中です」
「あー! 何でですのよ! 移動手段を両方使えなくしてどうするんですの!」
「両方とも少尉のご命令で行ったことでしたが……」
「……じゃあバイクは! 魔導バイク!」
「そんなもの配備されていませんよ」
アァーッ!! と奇声を上げるジュランナ。
「どうするんですの! 見回りとは違うんですのよ! 徒歩はいやですわよ!」
「少尉が興味本位で購入なされた、自転車がありますが……」
「ええい、もうそれでよろしいですわ! 全軍出撃ですわよ!」
三人は自転車をこいで村道を進み始めた。
ぜーはーと息を上げながら、ロドリコは涙目だった。
「俺……ここでやっていけるのかな……」
「すぐに慣れる」
レオンは静かに答えた。
ハンターが依頼を受けて山に分け入ると……。
遠くに、『はんたーはくるな。しごとちゅう』と書かれている旗を掲げた軍人達が見えた。
厳密には旗を持っているのは一人だけである。
『ほーほほ! 対応の遅いハンターと、迅速に敵を殲滅した陸軍! イメージの差は歴然ですわ!』
歪虚がいるのに大声を張っているのがその本人だ。
どうやらハンターより先に歪虚を退治しようとしているらしい。
と、そこに、軍人三人のうち、比較的まともそうな男が足音を忍ばせて近づいてきた。
「すまない。足手まといになるだろうが我々はここを離れられない。少尉――あの彼女はかくかくしかじかの理由でハンターを逆恨みしているから……色々と注意して頂けると助かる」
そんなことを伝えてから、『レオンはどこですの!』と言う声が聞こえてくると、またすぐに戻って行った。
解説
●目的
歪虚の殲滅。
●状況
ジェオルジの山間部に歪虚が発生。これの討伐を目指す。
なお、その場にはハンターの他に同盟陸軍の軍人三人がいる。
●場所
山。
深い森と、崖で出来た、森の中の島のような地形から成る。
島は上下から細い道で繋がっている。
------------------
森森森森森森森森森
森 道 ★森
森 森森森 森
森 森●森 森
森 森森森 森
森 道 森
森 道 森
森 道 森
森 道 森
森森森森森森森森☆
------------------
☆:ハンター初期位置
★:陸軍の三人。森から出っ張った崖の上。周囲からよく見える。
●:敵位置
空白部分は空中であり、かなりの低地に地面がある。普通の人間が落下すれば助からない落差。
道から左右の森まではそれぞれ30スクエア。場の縦幅は約80スクエア。外は森。
●敵
歪虚化したゴブリン。
腕の一部が武器と一体化している特徴を持つ。
・弓化ゴブリン×2
風属性の矢を放つ。通常攻撃の他、掃射能力がある。
・杖化ゴブリン×2
炎投擲、回復、魔法の矢を使う。
・剣化ゴブリン×1
水属性の剣撃を使う。通常攻撃の他、薙ぎ払い攻撃を使う。
・槍化ゴブリン×1
闇属性の槍攻撃を放つ。刺突攻撃と、広範囲への振り回し攻撃。
●軍人
全員非覚醒者である。
・ジュランナ
陸軍の少尉。年齢は二十代中盤。
ハンターを逆恨みしている。
ハンターに先んじて歪虚を倒そうとしている。こちらが踏み込めばおそらく色々邪魔してくる。
・レオン
軍曹。ジュランナに比べれば話が通じる。
短い時間に打ち合わせたということで、ある程度言うことを聞かせることが可能。
トランシーバーも持っている。
直接ジュランナに逆らう行動は取らない。
・ロドリコ
新人の一般兵。
歪虚の殲滅。
●状況
ジェオルジの山間部に歪虚が発生。これの討伐を目指す。
なお、その場にはハンターの他に同盟陸軍の軍人三人がいる。
●場所
山。
深い森と、崖で出来た、森の中の島のような地形から成る。
島は上下から細い道で繋がっている。
------------------
森森森森森森森森森
森 道 ★森
森 森森森 森
森 森●森 森
森 森森森 森
森 道 森
森 道 森
森 道 森
森 道 森
森森森森森森森森☆
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☆:ハンター初期位置
★:陸軍の三人。森から出っ張った崖の上。周囲からよく見える。
●:敵位置
空白部分は空中であり、かなりの低地に地面がある。普通の人間が落下すれば助からない落差。
道から左右の森まではそれぞれ30スクエア。場の縦幅は約80スクエア。外は森。
●敵
歪虚化したゴブリン。
腕の一部が武器と一体化している特徴を持つ。
・弓化ゴブリン×2
風属性の矢を放つ。通常攻撃の他、掃射能力がある。
・杖化ゴブリン×2
炎投擲、回復、魔法の矢を使う。
・剣化ゴブリン×1
水属性の剣撃を使う。通常攻撃の他、薙ぎ払い攻撃を使う。
・槍化ゴブリン×1
闇属性の槍攻撃を放つ。刺突攻撃と、広範囲への振り回し攻撃。
●軍人
全員非覚醒者である。
・ジュランナ
陸軍の少尉。年齢は二十代中盤。
ハンターを逆恨みしている。
ハンターに先んじて歪虚を倒そうとしている。こちらが踏み込めばおそらく色々邪魔してくる。
・レオン
軍曹。ジュランナに比べれば話が通じる。
短い時間に打ち合わせたということで、ある程度言うことを聞かせることが可能。
トランシーバーも持っている。
直接ジュランナに逆らう行動は取らない。
・ロドリコ
新人の一般兵。
マスターより
ジュランナは非覚醒者なので、場合によってはあっけなく死んだりします。そのくせ突っ込もうとしたりこっちに色々文句を言ってきたりします。
なので、快適に仕事をしたければ何らかの絡みは必要かも知れません。
敵として脅威なわけではないので、遊んであげるくらいの気持ちでもいいでしょう。
なので、快適に仕事をしたければ何らかの絡みは必要かも知れません。
敵として脅威なわけではないので、遊んであげるくらいの気持ちでもいいでしょう。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/14 03:43
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 カイン・A・A・カーナボン(ka5336) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/08/07 10:27:00 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/05 00:05:50 |