ゲスト
(ka0000)
イルリヒト生徒救出依頼~歪虚跋扈する山~
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在0人 / 0~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/23 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/08/01 07:30
オープニング
「エルガー・ウンターゲーエン他3名の生徒が帰還しておらず、連絡も取れない……」
錬魔院付属の覚醒者専門学園施設であるイルリヒト、その校長室では初老の男性が報告を聞いて唸り声を上げていた。
「彼らが演習に向かった場所は、ドゥンケルベルクで間違いないな」
「はい、何度か生徒を演習に向かわせ、無事に帰還させている場所です。毎回雑魔が出現していますが、再起不能の怪我を負った者は1人もおらず、数も多くはありません」
「ふむ……既に7日間が経過している。ドゥンケルベルクまでは片道3日間、演習が終わったら連絡を入れるよう伝達してある。ならば――」
初老の男性――イルリヒト校長アンゼルム・シュナウダーは、そっと目を閉じた。
覚醒者のみが入学を許されるイルリヒトの訓練は、基礎体力作りから理論を学ぶ座学、そして演習と名付けられた実戦に至るまで、非常に過酷である。
それに耐え切れず逃げ出そうとする生徒も、過去に存在しなかったわけではない――が、今回演習へと向かったチームのリーダーであるエルガーばかりは、何があってもそんなことをするはずがないと、校長は即座に判断を下す。
であれば――。
「救出が必要な事態に陥っている、もしくは」
そこで言葉を切って、校長はしばし考えを巡らせ――目を開き、報告に来た職員へと告げる。
「ハンターズソサエティに依頼を出しなさい。内容は行方不明となったイルリヒト生徒の安否確認、そして生存者の救出とするように」
「軍への協力要請ではないのですね?」
確認するように言った職員に、校長は眉を寄せて頷く。
「正式な手続きを取り軍に要請したところで、手続きに時間がかかり救出には時間がかかるだろう。それに」
憂いを含んだ声を、校長は溜息とともに吐き出した。
「彼らにとって疎ましきイルリヒト生徒の救出とあれば、尚更だ」
「お集まりいただきまして、ありがとうございます」
ハンターズソサエティで依頼書を見て集まったハンター達に、依頼人の男性はイルリヒトの職員だと名乗る。
「イルリヒトは、ゾンネンシュトラール帝国の錬魔院に付属する軍学校です。生徒は覚醒者のみであり、実戦的な授業もあるのですが、今回その授業によって、4人の学生が行方不明になっているのです」
ハンター達の間に僅かな動揺が走るのに構わず、男性は地図を広げ、帝都から徒歩3日程度の場所にある山地に丸を付ける。
「ここはドゥンケルベルクという山なのですが、弱い雑魔の発生こそあるもののイルリヒトの生徒でも対処できる程度であり、年に数度ほど雑魔の退治と実戦の経験積みを兼ねて、生徒で構成されたチームを送り込んでいました。今までは全ての生徒が無事に帰還していたのですが……今回、初めて4人の生徒が、音信不通となっています」
そこで一度息をつき、イルリヒト職員はハンター達を見渡して口を開く。
「不慮の事態により下山不能となっているか、あるいは……死亡している可能性もあります」
事務的な口調ではあるが、『死』を口に出す前の一瞬の躊躇いは、彼が彼なりに生徒達を大切にしているように思えた。
けれどそれ以上淀みを作ることなく、彼は再び口を開いた。
「皆さんに頼みたいのは彼らの安否確認、そして生存者の保護です。また、不測の事態が何だったのか、もしもわかるようなら報告を入れて下さると助かりますが……生存者の命を優先していただけるよう、お願いいたします」
トン、と机の上に受話器状の機械が置かれた。魔導短伝話、という、指定した相手が1km以内にいれば、周辺のマテリアルなどの状況にもよるが通話が可能になる機械だ。
「これには既に、今回のチームリーダーであるエルガー・ウンターゲーエンに持たせた魔導短伝話を登録してあります。山中にいるならば、山のふもとからなら彼らがどこにいても連絡が通じるはずです。エルガーへの伝話を登録できるということ自体が、イルリヒトに関係する者であることを表しているので、身の証などを証明する必要はないはずです」
これによって連絡が通じれば、互いに状況を把握し善後策を講じることもできるだろう。
「どうか、よろしくお願いいたします。……皆様が、頼りなのです」
そう言って職員は、深く深く頭を下げた。
――ドゥンケルベルク、中腹近く。
日の指さぬ洞窟の中は、昼なお暗く目の前も見えぬ。
「番長……俺を、置いて……生き延びて……」
「馬鹿を言うなアルセニー。水だ、飲め」
番長、と呼ばれた男は、その巨体とは裏腹の丁寧な手つきで、熱にうなされる少年に椀から水を飲ませる。
二十歳を少し越したくらいだろうか。あちこちに包帯が巻かれているが、それを気にする素振りはない。
「ごめんなさい、エルガーさん……私の脚が、無事だったらせめて……」
「ベルタ、謝るんじゃない。そんな必要はないんだからな」
少女の方を見ずに、番長ともエルガーとも呼ばれる男は言った。体中に手当の跡がある少女の右脚には、木板が添えられて包帯が巻かれている。明らかに、骨折の応急処置だ。
「それより、もうランタンの油もほとんどない。自分の怪我は、自分の感覚を駆使して手当てを……」
「ばーんちょー!」
昏く淀んだ空気を払拭するかのように、ランタンの灯りとぱたぱたとした足音、そして大声。
「うるせぇぞハラーツァイ!」
そう言いながらも、ランタンに照らされたエルガーの表情はほどよく緊張が解けたように見えた。
「番長、まだあのバケモン、入口んとこさ引っかかってるよ!」
けれど、やや訛りのある少女、ハラーツァイの報告に一行の顔は苦く染まる。
「……ただのゾンビ如きなら、この槍でしばいちまうのにな」
――そう。
怪我人を抱えた彼らが逃げ込んだ洞窟の前には、1mほどの小さな入り口をくぐれない、3mを超える巨体のゾンビが一瞬も離れることなく立ちふさがる。
それも、両腕をチェーンソーへと改造されたものだ。
それだけではない。
雑魔の数も、例年より急激に増えている。異変に気付いた時には既に雑魔が周りを取り囲んでおり、必死に退路を開いてこの洞窟まで逃げてきたのだ。
食料は尽きかけている。水は洞窟の壁を伝う雨垂れを利用しているが、雨が止めばすぐに困るだろう。
洞窟の入り口が1か所しかないことは、確認している。
そして、怪我をした少女と高熱を出した少年。
彼らの命は、風前の灯であった。
錬魔院付属の覚醒者専門学園施設であるイルリヒト、その校長室では初老の男性が報告を聞いて唸り声を上げていた。
「彼らが演習に向かった場所は、ドゥンケルベルクで間違いないな」
「はい、何度か生徒を演習に向かわせ、無事に帰還させている場所です。毎回雑魔が出現していますが、再起不能の怪我を負った者は1人もおらず、数も多くはありません」
「ふむ……既に7日間が経過している。ドゥンケルベルクまでは片道3日間、演習が終わったら連絡を入れるよう伝達してある。ならば――」
初老の男性――イルリヒト校長アンゼルム・シュナウダーは、そっと目を閉じた。
覚醒者のみが入学を許されるイルリヒトの訓練は、基礎体力作りから理論を学ぶ座学、そして演習と名付けられた実戦に至るまで、非常に過酷である。
それに耐え切れず逃げ出そうとする生徒も、過去に存在しなかったわけではない――が、今回演習へと向かったチームのリーダーであるエルガーばかりは、何があってもそんなことをするはずがないと、校長は即座に判断を下す。
であれば――。
「救出が必要な事態に陥っている、もしくは」
そこで言葉を切って、校長はしばし考えを巡らせ――目を開き、報告に来た職員へと告げる。
「ハンターズソサエティに依頼を出しなさい。内容は行方不明となったイルリヒト生徒の安否確認、そして生存者の救出とするように」
「軍への協力要請ではないのですね?」
確認するように言った職員に、校長は眉を寄せて頷く。
「正式な手続きを取り軍に要請したところで、手続きに時間がかかり救出には時間がかかるだろう。それに」
憂いを含んだ声を、校長は溜息とともに吐き出した。
「彼らにとって疎ましきイルリヒト生徒の救出とあれば、尚更だ」
「お集まりいただきまして、ありがとうございます」
ハンターズソサエティで依頼書を見て集まったハンター達に、依頼人の男性はイルリヒトの職員だと名乗る。
「イルリヒトは、ゾンネンシュトラール帝国の錬魔院に付属する軍学校です。生徒は覚醒者のみであり、実戦的な授業もあるのですが、今回その授業によって、4人の学生が行方不明になっているのです」
ハンター達の間に僅かな動揺が走るのに構わず、男性は地図を広げ、帝都から徒歩3日程度の場所にある山地に丸を付ける。
「ここはドゥンケルベルクという山なのですが、弱い雑魔の発生こそあるもののイルリヒトの生徒でも対処できる程度であり、年に数度ほど雑魔の退治と実戦の経験積みを兼ねて、生徒で構成されたチームを送り込んでいました。今までは全ての生徒が無事に帰還していたのですが……今回、初めて4人の生徒が、音信不通となっています」
そこで一度息をつき、イルリヒト職員はハンター達を見渡して口を開く。
「不慮の事態により下山不能となっているか、あるいは……死亡している可能性もあります」
事務的な口調ではあるが、『死』を口に出す前の一瞬の躊躇いは、彼が彼なりに生徒達を大切にしているように思えた。
けれどそれ以上淀みを作ることなく、彼は再び口を開いた。
「皆さんに頼みたいのは彼らの安否確認、そして生存者の保護です。また、不測の事態が何だったのか、もしもわかるようなら報告を入れて下さると助かりますが……生存者の命を優先していただけるよう、お願いいたします」
トン、と机の上に受話器状の機械が置かれた。魔導短伝話、という、指定した相手が1km以内にいれば、周辺のマテリアルなどの状況にもよるが通話が可能になる機械だ。
「これには既に、今回のチームリーダーであるエルガー・ウンターゲーエンに持たせた魔導短伝話を登録してあります。山中にいるならば、山のふもとからなら彼らがどこにいても連絡が通じるはずです。エルガーへの伝話を登録できるということ自体が、イルリヒトに関係する者であることを表しているので、身の証などを証明する必要はないはずです」
これによって連絡が通じれば、互いに状況を把握し善後策を講じることもできるだろう。
「どうか、よろしくお願いいたします。……皆様が、頼りなのです」
そう言って職員は、深く深く頭を下げた。
――ドゥンケルベルク、中腹近く。
日の指さぬ洞窟の中は、昼なお暗く目の前も見えぬ。
「番長……俺を、置いて……生き延びて……」
「馬鹿を言うなアルセニー。水だ、飲め」
番長、と呼ばれた男は、その巨体とは裏腹の丁寧な手つきで、熱にうなされる少年に椀から水を飲ませる。
二十歳を少し越したくらいだろうか。あちこちに包帯が巻かれているが、それを気にする素振りはない。
「ごめんなさい、エルガーさん……私の脚が、無事だったらせめて……」
「ベルタ、謝るんじゃない。そんな必要はないんだからな」
少女の方を見ずに、番長ともエルガーとも呼ばれる男は言った。体中に手当の跡がある少女の右脚には、木板が添えられて包帯が巻かれている。明らかに、骨折の応急処置だ。
「それより、もうランタンの油もほとんどない。自分の怪我は、自分の感覚を駆使して手当てを……」
「ばーんちょー!」
昏く淀んだ空気を払拭するかのように、ランタンの灯りとぱたぱたとした足音、そして大声。
「うるせぇぞハラーツァイ!」
そう言いながらも、ランタンに照らされたエルガーの表情はほどよく緊張が解けたように見えた。
「番長、まだあのバケモン、入口んとこさ引っかかってるよ!」
けれど、やや訛りのある少女、ハラーツァイの報告に一行の顔は苦く染まる。
「……ただのゾンビ如きなら、この槍でしばいちまうのにな」
――そう。
怪我人を抱えた彼らが逃げ込んだ洞窟の前には、1mほどの小さな入り口をくぐれない、3mを超える巨体のゾンビが一瞬も離れることなく立ちふさがる。
それも、両腕をチェーンソーへと改造されたものだ。
それだけではない。
雑魔の数も、例年より急激に増えている。異変に気付いた時には既に雑魔が周りを取り囲んでおり、必死に退路を開いてこの洞窟まで逃げてきたのだ。
食料は尽きかけている。水は洞窟の壁を伝う雨垂れを利用しているが、雨が止めばすぐに困るだろう。
洞窟の入り口が1か所しかないことは、確認している。
そして、怪我をした少女と高熱を出した少年。
彼らの命は、風前の灯であった。
解説
●目的
イルリヒト生徒4人の安否確認と生存者の救出。
●ドゥンケルベルクについて
ふもとから山中全てが1km圏内に入る程度の広くはない山ですが、古くから雑魔が僅かに湧く場所となっています。
近くに人里はなく緊急的な危険性はないため、イルリヒトの生徒が退治と戦闘訓練を兼ねて来られる程度の場所でした。
ですが、現在は雑魔の謎の急増により、危険地帯と化しています。イルリヒト生徒達が山に入った段階からさらに増加が進み、山のふもとまで降りてくる雑魔も少しいます。
さらに、1体の改造された死体型フェレライの発生により、イルリヒト生徒達は洞窟に閉じ込められた状態です。
天候は雨。依頼を請けた時間より1日後に晴れへと変わります。
●イルリヒト生徒達について
・エルガー
22歳男性。闘狩人。武器は槍。
行動を阻害する怪我は負っていない。
・ハラーツァイ
16歳女性。霊闘士。武器はなし(素手格闘)。
行動を阻害する怪我は負っていない。
・アルセニー
17歳男性。傷から入った雑菌により高熱を出している。
・ベルタ
18歳女性。大小の怪我を負っており、特に右脚の骨折は酷く歩くことができない。
●時間経過について
ハンターの皆さんは転移門の使用により、半日程度でドゥンケルベルクに着くことができます。
準備や情報収集に時間をかけることも可能ですが、それらや道中での戦闘に手間取って時間がかかった場合、アルセニーやベルタは感染症により死亡する可能性があります。
その上でさらに時間がかかれば、食料や水の不足によって、現在は健康であるエルガーやハラーツァイも死亡する可能性があります。
●改造死体型フェラレイについて
3mほどの巨体に、そして両腕をチェーンソーに改造されたゾンビです。
素早さは低めですが耐久力・攻撃力は高くなっています。
基本的には近くの者を殴るのみですが、周辺1スクエアを一気に攻撃することもできます。
イルリヒト生徒4人の安否確認と生存者の救出。
●ドゥンケルベルクについて
ふもとから山中全てが1km圏内に入る程度の広くはない山ですが、古くから雑魔が僅かに湧く場所となっています。
近くに人里はなく緊急的な危険性はないため、イルリヒトの生徒が退治と戦闘訓練を兼ねて来られる程度の場所でした。
ですが、現在は雑魔の謎の急増により、危険地帯と化しています。イルリヒト生徒達が山に入った段階からさらに増加が進み、山のふもとまで降りてくる雑魔も少しいます。
さらに、1体の改造された死体型フェレライの発生により、イルリヒト生徒達は洞窟に閉じ込められた状態です。
天候は雨。依頼を請けた時間より1日後に晴れへと変わります。
●イルリヒト生徒達について
・エルガー
22歳男性。闘狩人。武器は槍。
行動を阻害する怪我は負っていない。
・ハラーツァイ
16歳女性。霊闘士。武器はなし(素手格闘)。
行動を阻害する怪我は負っていない。
・アルセニー
17歳男性。傷から入った雑菌により高熱を出している。
・ベルタ
18歳女性。大小の怪我を負っており、特に右脚の骨折は酷く歩くことができない。
●時間経過について
ハンターの皆さんは転移門の使用により、半日程度でドゥンケルベルクに着くことができます。
準備や情報収集に時間をかけることも可能ですが、それらや道中での戦闘に手間取って時間がかかった場合、アルセニーやベルタは感染症により死亡する可能性があります。
その上でさらに時間がかかれば、食料や水の不足によって、現在は健康であるエルガーやハラーツァイも死亡する可能性があります。
●改造死体型フェラレイについて
3mほどの巨体に、そして両腕をチェーンソーに改造されたゾンビです。
素早さは低めですが耐久力・攻撃力は高くなっています。
基本的には近くの者を殴るのみですが、周辺1スクエアを一気に攻撃することもできます。
マスターより
こんにちは、旅硝子です。
イルリヒト依頼第一弾、いきなりですが救出ものです。
かなりハードですが、皆さんの力なくしては4人は生きて帰ることが出来ません。
どうか、よろしくお願いいたします。
イルリヒト依頼第一弾、いきなりですが救出ものです。
かなりハードですが、皆さんの力なくしては4人は生きて帰ることが出来ません。
どうか、よろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/27 19:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 エルネスタ・バックハウス(ka0899) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/07/22 02:32:37 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/19 21:12:16 |