ゲスト
(ka0000)
亡き友の意思を継ぎ
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/24 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/02 19:00
オープニング
にゃあ、と鳴き声が聞こえた。
山奥に巧妙に隠された、廃坑を利用したトンネルを抜けた先、両脇を鬱蒼とした森林に挟まれた山道を二台の魔導自動車が走る。共に荷台を牽引し、そこには商品がしっかりと括られている。
ここからしばらく進めば、細い街道に出る。滅多に人も通らないその道を使えば、山奥の村までもうすぐだ。
ハンターではないため頼りないが、それでもそれなりの腕を持った護衛も雇った。魔導自動車を使って素早く抜ければ、それほど危険もない道のはずだった。現に、ここを安全に通ったのは、一度や二度ではない。
簡単に言えば、慢心していたのだろう。こんな、比較的平和なリゼリオの領内で、それほど危険なことが起こるはずがないと。
しかし、それが間違いだった。一見可愛らしいその鳴き声は、駆動するエンジン音に満たされた車内にも不思議とはっきり聞こえていた。全員が、その鳴き声に気を取られたその瞬間。
ズドンと頭上に衝撃が走り、金属で作られたその強固なはずの天井を、平行に並ぶ巨大な三本の爪が切り裂いていた。
にゃあ、と鳴き声が聞こえた。切り裂かれた天井の隙間から覗く、均等に並ぶ鋭利なナイフにも似た牙の奥から、その鳴き声が響いていた。
●
「……軌道に乗り始めてたんだよ」
ハンターズソサエティを訪れたひげ面の中年男性は、沈痛な面持ちでそう語りだした。
「密かに山脈に穴を掘ったんだ、廃棄された鉱山を利用してな。山奥の村まで行くことは、山を迂回するよりも数倍楽になった。俺達だけの、秘密のルートだった。海のものは、足が速い。例え氷で〆ても、従来なら鮮魚を運ぶことなんて難しかった。だから、俺はそこが狙い目だと思った。廃棄された鉱山を買い、時間を掛けて山に穴を開け、道を整備し……金と時間を惜しみなく投資して、ようやく……全てが上手く行っていた。新鮮な、塩漬けや干物になっていない魚を見たことがない人間はたくさんいる。ああ、高値で売れたさ。魔導自動車だって買って、更に効率よく稼げるようになった」
そこまで言って、男は大きくため息を付いた。
「だが、魚が、あんなものまで呼び寄せるとは思っていなかった。護衛だって、ちゃんと雇っていた。もちろん、ハンターじゃなかったが。あの時の俺は、ハンターに払う賃金さえ惜しかった。とにかく、稼ぐことしか頭になかった。だから、そんなだから……昔から一緒に、俺の事業を支えてくれていた親友を、失うことになった」
目の前で車体を切り裂かれ、為す術もなく炎上する魔導自動車を見て、男は逃げ出した。命を失うことが、何よりも恐ろしくて。
親友のことなど、頭のどこにもなかった。
そうして逃げ切って初めて、男は自分の犯した罪に気がついた。
「俺は、親友を見殺しにしたんだ。一旗揚げてやるって、貧しい村から一緒に飛び出した幼なじみをだ」
その瞳に、涙が浮かぶ。
「だから俺は、あいつに報いるため、仇を取ってやらなくちゃならない。あいつの犠牲を無駄にしないため、初めて海を見た時、美味い魚を食った時の感動を、みんなに教えてやらなくちゃならない」
だから、ここを訪れた。自分には、何の力もない。残ったのは、それなりの富と、一台の魔導自動車だけ。
「頼む、親友の仇を……取ってくれ」
男は、大きく頭を下げた。
山奥に巧妙に隠された、廃坑を利用したトンネルを抜けた先、両脇を鬱蒼とした森林に挟まれた山道を二台の魔導自動車が走る。共に荷台を牽引し、そこには商品がしっかりと括られている。
ここからしばらく進めば、細い街道に出る。滅多に人も通らないその道を使えば、山奥の村までもうすぐだ。
ハンターではないため頼りないが、それでもそれなりの腕を持った護衛も雇った。魔導自動車を使って素早く抜ければ、それほど危険もない道のはずだった。現に、ここを安全に通ったのは、一度や二度ではない。
簡単に言えば、慢心していたのだろう。こんな、比較的平和なリゼリオの領内で、それほど危険なことが起こるはずがないと。
しかし、それが間違いだった。一見可愛らしいその鳴き声は、駆動するエンジン音に満たされた車内にも不思議とはっきり聞こえていた。全員が、その鳴き声に気を取られたその瞬間。
ズドンと頭上に衝撃が走り、金属で作られたその強固なはずの天井を、平行に並ぶ巨大な三本の爪が切り裂いていた。
にゃあ、と鳴き声が聞こえた。切り裂かれた天井の隙間から覗く、均等に並ぶ鋭利なナイフにも似た牙の奥から、その鳴き声が響いていた。
●
「……軌道に乗り始めてたんだよ」
ハンターズソサエティを訪れたひげ面の中年男性は、沈痛な面持ちでそう語りだした。
「密かに山脈に穴を掘ったんだ、廃棄された鉱山を利用してな。山奥の村まで行くことは、山を迂回するよりも数倍楽になった。俺達だけの、秘密のルートだった。海のものは、足が速い。例え氷で〆ても、従来なら鮮魚を運ぶことなんて難しかった。だから、俺はそこが狙い目だと思った。廃棄された鉱山を買い、時間を掛けて山に穴を開け、道を整備し……金と時間を惜しみなく投資して、ようやく……全てが上手く行っていた。新鮮な、塩漬けや干物になっていない魚を見たことがない人間はたくさんいる。ああ、高値で売れたさ。魔導自動車だって買って、更に効率よく稼げるようになった」
そこまで言って、男は大きくため息を付いた。
「だが、魚が、あんなものまで呼び寄せるとは思っていなかった。護衛だって、ちゃんと雇っていた。もちろん、ハンターじゃなかったが。あの時の俺は、ハンターに払う賃金さえ惜しかった。とにかく、稼ぐことしか頭になかった。だから、そんなだから……昔から一緒に、俺の事業を支えてくれていた親友を、失うことになった」
目の前で車体を切り裂かれ、為す術もなく炎上する魔導自動車を見て、男は逃げ出した。命を失うことが、何よりも恐ろしくて。
親友のことなど、頭のどこにもなかった。
そうして逃げ切って初めて、男は自分の犯した罪に気がついた。
「俺は、親友を見殺しにしたんだ。一旗揚げてやるって、貧しい村から一緒に飛び出した幼なじみをだ」
その瞳に、涙が浮かぶ。
「だから俺は、あいつに報いるため、仇を取ってやらなくちゃならない。あいつの犠牲を無駄にしないため、初めて海を見た時、美味い魚を食った時の感動を、みんなに教えてやらなくちゃならない」
だから、ここを訪れた。自分には、何の力もない。残ったのは、それなりの富と、一台の魔導自動車だけ。
「頼む、親友の仇を……取ってくれ」
男は、大きく頭を下げた。
解説
●目的
魚を積んだ魔導自動車の護衛。及び、魚につられて山道に現れる猫型生物の排除。
●場所
左右を深い森に囲まれた山道。山道自体は自動車が通れる程度には整備されているが、正面以外の見通しは悪い。
●敵
虎ほどの大きさもある、猫型生物。あくまで大きな猫であるらしい。俊敏な動きと、強力な爪、牙を持つ。非常に強いが、頭はそれほど良くないかもしれません。
群れを作る習性はなく、単独で行動しているようです。
●魔導自動車
座席は運転席を入れて二つ。牽引する荷台に魚を載せている。ハンターたちは、荷台に乗って現場まで移動する。
●補足
あくまで護衛と排除が目的であり、必ずしも生物を殺す必要はない。野生動物ゆえ、ある程度のダメージを与えれば、ここが危険な場所だと覚えてくれるかもしれません。もちろん、倒すに越したことはないのですが、真正面からやりあうのは無謀かもしれません。
魚を積んだ魔導自動車の護衛。及び、魚につられて山道に現れる猫型生物の排除。
●場所
左右を深い森に囲まれた山道。山道自体は自動車が通れる程度には整備されているが、正面以外の見通しは悪い。
●敵
虎ほどの大きさもある、猫型生物。あくまで大きな猫であるらしい。俊敏な動きと、強力な爪、牙を持つ。非常に強いが、頭はそれほど良くないかもしれません。
群れを作る習性はなく、単独で行動しているようです。
●魔導自動車
座席は運転席を入れて二つ。牽引する荷台に魚を載せている。ハンターたちは、荷台に乗って現場まで移動する。
●補足
あくまで護衛と排除が目的であり、必ずしも生物を殺す必要はない。野生動物ゆえ、ある程度のダメージを与えれば、ここが危険な場所だと覚えてくれるかもしれません。もちろん、倒すに越したことはないのですが、真正面からやりあうのは無謀かもしれません。
マスターより
どうも、いつか豆柴を飼ってみたいT谷です。ようやくMSというお仕事にも慣れてきた、かもしれません。
下手をすると大怪我を負いかねない強敵を出してみたくて、こんな感じになりました。
下手をすると大怪我を負いかねない強敵を出してみたくて、こんな感じになりました。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/02 19:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 Jyu=Bee(ka1681) エルフ|15才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/07/24 17:47:26 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/19 18:42:27 |