ゲスト
(ka0000)
剣機の森
マスター:西尾厚哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/16 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/25 22:00
オープニング
バルトアンデルスより北の人里離れた場所にイルリヒト第二宿舎がある。
宿舎のさらに北方にあるのが野外訓練用の森で、生息するのはゴブリン、コボルトであり、新人訓練生が相手にするには適当とされた。
その森に、今までいないと思われていた剣機の存在が目撃されたのは数週間前。
報告を行ったのはハンター達である。
「ケヴィン・ヘルト、ヴィリー・クラウゼン……エミ・モリス、ダニロ・フライヤー……ヒューベルト・ベレ」
ずらりと並んだ訓練生。レイ・グロスハイムは手元の書類をめくりながら名前を呼んだ。
呼ばれた者が敬礼をして一歩前に進み出る。レイは顔を確認し、
「以上5名、明朝7時出発。解散」
全員が敬礼をして隊列から離れる。その時、
「女と一緒かよ」
声がした。
誰だ、とレイがぎろりと目を向けた時、
「ちょっとあんた」
少女の声がして、途端に相手は彼女の回し蹴りを喰らって吹っ飛んだ。
「動きが鈍い」
彼女はプイとそっぽを向いて歩き去った。くすくすと嘲笑が起こり、吹っ飛んだ少年がむっつりと立ち上がる。
エミ・モリスとヴィリー・クラウゼンか。
レイは確認だけして目を背ける。その先にトマス・ブレガがいた。
「威勢がいい子だな」
トマスはくすくすと笑い
「いいことだ。やっぱりイルリヒトに剣機は無理だった、と後ろ指を指されても困るしね」
彼の言葉にレイは肩を竦める。
訓練の森に剣機の存在あり。
そう報告を受けて調査に入ったのはヒューグラー教官率いる20名の訓練生だ。
いずれも2年未満の訓練生だったが、所詮ゴブリン剣機と思ったのだろう。
そして確かに剣機はいた。
しかし、訓練生達は初めて見る敵の姿に怯え、ヒューグラーは適切な指示ができなかった。
何体いたかも確認できず無様に森から逃げ帰った彼らに、主任教官アーベレは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしたという。
「最初からレイに行かせれば良かったんだよ」
トマスは言うが、主任がそんなチョイスをするわけがない。
アーベレは2年前に直属の上司となったが扱いづらい2人を疎ましく思うらしく、特にレイには新入生以外の訓練生を担当させなくなっていた。
しかし今のところ他に動けるのはレイとトマスしかいないのだからやむを得ない。
「それはそうと」
トマスはレイに言う。
「錬魔の姫様がお待ちだよ」
分かってる、というようにレイは頷いた。
「名付けてグラオビーネ!」
錬魔院の才女、クリスタ・ベルクマンは得意げに試作品の魔導銃を掲げてみせる。
彼女はレイとトマスが訓練生の時期からの知った間柄だ。
姫様と呼ぶのはトマスの皮肉で、彼女は別に高貴な身分でも何でもない。
錬魔院の中ではそれなりに「できのいい」一研究員というだけだ。
レイは銃をひったくり、少し見るなり
「操作法……は説明不要だな。こいつをあと一挺用意しろ」
ポンと返す。
レイのこういう態度は昔からだ。慣れっこになっていたクリスタは怒ることなく
「いいけど、誰に持たせるの?」
と、彼の顔を覗き込む。
「エミ・モリス」
返事を聞いて、トマスがへー、という顔でレイを見る。レイが特定の訓練生に興味を持つなんて珍しい。それはクリスタも同じだったようだ。
「よほどお眼鏡に適う子なのね。用意するけど、必ず持って帰ってよ? 主任には内緒なんだから」
「ノープロブレム」
レイは一言そう答えてさっさと部屋をあとにした。
「あいつはまた壊すぞ?」
閉まったドアを一瞥して、トマスはクリスタを見る。
「壊すほど使ってくれれば最高。実地効果を試せれば私も主任の鼻が明かせて有難いわ」
クリスタは答え、クックと笑った。
翌朝、レイは5人の訓練生を連れて森に入る。
そのすぐ後に、トマス率いる新人訓練生20名が森に。
お互い無線機で位置を確認しつつ、レイ部隊の動きを邪魔するような雑魚の動きがあればトマス側で阻止する。
出発前、トマスはエミ・モリスの様子をちらと確認した。
『グラオビーネ』を持つ彼女は至って冷静で、きちんと試作品を用いつつ任務を遂行しそうに思えた。
ただ、彼女を鋭い目で見る別の訓練生の様子は少し気にはなっていたが。
エミに殴られたヴィリー・クラウゼンだ。
(面白い。任務遂行中に仲違いでもぶちかましてレイを窮地に陥れてくれればなお面白いんだが)
笑みを漏らすトマスの心中を誰も知ることなく森の調査は開始された。
異変が起こったのは1時間後だ。
レイ側の動きを確認しつつコボルトを相手にしていたトマスだったが、無線に異様な連絡が入る。
『ブレガ教官っ、救援をっ……』
救援?
「カルツ! レイの位置は」
レイ部隊の位置確認をしていた訓練生にトマスは無線を繋ぐ。
「みっ……見失いましたっ……」
少年の声が震えて届く。
「最後に確認できたのは、2時の方向、100m先ですっ」
「B班、先発! A班、背後を守ってついて来い!」
トマスは素早く指示を出し、8名の訓練生を連れて先に2時の方向に向かう。
そして20分後、彼らは草の中に血まみれで倒れる4人の訓練生を見つけた。
「メスナー! ノール! 手当だ! 残りは周囲を見張れ!」
トマスは一人の顔を覗き込む。まだ意識がある。目を覆っていたゴーグルを外して眉を潜めた。エミ・モリスだ。
「おい、何があった!」
「……教官……オーク……」
苦しそうに答える声を聞きながら、トマスは彼女の腕を見る。グラオビーネがない。
意識が遠のいたのか、エミの目が閉じかけた。
「まだ寝るな! 2名足りない! 銃はどうした!」
訓練生のひとりとレイの姿がない。
「教官!」
乱暴に揺さぶるのを見て手当の訓練生が思わず声をあげたが構わずトマスは叫ぶ。
「答えろ!」
「ヴィリーを……引き摺っ……追い……ました……銃……弾……出ま……せん……」
「どっちの方角だ!」
エミは答えなかった。意識を失ったのだ。
「怪我人を運び出す」
「ブレガ教官、グロスハイム教官は……」
訓練生は言ってしまってから、想像通りの険しい目を向けられて身を縮めた。
新人ばかりの集団で2人を助けに行けるはずもなかった。
「冗談じゃないわ!」
出迎えたのはクリスタの怒声。
「持って帰ってって言ったでしょ!」
救護室に運ばれる訓練生を見送り、トマスは振り返って口元に笑みを浮かべる。
「僕に当たるのはやめてくれないか」
笑みの奥に潜む強烈な嫌悪を感じ取ってクリスタは口を噤んだ。
「一刻も早く『クソ銃』を回収することを考えようじゃないか。訓練生への口止めもいつまで有効かわからないよ?」
冷静過ぎるトマスの口調が逆にぞっとする。
「心配するな。ハンターには既に依頼した。報酬は君が出せよ」
「なんで私が。そっちの責任だわ」
クリスタは言うが、トマスは動じない。
「そう? 僕は全然構わないよ? 錬魔のうざい研究員が一人や二人いなくなっても」
クリスタはトマスの顔を睨みつけたのだった。
宿舎のさらに北方にあるのが野外訓練用の森で、生息するのはゴブリン、コボルトであり、新人訓練生が相手にするには適当とされた。
その森に、今までいないと思われていた剣機の存在が目撃されたのは数週間前。
報告を行ったのはハンター達である。
「ケヴィン・ヘルト、ヴィリー・クラウゼン……エミ・モリス、ダニロ・フライヤー……ヒューベルト・ベレ」
ずらりと並んだ訓練生。レイ・グロスハイムは手元の書類をめくりながら名前を呼んだ。
呼ばれた者が敬礼をして一歩前に進み出る。レイは顔を確認し、
「以上5名、明朝7時出発。解散」
全員が敬礼をして隊列から離れる。その時、
「女と一緒かよ」
声がした。
誰だ、とレイがぎろりと目を向けた時、
「ちょっとあんた」
少女の声がして、途端に相手は彼女の回し蹴りを喰らって吹っ飛んだ。
「動きが鈍い」
彼女はプイとそっぽを向いて歩き去った。くすくすと嘲笑が起こり、吹っ飛んだ少年がむっつりと立ち上がる。
エミ・モリスとヴィリー・クラウゼンか。
レイは確認だけして目を背ける。その先にトマス・ブレガがいた。
「威勢がいい子だな」
トマスはくすくすと笑い
「いいことだ。やっぱりイルリヒトに剣機は無理だった、と後ろ指を指されても困るしね」
彼の言葉にレイは肩を竦める。
訓練の森に剣機の存在あり。
そう報告を受けて調査に入ったのはヒューグラー教官率いる20名の訓練生だ。
いずれも2年未満の訓練生だったが、所詮ゴブリン剣機と思ったのだろう。
そして確かに剣機はいた。
しかし、訓練生達は初めて見る敵の姿に怯え、ヒューグラーは適切な指示ができなかった。
何体いたかも確認できず無様に森から逃げ帰った彼らに、主任教官アーベレは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしたという。
「最初からレイに行かせれば良かったんだよ」
トマスは言うが、主任がそんなチョイスをするわけがない。
アーベレは2年前に直属の上司となったが扱いづらい2人を疎ましく思うらしく、特にレイには新入生以外の訓練生を担当させなくなっていた。
しかし今のところ他に動けるのはレイとトマスしかいないのだからやむを得ない。
「それはそうと」
トマスはレイに言う。
「錬魔の姫様がお待ちだよ」
分かってる、というようにレイは頷いた。
「名付けてグラオビーネ!」
錬魔院の才女、クリスタ・ベルクマンは得意げに試作品の魔導銃を掲げてみせる。
彼女はレイとトマスが訓練生の時期からの知った間柄だ。
姫様と呼ぶのはトマスの皮肉で、彼女は別に高貴な身分でも何でもない。
錬魔院の中ではそれなりに「できのいい」一研究員というだけだ。
レイは銃をひったくり、少し見るなり
「操作法……は説明不要だな。こいつをあと一挺用意しろ」
ポンと返す。
レイのこういう態度は昔からだ。慣れっこになっていたクリスタは怒ることなく
「いいけど、誰に持たせるの?」
と、彼の顔を覗き込む。
「エミ・モリス」
返事を聞いて、トマスがへー、という顔でレイを見る。レイが特定の訓練生に興味を持つなんて珍しい。それはクリスタも同じだったようだ。
「よほどお眼鏡に適う子なのね。用意するけど、必ず持って帰ってよ? 主任には内緒なんだから」
「ノープロブレム」
レイは一言そう答えてさっさと部屋をあとにした。
「あいつはまた壊すぞ?」
閉まったドアを一瞥して、トマスはクリスタを見る。
「壊すほど使ってくれれば最高。実地効果を試せれば私も主任の鼻が明かせて有難いわ」
クリスタは答え、クックと笑った。
翌朝、レイは5人の訓練生を連れて森に入る。
そのすぐ後に、トマス率いる新人訓練生20名が森に。
お互い無線機で位置を確認しつつ、レイ部隊の動きを邪魔するような雑魚の動きがあればトマス側で阻止する。
出発前、トマスはエミ・モリスの様子をちらと確認した。
『グラオビーネ』を持つ彼女は至って冷静で、きちんと試作品を用いつつ任務を遂行しそうに思えた。
ただ、彼女を鋭い目で見る別の訓練生の様子は少し気にはなっていたが。
エミに殴られたヴィリー・クラウゼンだ。
(面白い。任務遂行中に仲違いでもぶちかましてレイを窮地に陥れてくれればなお面白いんだが)
笑みを漏らすトマスの心中を誰も知ることなく森の調査は開始された。
異変が起こったのは1時間後だ。
レイ側の動きを確認しつつコボルトを相手にしていたトマスだったが、無線に異様な連絡が入る。
『ブレガ教官っ、救援をっ……』
救援?
「カルツ! レイの位置は」
レイ部隊の位置確認をしていた訓練生にトマスは無線を繋ぐ。
「みっ……見失いましたっ……」
少年の声が震えて届く。
「最後に確認できたのは、2時の方向、100m先ですっ」
「B班、先発! A班、背後を守ってついて来い!」
トマスは素早く指示を出し、8名の訓練生を連れて先に2時の方向に向かう。
そして20分後、彼らは草の中に血まみれで倒れる4人の訓練生を見つけた。
「メスナー! ノール! 手当だ! 残りは周囲を見張れ!」
トマスは一人の顔を覗き込む。まだ意識がある。目を覆っていたゴーグルを外して眉を潜めた。エミ・モリスだ。
「おい、何があった!」
「……教官……オーク……」
苦しそうに答える声を聞きながら、トマスは彼女の腕を見る。グラオビーネがない。
意識が遠のいたのか、エミの目が閉じかけた。
「まだ寝るな! 2名足りない! 銃はどうした!」
訓練生のひとりとレイの姿がない。
「教官!」
乱暴に揺さぶるのを見て手当の訓練生が思わず声をあげたが構わずトマスは叫ぶ。
「答えろ!」
「ヴィリーを……引き摺っ……追い……ました……銃……弾……出ま……せん……」
「どっちの方角だ!」
エミは答えなかった。意識を失ったのだ。
「怪我人を運び出す」
「ブレガ教官、グロスハイム教官は……」
訓練生は言ってしまってから、想像通りの険しい目を向けられて身を縮めた。
新人ばかりの集団で2人を助けに行けるはずもなかった。
「冗談じゃないわ!」
出迎えたのはクリスタの怒声。
「持って帰ってって言ったでしょ!」
救護室に運ばれる訓練生を見送り、トマスは振り返って口元に笑みを浮かべる。
「僕に当たるのはやめてくれないか」
笑みの奥に潜む強烈な嫌悪を感じ取ってクリスタは口を噤んだ。
「一刻も早く『クソ銃』を回収することを考えようじゃないか。訓練生への口止めもいつまで有効かわからないよ?」
冷静過ぎるトマスの口調が逆にぞっとする。
「心配するな。ハンターには既に依頼した。報酬は君が出せよ」
「なんで私が。そっちの責任だわ」
クリスタは言うが、トマスは動じない。
「そう? 僕は全然構わないよ? 錬魔のうざい研究員が一人や二人いなくなっても」
クリスタはトマスの顔を睨みつけたのだった。
解説
●依頼主
イルリヒトのトマス・ブレガ教官です。
●目的
消息不明となっている訓練生とレイ・グロスハイム教官を見つけ出すこと。
訓練生のエミが携帯していた試作品の銃を回収もしくは回収不可なら状況を確認すること。
両方を達成し、森の外まで避難できた時点で普通判定です。
●森はゴブリン、コボルトの巣窟です。
雑魚に邪魔されないよう、トマスにサポートを依頼することが可能です。
但し、彼が自身の裁量で動かせるのは新人訓練生のみです。
彼らは雑魚相手がようやっとですので、それ以上の動きを依頼することはできません。
●レイが引率した訓練生のうち、紛失した銃を携帯していたエミ・モリスからトマスが聞いた
OP内の情報だけが何があったかを推測できる全てです。
●補足:クリスタ・ベルクマンが作った『グラオビーネ』について
全長100cmの黒い魔導銃です。弾が出れば性能がいいはずですが、
現況は壊れた状態で使いものにはならないと想定してください。
レイ・グロスハイムは拳銃も携帯しています。
イルリヒトのトマス・ブレガ教官です。
●目的
消息不明となっている訓練生とレイ・グロスハイム教官を見つけ出すこと。
訓練生のエミが携帯していた試作品の銃を回収もしくは回収不可なら状況を確認すること。
両方を達成し、森の外まで避難できた時点で普通判定です。
●森はゴブリン、コボルトの巣窟です。
雑魚に邪魔されないよう、トマスにサポートを依頼することが可能です。
但し、彼が自身の裁量で動かせるのは新人訓練生のみです。
彼らは雑魚相手がようやっとですので、それ以上の動きを依頼することはできません。
●レイが引率した訓練生のうち、紛失した銃を携帯していたエミ・モリスからトマスが聞いた
OP内の情報だけが何があったかを推測できる全てです。
●補足:クリスタ・ベルクマンが作った『グラオビーネ』について
全長100cmの黒い魔導銃です。弾が出れば性能がいいはずですが、
現況は壊れた状態で使いものにはならないと想定してください。
レイ・グロスハイムは拳銃も携帯しています。
マスターより
お世話になります。西尾厚哉です。
森に入って戦闘すると考えただけで暑いですが、何とか目的を達成してください。
森の様子は既出のシナリオ『歯車のはじまり』に若干ありますが、
中に『居るもの』の様子はあれからだいぶん変わっているかもしれません。
それではよろしくお願いいたします。
森に入って戦闘すると考えただけで暑いですが、何とか目的を達成してください。
森の様子は既出のシナリオ『歯車のはじまり』に若干ありますが、
中に『居るもの』の様子はあれからだいぶん変わっているかもしれません。
それではよろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/25 14:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/12 18:10:29 |
|
![]() |
相談卓 リーリア・バックフィード(ka0873) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/08/16 15:43:11 |