ゲスト
(ka0000)
【聖呪】ワルサー総帥、悩む
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/14 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/23 19:00
オープニング
●
ハンターたちの活躍もあり、ルサスール領北部の街オーレフェルトの防衛には成功した。
しかし、ゴブリンの脅威が取り除かれたわけではない。
いくつかの情報から、オーレフェルト侵攻に失敗した敵部隊が、より北にある村の方角へ向かったと判断されたのだ。近隣の村の被害も報告されており、予断は許される状態ではない。
もちろん、領主カフェ・W・ルサスールも手をつくしていた。
自身がもつ部隊やハンターたちの手を借りて、村々の救出にあたっていたのである。課題はそれだけではない。他領との軋轢を調整、支援を要請もしくは軍事的協力を求める等の外交。そして、領内で発生している村を捨てた人々の受け入れ先も必要である。
オーレフェルトよりやや南、されど危険地帯にほど近い、微妙な位置にその村はあった。
名はとくにない。村長の名前が村名代わりになるような、小さな村である。この法則でいうならば、今はガレット村であろうか。
「そんなこと言っている場合ではありませんわ!」
近隣の村長数人が横並びなる前でサチコは声を荒らげていた。
ガレット以外の村長はやや申し訳無さそうにサチコをみる。だが積極的に発言をするわけではない。
「先祖代々の土地に、領をおっ立てたのはそっちだ。命令を聞く義務はない。俺らは村から離れない、以上だ」
「ですから、その土地に危機が迫ってますのよ!?」
「この土地が蛮族の手に沈むなら、俺達も死ぬときなんだ」
「絶対、そんなこと私は許しませんわ!」
「お前に許してもらう必要なんてねぇよ! これは、俺達の意志だ!」
話し合いは、もはや怒号の掛け合いになってしまっていた。
二人の間を取り持ちつつ、柔和そうな男が間に立つ。
「まぁ、俺達も自殺しようってわけじゃないんだ。女子供は避難させてやってくれ」
「……」
この意見にはガレットも反対を示さない。
「加えて避難を申し出る村民がいれば、受け入れてもらって欲しい」
「……もちろんですわ」
「ただ、俺達は避難できないといってるだけなんだ」
「だから、どうしてですの!」
「俺達には村がどうなったのかを見守る義務がある。じゃねぇと、精霊様に顔向け出来ねぇ」
村長たちは各々の表情で頷く。
何を言っても無駄だという意志の強さが見て取れた。
「……また、来ますわ」
荒ぶる呼吸を整えて、サチコは告げる。
こうした話し合いをするというのも初めての経験だった。できれば、経験することなく平穏であるのが一番なのだが、そうもいっていられない。
ゴブリンが周辺で目撃されたという情報もある。
サチコ一人の力では、たとえ覚醒したとしても迎撃は難しい。村でも数匹の通常のゴブリンであれば、対応できるかもしれない。けれど、今は状況が違う。
今回の一件、ゴブリンの危険性をサチコは嫌というほど知らされていた。
「とりあえず、警戒に当たりませんと……」
●
「カフェ様。サチコ様をなぜガレット村長の説得に向かわせたのですか」
サチコの従者、タロの呼びかけにカフェは答えない。
他領との手紙に目を通しながら、意見を聞き入る。
「あの方の偏屈っぷりはご存知でしょう。カフェ様が直々に出向いて、精霊へ感謝を捧げてやっと話が通るような人ですよ」
「精霊信仰にあつい、昔気質の男たちが多いからな」
カフェが視線を上げた。
タロは重ねて、ご存知ならなぜ、と問いかける。
「サチコは今、自身の力で活動をしようとしている。ルサスールの家名はついてまわるだろうが、それはこの領内でも通用するものではない」
ましてや、領主ではなく娘。ワルサー総帥と名乗っても相手にしてくれるかはわからない。
だからこそ、とカフェは続ける。
「サチコのやり方というものを、自分で見つけていかなければならないのだ。この先、何があったとしても、私やルサスール家という看板に頼らなくてよいようにな」
「花嫁修業は、もういいのですか?」
「事情が変わった。情勢も変わった。花嫁として頼りない貴族に嫁ぐよりは、どのような状況であっても生きていける胆力をつけてもらいたい……私としては心配ばかりが増えるがな」
複雑な心境を察してタロは無言で頷く。
「では、私もサチコ様の下へ向かいます」
「あぁ、頼む。テコでも動かないようなら、私が時間の隙を見て説得に行くとしよう」
「そうならないよう、サチコ様には力を尽くしてもらいますよ」
カフェの顔には疲労の色がありありと残されていた。
襲撃の後始末をはじめ、やらねばならぬことが多いのだろう。
「サチコ様に多くを学んでいただかなければ……」
タロは改めて決意を固めるのだった。
●
「おじいちゃんは来ないの?」
避難が近づいたある日、サチコはそう親人尋ねる子どもを見た。
「……おじいちゃんはね、大切な役目があるんだ。だから来ないんだよ」
諭すような口調でいう男には見覚えがあった。ガレットの息子だ。
だとすれば、あの娘さんは孫か。
「後からくる?」
息子は困ったような笑みを浮かばえた後、きっと来るさと答えていた。
サチコはその二人に会釈すると、泊まらせてもらっている民家へと還っていった。
「なんとかしませんと」
ぐっと息を呑んでそう呟くのだった。
ハンターたちの活躍もあり、ルサスール領北部の街オーレフェルトの防衛には成功した。
しかし、ゴブリンの脅威が取り除かれたわけではない。
いくつかの情報から、オーレフェルト侵攻に失敗した敵部隊が、より北にある村の方角へ向かったと判断されたのだ。近隣の村の被害も報告されており、予断は許される状態ではない。
もちろん、領主カフェ・W・ルサスールも手をつくしていた。
自身がもつ部隊やハンターたちの手を借りて、村々の救出にあたっていたのである。課題はそれだけではない。他領との軋轢を調整、支援を要請もしくは軍事的協力を求める等の外交。そして、領内で発生している村を捨てた人々の受け入れ先も必要である。
オーレフェルトよりやや南、されど危険地帯にほど近い、微妙な位置にその村はあった。
名はとくにない。村長の名前が村名代わりになるような、小さな村である。この法則でいうならば、今はガレット村であろうか。
「そんなこと言っている場合ではありませんわ!」
近隣の村長数人が横並びなる前でサチコは声を荒らげていた。
ガレット以外の村長はやや申し訳無さそうにサチコをみる。だが積極的に発言をするわけではない。
「先祖代々の土地に、領をおっ立てたのはそっちだ。命令を聞く義務はない。俺らは村から離れない、以上だ」
「ですから、その土地に危機が迫ってますのよ!?」
「この土地が蛮族の手に沈むなら、俺達も死ぬときなんだ」
「絶対、そんなこと私は許しませんわ!」
「お前に許してもらう必要なんてねぇよ! これは、俺達の意志だ!」
話し合いは、もはや怒号の掛け合いになってしまっていた。
二人の間を取り持ちつつ、柔和そうな男が間に立つ。
「まぁ、俺達も自殺しようってわけじゃないんだ。女子供は避難させてやってくれ」
「……」
この意見にはガレットも反対を示さない。
「加えて避難を申し出る村民がいれば、受け入れてもらって欲しい」
「……もちろんですわ」
「ただ、俺達は避難できないといってるだけなんだ」
「だから、どうしてですの!」
「俺達には村がどうなったのかを見守る義務がある。じゃねぇと、精霊様に顔向け出来ねぇ」
村長たちは各々の表情で頷く。
何を言っても無駄だという意志の強さが見て取れた。
「……また、来ますわ」
荒ぶる呼吸を整えて、サチコは告げる。
こうした話し合いをするというのも初めての経験だった。できれば、経験することなく平穏であるのが一番なのだが、そうもいっていられない。
ゴブリンが周辺で目撃されたという情報もある。
サチコ一人の力では、たとえ覚醒したとしても迎撃は難しい。村でも数匹の通常のゴブリンであれば、対応できるかもしれない。けれど、今は状況が違う。
今回の一件、ゴブリンの危険性をサチコは嫌というほど知らされていた。
「とりあえず、警戒に当たりませんと……」
●
「カフェ様。サチコ様をなぜガレット村長の説得に向かわせたのですか」
サチコの従者、タロの呼びかけにカフェは答えない。
他領との手紙に目を通しながら、意見を聞き入る。
「あの方の偏屈っぷりはご存知でしょう。カフェ様が直々に出向いて、精霊へ感謝を捧げてやっと話が通るような人ですよ」
「精霊信仰にあつい、昔気質の男たちが多いからな」
カフェが視線を上げた。
タロは重ねて、ご存知ならなぜ、と問いかける。
「サチコは今、自身の力で活動をしようとしている。ルサスールの家名はついてまわるだろうが、それはこの領内でも通用するものではない」
ましてや、領主ではなく娘。ワルサー総帥と名乗っても相手にしてくれるかはわからない。
だからこそ、とカフェは続ける。
「サチコのやり方というものを、自分で見つけていかなければならないのだ。この先、何があったとしても、私やルサスール家という看板に頼らなくてよいようにな」
「花嫁修業は、もういいのですか?」
「事情が変わった。情勢も変わった。花嫁として頼りない貴族に嫁ぐよりは、どのような状況であっても生きていける胆力をつけてもらいたい……私としては心配ばかりが増えるがな」
複雑な心境を察してタロは無言で頷く。
「では、私もサチコ様の下へ向かいます」
「あぁ、頼む。テコでも動かないようなら、私が時間の隙を見て説得に行くとしよう」
「そうならないよう、サチコ様には力を尽くしてもらいますよ」
カフェの顔には疲労の色がありありと残されていた。
襲撃の後始末をはじめ、やらねばならぬことが多いのだろう。
「サチコ様に多くを学んでいただかなければ……」
タロは改めて決意を固めるのだった。
●
「おじいちゃんは来ないの?」
避難が近づいたある日、サチコはそう親人尋ねる子どもを見た。
「……おじいちゃんはね、大切な役目があるんだ。だから来ないんだよ」
諭すような口調でいう男には見覚えがあった。ガレットの息子だ。
だとすれば、あの娘さんは孫か。
「後からくる?」
息子は困ったような笑みを浮かばえた後、きっと来るさと答えていた。
サチコはその二人に会釈すると、泊まらせてもらっている民家へと還っていった。
「なんとかしませんと」
ぐっと息を呑んでそう呟くのだった。
解説
●目的
ルサスール領北部の村長ガレットの説得をする。
●ゴブリンの襲撃
数体のゴブリンと一匹のゴブリンソルジャーですが、偵察を兼ねた襲撃でありサクッと倒せる相手しかでてきません。
襲撃があったとしてもガレットの気持ちは揺れませんが、交渉材料等には使えるでしょう。もちろん、見えない所で撃退するのはありです。
※発生タイミングは不明だが、哨戒などで感知可能。
●サチコの懊悩
ワルワル団はもとよりルサスールの家名、領主の言葉でもだめという状況ははじめてです。
そのためものすごく悩んでいます。
※サチコについて:ルサスール家の末娘。ワルサー総帥を名乗って家出していたが、【聖呪】関連で領土の危機と知って自分のできることをしようと決意した。先日、覚醒した。
●ガレット村長
精霊信仰にあつく、偏屈な頑固ジジイ。
本文での発言はサチコを困らせたいわけではなく、精霊の土地を本当に大事に思っているからこそ出た発言。
息子夫婦は避難を希望しており、孫娘はおじいちゃんも一緒にと思っている。
周囲の村長は、ガレットが折れればついていくつもりだ。
ルサスール領北部の村長ガレットの説得をする。
●ゴブリンの襲撃
数体のゴブリンと一匹のゴブリンソルジャーですが、偵察を兼ねた襲撃でありサクッと倒せる相手しかでてきません。
襲撃があったとしてもガレットの気持ちは揺れませんが、交渉材料等には使えるでしょう。もちろん、見えない所で撃退するのはありです。
※発生タイミングは不明だが、哨戒などで感知可能。
●サチコの懊悩
ワルワル団はもとよりルサスールの家名、領主の言葉でもだめという状況ははじめてです。
そのためものすごく悩んでいます。
※サチコについて:ルサスール家の末娘。ワルサー総帥を名乗って家出していたが、【聖呪】関連で領土の危機と知って自分のできることをしようと決意した。先日、覚醒した。
●ガレット村長
精霊信仰にあつく、偏屈な頑固ジジイ。
本文での発言はサチコを困らせたいわけではなく、精霊の土地を本当に大事に思っているからこそ出た発言。
息子夫婦は避難を希望しており、孫娘はおじいちゃんも一緒にと思っている。
周囲の村長は、ガレットが折れればついていくつもりだ。
マスターより
わるわるさー、御影堂です。
シリアスが続いていますがもうしばらくお付き合いください。
覚醒したサチコだが、立ちはだかるのは雑魔でもゴブリンでもなく、頑固ジジイ。
そして、この依頼は彼女にとって成長のきかいでもあります。どのような方法でも構いません。ガレットさんが避難を受け入れれば、成功となります。ただし、非人道的行為や詐欺行為はサチコが絶対に許しませんのであしからずご了承ください。
シリアスが続いていますがもうしばらくお付き合いください。
覚醒したサチコだが、立ちはだかるのは雑魔でもゴブリンでもなく、頑固ジジイ。
そして、この依頼は彼女にとって成長のきかいでもあります。どのような方法でも構いません。ガレットさんが避難を受け入れれば、成功となります。ただし、非人道的行為や詐欺行為はサチコが絶対に許しませんのであしからずご了承ください。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/20 17:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/10 19:46:54 |
|
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相談卓 最上 風(ka0891) 人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/08/14 18:39:29 |