ゲスト
(ka0000)
貧弱司祭護衛作戦
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 3日
- プレイング締切
- 2014/07/23 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/01 22:00
オープニング
「死にたくねよ。なんで俺が」
断末魔に似た呪詛をこぼす兵士を少女が抱き寄せる。
「畜生、畜生っ」
清潔な生地が唾液と血で濡れ、無骨な指が糸を断ち白い肌を晒させる。
戦塵にまみれ死に瀕した男の暴力と臭いを真正面から受け止め、イコニア・カーナボン(kz0040)は優しく抱いた。
「温かい」
兵士の全身から力が抜ける。
細い腕に渾身の力を込め、男の体が地面に打ち付けられるのを防ぐ。
「お疲れ様でした」
イコニアは外套を脱ぎ亡骸を寝かせる。
男のまぶたを閉じ、ふけの目立つ髪を綺麗に整える。
戦場に倒れた兵士の顔は苦悶に満ち、けれどわずかだけではあるが安らぎが浮かんでいた。
●
ヴォイドとの戦いの翌日。
再編を終えた王国部隊の隊長を、若い司祭がたずねていた。
「明後日の葬儀に参加できず申し訳ありません」
育ちが窺える綺麗な礼だった。平民出身の隊長は強烈な居心地の悪さに襲われてしまい、大きな身振りで顔をあげるよう促した。
「司祭に見送っていただけただけで十分です」
この若さで司祭という教会の選良。しかも女性で貴族出身。そんな立場の人間が前線近くに来るなど滅多にないことだし、率先して血と汗にまみれるなど普通はない。
「ところで今後のご予定は?」
後方の街に送り届けるため護衛をつけるつもりで尋ねる。
「はい」
イコニアは野に咲く花のように控えめに微笑んだ。
「雑魔を刈りながら帰るつもりです」
スキルを使い果たしているはずなのに、小柄な体から濃厚な戦意が溢れて吹きつける。
どうやら隊長の聞き間違いではなさそうだ。
隊長が頭痛を堪えて振り返る。
これまで常に冷静沈着だったはずの副官が、熱に浮かされた目で小柄な司祭を見上げている。
再度振り返る。司令部の入り口からは大勢の……隊の主力である覚醒者達が是非護衛にしてくれと言いたげに熱烈アピールしていた。気づいたイコニアが笑顔を浮かべ、獰猛な男達が嬉しげに歓声をあげる。
なお、イコニアが戦死しても主力が抜けて大損害が生じても、隊長は良くて左遷で悪ければあの世行きだ。
隊長は一休みしてから出発するよう強く勧め、司祭を休憩用の天幕に送り届けた後、部隊で最も速い馬を伝令に与えてハンターズソサエティ支部へ向かわせる。
依頼料を全額負担するのは痛いが、このまま司祭を送り出すよりよりずっとましだった。
●
支部に伝令が駆け込んでから数分後、ハンターオフィス本部で自己主張の強い……具体的には縁取りが真っ赤っかな天然3Dディスプレイが現れた。
あなたが不審に思って目をやると、いきなり加速し鼻先まで来て停止する。
ため息をついて押しのける。
立体的な依頼票はあなたの手に逆らわずこてんと転がり、水平方向へ広がり、より詳しい情報を画面に映し出した。
3頭身で表現された小柄なエクラ教司祭が単身で前線近くから後方に向かい、雑魔の目撃情報がある峠をわざわざ選んで地方都市に戻ろうとしているようだ。
3頭身が峠にさしかかる。羽が生えた猿が何体も3頭身に襲いかかり、3頭身ははしゃぎながら1体を倒した時点で体力切れ。後は滅多打ちにされて薄れて消えていく。
『司祭の警護をお願いしたい。急げばイコニア司祭が駐屯地から出発する前に合流できる。報酬は……』
伝令の声をそのまま記憶したのだろう。疲労で息も絶え絶えな伝令が、地形情報と報酬について詳しく説明していた。
『司祭のスキルは回復していないはずだ。1日で送り届けることができないと隊長の立場がまずくなるが、最悪複数日かかけてより安全な道を使っても構わない。司祭の安全を第一に考えてくれ。……これでいいか? すまんが水を』
伝令の声が唐突に途切れる。
あなたはこの依頼をうけてもうけなくてもいいが、うけるなら急いだ方がよいかもしれない。
断末魔に似た呪詛をこぼす兵士を少女が抱き寄せる。
「畜生、畜生っ」
清潔な生地が唾液と血で濡れ、無骨な指が糸を断ち白い肌を晒させる。
戦塵にまみれ死に瀕した男の暴力と臭いを真正面から受け止め、イコニア・カーナボン(kz0040)は優しく抱いた。
「温かい」
兵士の全身から力が抜ける。
細い腕に渾身の力を込め、男の体が地面に打ち付けられるのを防ぐ。
「お疲れ様でした」
イコニアは外套を脱ぎ亡骸を寝かせる。
男のまぶたを閉じ、ふけの目立つ髪を綺麗に整える。
戦場に倒れた兵士の顔は苦悶に満ち、けれどわずかだけではあるが安らぎが浮かんでいた。
●
ヴォイドとの戦いの翌日。
再編を終えた王国部隊の隊長を、若い司祭がたずねていた。
「明後日の葬儀に参加できず申し訳ありません」
育ちが窺える綺麗な礼だった。平民出身の隊長は強烈な居心地の悪さに襲われてしまい、大きな身振りで顔をあげるよう促した。
「司祭に見送っていただけただけで十分です」
この若さで司祭という教会の選良。しかも女性で貴族出身。そんな立場の人間が前線近くに来るなど滅多にないことだし、率先して血と汗にまみれるなど普通はない。
「ところで今後のご予定は?」
後方の街に送り届けるため護衛をつけるつもりで尋ねる。
「はい」
イコニアは野に咲く花のように控えめに微笑んだ。
「雑魔を刈りながら帰るつもりです」
スキルを使い果たしているはずなのに、小柄な体から濃厚な戦意が溢れて吹きつける。
どうやら隊長の聞き間違いではなさそうだ。
隊長が頭痛を堪えて振り返る。
これまで常に冷静沈着だったはずの副官が、熱に浮かされた目で小柄な司祭を見上げている。
再度振り返る。司令部の入り口からは大勢の……隊の主力である覚醒者達が是非護衛にしてくれと言いたげに熱烈アピールしていた。気づいたイコニアが笑顔を浮かべ、獰猛な男達が嬉しげに歓声をあげる。
なお、イコニアが戦死しても主力が抜けて大損害が生じても、隊長は良くて左遷で悪ければあの世行きだ。
隊長は一休みしてから出発するよう強く勧め、司祭を休憩用の天幕に送り届けた後、部隊で最も速い馬を伝令に与えてハンターズソサエティ支部へ向かわせる。
依頼料を全額負担するのは痛いが、このまま司祭を送り出すよりよりずっとましだった。
●
支部に伝令が駆け込んでから数分後、ハンターオフィス本部で自己主張の強い……具体的には縁取りが真っ赤っかな天然3Dディスプレイが現れた。
あなたが不審に思って目をやると、いきなり加速し鼻先まで来て停止する。
ため息をついて押しのける。
立体的な依頼票はあなたの手に逆らわずこてんと転がり、水平方向へ広がり、より詳しい情報を画面に映し出した。
3頭身で表現された小柄なエクラ教司祭が単身で前線近くから後方に向かい、雑魔の目撃情報がある峠をわざわざ選んで地方都市に戻ろうとしているようだ。
3頭身が峠にさしかかる。羽が生えた猿が何体も3頭身に襲いかかり、3頭身ははしゃぎながら1体を倒した時点で体力切れ。後は滅多打ちにされて薄れて消えていく。
『司祭の警護をお願いしたい。急げばイコニア司祭が駐屯地から出発する前に合流できる。報酬は……』
伝令の声をそのまま記憶したのだろう。疲労で息も絶え絶えな伝令が、地形情報と報酬について詳しく説明していた。
『司祭のスキルは回復していないはずだ。1日で送り届けることができないと隊長の立場がまずくなるが、最悪複数日かかけてより安全な道を使っても構わない。司祭の安全を第一に考えてくれ。……これでいいか? すまんが水を』
伝令の声が唐突に途切れる。
あなたはこの依頼をうけてもうけなくてもいいが、うけるなら急いだ方がよいかもしれない。
解説
前線近くの駐屯地から、ハンターズソサエティ支部がある地方都市まで聖職者を送り届ける依頼です。
依頼主は王国に属する部隊の隊長。ハンターが希望すれば水や食糧や少々の物資は無償で提供してくれますが、馬や兵士は貸してくれません。
ハンターが駐屯地に到着するのは早朝です。
そこから選べるルートは2つ。1つは馬車1台通すのが精一杯の峠道。両側に林があり見通しが効きません。早足で移動すれば夕方には地方都市に到着します。このルートでは下にある雑魔が5体襲撃してきます。
もう1つは峠を迂回する平地の街道。馬車2台が並んで通れますが急いでも2日かかります。このルートでは下にある雑魔が3体襲撃してきます。
●登場雑魔
人間の子供サイズの猿に幅1メートルの蝙蝠状羽をつけた形の雑魔。地面から2メートル前後の高度を、馬未満覚醒者より上の速度で移動します。攻撃手段は雑魔にしては威力が高い牙のみ。狙いは比較的甘いです。基本戦術は、相手が疲れ果てるまで隙をうかがい続けるか、同じく相手が疲れ果てるまで接近と逃走を繰り返した後全員で襲いかかって攻撃です。雑魔の生命力が7割未満になると翼が機能しなくなり移動力がハンター未満になります。ハンターが翼に攻撃を直撃させた場合は7割以上でも機能停止しますけれども、翼を狙うと普通に狙うより命中率が低下します。
●登場NPC
イコニア。エクラ教の司祭です。依頼終了までスキル使用可能回数は0のままです。体調と体力が万全な場合は弱くありません。説得や誘導の難易度は低めで、1人が成功すれば依頼中ハンターの指示に従います。
依頼主は王国に属する部隊の隊長。ハンターが希望すれば水や食糧や少々の物資は無償で提供してくれますが、馬や兵士は貸してくれません。
ハンターが駐屯地に到着するのは早朝です。
そこから選べるルートは2つ。1つは馬車1台通すのが精一杯の峠道。両側に林があり見通しが効きません。早足で移動すれば夕方には地方都市に到着します。このルートでは下にある雑魔が5体襲撃してきます。
もう1つは峠を迂回する平地の街道。馬車2台が並んで通れますが急いでも2日かかります。このルートでは下にある雑魔が3体襲撃してきます。
●登場雑魔
人間の子供サイズの猿に幅1メートルの蝙蝠状羽をつけた形の雑魔。地面から2メートル前後の高度を、馬未満覚醒者より上の速度で移動します。攻撃手段は雑魔にしては威力が高い牙のみ。狙いは比較的甘いです。基本戦術は、相手が疲れ果てるまで隙をうかがい続けるか、同じく相手が疲れ果てるまで接近と逃走を繰り返した後全員で襲いかかって攻撃です。雑魔の生命力が7割未満になると翼が機能しなくなり移動力がハンター未満になります。ハンターが翼に攻撃を直撃させた場合は7割以上でも機能停止しますけれども、翼を狙うと普通に狙うより命中率が低下します。
●登場NPC
イコニア。エクラ教の司祭です。依頼終了までスキル使用可能回数は0のままです。体調と体力が万全な場合は弱くありません。説得や誘導の難易度は低めで、1人が成功すれば依頼中ハンターの指示に従います。
マスターより
ハンターの皆さんが、地方都市から駐屯地に到着するまでは雑魔からの襲撃はありません。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/25 21:22
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用 エイラ・エラル(ka2464) エルフ|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/07/23 21:44:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/20 14:20:48 |