• 冒険

海原と骸骨と謎の幽霊船

マスター:蒼かなた

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/08/18 22:00
リプレイ完成予定
2015/08/27 22:00

オープニング

●10年前
 物の輸送には幾つかの道がある。その中でも陸路、海路が主な輸送経路となっている。
 その2つのうちの海路についてだが、大量搬送や時間短縮の面で非情に優秀だ。船の大きさだけ積荷を載せ、障害物のない海を渡るのだから当然と言えば当然である。
 しかし、海路とはいえ危険がないわけじゃない。歪虚や水棲生物による襲撃もあるため、対抗手段としてハンターが同乗することもよくあることだ。
 だが、そのハンターでもどうしようもない事態と言うものがある。
 そう、天災だ。

「急いで帆を畳め! マストがもたねぇぞ!?」
 吹きすさぶ強風に真っ直ぐ立っているべきはずのマストが曲線を描き、大きく軋む音が船中に響いている。
 視界すら奪ってしまうほどの大粒の雨が甲板を叩きつけ、ドラムでも鳴らすかのような大きな音を立てる。
「横波に気をつけろ! 取り舵30度、急げ!」
 船の乗組員達は船長の指示の下、的確に船を操っていく。
 しかし、嵐はそれ以上に容赦なく、圧倒的な力を持って絶海で揺れる木の葉のように一つの帆船を弄ぶ。
「おい、船長! 大丈夫なのかっ。あの積荷は非常に高価な――」
 水夫には見えない、日焼けもしていない小奇麗な顔の男が船室から出てきて、船長に詰め寄ろうとした。
 だが、次の瞬間大きく横に傾く甲板、そして流れ込んでくる大量の海水に飲まれ、気づいた時にはその男の姿は消えていた。
「ちっ! だから船室で大人しくしておけと言ったんだ!」
 波に浚われた男を捜している暇などない。今はこの嵐を乗り切らなければ、どっちにしろ海の藻屑になるのだから。
 その時、マストに登っていた水夫が大声で悲鳴のような声を上げた。
「船長! 正面に何か影が!! な、なんだありゃぁ!?」
「くそっ! 全員、何かに掴まれぇ!!」
 何か大きな物体が船体にぶつかる。その衝撃で船体に罅が入り、マストの一本がへし折れてしまった。
 ソレはそのまま船にしがみ付き、一本の腕を甲板へと滑り込ませる。
「化け物が出た。早く、ハンターを呼べぇ!」
「駄目だっ。高波が、でかいっ。でかすぎるぞぉ!?」
 船長が叫ぶ。だが、さらに追い討ちをかけるように大きな波が船を襲った。船体に大きな損傷を受けていた船はそれに耐え切れず、そのまま波に飲まれてしまう。
 そして、船はそのまま深く暗い海底へと引きずりこまれていく。海流とは違う、別の何かの力によって。

●10年の時を経て
 辺境南東部、マギア砦の西に流れるナナミ河の河口の近く。
 そこには同盟などから辺境に物資を送る為の、ちょっとした規模の港町がある。
 常に船が行き交い。沢山の荷物を積んだり降ろしたりと世話しないが、それは日中の話。
 日の沈んだ頃には町の酒場は一杯になり、深夜過ぎまでその騒ぎが止むことはない。
 そんな酒場の扉が開き、1人の男が酒瓶を片手にふらふらと出てきた。
 用をたす為なのか、おぼつかない足取りで海辺のほうまで歩いていく。
 店から少し離れれば夜の町は真っ暗で、空の星が照らす薄明かりだけが便りだった。
 男は丁度良い場所を見つけたのか立ち止まる。と、その時視界を上げて海を見た。
「んっ、ありゃなんだ?」
 海の向こうで何かが海の上を進んでいる。丁度雲で月が隠れたせいで海の向こうは薄暗くよく見えないが、それはどうも船のように見えた。
 こんな時間に船を出している奴なんていないはずだが……そう思いながら男は目を凝らす。
 するとその船の船首の辺りに人影が見えた。それはどうやらこちらに向かって手を振っているように見える。
 その時、月を隠していた雲がすっと流れていった。明るい光が海全体を照らして行く。
 そこで男はその船の姿をはっきりと見た。その船の船体はぼろぼろで、マストも折れ曲がっていてとても航行出来るような状態ではない。
 さらに、こちらに向かって手を振っていた影は人間ではなかった。白い硬質な頭蓋骨を晒す、襤褸切れを纏う骸骨の水夫。

 ――グルロロロォォォッ!

 そして、そのボロ船のほうから突然。低くまるで生物が鳴くような不気味な音が響き渡る。
「んっ、なあぁぁぁっ!?」
 男が悲鳴を上げたところでまた空の雲が流れ、船を照らし出していた月が隠されていく。
 暗くなって行く海原の景色に溶けるようにして、動く骸骨を乗せたボロボロの船は海の向こうへと消えて行った。
 ――ニィ
 腰を抜かして地面に倒れこんだ男を見下ろすような高い建物の屋上で、一匹の白猫が鳴いた。
「うん。もしかしたら、あの船にあるかもしれない」
 その隣に立つ小さな影が、小さな相棒にそう言葉を返した。

●ハンターオフィス
「今回のお仕事は幽霊船の調査です」
 ハンターオフィスの一室に集められたハンター達に、オフィス職員が今回の依頼について説明を始める。
 場所は辺境の南東部にある港町の近海。そこに出没するようになった幽霊船について調べることである。
 目撃情報によると船はかなり傷んでおり、海面に浮いているのが不思議なくらいだという。もしかすると、船自体が歪虚化している可能性がある。
 また船の上には動きまわる骸骨が多数目撃されており、こちらも元船員達の遺体が歪虚化した可能性がある。
「今のところこれといった被害は出ていませんが、港町の住人達も気味悪がっています」
 故に調査依頼。しかし、相手が歪虚だと判明したらそれを討伐する必要が出てくるだろう。そこも含めての今回の依頼だ。
「信心深い人は何かの不吉な予兆だと言って、海に出たがらないという人も出ています。ですから、出来るだけ早い解決が望まれます」
 一連の説明が終わり、最終的にハンター達に1隻の船が貸し出されることも告げられる。
「皆様の健闘を祈ります」

解説

【依頼内容】
 幽霊船の調査(もし歪虚であった場合はその討伐も含む)

【幽霊船情報】
 辺境の南東部に広がる大海原に現れる、ボロボロの船。
 全長50mほどの帆船であることが分かっているが、甲板や船内の情報は不明。
 最近になって、毎晩夜になると港町の近海に出没するようになった。

【敵情報】
 骸骨
  恐らく幽霊船の乗組員が歪虚化してしまったもの。
  目撃情報では武器などは持っていないらしいが、しかしその数は10は下らなかったという。

 ???
  幽霊船が現れると共に、不気味な鳴き声が響き渡ることが分かっている。
  歪虚がした幽霊船の叫び、または船内にいる何かの声かもしれない。

【船】
 港町の協力で出して貰う船。30mほどの帆船。
 船員が10人ほど一緒に乗り込むので、船の操舵は任せて問題ない。尚、全員一般人なので戦闘には参加できない。

【少女と白猫】
 シャルとだけ名乗る茜色の髪に浅黒い肌をした少女。それとそのペットの白猫。
 少女は覚醒者らしいがクラスなどは不明。大剣を背負っていることから近接戦闘タイプと思われる。
 依頼を受けたハンター達とは別にこの依頼を受けたらしい。船に同乗しており、幽霊船の調査と歪虚の退治を手伝うと言っている。

マスターより

皆さんこんにちわ。蒼かなたです。
今回はちょっぴりホラーな幽霊船の調査のお仕事です。ただ、何やら簡単には済まない様子なのでご注意を。
シャルという少女に関して気になる方は私の過去依頼『鉱山とスライムと謎の白猫』『草原とゴブリンと謎の少女』『断崖と翼竜と謎の秘宝』をご確認ください。勿論こちらを読まずとも全く問題はありません。
では、宜しければご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/08/21 19:13

参加者一覧

  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 面倒見のいいお兄さん
    沢城 葵(ka3114
    人間(蒼)|28才|男性|魔術師
  • 現代っ子
    高円寺 義経(ka4362
    人間(蒼)|16才|男性|疾影士
  • 藤光癒月
    青山 りりか(ka4415
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • 希望の火を灯す者
    ネムリア・ガウラ(ka4615
    エルフ|14才|女性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/15 08:35:42
アイコン 相談卓
高円寺 義経(ka4362
人間(リアルブルー)|16才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/08/18 21:32:29