ゲスト
(ka0000)
墓荒らし
マスター:江口梨奈

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 6~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/06/16 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/06/25 12:00
オープニング
たかが山奥の墓守とはいえ、これでもなかなか忙しいのだ。
賑やかな王都からはずれ、河も遠ければまともな道もなく、不便この上ない。けれど、奇跡的に開けた平らな場所があり、しかし農地にできるほど肥えた土でもないとなると、しぜん、行き倒れた旅人などが眠る場所となった、らしい。
らしい、というのは、あまりにも昔からありすぎて、現在の墓守であるトムも伝聞でしか知らないからだ。この場所は、血族が代々引き継いでいるわけではない。トムのように信仰心が篤く、名も知らぬ他人のために涙を流すことを厭わず、この墓を守ることが使命であると思える人間に託され続けてきたのだ。
この時代、行き倒れは珍しくない。旅の途中で力尽きた者、厄災から身を守りきれなかった者、世界を蝕む魔と戦い破れた者、さまざまだ。偶然訪れたこの地で、後継者を捜す先代の墓守の話を聞き、感銘を受けて若いながらも引き受けた、とこういうわけだ。
墓守というと、陰気くさい場所で死者と暮らしているという暗いイメージがあるかもしれないが、存外慌ただしく毎日を過ごしている。どの墓にどんな人が眠り、どんなものを身につけていたか、細かく管理するのがもっぱらの仕事だ。
不便な山奥であっても精霊には関係ないようで、頻繁にパルムも現れる。この場所を知らない街の人間もいるだろうから、トムはパルムにその管理した一覧を積極的に見せてやる。すると満足するのか、またどこかへいく。山奥で一人で暮らすトムにとって貴重な話し相手なのだが、あのキノコたちはトムそのものにあまり関心がないようで、彼が一方的に喋ってばかりだ。なんとも寂しい限りである。
しかし、そうやってパルムが行き来してくれるからか、時々、「あの行き倒れは自分の身内かもしれない」という客がやってくる。となると、墓守はその行き倒れが遺した品を客に見せてやる。客が来るなら茶も出さねばならぬ。茶を出すなら器も用意しなくてはならない。これでもなかなか忙しいのだ。
この日も、姉妹だという2人の女性が来た。2人とも20歳そこそこだろうか。こんな場所まで来るには大変だったろうに。
「行商に行った兄が、何日も戻ってこないのです」
特徴を聞けば、トムもまだ覚えていた、比較的最近に運ばれた男性のことを。可哀想に野盗にでも遭ったのか、身ぐるみ剥がされていた。残っていたのは、なんの特徴もない衣類だけであったが、それを見せると姉妹ははらはらと涙をこぼした。
「間違いありません、家を出た日に、兄が着ていたものです」
「そうですか……ご愁傷様です。この方のお墓は、こちらです」
そう言って表の墓地へ案内しようとしたときだ。墓地向こうの繁みで、何か大きく動くものがあった。
「なに……熊かしら?」
繁みのざわめきが大きくなったかと思うと、突然、黒い塊が飛び出してきた。
「出るな!!」
トムは慌てて姉妹を家に押し戻し、戸を閉めた。戸に何かぶつかった音がして、小さな家が大きく揺れた。またぶつかる音。振動。
「ひいっ!」
震える膝を引きずるように窓まで行き、そこからそっと外を覗く。熊ほどの大きさの狼、いや、厳密には『狼のような四つ足の姿をしたモノ』が、1……2、いや、3匹だ。
「あれは……」
トムには分かった、あれは『世界を蝕む闇』、ヴォイドだと。
見慣れた獣とは似ても似つかない。毛のない、丸くのっぺりした顔に、異様な大きさの鼻。その下にあるのは口か、尖った歯が乱雑に並び、涎を垂らしている。胴体は毛むくじゃらで、背中はくの字に曲がり、蚤のように時々飛び跳ねていた。
2匹が、地面に鼻を擦りつけ、匂いをかぐような動作をしながら這い回っていた。するとしつこく戸に体当たりをしていた1匹もそちらに興味を移し、家からようやく離れた。魔物たちは匂いをかぎながら墓の前で止まり、足下を掘り始めたのだ。
「いやあッ…………!!!!」
姉妹が、泣き叫びそうになるのを必死で堪える。化け物は、掘り当てた棺を易々と壊し、中に納められていた、まだ形の残っている人の体にかぶりついた。
それはいわゆる食欲を満たすためか、面白い玩具を見つけたから遊ぶためか、不愉快な腐臭の元を断ち切りたかったからか、……理由はともかく、ヴォイドは死者を蹂躙しはじめたのだ。
「私たちも殺されるの!?」
「まさか! すぐにハンターを呼ぼう。あんな化け物、すぐに退治してくれるさ!!」
賑やかな王都からはずれ、河も遠ければまともな道もなく、不便この上ない。けれど、奇跡的に開けた平らな場所があり、しかし農地にできるほど肥えた土でもないとなると、しぜん、行き倒れた旅人などが眠る場所となった、らしい。
らしい、というのは、あまりにも昔からありすぎて、現在の墓守であるトムも伝聞でしか知らないからだ。この場所は、血族が代々引き継いでいるわけではない。トムのように信仰心が篤く、名も知らぬ他人のために涙を流すことを厭わず、この墓を守ることが使命であると思える人間に託され続けてきたのだ。
この時代、行き倒れは珍しくない。旅の途中で力尽きた者、厄災から身を守りきれなかった者、世界を蝕む魔と戦い破れた者、さまざまだ。偶然訪れたこの地で、後継者を捜す先代の墓守の話を聞き、感銘を受けて若いながらも引き受けた、とこういうわけだ。
墓守というと、陰気くさい場所で死者と暮らしているという暗いイメージがあるかもしれないが、存外慌ただしく毎日を過ごしている。どの墓にどんな人が眠り、どんなものを身につけていたか、細かく管理するのがもっぱらの仕事だ。
不便な山奥であっても精霊には関係ないようで、頻繁にパルムも現れる。この場所を知らない街の人間もいるだろうから、トムはパルムにその管理した一覧を積極的に見せてやる。すると満足するのか、またどこかへいく。山奥で一人で暮らすトムにとって貴重な話し相手なのだが、あのキノコたちはトムそのものにあまり関心がないようで、彼が一方的に喋ってばかりだ。なんとも寂しい限りである。
しかし、そうやってパルムが行き来してくれるからか、時々、「あの行き倒れは自分の身内かもしれない」という客がやってくる。となると、墓守はその行き倒れが遺した品を客に見せてやる。客が来るなら茶も出さねばならぬ。茶を出すなら器も用意しなくてはならない。これでもなかなか忙しいのだ。
この日も、姉妹だという2人の女性が来た。2人とも20歳そこそこだろうか。こんな場所まで来るには大変だったろうに。
「行商に行った兄が、何日も戻ってこないのです」
特徴を聞けば、トムもまだ覚えていた、比較的最近に運ばれた男性のことを。可哀想に野盗にでも遭ったのか、身ぐるみ剥がされていた。残っていたのは、なんの特徴もない衣類だけであったが、それを見せると姉妹ははらはらと涙をこぼした。
「間違いありません、家を出た日に、兄が着ていたものです」
「そうですか……ご愁傷様です。この方のお墓は、こちらです」
そう言って表の墓地へ案内しようとしたときだ。墓地向こうの繁みで、何か大きく動くものがあった。
「なに……熊かしら?」
繁みのざわめきが大きくなったかと思うと、突然、黒い塊が飛び出してきた。
「出るな!!」
トムは慌てて姉妹を家に押し戻し、戸を閉めた。戸に何かぶつかった音がして、小さな家が大きく揺れた。またぶつかる音。振動。
「ひいっ!」
震える膝を引きずるように窓まで行き、そこからそっと外を覗く。熊ほどの大きさの狼、いや、厳密には『狼のような四つ足の姿をしたモノ』が、1……2、いや、3匹だ。
「あれは……」
トムには分かった、あれは『世界を蝕む闇』、ヴォイドだと。
見慣れた獣とは似ても似つかない。毛のない、丸くのっぺりした顔に、異様な大きさの鼻。その下にあるのは口か、尖った歯が乱雑に並び、涎を垂らしている。胴体は毛むくじゃらで、背中はくの字に曲がり、蚤のように時々飛び跳ねていた。
2匹が、地面に鼻を擦りつけ、匂いをかぐような動作をしながら這い回っていた。するとしつこく戸に体当たりをしていた1匹もそちらに興味を移し、家からようやく離れた。魔物たちは匂いをかぎながら墓の前で止まり、足下を掘り始めたのだ。
「いやあッ…………!!!!」
姉妹が、泣き叫びそうになるのを必死で堪える。化け物は、掘り当てた棺を易々と壊し、中に納められていた、まだ形の残っている人の体にかぶりついた。
それはいわゆる食欲を満たすためか、面白い玩具を見つけたから遊ぶためか、不愉快な腐臭の元を断ち切りたかったからか、……理由はともかく、ヴォイドは死者を蹂躙しはじめたのだ。
「私たちも殺されるの!?」
「まさか! すぐにハンターを呼ぼう。あんな化け物、すぐに退治してくれるさ!!」
解説
墓場に現れた3体のヴォイドを退治し、取り残されている墓守トムと姉妹を救出して下さい。現段階で言えば、救出さえできれば良いのですが、トムの現在の住居はこの場所であり、ヴォイドが残ったままでは根本的な解決にはなりません。
ヴォイドはその外見から、下等なものと思われますが、熊ほどの大きさ、狼ほどの俊敏さ、跳躍力もありそうです。いまは死体をあさっていますが、これが特に好んでのことか単なる気まぐれかは不明、もっと興味を引く餌があれば離れる可能性もあります。
姉妹の兄の墓はまだ無事ですが、このままでは時間の問題でしょう。
現場は山奥の、平らに開けた墓地。不便な位置とありますが一般人にとってのみで、ハンターの皆さんは気にしなくて大丈夫です。目立つ遮蔽物はありません。墓地以外は鬱蒼とした広い山、もし取り逃がすことがあれば捜索は困難になるでしょう。
ヴォイドはその外見から、下等なものと思われますが、熊ほどの大きさ、狼ほどの俊敏さ、跳躍力もありそうです。いまは死体をあさっていますが、これが特に好んでのことか単なる気まぐれかは不明、もっと興味を引く餌があれば離れる可能性もあります。
姉妹の兄の墓はまだ無事ですが、このままでは時間の問題でしょう。
現場は山奥の、平らに開けた墓地。不便な位置とありますが一般人にとってのみで、ハンターの皆さんは気にしなくて大丈夫です。目立つ遮蔽物はありません。墓地以外は鬱蒼とした広い山、もし取り逃がすことがあれば捜索は困難になるでしょう。
マスターより
ども、貴方の江口梨奈です。ハンターの皆様、新しい冒険にようこそ。
というわけで、最初なのでシンプルな依頼にしてみました。特にウラや仕掛けもありませんので、思い切り暴れてみて下さい。
それでは、頑張って下さい。
というわけで、最初なのでシンプルな依頼にしてみました。特にウラや仕掛けもありませんので、思い切り暴れてみて下さい。
それでは、頑張って下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/06/21 05:58
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/13 00:11:41 |
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相談卓 シェリル・マイヤーズ(ka0509) 人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/06/15 22:04:31 |