ゲスト
(ka0000)
聲
マスター:一縷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 3日
- プレイング締切
- 2015/08/20 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/29 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●行くべき場所
夏。
カーテンを開いた窓から差し込むのは強い陽射し。
普段ならば外出することも億劫になり、一日を比較的涼しい室内で過ごしてしまおうかと考えてしまうくらいだ。
しかし、今日は行くところが……いや、行かなくてはいけない所がある。
「暑いなぁ……」
昼下がり。太陽が真上から地上を照らす時間。
少女は額に滲む汗を手の甲で拭いながら、ある道を歩む。日除けにと麦わら帽子を被って来たが、あまり意味をなしていないようにも思えて仕方がない。
手には、街で購入した小さな花と水。早く目的地に到着しなければ花が枯れてしまうのではないだろうかと錯覚してしまう程の暑さだ。
少女は立ち止まり、行く先を見つめる。
街から少し外れた場所にある、ずうっと奥へと繋がる一本道。その道を、まるで導かれているかのように少女は再び歩み始めた。
●眠る場所
先程までの強い陽射しが覆い茂る木々に遮られ、木々の隙間から疎らに陽射しが差し込む場所。
どこからともなく涼しい風が吹き抜けては、暑さなど忘れさせてくれる場所。
そんな場所にひっそりと在る大きな石。
ここが、少女の目的地。
他人が見ればただの大きな石。そう、どこにでもあるような、なんの変哲もないただの石。
だが、少女にとっては大切な場所であり、なにものにも代えられない、ただひとつもの。
「こんにちは。今日も、暑いですね」
もちろん人は居ない。
少女は汚れることも厭わずにその場に膝をつき、その大きな石に水をかけてから花を添え、
「……そっちも暑いですか?」
ゆっくりと語りかけながら両手を合わせて目を伏せる。
――墓石。
「私は、元気です。お義母さん」
少女はリアルブルーからの転移者だ。
道端で倒れていたところを助けてくれたのが、今、お義母さんと呼んだ女性。
とても優しい女性だった。
意識を取り戻した少女は混乱し、慌てた。当然だ。突然、知らない場所で目を覚まし、知らない場所に一人ぼっち。
泣かない日はなかった。辛くて、苦しくて、……皆に、友達に、何より家族に会いたくて。
そんな時、傍に居てくれたのがお義母さんだった。
優しく抱きしめてくれたのも彼女で、受け止めてくれたのも彼女で。
寂しいと言う気持ちに偽りはないけれど、彼女のおかげで少女は普段通りの笑顔を取り戻していった。
ここの生活にも慣れ、彼女とも打ち解けてきた頃だ。少女が、彼女の病気に気づいたのは――。
すぐに思いついたのは恩返しだった。
自分が受けてきた以上のものを返したい。彼女のおかげで今の私は生きているのだと。
「今年も、美味しい野菜がいっぱい採れました」
彼女が亡くなったのはそれから数年も経たない、今日。
ありがとう、と言い残して息を引き取った彼女の姿は今でも脳裏に焼き付いている。
そっと墓石に指を滑らせれば、指先から伝わるのはヒヤリとした冷たい感触。
生前は感じられたぬくもりは感じられない。当たり前か、と少女は自嘲を零す。
「また、来ますね?」
膝についた砂を払いながら少女は立ち上がる。もう一度だけ両手を合わせてから、振り返ることもなくその場を離れた。
●声と聲
街で夕食の食材を購入してから帰路につく。
日は陰り、昼間の陽射しは少しだけ抑えられていた。それでも特有の暑さは残したままで。
「ただいまー」
もちろん、家には誰も居ない。
鍵を開けて扉を開けて中に入って……この言葉をいう。それが染みついた習慣。
それは彼女が亡くなってからも変わらなかった。
二度と返ってくることのない返事に毎度寂しさを感じてしまうが、やめようという気にはならない。
今日も返事を待たず扉を閉めようとした瞬間、ざあっと音を立てながら風が少女の横を吹き抜ける。
「え……?」
少女は耳を疑った。
聞こえるはずのない聲。しかし、はっきりと聞こえた。ずっと聞きたくて待ち焦がれた、聲。
例え、それが思い過ごしでもいい。都合のいいように解釈したって思われても構わない。
「……ただいま」
そう呟いた少女の口元には、小さな微笑が浮かんでいた。
――おかえり。
●行くべき場所
夏。
カーテンを開いた窓から差し込むのは強い陽射し。
普段ならば外出することも億劫になり、一日を比較的涼しい室内で過ごしてしまおうかと考えてしまうくらいだ。
しかし、今日は行くところが……いや、行かなくてはいけない所がある。
「暑いなぁ……」
昼下がり。太陽が真上から地上を照らす時間。
少女は額に滲む汗を手の甲で拭いながら、ある道を歩む。日除けにと麦わら帽子を被って来たが、あまり意味をなしていないようにも思えて仕方がない。
手には、街で購入した小さな花と水。早く目的地に到着しなければ花が枯れてしまうのではないだろうかと錯覚してしまう程の暑さだ。
少女は立ち止まり、行く先を見つめる。
街から少し外れた場所にある、ずうっと奥へと繋がる一本道。その道を、まるで導かれているかのように少女は再び歩み始めた。
●眠る場所
先程までの強い陽射しが覆い茂る木々に遮られ、木々の隙間から疎らに陽射しが差し込む場所。
どこからともなく涼しい風が吹き抜けては、暑さなど忘れさせてくれる場所。
そんな場所にひっそりと在る大きな石。
ここが、少女の目的地。
他人が見ればただの大きな石。そう、どこにでもあるような、なんの変哲もないただの石。
だが、少女にとっては大切な場所であり、なにものにも代えられない、ただひとつもの。
「こんにちは。今日も、暑いですね」
もちろん人は居ない。
少女は汚れることも厭わずにその場に膝をつき、その大きな石に水をかけてから花を添え、
「……そっちも暑いですか?」
ゆっくりと語りかけながら両手を合わせて目を伏せる。
――墓石。
「私は、元気です。お義母さん」
少女はリアルブルーからの転移者だ。
道端で倒れていたところを助けてくれたのが、今、お義母さんと呼んだ女性。
とても優しい女性だった。
意識を取り戻した少女は混乱し、慌てた。当然だ。突然、知らない場所で目を覚まし、知らない場所に一人ぼっち。
泣かない日はなかった。辛くて、苦しくて、……皆に、友達に、何より家族に会いたくて。
そんな時、傍に居てくれたのがお義母さんだった。
優しく抱きしめてくれたのも彼女で、受け止めてくれたのも彼女で。
寂しいと言う気持ちに偽りはないけれど、彼女のおかげで少女は普段通りの笑顔を取り戻していった。
ここの生活にも慣れ、彼女とも打ち解けてきた頃だ。少女が、彼女の病気に気づいたのは――。
すぐに思いついたのは恩返しだった。
自分が受けてきた以上のものを返したい。彼女のおかげで今の私は生きているのだと。
「今年も、美味しい野菜がいっぱい採れました」
彼女が亡くなったのはそれから数年も経たない、今日。
ありがとう、と言い残して息を引き取った彼女の姿は今でも脳裏に焼き付いている。
そっと墓石に指を滑らせれば、指先から伝わるのはヒヤリとした冷たい感触。
生前は感じられたぬくもりは感じられない。当たり前か、と少女は自嘲を零す。
「また、来ますね?」
膝についた砂を払いながら少女は立ち上がる。もう一度だけ両手を合わせてから、振り返ることもなくその場を離れた。
●声と聲
街で夕食の食材を購入してから帰路につく。
日は陰り、昼間の陽射しは少しだけ抑えられていた。それでも特有の暑さは残したままで。
「ただいまー」
もちろん、家には誰も居ない。
鍵を開けて扉を開けて中に入って……この言葉をいう。それが染みついた習慣。
それは彼女が亡くなってからも変わらなかった。
二度と返ってくることのない返事に毎度寂しさを感じてしまうが、やめようという気にはならない。
今日も返事を待たず扉を閉めようとした瞬間、ざあっと音を立てながら風が少女の横を吹き抜ける。
「え……?」
少女は耳を疑った。
聞こえるはずのない聲。しかし、はっきりと聞こえた。ずっと聞きたくて待ち焦がれた、聲。
例え、それが思い過ごしでもいい。都合のいいように解釈したって思われても構わない。
「……ただいま」
そう呟いた少女の口元には、小さな微笑が浮かんでいた。
――おかえり。
解説
●依頼内容
この依頼は、お墓参りをするというものになります。
報酬は出ませんのでご注意ください。
忙しい毎日に追われる日々。ふと思い出すのは亡き大切な人の姿、存在。
普段は中々行けない大切な人が眠る場所に、今――足を運んだアナタは何を思いますか?
この地を訪れたアナタは、どんなふうに今、この瞬間を過ごすのでしょうか……。
●状況
お墓の場所は王国やリゼリオといった場所になります。
個々にお墓参りをする為、他の方と遭遇することはありません。
もし、同行者がいらっしゃいましたら、【同行者名(ID)】を明記ください。
この依頼は、お墓参りをするというものになります。
報酬は出ませんのでご注意ください。
忙しい毎日に追われる日々。ふと思い出すのは亡き大切な人の姿、存在。
普段は中々行けない大切な人が眠る場所に、今――足を運んだアナタは何を思いますか?
この地を訪れたアナタは、どんなふうに今、この瞬間を過ごすのでしょうか……。
●状況
お墓の場所は王国やリゼリオといった場所になります。
個々にお墓参りをする為、他の方と遭遇することはありません。
もし、同行者がいらっしゃいましたら、【同行者名(ID)】を明記ください。
マスターより
こんにちは、お久しぶりです。一縷です。
お盆、ということもあり、心情メインでこういった依頼もと思いまして、書かせていただきました。
諸事情により、相談期間を短くさせていただいていますので、ご注意ください。
今回は、お墓参りをするというお話になりますが、もちろん、お墓がなくても構いません。
その場で目を伏せ、今は亡き故人を思う……それだけでも十二分です。
アナタの『今』を、届けてみませんか?
●プレイングについて
PC口調or台詞を書いていただけますと、とても助かります。
また、ここだけは外せないorこれだけはしない、などありましたら一言添えてください。
お盆、ということもあり、心情メインでこういった依頼もと思いまして、書かせていただきました。
諸事情により、相談期間を短くさせていただいていますので、ご注意ください。
今回は、お墓参りをするというお話になりますが、もちろん、お墓がなくても構いません。
その場で目を伏せ、今は亡き故人を思う……それだけでも十二分です。
アナタの『今』を、届けてみませんか?
●プレイングについて
PC口調or台詞を書いていただけますと、とても助かります。
また、ここだけは外せないorこれだけはしない、などありましたら一言添えてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/27 16:05
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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今は亡き大切な人に捧げる。 ミューレ(ka4567) エルフ|50才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/08/19 23:32:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/20 12:33:59 |