ゲスト
(ka0000)
栄光の残影
マスター:瀬川綱彦

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 6~8人
- サポート
- 現在2人 / 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/03 19:00
オープニング
●奪われるくらいなら、この手で
――黄金。
光を反射し金色に輝く姿は魔性だ。金の持つ価値は、これまで多くの人間を狂気に堕としたのは疑うまでもない。権力者が身につける財宝としては、実にわかりやすいものであろう。
そしてここにも心を惑わされた者がひとり。
「ヒューーー……」
ぼろ切れ同然のマントを羽織った男の口笛が、薄暗い石造りの壁に溶け込んでいく。
男の手にしたランタンの光を反射して、眼下の棺が金色に輝いていた。学のない男であったが、それでもこの棺が自分では想像もつかぬほど古い時代のものであることはわかったし――価値があるものだということもわかった。
男は遺跡荒らしだった。遺跡に侵入し、価値のあるものをほかの誰よりもはやく強奪する。学術的価値など彼の興味にはない。金になるか、ならないか。それだけが判断基準だった。
その点これは、満点だった。
警備の隙を縫って入ってきてみたはいいものの、この最深部に来るまで金目のものらしいものはなく落胆していた。が、この装飾を見れば期待はふくれあがるというものだ。
どこに財宝があるかは判らないが、まずはこの棺を開けてみれば手がかりも見つかろうというものである。男は目先の欲に目がくらんで棺の蓋を持ち上げた。
ランタンの灯りが棺の中を照らし出す。
横たわった死体と――ところ狭しと詰め込まれた、財宝。
「おおっ!」
男は思わず、指輪やネックレスといった金銀財宝を両手でわしづかみにする。腕にかかる重さに笑い出しそうだった。自分のような人間ならば、この手の中の宝石で何ヶ月、何年生活できるだろうか? 人生を数度はやり直せそうな財宝の数々に、男は感動のあまり腰を抜かしそうだった。
がくり、と。それはあまりの重さ故か、手から財宝を取りこぼしてしまう。石畳の上に貴金属が音を立てて転がっていって男は舌を打った。
「いっけねえ、もっと大事にしねえと」
浮かれていた気分が冷め、落とした物を拾うために腰を下ろそうとした。
片腕が動かなかった。
宝石を取りこぼした方の腕だ。それが妙に重くて動かない。いや、腕は下にも動かない。重いのではなかった。
棺の中のミイラが、男の腕を掴んでいた。
ミイラの双眸が男を見た。ぞっとした。目だ。ミイラには目があった。それは黄金の目だった。
ダン、ダン、ダンといくつもの音が暗闇を切り裂く。
ほかにもいくつか並んでいた棺の蓋がはじけ飛び、中からミイラが姿を覗かせていた。
ミイラの一体が、床に散乱した金を拾い上げると――歯でかみ砕いた。
バリバリバリと砕け散る音は金かそれとも歯か顎か。ミイラたちは物言わずに朽ちて干からびた喉で嚥下する。
彼らは遺跡荒らしには目もくれず、黙々と宝石を、金を、銀を、鉄を食む。それが自分の役目だとばかりに。
異様な光景に、遺跡荒らしの男は震えた。
そして、自分の腕を掴むミイラを今一度直視した。
黄金の目だ。金色の目ではない。落ちくぼんだ眼窩には瞳の代わりに黄金が流し込まれて、固まっていたのだ。
金に惑わされた者の狂気の目だった。
その目はこう告げていた。
――財宝は、渡さぬ。
●トレジャーハント
「……皆様、今日はある遺跡に現れたミイラを倒していただきたいのです」
男の話が終わるのを待っていたのか。ハンターオフィスの一画にて、眼鏡をかけた受付嬢が依頼を切り出した。それにしても、なにか歯切れの悪い言い回しだった。殲滅でも全滅でもなく、倒す、とは。
「数が多すぎるのさ」
ハンターの疑問に答えたのは、先程まで語っていたみすぼらしいマントの男だった。
「棺は全部で十六だ。それだけの奴らがあんな狭い遺跡でうじゃうじゃしてやがる。しかもだ、財宝を少しでも持って逃げようとしたら追ってくるときてる! お陰で財宝は全部遺跡に捨ててきちまったよ」
最悪だぜ、と吐き捨てた男の表情が途端に喜びに変わる。うさんくさい儲け話を持ちかけてくる者特有の、妙に人当たりの良い笑顔だ。
「だからおまえらには頭数を減らしてもらうだけでいい。そうしたら財宝を持ち出すのも可能になるって寸法さ。で、俺とおまえらでそれを山分け。どうだ、いい話だろ?」
「こちら、今回の依頼人の方なのですが」
受付嬢が手をたたくと、ぞろぞろと厳つい男たちがやってきてマントの男を拘束する。
「遺跡荒らしのたぐいですので、通報させてもらいました」
「ここまで話させてそりゃないだろ! 黙認ってことじゃねーのかよ! 待てコラおーーーい! 許してくれーーー!」
遠のいていく男を黙殺しつつ、受付嬢が話を続けた。
「……ですので、今回の報酬は公共の団体から出ることになります。比較的近代の遺跡のようですが、貴重なことに変わりはありませんから。財宝を持ち帰っても皆様の手には渡りませんが、相応の謝礼ははずんでくれるそうです。今回のミイラは財宝を食べるとのこと。おそらくは埋葬された人々が恩讐により雑魔化したものでしょう、財宝を食い尽くした後の行動が未知数ですので早急に退治をお願いします」
と、言い終わって、最後にふとつぶやいた。
「いつの時代も人は金喰い蟲ですね」
――黄金。
光を反射し金色に輝く姿は魔性だ。金の持つ価値は、これまで多くの人間を狂気に堕としたのは疑うまでもない。権力者が身につける財宝としては、実にわかりやすいものであろう。
そしてここにも心を惑わされた者がひとり。
「ヒューーー……」
ぼろ切れ同然のマントを羽織った男の口笛が、薄暗い石造りの壁に溶け込んでいく。
男の手にしたランタンの光を反射して、眼下の棺が金色に輝いていた。学のない男であったが、それでもこの棺が自分では想像もつかぬほど古い時代のものであることはわかったし――価値があるものだということもわかった。
男は遺跡荒らしだった。遺跡に侵入し、価値のあるものをほかの誰よりもはやく強奪する。学術的価値など彼の興味にはない。金になるか、ならないか。それだけが判断基準だった。
その点これは、満点だった。
警備の隙を縫って入ってきてみたはいいものの、この最深部に来るまで金目のものらしいものはなく落胆していた。が、この装飾を見れば期待はふくれあがるというものだ。
どこに財宝があるかは判らないが、まずはこの棺を開けてみれば手がかりも見つかろうというものである。男は目先の欲に目がくらんで棺の蓋を持ち上げた。
ランタンの灯りが棺の中を照らし出す。
横たわった死体と――ところ狭しと詰め込まれた、財宝。
「おおっ!」
男は思わず、指輪やネックレスといった金銀財宝を両手でわしづかみにする。腕にかかる重さに笑い出しそうだった。自分のような人間ならば、この手の中の宝石で何ヶ月、何年生活できるだろうか? 人生を数度はやり直せそうな財宝の数々に、男は感動のあまり腰を抜かしそうだった。
がくり、と。それはあまりの重さ故か、手から財宝を取りこぼしてしまう。石畳の上に貴金属が音を立てて転がっていって男は舌を打った。
「いっけねえ、もっと大事にしねえと」
浮かれていた気分が冷め、落とした物を拾うために腰を下ろそうとした。
片腕が動かなかった。
宝石を取りこぼした方の腕だ。それが妙に重くて動かない。いや、腕は下にも動かない。重いのではなかった。
棺の中のミイラが、男の腕を掴んでいた。
ミイラの双眸が男を見た。ぞっとした。目だ。ミイラには目があった。それは黄金の目だった。
ダン、ダン、ダンといくつもの音が暗闇を切り裂く。
ほかにもいくつか並んでいた棺の蓋がはじけ飛び、中からミイラが姿を覗かせていた。
ミイラの一体が、床に散乱した金を拾い上げると――歯でかみ砕いた。
バリバリバリと砕け散る音は金かそれとも歯か顎か。ミイラたちは物言わずに朽ちて干からびた喉で嚥下する。
彼らは遺跡荒らしには目もくれず、黙々と宝石を、金を、銀を、鉄を食む。それが自分の役目だとばかりに。
異様な光景に、遺跡荒らしの男は震えた。
そして、自分の腕を掴むミイラを今一度直視した。
黄金の目だ。金色の目ではない。落ちくぼんだ眼窩には瞳の代わりに黄金が流し込まれて、固まっていたのだ。
金に惑わされた者の狂気の目だった。
その目はこう告げていた。
――財宝は、渡さぬ。
●トレジャーハント
「……皆様、今日はある遺跡に現れたミイラを倒していただきたいのです」
男の話が終わるのを待っていたのか。ハンターオフィスの一画にて、眼鏡をかけた受付嬢が依頼を切り出した。それにしても、なにか歯切れの悪い言い回しだった。殲滅でも全滅でもなく、倒す、とは。
「数が多すぎるのさ」
ハンターの疑問に答えたのは、先程まで語っていたみすぼらしいマントの男だった。
「棺は全部で十六だ。それだけの奴らがあんな狭い遺跡でうじゃうじゃしてやがる。しかもだ、財宝を少しでも持って逃げようとしたら追ってくるときてる! お陰で財宝は全部遺跡に捨ててきちまったよ」
最悪だぜ、と吐き捨てた男の表情が途端に喜びに変わる。うさんくさい儲け話を持ちかけてくる者特有の、妙に人当たりの良い笑顔だ。
「だからおまえらには頭数を減らしてもらうだけでいい。そうしたら財宝を持ち出すのも可能になるって寸法さ。で、俺とおまえらでそれを山分け。どうだ、いい話だろ?」
「こちら、今回の依頼人の方なのですが」
受付嬢が手をたたくと、ぞろぞろと厳つい男たちがやってきてマントの男を拘束する。
「遺跡荒らしのたぐいですので、通報させてもらいました」
「ここまで話させてそりゃないだろ! 黙認ってことじゃねーのかよ! 待てコラおーーーい! 許してくれーーー!」
遠のいていく男を黙殺しつつ、受付嬢が話を続けた。
「……ですので、今回の報酬は公共の団体から出ることになります。比較的近代の遺跡のようですが、貴重なことに変わりはありませんから。財宝を持ち帰っても皆様の手には渡りませんが、相応の謝礼ははずんでくれるそうです。今回のミイラは財宝を食べるとのこと。おそらくは埋葬された人々が恩讐により雑魔化したものでしょう、財宝を食い尽くした後の行動が未知数ですので早急に退治をお願いします」
と、言い終わって、最後にふとつぶやいた。
「いつの時代も人は金喰い蟲ですね」
解説
勝利条件:ミイラ16体中8体以上撃破すること
敗北条件:上記が達成できない場合
■現在状況
遺跡内には貴重な貴金属類が数多くあり、なぜかミイラたちは一心不乱に金属を体内へと処分している様が報告されています。
それらは資料的、財産的価値のある可能性がありますので、早急にミイラを撃退してください。ただし、数が多いため、半減させることができれば成功とします。これは頭数を減らすことで財宝の損傷速度を減らし、別の者たちに業務を委託させることが目的です。
無論、全滅させるのが最上です。そちらを目指す際は細心の注意を払っての行動をおすすめします。
■遺跡内部の情報
・灯りはなく暗い。
・通路は狭く、2~3人が辛うじて並んで立てる程度。
・棺のあるフロアまでは地面に金属類の破片が散乱しているので迷わず進入できる。最深部の広さは20m四方のため基本的に戦闘に支障はない。
・ミイラの胃には一部財宝を腐食する酸が溜まっている。(部位:胴部に攻撃が命中した場合、このシナリオ中武器の威力が-5(下限0)される。この効果は累積する。攻撃の対象が胴部になった場合、その攻撃を中止することができる。データ的には、命中部位が胴部の場合は攻撃をやめる、など記載されていれば攻撃を中止し、そのターンの行動を終了する)。
・乱戦が想定される。射撃武器を使用する際は注意されたし。(命中ペナルティを受ける。ペナルティは-[PCのスキルを使用した最終的な命中値の一割(上限-10)]とする。ペナルティを無視して攻撃も可能だが、命中対象は敵味方からランダムに選出される)。
■サポートについて
光源の確保や回復その他、援護となる行動をよろしくお願いします。
サポートの方々の行動は現地に着くまで不明ですので、彼らを前提にした作戦は立てないよう注意してください。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
敗北条件:上記が達成できない場合
■現在状況
遺跡内には貴重な貴金属類が数多くあり、なぜかミイラたちは一心不乱に金属を体内へと処分している様が報告されています。
それらは資料的、財産的価値のある可能性がありますので、早急にミイラを撃退してください。ただし、数が多いため、半減させることができれば成功とします。これは頭数を減らすことで財宝の損傷速度を減らし、別の者たちに業務を委託させることが目的です。
無論、全滅させるのが最上です。そちらを目指す際は細心の注意を払っての行動をおすすめします。
■遺跡内部の情報
・灯りはなく暗い。
・通路は狭く、2~3人が辛うじて並んで立てる程度。
・棺のあるフロアまでは地面に金属類の破片が散乱しているので迷わず進入できる。最深部の広さは20m四方のため基本的に戦闘に支障はない。
・ミイラの胃には一部財宝を腐食する酸が溜まっている。(部位:胴部に攻撃が命中した場合、このシナリオ中武器の威力が-5(下限0)される。この効果は累積する。攻撃の対象が胴部になった場合、その攻撃を中止することができる。データ的には、命中部位が胴部の場合は攻撃をやめる、など記載されていれば攻撃を中止し、そのターンの行動を終了する)。
・乱戦が想定される。射撃武器を使用する際は注意されたし。(命中ペナルティを受ける。ペナルティは-[PCのスキルを使用した最終的な命中値の一割(上限-10)]とする。ペナルティを無視して攻撃も可能だが、命中対象は敵味方からランダムに選出される)。
■サポートについて
光源の確保や回復その他、援護となる行動をよろしくお願いします。
サポートの方々の行動は現地に着くまで不明ですので、彼らを前提にした作戦は立てないよう注意してください。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
マスターより
パソコンを買い換えていたり日々の雑事に追われていたらあっという間に七月も中盤です。もう一年の半分以上が終わってることに戦慄しつつ、今回で三作目となります。よろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/31 22:49
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/21 22:11:44 |
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ミイラの駆除(相談) 龍崎・カズマ(ka0178) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/07/25 18:48:51 |