ゲスト
(ka0000)
【東征】墜ちた星への餞に
マスター:猫又ものと

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/13 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/09/27 15:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●上に立つもの
「……もう身体は良いのか?」
「ああ、勿論だ。大体、俺様があの程度で倒れるかっちゅーの。稀代のスメラギ様をナメんなよ?」
いつもの仏頂面で言うバタルトゥ・オイマト(kz0023)に、にんまりと笑みを返すスメラギ。
彼が座す謁見の間。天ノ都城下町に歪虚を引き入れるという苦肉の策で、龍尾城も被害を受け……瓦礫を片付け、被害を受けた場所に天幕で適当な補修をしただけの状態であったがそれでも執務は出来る。
九尾を撃破出来たが、この国の問題が解決した訳ではない。
休む訳にはいかない……と、スメラギは精力的に執務をこなしていた。
「……そうか。そこまで元気なら、大丈夫そうだな」
「何がだよ」
「……そろそろ、辺境の地に戻らねばならぬ。その前に、少し話をしに来た」
「あぁ、そっか。そうだよな」
淡々と言うバタルトゥに、軽く頷くスメラギ。
バタルトゥも、オイマト族の族長で、辺境会議の大首長という、人の上に立つ立場にある。
いつまでも他国に残っている訳にはいかないのだ。
「……その前に一つ、やり残したことがあってな」
「あ? 何だよ」
「……先々代のスメラギに、直接詫びと此度の報告をしたい。……墓参りの許可を貰いたいのだが……」
「あぁ、それは別に構わないけどよ。ってか、まだ気にしてたのかよ!」
「……約束を違え、待たせた事実は変わらぬからな」
どこまでも生真面目なバタルトゥに、スメラギはため息をついて肩を竦める。
――元々この男は、遠い約束に縛られて、この地にやって来た。
先祖がした口約束など、果たす義理もなかっただろうに。
それでも……西方の力がなければ、この国は未曾有の危機を乗り越えることは出来なかったはずで……。
「……こうして、父祖の誓いを果たすことが出来て、安堵している。……またこの国に何かあれば、すぐに駆けつけよう」
「まーたそんな約束しちまって大丈夫かぁ? てーか、国建て直したら、今度は俺様がそっちを助けに行ってやるから待ってろよコノヤロウ!」
「……そうか。こちらも問題が山積していてな……。いずれ力を借りる時も来よう。期待している」
「おうよ、任せとけ!」
ばーん! と胸を叩くスメラギにくつりと喉を鳴らして笑うバタルトゥ。
赤毛の少年は、あ、と思い出したように長身の男を見る。
「……そーだった。これからよ。盛大な宴を開こうって思ってんだ。それくらいは付き合ってから帰れよ」
「……宴? こんな時にか……?」
「あぁ。こんな時だからだよ。盛大に勝利を祝ってさ、都に人を呼び戻すんだ」
きっぱりと断じるスメラギ。彼はふう、とため息をついて、崩れかけた床を見つめる。
「……大勢の人が死んだ。それこそ数えきれないくらいにな。けどよ、俺様が泣いたらさ……。民だってどうしたらいいかわかんねーじゃんか。こんな国がボロボロで、問題は山積みで、先が見えねーってのに。だから、俺様が率先して笑ってないとさ」
顔を上げて、ニンマリと笑顔を作るスメラギ。
強がりで笑うのは慣れている。痛い時も辛い時も、ずっとこうして生きてきた。
だから――。
「これからの俺達がしなきゃならねぇ事は涙を流すことじゃない。笑って笑って、死んでいった連中の戦いが無駄じゃなかったって証明してやる。それが俺達、エトファリカの死生観であり流儀だ」
「……お前の考えは概ね理解した。……では、俺はこちらの流儀で鎮魂を手伝わせてもらうとしようか」
「あ? 何だって?」
「……お前の民は、確かに不幸を笑い飛ばす力を持っているのだろう。だが、強い人間ばかりではないからな……。正直に、悲しみを吐き出す場も必要だ」
「……てめぇ、本当賢くてムカつくな」
「褒め言葉と受け取っておこう……」
「褒めてねぇよバーカ!」
全く動じないバタルトゥにがるるると吼えるスメラギ。
再び何かを思い出したのか、己の懐を探る。
「そういや、これ返しといた方がいいか?」
そういって彼が差し出したのはオイマト族に伝わる守りの文様が刺繍されている守り袋。
なんだかんだ言いつつもこの戦いの間、ずっと持っていたらしい。
バタルトゥは目を細めると、静かに首を振る。
「……これはお前の為に作ったものだ。このまま持っているといい。この先も、きっと変わらずにお前を守るだろう……」
「ふーん。そんなもんかね」
「……破れているな。激しい戦いから主を守ったのだから、詮無きことか……。繕おう……」
「あ? いーっていーってこのままで」
「……繕いついでにお前の名前も刺繍してやろう」
「はあぁ!? いらねーよ! だからそういうのやめろっちゅーの!」
いそいそと裁縫道具を取り出すバタルトゥにズビシっとツッコミを入れるスメラギ。
――エトファリカ連邦国の帝と辺境部族大首長は、どうやら友好な関係を築けそうである。
●墜ちた星への餞に
「……星灯祭を執り行う。お前達も参加してはくれまいか」
突然現れてそんなことを言い出したバタルトゥに、ハンター達は目を瞬かせる。
「せいとうさい……って何だ?」
「こんな時にお祭りするの?」
「……星灯祭は、死んでいった者達の魂を慰めるオイマト族の祭りだ」
首を傾げるハンター達に、淡々と説明を続けるバタルトゥ。
――星灯祭。
オイマト族では、故人を偲ぶ者達が、色とりどりの蝋燭に花や手紙を添え、火を灯して大地を飾り、餞に酒を酌み交わす風習がある。
蝋燭の火が、亡くなった人の魂を星に住まう精霊の元に導くと言われ、また、蝋燭に手紙を結ぶと故人に想いを届けてくれるのだそうだ。
闇夜の中、沢山の蝋燭が立てられた大地は、まるで天の星を映したようで……追悼という内容に反し、とても美しく……。
「……東方の戦で、沢山の兵や民が犠牲になった。同じ地で戦ったものとして、皆が迷わず精霊の元に辿り着けるよう、手伝いたいと思っている……」
「そっか。そうだよなー……」
呟くバタルトゥに、頷くハンター達。
戦いには確かに勝った。けれど、払った犠牲はあまりにも大きくて……。
再び立ち上がる為に、泣くことだって必要だ。
彼らの無念を弔うのは、生きている自分達がすべきことだと、そう思う。
「……個人的に、故人を偲んで貰っても構わん。蝋燭を眺めたり、酒を飲むだけでもいい。出来れば、協力を願いたい」
「もちろん、そういうことなら手伝うわ」
死者の魂を鎮めることは生者を奮い立たせることにも繋がる。
この国が新たな一歩を踏み出す為に……。
――大地に星を降ろそう。
そして、亡くなった人の魂を、天の星の元に送り届けよう――。
●上に立つもの
「……もう身体は良いのか?」
「ああ、勿論だ。大体、俺様があの程度で倒れるかっちゅーの。稀代のスメラギ様をナメんなよ?」
いつもの仏頂面で言うバタルトゥ・オイマト(kz0023)に、にんまりと笑みを返すスメラギ。
彼が座す謁見の間。天ノ都城下町に歪虚を引き入れるという苦肉の策で、龍尾城も被害を受け……瓦礫を片付け、被害を受けた場所に天幕で適当な補修をしただけの状態であったがそれでも執務は出来る。
九尾を撃破出来たが、この国の問題が解決した訳ではない。
休む訳にはいかない……と、スメラギは精力的に執務をこなしていた。
「……そうか。そこまで元気なら、大丈夫そうだな」
「何がだよ」
「……そろそろ、辺境の地に戻らねばならぬ。その前に、少し話をしに来た」
「あぁ、そっか。そうだよな」
淡々と言うバタルトゥに、軽く頷くスメラギ。
バタルトゥも、オイマト族の族長で、辺境会議の大首長という、人の上に立つ立場にある。
いつまでも他国に残っている訳にはいかないのだ。
「……その前に一つ、やり残したことがあってな」
「あ? 何だよ」
「……先々代のスメラギに、直接詫びと此度の報告をしたい。……墓参りの許可を貰いたいのだが……」
「あぁ、それは別に構わないけどよ。ってか、まだ気にしてたのかよ!」
「……約束を違え、待たせた事実は変わらぬからな」
どこまでも生真面目なバタルトゥに、スメラギはため息をついて肩を竦める。
――元々この男は、遠い約束に縛られて、この地にやって来た。
先祖がした口約束など、果たす義理もなかっただろうに。
それでも……西方の力がなければ、この国は未曾有の危機を乗り越えることは出来なかったはずで……。
「……こうして、父祖の誓いを果たすことが出来て、安堵している。……またこの国に何かあれば、すぐに駆けつけよう」
「まーたそんな約束しちまって大丈夫かぁ? てーか、国建て直したら、今度は俺様がそっちを助けに行ってやるから待ってろよコノヤロウ!」
「……そうか。こちらも問題が山積していてな……。いずれ力を借りる時も来よう。期待している」
「おうよ、任せとけ!」
ばーん! と胸を叩くスメラギにくつりと喉を鳴らして笑うバタルトゥ。
赤毛の少年は、あ、と思い出したように長身の男を見る。
「……そーだった。これからよ。盛大な宴を開こうって思ってんだ。それくらいは付き合ってから帰れよ」
「……宴? こんな時にか……?」
「あぁ。こんな時だからだよ。盛大に勝利を祝ってさ、都に人を呼び戻すんだ」
きっぱりと断じるスメラギ。彼はふう、とため息をついて、崩れかけた床を見つめる。
「……大勢の人が死んだ。それこそ数えきれないくらいにな。けどよ、俺様が泣いたらさ……。民だってどうしたらいいかわかんねーじゃんか。こんな国がボロボロで、問題は山積みで、先が見えねーってのに。だから、俺様が率先して笑ってないとさ」
顔を上げて、ニンマリと笑顔を作るスメラギ。
強がりで笑うのは慣れている。痛い時も辛い時も、ずっとこうして生きてきた。
だから――。
「これからの俺達がしなきゃならねぇ事は涙を流すことじゃない。笑って笑って、死んでいった連中の戦いが無駄じゃなかったって証明してやる。それが俺達、エトファリカの死生観であり流儀だ」
「……お前の考えは概ね理解した。……では、俺はこちらの流儀で鎮魂を手伝わせてもらうとしようか」
「あ? 何だって?」
「……お前の民は、確かに不幸を笑い飛ばす力を持っているのだろう。だが、強い人間ばかりではないからな……。正直に、悲しみを吐き出す場も必要だ」
「……てめぇ、本当賢くてムカつくな」
「褒め言葉と受け取っておこう……」
「褒めてねぇよバーカ!」
全く動じないバタルトゥにがるるると吼えるスメラギ。
再び何かを思い出したのか、己の懐を探る。
「そういや、これ返しといた方がいいか?」
そういって彼が差し出したのはオイマト族に伝わる守りの文様が刺繍されている守り袋。
なんだかんだ言いつつもこの戦いの間、ずっと持っていたらしい。
バタルトゥは目を細めると、静かに首を振る。
「……これはお前の為に作ったものだ。このまま持っているといい。この先も、きっと変わらずにお前を守るだろう……」
「ふーん。そんなもんかね」
「……破れているな。激しい戦いから主を守ったのだから、詮無きことか……。繕おう……」
「あ? いーっていーってこのままで」
「……繕いついでにお前の名前も刺繍してやろう」
「はあぁ!? いらねーよ! だからそういうのやめろっちゅーの!」
いそいそと裁縫道具を取り出すバタルトゥにズビシっとツッコミを入れるスメラギ。
――エトファリカ連邦国の帝と辺境部族大首長は、どうやら友好な関係を築けそうである。
●墜ちた星への餞に
「……星灯祭を執り行う。お前達も参加してはくれまいか」
突然現れてそんなことを言い出したバタルトゥに、ハンター達は目を瞬かせる。
「せいとうさい……って何だ?」
「こんな時にお祭りするの?」
「……星灯祭は、死んでいった者達の魂を慰めるオイマト族の祭りだ」
首を傾げるハンター達に、淡々と説明を続けるバタルトゥ。
――星灯祭。
オイマト族では、故人を偲ぶ者達が、色とりどりの蝋燭に花や手紙を添え、火を灯して大地を飾り、餞に酒を酌み交わす風習がある。
蝋燭の火が、亡くなった人の魂を星に住まう精霊の元に導くと言われ、また、蝋燭に手紙を結ぶと故人に想いを届けてくれるのだそうだ。
闇夜の中、沢山の蝋燭が立てられた大地は、まるで天の星を映したようで……追悼という内容に反し、とても美しく……。
「……東方の戦で、沢山の兵や民が犠牲になった。同じ地で戦ったものとして、皆が迷わず精霊の元に辿り着けるよう、手伝いたいと思っている……」
「そっか。そうだよなー……」
呟くバタルトゥに、頷くハンター達。
戦いには確かに勝った。けれど、払った犠牲はあまりにも大きくて……。
再び立ち上がる為に、泣くことだって必要だ。
彼らの無念を弔うのは、生きている自分達がすべきことだと、そう思う。
「……個人的に、故人を偲んで貰っても構わん。蝋燭を眺めたり、酒を飲むだけでもいい。出来れば、協力を願いたい」
「もちろん、そういうことなら手伝うわ」
死者の魂を鎮めることは生者を奮い立たせることにも繋がる。
この国が新たな一歩を踏み出す為に……。
――大地に星を降ろそう。
そして、亡くなった人の魂を、天の星の元に送り届けよう――。
解説
さて、今回は事件ではありません。
厳しい冒険の合間。故人を偲ぶ星灯祭でのひと時をお楽しみ下さいませ。
故人を偲んで蝋燭を灯して戴くもよし、天の川のような蝋燭を眺めて戴くもよし、餞の酒を味わって戴くもよしです。
餞の酒と食事も出ますが、今回は状況が状況ですので、静かにお楽しみ戴けたらと思います。
■同行者の指定
同行する人がいる場合【同行者のフルネームと番号】を冒頭に記載してください。
例:【同行者】バタルトゥ・オイマト(kz0023)
複数いらっしゃる場合は【チーム名】でご指定戴いても大丈夫です。
同行者がいらっしゃらない場合は、お一人でいらっしゃっている方と一緒に書かせて戴くことがあります。
希望されない方は【単身希望】とお書き添え下さい。
■NPCの同行
今回はバタルトゥが同行しています。
彼は今回、先々代のスメラギの墓前に詫びと報告をしに行くようです。
■その他
白紙は描写できませんのでご注意ください。
厳しい冒険の合間。故人を偲ぶ星灯祭でのひと時をお楽しみ下さいませ。
故人を偲んで蝋燭を灯して戴くもよし、天の川のような蝋燭を眺めて戴くもよし、餞の酒を味わって戴くもよしです。
餞の酒と食事も出ますが、今回は状況が状況ですので、静かにお楽しみ戴けたらと思います。
■同行者の指定
同行する人がいる場合【同行者のフルネームと番号】を冒頭に記載してください。
例:【同行者】バタルトゥ・オイマト(kz0023)
複数いらっしゃる場合は【チーム名】でご指定戴いても大丈夫です。
同行者がいらっしゃらない場合は、お一人でいらっしゃっている方と一緒に書かせて戴くことがあります。
希望されない方は【単身希望】とお書き添え下さい。
■NPCの同行
今回はバタルトゥが同行しています。
彼は今回、先々代のスメラギの墓前に詫びと報告をしに行くようです。
■その他
白紙は描写できませんのでご注意ください。
マスターより
お世話になっております。猫又です。
皆様に、東征の事後連動シナリオをお届けします。
オイマトとエトファリカの帝の遠い約束を果たし、一つの終わりを迎えることが出来ました。
これも皆様のお陰です。ありがとうございました。
そして皆様は蝋燭の火にどんな想いを託されるのでしょうか。
その想いが届くよう、猫又も精一杯お手伝いさせて戴きます。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
皆様に、東征の事後連動シナリオをお届けします。
オイマトとエトファリカの帝の遠い約束を果たし、一つの終わりを迎えることが出来ました。
これも皆様のお陰です。ありがとうございました。
そして皆様は蝋燭の火にどんな想いを託されるのでしょうか。
その想いが届くよう、猫又も精一杯お手伝いさせて戴きます。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/09/26 07:17