ゲスト
(ka0000)
覚醒してみたら
マスター:江口梨奈

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 6~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/26 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/08/04 07:30
オープニング
篤志はリアルブルーからの転移者だ。
転移、という現象すら信じがたいのに、辿り着いた世界……グラズヘイム王国のいち地方、小さな街で知り合いに会うとは……なんという偶然か。と感激したが、こちらの世界ではこうした転移者が増えつつあり、自分たちのようなケースは珍しくないという。
それはともかく、篤志は中学校時代の同級生・敏明と、何気なく入った食堂のカウンターを挟んで、20年ぶりに再会した。
「トッさんじゃねーか。何してんだ、こんなところで」
「何してんだ、じゃないよ。おまえこそ何してんだよ」
聞けば、敏明の転移は篤志の数ヶ月前だという。この世界へ来てとりあえずの衣食住の確保のため、食堂で居候をしているそうだ。
「トッさん、この世界で食っていくなら、精霊と契約してハンターになった方がいいぜ。アレ、覚えてるか? 中学のときに流行した、『スパルタン・ファイト』。あのゲームみたいにさ、バッタバッタ、化け物をなぎ倒せるんだぜ。……おまえ、柔道をやってたよな? 体を使う仕事とか、出来るんじゃないか?」
すでに闘狩人として何件かの仕事をこなした篤志が勧めた。三十路を越えた敏明の体は肉がたるんでいるが、骨太い体格はそのままだ。ハンターという職業は、食堂の皿洗いより向いていると思えた。
「あー、いや……実は、覚醒者にはなったんだ。お前と同じ闘狩人で……」
敏明は言葉を濁す。
「お客さん、トシアキの知り合い? だったら言ってやって下さいよ。せっかくの素質を腐らせるんじゃないってね」
店のおかみが出来上がった料理を出し、話に加わる。
「あたしはね、こんな恵まれた体格してんだから、ハンターをやっていけばいいと思うのよ。でも何が不満だか。お客さんもハンターなら、ちょっと誘ってやって下さいよ」
店も暇な時間だからと敏明はカウンターを追い出され、篤志と同じテーブルで遅い昼食を取ることにした。
「アツシ、お前は覚醒して、どんな格好になるんだ?」
敏明が聞いてきた。
「俺はさ、両腕の先が光るよ。それこそ、『スパ・ファイ』のジョニーみたいにさ。思わず『烈火アタック!』とか叫んじゃうよ」
懐かしい友人と、懐かしい話題をしているが、浮かれているのは篤志だけだ。当然のように篤志が、「おまえはどうなんだ?」と聞いたとき、敏明の顔色が変わった。
「その、『スパ・ファイ』にさー、……居ただろ、ライムって、女キャラが」
「ああ、居たな。キャッチーなデザインの服で、乳がばいんばいん揺れてたやつがな」
子供心にも、あざといキャラクターだと思っていた。緑色の縦ロールと乳を揺らすばかりで、打撃力も無く防御力も低く、いざ友人と対戦するとなるとまったく使えないので、篤志は強力な技を出すキャラクターばっかり選んで遊んでいた。
「……実はさ、当時の俺、ライムにハマってたんだよな……」
「わぁお」
意外な告白だ。柔道ひとすじの、堅物な男と思っていたが。
「それこそ、薄い本とか買って……たいそうお世話になった」
「そりゃまた……ゲームキャラとか、俺には分からん感覚だが」
俺は肌色の水着アイドルの方が好きだったが、とか、その話は今はいい。
「で、そのライムが、どうした?」
なぜ、この場で、昔のゲームの話になったのだろうか。
「……俺、覚醒したら、ライムになるんだよ」
「うわぁお」
篤志は、口に入れてたリゾットを噴き出しそうになった。言うに事欠いて、何を言い出すんだこの男は。
「髪が緑色になって、縦ロールになって……体中の脂肪が、乳に集まる」
「なんだよそれ、魔女ッ子かよ」
いかつい男がステッキと呪文ひとつで可愛い女の子になる! なんと漫画チックなシチュエーションではないか。だが、敏明の顔は暗い。
「……顔も体格も、このままなんだよ。正直、つむじの辺り、薄くなってるよ。顔面の毛穴も目立つし、髭跡だって黒ずんでるよ。乳はあっても、股間にもあるものはあるよ」
「それは……キツいな」
「ああ……キツい」
敏明も、自分が美形ではなく、学生時代に鍛えた骨格の丈夫さを自覚している。それが、かつて大好きだった美少女キャラクターの格好を、完璧に模すでもなく、みっともない中途半端な形にしてしまうことに膝を落としていた。
「これがさ、同じ女の格好でも、ただ髪が伸びたり乳が出たりするのならいいよ。でも、どう見ても、ライムの出来損ないなんだ。なんつーか、俺の青春が台無しになっていくカンジがしてさぁ……」
「けどさ、こっちの世界じゃ、誰も『スパ・ファイ』なんて知らないだろ? 覚醒した格好がヘンなやつもいっぱいいるよ、気にすること、ないんじゃないか?」
そう慰めるも、やはり自分が憧れのキャラクターとかけ離れていることは、受け入れ難いようであった。
しかし、何と勿体ない話であろうか。かつて柔道をやっていた体躯も、ハンターになる素質もあるのに、それを生かさないとは……。
店を出たところで、おかみに声をかけられた。
「どう、トシアキは、ハンターになりそうかい?」
「さあ、難しいですね」
おかみは、残念そうに溜息をついた。
「そう……ヴォイドと戦うヒーローだっていうんで、うちの甥っ子姪っ子が憧れてんだよねえ……。あたしも、トシアキがこの国の平和を守るとなったら、応援したいのにねえ」
さて、篤志はひとつの依頼を受けた。
廃屋に住み着いた5体のコボルト退治という、そう難しくなさそうな事件だ。
しかし篤志はふと思いついて、同じ依頼を受けた仲間に頭を下げた。
「頼む、俺の友人に、この依頼を代わりにやらせてもらえないか?」
仲間達に事情を話す。何とか説得して敏明は連れてくるので、自分の代わりにしてほしいと。
そして、皆の口から、敏明の覚醒姿はおかしくないと。ハンターとして戦える男だと証明して欲しい。
転移、という現象すら信じがたいのに、辿り着いた世界……グラズヘイム王国のいち地方、小さな街で知り合いに会うとは……なんという偶然か。と感激したが、こちらの世界ではこうした転移者が増えつつあり、自分たちのようなケースは珍しくないという。
それはともかく、篤志は中学校時代の同級生・敏明と、何気なく入った食堂のカウンターを挟んで、20年ぶりに再会した。
「トッさんじゃねーか。何してんだ、こんなところで」
「何してんだ、じゃないよ。おまえこそ何してんだよ」
聞けば、敏明の転移は篤志の数ヶ月前だという。この世界へ来てとりあえずの衣食住の確保のため、食堂で居候をしているそうだ。
「トッさん、この世界で食っていくなら、精霊と契約してハンターになった方がいいぜ。アレ、覚えてるか? 中学のときに流行した、『スパルタン・ファイト』。あのゲームみたいにさ、バッタバッタ、化け物をなぎ倒せるんだぜ。……おまえ、柔道をやってたよな? 体を使う仕事とか、出来るんじゃないか?」
すでに闘狩人として何件かの仕事をこなした篤志が勧めた。三十路を越えた敏明の体は肉がたるんでいるが、骨太い体格はそのままだ。ハンターという職業は、食堂の皿洗いより向いていると思えた。
「あー、いや……実は、覚醒者にはなったんだ。お前と同じ闘狩人で……」
敏明は言葉を濁す。
「お客さん、トシアキの知り合い? だったら言ってやって下さいよ。せっかくの素質を腐らせるんじゃないってね」
店のおかみが出来上がった料理を出し、話に加わる。
「あたしはね、こんな恵まれた体格してんだから、ハンターをやっていけばいいと思うのよ。でも何が不満だか。お客さんもハンターなら、ちょっと誘ってやって下さいよ」
店も暇な時間だからと敏明はカウンターを追い出され、篤志と同じテーブルで遅い昼食を取ることにした。
「アツシ、お前は覚醒して、どんな格好になるんだ?」
敏明が聞いてきた。
「俺はさ、両腕の先が光るよ。それこそ、『スパ・ファイ』のジョニーみたいにさ。思わず『烈火アタック!』とか叫んじゃうよ」
懐かしい友人と、懐かしい話題をしているが、浮かれているのは篤志だけだ。当然のように篤志が、「おまえはどうなんだ?」と聞いたとき、敏明の顔色が変わった。
「その、『スパ・ファイ』にさー、……居ただろ、ライムって、女キャラが」
「ああ、居たな。キャッチーなデザインの服で、乳がばいんばいん揺れてたやつがな」
子供心にも、あざといキャラクターだと思っていた。緑色の縦ロールと乳を揺らすばかりで、打撃力も無く防御力も低く、いざ友人と対戦するとなるとまったく使えないので、篤志は強力な技を出すキャラクターばっかり選んで遊んでいた。
「……実はさ、当時の俺、ライムにハマってたんだよな……」
「わぁお」
意外な告白だ。柔道ひとすじの、堅物な男と思っていたが。
「それこそ、薄い本とか買って……たいそうお世話になった」
「そりゃまた……ゲームキャラとか、俺には分からん感覚だが」
俺は肌色の水着アイドルの方が好きだったが、とか、その話は今はいい。
「で、そのライムが、どうした?」
なぜ、この場で、昔のゲームの話になったのだろうか。
「……俺、覚醒したら、ライムになるんだよ」
「うわぁお」
篤志は、口に入れてたリゾットを噴き出しそうになった。言うに事欠いて、何を言い出すんだこの男は。
「髪が緑色になって、縦ロールになって……体中の脂肪が、乳に集まる」
「なんだよそれ、魔女ッ子かよ」
いかつい男がステッキと呪文ひとつで可愛い女の子になる! なんと漫画チックなシチュエーションではないか。だが、敏明の顔は暗い。
「……顔も体格も、このままなんだよ。正直、つむじの辺り、薄くなってるよ。顔面の毛穴も目立つし、髭跡だって黒ずんでるよ。乳はあっても、股間にもあるものはあるよ」
「それは……キツいな」
「ああ……キツい」
敏明も、自分が美形ではなく、学生時代に鍛えた骨格の丈夫さを自覚している。それが、かつて大好きだった美少女キャラクターの格好を、完璧に模すでもなく、みっともない中途半端な形にしてしまうことに膝を落としていた。
「これがさ、同じ女の格好でも、ただ髪が伸びたり乳が出たりするのならいいよ。でも、どう見ても、ライムの出来損ないなんだ。なんつーか、俺の青春が台無しになっていくカンジがしてさぁ……」
「けどさ、こっちの世界じゃ、誰も『スパ・ファイ』なんて知らないだろ? 覚醒した格好がヘンなやつもいっぱいいるよ、気にすること、ないんじゃないか?」
そう慰めるも、やはり自分が憧れのキャラクターとかけ離れていることは、受け入れ難いようであった。
しかし、何と勿体ない話であろうか。かつて柔道をやっていた体躯も、ハンターになる素質もあるのに、それを生かさないとは……。
店を出たところで、おかみに声をかけられた。
「どう、トシアキは、ハンターになりそうかい?」
「さあ、難しいですね」
おかみは、残念そうに溜息をついた。
「そう……ヴォイドと戦うヒーローだっていうんで、うちの甥っ子姪っ子が憧れてんだよねえ……。あたしも、トシアキがこの国の平和を守るとなったら、応援したいのにねえ」
さて、篤志はひとつの依頼を受けた。
廃屋に住み着いた5体のコボルト退治という、そう難しくなさそうな事件だ。
しかし篤志はふと思いついて、同じ依頼を受けた仲間に頭を下げた。
「頼む、俺の友人に、この依頼を代わりにやらせてもらえないか?」
仲間達に事情を話す。何とか説得して敏明は連れてくるので、自分の代わりにしてほしいと。
そして、皆の口から、敏明の覚醒姿はおかしくないと。ハンターとして戦える男だと証明して欲しい。
解説
◆コボルト退治
5体が、とある廃屋で目撃されています。
建物周辺には広めの庭。しかし手入れ無く、庭木・雑草そのままです。
玄関1カ所・1階4部屋と台所、その他水回り・中央に階段・2階3部屋・バルコニー。全ての部屋に窓があります。家財道具そのままなので、これらの道具をコボルトが武器として用いる可能性あります。
建物の多少の損壊はかまいません。
◆敏明データ
闘狩人 スキル:『強打』『踏込』 武器:メリケンサック
身長199cm、体重102kg
学生時代は柔道で鍛えるも、成人後はこれといったスポーツなし。
転移後、依頼を受けたことはなく、コボルト(またはヴォイド)に対しては全く初心者。
覚醒した姿が、憧れのゲームキャラクターの劣化コスプレのようだということで、覚醒に抵抗がある。
5体が、とある廃屋で目撃されています。
建物周辺には広めの庭。しかし手入れ無く、庭木・雑草そのままです。
玄関1カ所・1階4部屋と台所、その他水回り・中央に階段・2階3部屋・バルコニー。全ての部屋に窓があります。家財道具そのままなので、これらの道具をコボルトが武器として用いる可能性あります。
建物の多少の損壊はかまいません。
◆敏明データ
闘狩人 スキル:『強打』『踏込』 武器:メリケンサック
身長199cm、体重102kg
学生時代は柔道で鍛えるも、成人後はこれといったスポーツなし。
転移後、依頼を受けたことはなく、コボルト(またはヴォイド)に対しては全く初心者。
覚醒した姿が、憧れのゲームキャラクターの劣化コスプレのようだということで、覚醒に抵抗がある。
マスターより
敏明はともかく、コボルト退治自体は、さほど難しくないと思います。
廃屋についてごちゃごちゃ書いてますが、あんまり気にせず、窓とかぶち破って侵入して下さい。全壊させてもペナルティ無いです。
あと、コボルトの抵抗といっても、せいぜいナベとかカマとかで武装される程度かと。
あくまでも、優先事項はコボルト退治です。敏明がその気にならなくとも、仕事はきっちり片付けて下さい。
それでは、頑張って下さい。
廃屋についてごちゃごちゃ書いてますが、あんまり気にせず、窓とかぶち破って侵入して下さい。全壊させてもペナルティ無いです。
あと、コボルトの抵抗といっても、せいぜいナベとかカマとかで武装される程度かと。
あくまでも、優先事項はコボルト退治です。敏明がその気にならなくとも、仕事はきっちり片付けて下さい。
それでは、頑張って下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/03 12:27
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談卓 霧島 キララ(ka2263) 人間(リアルブルー)|26才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/07/25 20:22:17 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/21 02:21:00 |