ゲスト
(ka0000)
【讐刃】森の人形
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/19 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/09/28 22:00
オープニング
●黒い人形
「ナハト様~。新しい殺人鬼は作らないんデシかー?」
わずかな外光だけが照らす、暗い洞窟の中。
最奥の岩に腰掛ける嫉妬の歪虚ナハトに、しきりに声をかけるものの姿があった。
「手駒はまだ不要だ。機ではない」
「えぇ~。もうずっとそうじゃないデシか。ナハト様、退屈じゃないデシ? きっと退屈デシ! ならボクも退屈デシ!」
ナハトの答えに、ぶんぶんと振り回すその腕は、ナハトと同じく漆黒の陶器で出来ている。
同様に、顔も胴体も、脚も、全身が黒い。
人形の歪虚――ただし、背丈はナハトの半分にも満たない。手足は短く珍妙な見た目でもあった。
背の低いこの人形は、ナハトに詰め寄った。
「最近のナハト様はハンターのことばっかりデシ……。人を殺す人が好きだったんじゃないんデシか……?」
「人を殺せばいいのではない。ネロリロよ。玩具には、『悲惨に壊れゆく』という愉快さが必要なのだ」
「……」
「その点で、『力を与えられて堕ちてゆく人間』と『未来に私に殺されるハンター』に、差異がないというだけのこと」
「よくわからないデシ……」
ネロリロと呼ばれた、ナハトの部下は――首をかしげるだけだった。
ネロリロはこれまで、ナハトの手駒になりそうな人間を見つけてナハトに報告するという、実質的な調達作業を行ってきた。
ナハトは自分の楽しいこと以外はしたがらない。だから、部下に面倒を押しつけていたという形なのだが、ネロリロはそれを律儀にこなしてきた。
それが最近、ナハトがハンターに執心しているせいで、暇だった。
ナハトはあれから、手駒を介さずにハンターの動向を気まぐれに観察する、ということに凝っているようだった。
ネロリロはそれで焦っていた。
「とにかく、ボクは最近何もしてないデシ。何の手柄もなくて、これじゃナハト様のそばにいる意味がないデシ! お手伝いしたいデシ!」
「不要な動きをする必要は無い」
「それじゃあボクの存在意義がないデシ!」
「お前の存在意義は、歪虚であることそのものだ」
ナハトの答えに、ううー、とネロリロはうなった。
そうは言われても、それがネロリロの生き甲斐であり、楽しみであることも否定できなかった。ナハトに尽くさねば、意味がない。
わかったデシ……と言いながらも、ネロリロは一人洞窟を出て――森へ入った。
●独断
ネロリロはそれから、森の中で……人間を探しはじめた。ナハトの手駒となりそうな、殺人鬼たり得る人間である。
「要は、ボクが手駒を用意すればいいんデシ!」
ナハトは“人形作り”に飽きたわけではない。こちらから見込みある人間を用意すればまた興味を持ってくれるだろう、という考えだった。
数日動き回った結果、一人の人間を見つけて……木陰に隠れ、観察した。『あ~ぁ、何か面白いことでも起こらねえかな』と呟いている山登り中の男性である。
ネロリロは独りごちた。
「うーん、あれじゃあナハト様の希望に添えないデシかね? ナハト様の手駒の条件は、人を殺したがる気配があって、且つ仲間がいないこと、だったデシか……」
しばらく男性を観察してからネロリロは唸る。
「いつもならここらでナハト様に確認を取るんデシが……今回はボクだけで調達しないといけないデシから、難しいデシ! 前の手駒みたいにもっとわかりやすい態度取って欲しいデシ!」
言ううちに、男性は山中に消えた。
「……見失ったデシ! これなら、紛らわしいから殺しておけばよかったデシ……」
今から追ってでもとりあえず殺そうデシ……と、ネロリロが振り返ったところで。
ネロリロは影から飛び出してきた人物の剣撃を、避けた。
●対峙
「誰デシか!」
距離を取るネロリロが見たのは……剣を持つ、若いハンターの男――フリッツだ。
フリッツはあれから、森の近辺を調査していた。
ハンターたちの言葉によって、冷静に目標を見つめることを覚えたフリッツは……先刻から見つけていたネロリロを、じっと窺っていた。漆黒の人形を目の前にして、限界まで、ネロリロ自身が口走るその情報に耳を傾けていたのだった。
改めてネロリロへ剣を向ける。
「ナハトの部下だな。人は、襲わせない」
「何故それがわかったデシか! お前……さてはボクらの敵デシね!」
ネロリロは懐から陶器の剣を取り出すと、フリッツを襲う。フリッツは剣で受けるが、その力に飛び退いた。
「さすがに配下の人形よりは遙かに強いか……」
「デシシ! ネロリロ様は人間に負けるほど弱くはないデシ!」
ネロリロが剣を振るうと、フリッツは肩から血を流して転げる。そのまま山の下まで滑落するようにして消えた。
「おや? 案外あっけなく死んだデシ! さっきの男は完全に見失ったデシけど……でもこれで、手駒探しが再開できるデシ!」
言うと、ネロリロは笑って森の中へ去っていった。
●依頼
以上の森でのことを――フリッツはハンターたちに説明した。
「あの人形を捕まえるのに力を貸して欲しい」
フリッツはわざと死んだふりをすることでネロリロから逃れていた。そして、そのナハトへの手がかりを確実に捕らえるため、ハンターに来てもらっていた。
「あのネロリロという歪虚は現在単独行動をしていて、以前のヴァレリオのような人間の手駒を見つけるために森をうろついているようだ。焦っているようでもあったし、それが完了するまでは森から離れないだろう」
だから仕掛けるならば今しかない、と言った。
「やつは人間を求めて森を動いている。こちらから森に入ればそのうちに遭遇する可能性は高いだろう」
無論、だからといって簡単に勝てる相手ではないかも知れないが、とも続けるフリッツ。
「一対一ではまず敵わない相手だった。配下の人形とは別物と考えた方がいいかも知れない」
もっとも、それでもナハトよりはかなり低級な歪虚だろう、とも言った。
「重要な情報を独りでに口走る辺り、頭は良くないと思っていいと思う。つけ込める点があるとするならば、そこだろう」
最後に、フリッツは、仮にネロリロを捕らえられたとして、その処遇はハンターに任せる、といった。
「やつが、ナハトに力を与えられる人間の選定に関わっていたのなら、俺はやつを許せない。だがやつをどうするかは、君たちに決める権利がある。俺ではやはり、冷静な判断を下せないだろうから」
だから頼む、とフリッツは頭を下げた。
「ナハト様~。新しい殺人鬼は作らないんデシかー?」
わずかな外光だけが照らす、暗い洞窟の中。
最奥の岩に腰掛ける嫉妬の歪虚ナハトに、しきりに声をかけるものの姿があった。
「手駒はまだ不要だ。機ではない」
「えぇ~。もうずっとそうじゃないデシか。ナハト様、退屈じゃないデシ? きっと退屈デシ! ならボクも退屈デシ!」
ナハトの答えに、ぶんぶんと振り回すその腕は、ナハトと同じく漆黒の陶器で出来ている。
同様に、顔も胴体も、脚も、全身が黒い。
人形の歪虚――ただし、背丈はナハトの半分にも満たない。手足は短く珍妙な見た目でもあった。
背の低いこの人形は、ナハトに詰め寄った。
「最近のナハト様はハンターのことばっかりデシ……。人を殺す人が好きだったんじゃないんデシか……?」
「人を殺せばいいのではない。ネロリロよ。玩具には、『悲惨に壊れゆく』という愉快さが必要なのだ」
「……」
「その点で、『力を与えられて堕ちてゆく人間』と『未来に私に殺されるハンター』に、差異がないというだけのこと」
「よくわからないデシ……」
ネロリロと呼ばれた、ナハトの部下は――首をかしげるだけだった。
ネロリロはこれまで、ナハトの手駒になりそうな人間を見つけてナハトに報告するという、実質的な調達作業を行ってきた。
ナハトは自分の楽しいこと以外はしたがらない。だから、部下に面倒を押しつけていたという形なのだが、ネロリロはそれを律儀にこなしてきた。
それが最近、ナハトがハンターに執心しているせいで、暇だった。
ナハトはあれから、手駒を介さずにハンターの動向を気まぐれに観察する、ということに凝っているようだった。
ネロリロはそれで焦っていた。
「とにかく、ボクは最近何もしてないデシ。何の手柄もなくて、これじゃナハト様のそばにいる意味がないデシ! お手伝いしたいデシ!」
「不要な動きをする必要は無い」
「それじゃあボクの存在意義がないデシ!」
「お前の存在意義は、歪虚であることそのものだ」
ナハトの答えに、ううー、とネロリロはうなった。
そうは言われても、それがネロリロの生き甲斐であり、楽しみであることも否定できなかった。ナハトに尽くさねば、意味がない。
わかったデシ……と言いながらも、ネロリロは一人洞窟を出て――森へ入った。
●独断
ネロリロはそれから、森の中で……人間を探しはじめた。ナハトの手駒となりそうな、殺人鬼たり得る人間である。
「要は、ボクが手駒を用意すればいいんデシ!」
ナハトは“人形作り”に飽きたわけではない。こちらから見込みある人間を用意すればまた興味を持ってくれるだろう、という考えだった。
数日動き回った結果、一人の人間を見つけて……木陰に隠れ、観察した。『あ~ぁ、何か面白いことでも起こらねえかな』と呟いている山登り中の男性である。
ネロリロは独りごちた。
「うーん、あれじゃあナハト様の希望に添えないデシかね? ナハト様の手駒の条件は、人を殺したがる気配があって、且つ仲間がいないこと、だったデシか……」
しばらく男性を観察してからネロリロは唸る。
「いつもならここらでナハト様に確認を取るんデシが……今回はボクだけで調達しないといけないデシから、難しいデシ! 前の手駒みたいにもっとわかりやすい態度取って欲しいデシ!」
言ううちに、男性は山中に消えた。
「……見失ったデシ! これなら、紛らわしいから殺しておけばよかったデシ……」
今から追ってでもとりあえず殺そうデシ……と、ネロリロが振り返ったところで。
ネロリロは影から飛び出してきた人物の剣撃を、避けた。
●対峙
「誰デシか!」
距離を取るネロリロが見たのは……剣を持つ、若いハンターの男――フリッツだ。
フリッツはあれから、森の近辺を調査していた。
ハンターたちの言葉によって、冷静に目標を見つめることを覚えたフリッツは……先刻から見つけていたネロリロを、じっと窺っていた。漆黒の人形を目の前にして、限界まで、ネロリロ自身が口走るその情報に耳を傾けていたのだった。
改めてネロリロへ剣を向ける。
「ナハトの部下だな。人は、襲わせない」
「何故それがわかったデシか! お前……さてはボクらの敵デシね!」
ネロリロは懐から陶器の剣を取り出すと、フリッツを襲う。フリッツは剣で受けるが、その力に飛び退いた。
「さすがに配下の人形よりは遙かに強いか……」
「デシシ! ネロリロ様は人間に負けるほど弱くはないデシ!」
ネロリロが剣を振るうと、フリッツは肩から血を流して転げる。そのまま山の下まで滑落するようにして消えた。
「おや? 案外あっけなく死んだデシ! さっきの男は完全に見失ったデシけど……でもこれで、手駒探しが再開できるデシ!」
言うと、ネロリロは笑って森の中へ去っていった。
●依頼
以上の森でのことを――フリッツはハンターたちに説明した。
「あの人形を捕まえるのに力を貸して欲しい」
フリッツはわざと死んだふりをすることでネロリロから逃れていた。そして、そのナハトへの手がかりを確実に捕らえるため、ハンターに来てもらっていた。
「あのネロリロという歪虚は現在単独行動をしていて、以前のヴァレリオのような人間の手駒を見つけるために森をうろついているようだ。焦っているようでもあったし、それが完了するまでは森から離れないだろう」
だから仕掛けるならば今しかない、と言った。
「やつは人間を求めて森を動いている。こちらから森に入ればそのうちに遭遇する可能性は高いだろう」
無論、だからといって簡単に勝てる相手ではないかも知れないが、とも続けるフリッツ。
「一対一ではまず敵わない相手だった。配下の人形とは別物と考えた方がいいかも知れない」
もっとも、それでもナハトよりはかなり低級な歪虚だろう、とも言った。
「重要な情報を独りでに口走る辺り、頭は良くないと思っていいと思う。つけ込める点があるとするならば、そこだろう」
最後に、フリッツは、仮にネロリロを捕らえられたとして、その処遇はハンターに任せる、といった。
「やつが、ナハトに力を与えられる人間の選定に関わっていたのなら、俺はやつを許せない。だがやつをどうするかは、君たちに決める権利がある。俺ではやはり、冷静な判断を下せないだろうから」
だから頼む、とフリッツは頭を下げた。
解説
●目的
ナハトの部下の人形歪虚ネロリロの捕縛。
●このシナリオについて
『【讐刃】堕ちた男』から繋がっている形となります。
●状況
ナハトの部下ネロリロが森にいることが判明。森へ潜入しこれの対処を目指す。
●ネロリロについて
ナハトの部下。漆黒の人形歪虚。頭はあまり良くない模様。
ネロリロの対処はハンターに一任されている。
フリッツの話から、ネロリロが独断で動いているという部分は推察できてよい。
・戦闘
剣に関するスキルに準じた攻撃をしてくるようである。
これまで戦った配下の人形歪虚よりはかなり強い。
機動性に優れているが、遠距離攻撃をする気配はない。
●場所
森。視界と足場が悪いが、川のほとりなど開けていて平坦な場所はある。
●フリッツについて
怪我を負っているため不参加。
ネロリロの最終的な処遇をフリッツに任せることも可。
ナハトの部下の人形歪虚ネロリロの捕縛。
●このシナリオについて
『【讐刃】堕ちた男』から繋がっている形となります。
●状況
ナハトの部下ネロリロが森にいることが判明。森へ潜入しこれの対処を目指す。
●ネロリロについて
ナハトの部下。漆黒の人形歪虚。頭はあまり良くない模様。
ネロリロの対処はハンターに一任されている。
フリッツの話から、ネロリロが独断で動いているという部分は推察できてよい。
・戦闘
剣に関するスキルに準じた攻撃をしてくるようである。
これまで戦った配下の人形歪虚よりはかなり強い。
機動性に優れているが、遠距離攻撃をする気配はない。
●場所
森。視界と足場が悪いが、川のほとりなど開けていて平坦な場所はある。
●フリッツについて
怪我を負っているため不参加。
ネロリロの最終的な処遇をフリッツに任せることも可。
マスターより
これまでより多少自由度の高いシナリオとなっています。
目的はネロリロの捕縛ですが、処遇もハンター次第となりますので、戦闘を行うかどうか(行うならそのタイミングなど)も含めて行動を考えてみてください。
簡易の行動指針として、
・弱くはない敵なので、戦闘をするなら先手を取るなどの作戦をつくる
・ネロリロと会話・交渉をするならその内容
などを考えておくといいかも知れません。
ネロリロはでたらめに強いというわけではないので、ある程度無力化出来れば拘束しておくことは可能です。
目的はネロリロの捕縛ですが、処遇もハンター次第となりますので、戦闘を行うかどうか(行うならそのタイミングなど)も含めて行動を考えてみてください。
簡易の行動指針として、
・弱くはない敵なので、戦闘をするなら先手を取るなどの作戦をつくる
・ネロリロと会話・交渉をするならその内容
などを考えておくといいかも知れません。
ネロリロはでたらめに強いというわけではないので、ある程度無力化出来れば拘束しておくことは可能です。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/09/27 02:52
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/16 19:39:35 |
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相談卓 高円寺 義経(ka4362) 人間(リアルブルー)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/09/19 18:50:43 |