ゲスト
(ka0000)
『優しさ』が過ぎた人
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/23 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/10/02 09:00
オープニング
●20年程前の事
小さい子供達がなにやら集まっていた。
大人がお菓子を配っているのだ。
お菓子よりも子供の数の方が多い。奪い合いという言葉が似合う光景。やがて、大人が無慈悲な一言を告げる。
「あー。ごめんねー。これで最後だー」
最後のお菓子に手を伸ばしたのは2人の子供。
2人の視線が空中でぶつかった。
「えーちゃん、優しいから、ぼくにちょうだいよ!」
「わ、わたしも、ずっと、並んでいたんだもん!」
「わたし、食べたいよぉ~。この前も食べられなかったもんー」
泣きだした――ように見えた――男の子。
大人は何気なく、まだ、泣いていない方の子の頭を優しくポンポンと撫でた。
「ごめんね。えーちゃん。譲ってあげて」
「……」
女の子は一歩後ろに下がった。
その瞬間、泣いていた子が――ニヤリと笑った気がした――泣きやむと、お菓子を掴んで脱兎の如く走り去って行った。
●10年程前の事
若い娘が2人、向かい合って座っている。
「お願い! 私の為に、引いて!」
「そんな! だって、私の彼に手を出したのは、貴女の方じゃない!」
テーブルに頭を下げたままの女性と、困惑と怒りが合わせたような複雑な表情の女性。
「私は、あの人がいないなら、もう、死ぬ!」
「意味がわからないわ」
「あなたは死ねるの? 死ねる程、彼の事、愛しているの?」
急に頭を起こして、問い詰める女。
「彼は、望んでいないわ。誰が死ぬ事も」
「……わからないの? ねぇ、わからないの? 彼の心は、もう、私だけなの!」
ヒステリックに叫ぶ。
狂気にも満ちた様な瞳で女性を睨む。
「ねぇ! えーちゃん、お願い!」
「彼が、それで言いといえば、良いわよ……」
「やったぁー! やっぱり、えーちゃんは、優しい人ね」
喜んで、はしゃぐ女性とは対照的に、えーちゃんと呼ばれた女性は大きくため息をついた。
●5年程前の事
「ほ、保証人は、確かに私ですが……」
女性は手渡された書類を振るえる手で持っていた。
ある契約の書類だ。兄が商会を経営すると言って富豪からお金を借りた時に交わされていた契約。
「兄が夜逃げするなんて、信じられません! もう少し、待って貰っていいですか!」
「経営状態は良くないと噂だったし、まさか、お金を持ち逃げしてしまうとは、我々も困っているのですよ」
取り立てが両肩を竦めた。
契約書類に書かれていた金額は、とても、保証人である女性が払えるような額ではない。
「この家を差し押さえても、足りませんね」
「そ、そんな!」
「あぁ、そうだ。妹さんは、お若いし、お綺麗だ。良い店を紹介しますよ」
女性は、ただ茫然と書類を眺める事しかできなかった。
●数か月前の事
ウィーダの街の繁華街で働く女性がいた。
身内の保証人になり、多額の借金を返済する為に働いていた。
「今日の……お客さん、ひどかったな……」
全身に残る痛み。
営業外の内容に応じなかったら、殴る蹴るで大暴れだった。相手はお得意様という事で、店もなにも言えず、働かせてもらっている身としても、なにも、言えなかった。
大きくため息をついて、通りを歩いていたら、男性とぶつかった。
「あ。ごめんなさい……あ、あなたは!」
「お前……えーちゃんか」
その男性は、女性の初恋の人であり、親友に譲った人だった。
もう、数年以上、会っていない。こんな所で、再会できるなんて! と女性は胸が高鳴った。
だが……そんな、彼女をどん底に突き落とすような台詞を男性は言い放った。
「売女が、俺に寄るんじゃねぇ!」
肩を思いっきり突かれて、女性は地面に倒れ込んだ。
その横を男性が何事も無かったかのように歩き去っていった。
●ネオ・ウィーダの街
「私の人生、ずっと、こんな調子なのよ。私は、『優しく』在り続けた。だけど、周囲は、私に『優しく』ないのよ。笑っちゃうわよね。今頃、こんな事に気がつくのだから」
女性はボロボロの姿で月を見上げ、嘆いていた。
これまでの人生を歩みを振り返って……裏切られ続けた日々を思い出し、月が歪む。
「貴女のノゾミは、復讐なのですか?」
ふわゆるでくるくるの緑髪を揺らし、少女が訊ねた。
路地の一角で、自分も他人も死なせる力が欲しいと願った女性に、その理由を聞いたのがきっかけで、2人は出逢ったのであった。
「復讐ではないわ。だって、人はいつか死ぬでしょ。だから、絶望や苦痛を感じる前に死んだ方が、楽なのよ」
女性は優しく微笑んでいた。
「……分かりました。貴女の願い、叶えましょう」
「よろしくおねがいね」
女性と少女はある場所に向かって歩みだす。
●とあるハンターオフィスにて
受付嬢ミノリが元気なくカウンターに突っ伏していた。
「あー。私の夏休みが終わっちゃったー。もう、昨日なんか、どれだけ、五日前に戻れー! って祈ったか」
散々、遊び呆けていた様で、目の下にクマができていた。
なんでも、リゼリオに遊びに行ったようで、毎日、満喫していたようだ。
「そして、また、倉庫での雑魔退治の依頼かー。倉庫があるから雑魔が出るんじゃないの!」
依頼に関連する資料をバンっと大きな音を立てて、カウンターに置いた。
ネオ・ウィーダの街のある倉庫内に雑魔が出現したという。
人が集まった所で、突然、スライム状の雑魔が現れ、十数人の犠牲者が出ているらしいのだ。
「おまけに……変な能力を持っているようだし……」
雑魔を討伐しようと、街の兵士達が頑張ったようだが、倒しても倒しても復活するという。
「さぁ! 倒せない雑魔を倒す、この依頼! 誰か受けますか―!」
ミノリの元気な声がオフィス内に響いた。
小さい子供達がなにやら集まっていた。
大人がお菓子を配っているのだ。
お菓子よりも子供の数の方が多い。奪い合いという言葉が似合う光景。やがて、大人が無慈悲な一言を告げる。
「あー。ごめんねー。これで最後だー」
最後のお菓子に手を伸ばしたのは2人の子供。
2人の視線が空中でぶつかった。
「えーちゃん、優しいから、ぼくにちょうだいよ!」
「わ、わたしも、ずっと、並んでいたんだもん!」
「わたし、食べたいよぉ~。この前も食べられなかったもんー」
泣きだした――ように見えた――男の子。
大人は何気なく、まだ、泣いていない方の子の頭を優しくポンポンと撫でた。
「ごめんね。えーちゃん。譲ってあげて」
「……」
女の子は一歩後ろに下がった。
その瞬間、泣いていた子が――ニヤリと笑った気がした――泣きやむと、お菓子を掴んで脱兎の如く走り去って行った。
●10年程前の事
若い娘が2人、向かい合って座っている。
「お願い! 私の為に、引いて!」
「そんな! だって、私の彼に手を出したのは、貴女の方じゃない!」
テーブルに頭を下げたままの女性と、困惑と怒りが合わせたような複雑な表情の女性。
「私は、あの人がいないなら、もう、死ぬ!」
「意味がわからないわ」
「あなたは死ねるの? 死ねる程、彼の事、愛しているの?」
急に頭を起こして、問い詰める女。
「彼は、望んでいないわ。誰が死ぬ事も」
「……わからないの? ねぇ、わからないの? 彼の心は、もう、私だけなの!」
ヒステリックに叫ぶ。
狂気にも満ちた様な瞳で女性を睨む。
「ねぇ! えーちゃん、お願い!」
「彼が、それで言いといえば、良いわよ……」
「やったぁー! やっぱり、えーちゃんは、優しい人ね」
喜んで、はしゃぐ女性とは対照的に、えーちゃんと呼ばれた女性は大きくため息をついた。
●5年程前の事
「ほ、保証人は、確かに私ですが……」
女性は手渡された書類を振るえる手で持っていた。
ある契約の書類だ。兄が商会を経営すると言って富豪からお金を借りた時に交わされていた契約。
「兄が夜逃げするなんて、信じられません! もう少し、待って貰っていいですか!」
「経営状態は良くないと噂だったし、まさか、お金を持ち逃げしてしまうとは、我々も困っているのですよ」
取り立てが両肩を竦めた。
契約書類に書かれていた金額は、とても、保証人である女性が払えるような額ではない。
「この家を差し押さえても、足りませんね」
「そ、そんな!」
「あぁ、そうだ。妹さんは、お若いし、お綺麗だ。良い店を紹介しますよ」
女性は、ただ茫然と書類を眺める事しかできなかった。
●数か月前の事
ウィーダの街の繁華街で働く女性がいた。
身内の保証人になり、多額の借金を返済する為に働いていた。
「今日の……お客さん、ひどかったな……」
全身に残る痛み。
営業外の内容に応じなかったら、殴る蹴るで大暴れだった。相手はお得意様という事で、店もなにも言えず、働かせてもらっている身としても、なにも、言えなかった。
大きくため息をついて、通りを歩いていたら、男性とぶつかった。
「あ。ごめんなさい……あ、あなたは!」
「お前……えーちゃんか」
その男性は、女性の初恋の人であり、親友に譲った人だった。
もう、数年以上、会っていない。こんな所で、再会できるなんて! と女性は胸が高鳴った。
だが……そんな、彼女をどん底に突き落とすような台詞を男性は言い放った。
「売女が、俺に寄るんじゃねぇ!」
肩を思いっきり突かれて、女性は地面に倒れ込んだ。
その横を男性が何事も無かったかのように歩き去っていった。
●ネオ・ウィーダの街
「私の人生、ずっと、こんな調子なのよ。私は、『優しく』在り続けた。だけど、周囲は、私に『優しく』ないのよ。笑っちゃうわよね。今頃、こんな事に気がつくのだから」
女性はボロボロの姿で月を見上げ、嘆いていた。
これまでの人生を歩みを振り返って……裏切られ続けた日々を思い出し、月が歪む。
「貴女のノゾミは、復讐なのですか?」
ふわゆるでくるくるの緑髪を揺らし、少女が訊ねた。
路地の一角で、自分も他人も死なせる力が欲しいと願った女性に、その理由を聞いたのがきっかけで、2人は出逢ったのであった。
「復讐ではないわ。だって、人はいつか死ぬでしょ。だから、絶望や苦痛を感じる前に死んだ方が、楽なのよ」
女性は優しく微笑んでいた。
「……分かりました。貴女の願い、叶えましょう」
「よろしくおねがいね」
女性と少女はある場所に向かって歩みだす。
●とあるハンターオフィスにて
受付嬢ミノリが元気なくカウンターに突っ伏していた。
「あー。私の夏休みが終わっちゃったー。もう、昨日なんか、どれだけ、五日前に戻れー! って祈ったか」
散々、遊び呆けていた様で、目の下にクマができていた。
なんでも、リゼリオに遊びに行ったようで、毎日、満喫していたようだ。
「そして、また、倉庫での雑魔退治の依頼かー。倉庫があるから雑魔が出るんじゃないの!」
依頼に関連する資料をバンっと大きな音を立てて、カウンターに置いた。
ネオ・ウィーダの街のある倉庫内に雑魔が出現したという。
人が集まった所で、突然、スライム状の雑魔が現れ、十数人の犠牲者が出ているらしいのだ。
「おまけに……変な能力を持っているようだし……」
雑魔を討伐しようと、街の兵士達が頑張ったようだが、倒しても倒しても復活するという。
「さぁ! 倒せない雑魔を倒す、この依頼! 誰か受けますか―!」
ミノリの元気な声がオフィス内に響いた。
解説
●目的
雑魔の討伐
●内容
倉庫内に出現したスライム状の雑魔を全て討伐する
●倉庫
縦横約20メートル、高さ5メートル程のレンガ組みの倉庫。階層はありません。
出入り口は一か所のみ。壁には小さい格子窓がいくつか取り付けられている。
倉庫内に保管されている物資等はありません。
扉は外側から閂で閉まっているだけです。
新築で、まだ、使われておりませんが、倉庫の持ち主の話しによると、知り合いの女性が催しをしたいという事で有料で貸し出したそうです。
なお、その知り合いの女性は、倉庫内で死んだと思われます。
●雑魔
スライム状の雑魔で2体います。
討伐に向かった兵士達の話によると、1体を集中攻撃して消滅させたと思ったら、別の雑魔が分裂したという事です。
形状はスライム状となっています。酸を射出してきたり、視界や眠気を誘う煙のようなものも確認されています。
(PL情報:2体を同ラウンドで倒さなければ、生き残った雑魔が分裂する特殊な能力を持っています。分裂により新たに誕生した雑魔の生命力は、犠牲者らのマテリアルを利用する事により初期値にまで戻ります。また、どの程度、傷ついているか見た目的な変化はありません))
●オキナ
元凄腕ハンターの爺。機導師。
オープニングには登場していませんが、倉庫の入口で警備員として立っています。
倉庫の持ち主が、知人を通じた雇った覚醒者であり、街中に雑魔が出て来ないようにと見張っています。PC達が望めば、戦闘にも同行します。
装備:魔導拳銃のような武器に年季の入った革鎧等。
人物については≪長い旅路の先に≫≪【聖呪】それぞれの『役割』≫等を参照して下さい。
●犠牲者
十数名の老若男女です。全員、スライム状の雑魔によって殺されています。
雑魔の討伐
●内容
倉庫内に出現したスライム状の雑魔を全て討伐する
●倉庫
縦横約20メートル、高さ5メートル程のレンガ組みの倉庫。階層はありません。
出入り口は一か所のみ。壁には小さい格子窓がいくつか取り付けられている。
倉庫内に保管されている物資等はありません。
扉は外側から閂で閉まっているだけです。
新築で、まだ、使われておりませんが、倉庫の持ち主の話しによると、知り合いの女性が催しをしたいという事で有料で貸し出したそうです。
なお、その知り合いの女性は、倉庫内で死んだと思われます。
●雑魔
スライム状の雑魔で2体います。
討伐に向かった兵士達の話によると、1体を集中攻撃して消滅させたと思ったら、別の雑魔が分裂したという事です。
形状はスライム状となっています。酸を射出してきたり、視界や眠気を誘う煙のようなものも確認されています。
(PL情報:2体を同ラウンドで倒さなければ、生き残った雑魔が分裂する特殊な能力を持っています。分裂により新たに誕生した雑魔の生命力は、犠牲者らのマテリアルを利用する事により初期値にまで戻ります。また、どの程度、傷ついているか見た目的な変化はありません))
●オキナ
元凄腕ハンターの爺。機導師。
オープニングには登場していませんが、倉庫の入口で警備員として立っています。
倉庫の持ち主が、知人を通じた雇った覚醒者であり、街中に雑魔が出て来ないようにと見張っています。PC達が望めば、戦闘にも同行します。
装備:魔導拳銃のような武器に年季の入った革鎧等。
人物については≪長い旅路の先に≫≪【聖呪】それぞれの『役割』≫等を参照して下さい。
●犠牲者
十数名の老若男女です。全員、スライム状の雑魔によって殺されています。
マスターより
●皆さん、おはようございます。赤山です。食欲の秋ですね! シナリオとは関係ありませんが。
【ノゾミの大冒険 第7歩(話)】です。依頼名は副題になります。
●攻略のヒント
当然の事ながら、なにかしらの工夫が必要な感じです。
力押しも可能ですが(犠牲者らのマテリアルを枯渇させる)、その場合、相応のリスクがあるかもしれません。
【ノゾミの大冒険 第7歩(話)】です。依頼名は副題になります。
●攻略のヒント
当然の事ながら、なにかしらの工夫が必要な感じです。
力押しも可能ですが(犠牲者らのマテリアルを枯渇させる)、その場合、相応のリスクがあるかもしれません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/09/28 07:37
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 小鳥遊 時雨(ka4921) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/09/23 02:01:21 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/19 15:31:14 |