ゲスト
(ka0000)
【深棲】釣り人の受難
マスター:狭霧

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/27 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/05 12:00
オープニング
冒険都市リゼリオ郊外の島。
島の周囲半分ほどが岩礁地帯となっているこの島は釣りの名所とされており、釣り好きの住民が休日に訪れる定番スポットになっていた。
その日は薄い雲がかかった晴れの日で、海も穏やかに凪いでいた。
小舟で乗り付けた青年は釣竿を片手に岩場に跳び移る。
先客の姿を捉えると、足場に注意しながら岩場を迂回し、声をかけた。
「よ、おっさん。釣れてるか?」
「全然だな。全然釣れやしねえ」
おっさんと呼ばれた中年男性は力なく首を振る。
「いい日だと思ったんだがなあ……」
今日は絶好の釣り日和と意気込んで来たものの、釣りあげるどころか当たりすらない。
それが釣りだと言えばそれまでだが、妻に「今日は期待してろ」と大口を叩いて出てきて、一匹も釣れませんでしたでは面目丸潰れだ。
「おっさんが釣果0なんて珍しいな。腕鈍ったんじゃねえの?」
「やかましい、ちょっと調子が悪いだけだ。そう言うお前はこんな所で油売ってないで仕事しろ仕事」
ニヤニヤと笑う青年に男性は少し拗ねたように言う。
「いやーそれが。あのでかい船が落ちてきてからハンターが急増しただろ。おかげで仕事取るのも一苦労でさぁ……」
笑いをひっこめ溜息を吐いて男性の隣に立つと、釣り針に餌をつけ海に放った。
「そうか……ハンターも大変なんだな」
「おうよ」
それきり会話らしい会話は途切れ、静かな波の音と海鳥が鳴く声だけが周囲に響く。
無言の静寂を破ったのは、青年の当たりだった。
竿が引かれる感触に思わず「おっ」と短く漏らし、竿を引く。引くが、ピクリとも上がらない。
「おいおい、根がかりでもしたか?」
「バカ言え、こんな引っ張ってくる根がかりがあるかよ!」
岩に引っかかったのでは断じてない。まるで海の中に引きずり込もうとしているかのようだ。手を離したらその瞬間に竿は海中に消えるだろう。
しかしこのままでは竿が折れるか、糸が切れるか。
青年と謎の獲物との攻防に、男性は自身の竿を気にすることも忘れ、固唾を呑んで見守っている。
一方で、青年は疑問に思っていた。今まで釣ってきた魚の引きとは違うのだ。こんな真下に引っ張ってくる魚は知らない。
だがそんな些細な疑問よりも釣り人としての維持が勝った。
「こんの!舐めんなァあああああ!!」
このままでは埒が明かないと踏んだ青年は、裂帛の気合いとともにマテリアルを解放する!
覚醒により発揮された超人的な力は、限界までしなった釣竿を強引に引き上げ――
――チャポン。ゴチン!
「ガッ!?」
水面から飛び出した針の先には何も付いておらず。
さっきまでの激闘は何だったのかと言いたくなるほど簡単に上がった竿に、勢い余ってひっくり返り、岩場に思いっきり後頭部を強打した。
「~~~~~!!」
頭を押さえ岩場を転げ悶える青年に、男性は呆れた視線を向ける。
「やっぱり根がかりだったんじゃないか」
「だから違うって言ってんだろうがー!!」
あーだこーだと主張する青年と、はいはいわかったわかったと流す男性。
そんな二人の間に割って入る人影があった。
海の方から現れたその人に、二人の視線が向けられ。
脳がその姿を認識した瞬間。いや、青年の動きは反射によるものだったかもしれない。
覚醒状態を持続していた青年は咄嗟に人影に向かって蹴りを繰り出し、岩礁から海に蹴り落とした。
慌てたように男性に声を荒げる。
「逃げるぞおっさん!船に戻れ!早く!!」
「なななん「歪虚だよ!あんなイカレた姿した人間がいるか!さっさと船に!!」
「……す、すまん……腰が抜けた……」
「ああクソ!!」
青年はすぐに男性を抱え上げると、最短ルートで乗ってきた小舟に向かう。
何体もの歪虚が海から上がってくる音が聞こえる。
何かが背中に当たり激痛が走るが、その一切を無視した。
「つーかなにが悲しくておっさんをお姫様抱っこしなきゃなんねーんだ!!」
哀しき叫びを残し、彼らは全速力で島を後にしたのだった。
●
「このリゼリオのお膝元に現れるなんてツイてない連中ですよねー♪」
なにやら浮かれた様子の受付嬢は、資料を空中モニターに次々表示させ、大仰に頷いていた。
「それではパパッと説明しちゃいますね。
向かってもらうのはここリゼリオの沖にある島です。小舟で結構気軽に遊びに行けるくらい近い島で、徒歩でも半日くらいで一周できちゃうくらいの小島です。
その島の岩礁地帯、いわゆる釣りスポットらしいんですけど、そこを歪虚に占拠されてしまったらしく。それの殲滅が今回の依頼です」
島の地図が表示されていた画面を今回は必要ないからと切り替える。
「えー、それで皆さんに討伐してもらう歪虚なんですが……」
受付嬢はそこで一旦言葉を切り、上手い表現を探すように視線を彷徨わせた。
「えーとですね。人型っぽいですが、左半身は殻に覆われていて左腕はカニの鋏。右半身も所々に鱗がついているみたいですね。極め付けはイカ頭にゲソ髪ですよ。
このごちゃまぜな姿、いま自由都市周辺の海岸で多数目撃されている“狂気”の歪虚でしょうね」
今各地で狂気の歪虚による被害が増えている。これも無関係ではないだろうと彼女は語る。
「主な攻撃手段は鋏でしょう。それと鱗を飛ばしてくることも確認されています。髪はうねってるだけみたいですが、吸盤付きですし引っ付かれたら危ないんじゃないでしょうか」
気を付けてくださいねと念を押し、説明は以上です、とハンターたちに視線を向ける。
今のところ発見者の釣り人とハンターが襲われただけで大きな被害は出ていない。
しかし各地で増えている歪虚との関係性が疑われる以上、野放しにはできないというのがギルドの判断だった。
何より、釣り人たちの聖地を奪われたままにはしておけない。
つまり。
「まあ細かいことはいいんだよ!ってやつです。いつも通りぶっ潰しちゃってください!」
いい笑顔とサムズアップで、ハンターたちを送り出した。
島の周囲半分ほどが岩礁地帯となっているこの島は釣りの名所とされており、釣り好きの住民が休日に訪れる定番スポットになっていた。
その日は薄い雲がかかった晴れの日で、海も穏やかに凪いでいた。
小舟で乗り付けた青年は釣竿を片手に岩場に跳び移る。
先客の姿を捉えると、足場に注意しながら岩場を迂回し、声をかけた。
「よ、おっさん。釣れてるか?」
「全然だな。全然釣れやしねえ」
おっさんと呼ばれた中年男性は力なく首を振る。
「いい日だと思ったんだがなあ……」
今日は絶好の釣り日和と意気込んで来たものの、釣りあげるどころか当たりすらない。
それが釣りだと言えばそれまでだが、妻に「今日は期待してろ」と大口を叩いて出てきて、一匹も釣れませんでしたでは面目丸潰れだ。
「おっさんが釣果0なんて珍しいな。腕鈍ったんじゃねえの?」
「やかましい、ちょっと調子が悪いだけだ。そう言うお前はこんな所で油売ってないで仕事しろ仕事」
ニヤニヤと笑う青年に男性は少し拗ねたように言う。
「いやーそれが。あのでかい船が落ちてきてからハンターが急増しただろ。おかげで仕事取るのも一苦労でさぁ……」
笑いをひっこめ溜息を吐いて男性の隣に立つと、釣り針に餌をつけ海に放った。
「そうか……ハンターも大変なんだな」
「おうよ」
それきり会話らしい会話は途切れ、静かな波の音と海鳥が鳴く声だけが周囲に響く。
無言の静寂を破ったのは、青年の当たりだった。
竿が引かれる感触に思わず「おっ」と短く漏らし、竿を引く。引くが、ピクリとも上がらない。
「おいおい、根がかりでもしたか?」
「バカ言え、こんな引っ張ってくる根がかりがあるかよ!」
岩に引っかかったのでは断じてない。まるで海の中に引きずり込もうとしているかのようだ。手を離したらその瞬間に竿は海中に消えるだろう。
しかしこのままでは竿が折れるか、糸が切れるか。
青年と謎の獲物との攻防に、男性は自身の竿を気にすることも忘れ、固唾を呑んで見守っている。
一方で、青年は疑問に思っていた。今まで釣ってきた魚の引きとは違うのだ。こんな真下に引っ張ってくる魚は知らない。
だがそんな些細な疑問よりも釣り人としての維持が勝った。
「こんの!舐めんなァあああああ!!」
このままでは埒が明かないと踏んだ青年は、裂帛の気合いとともにマテリアルを解放する!
覚醒により発揮された超人的な力は、限界までしなった釣竿を強引に引き上げ――
――チャポン。ゴチン!
「ガッ!?」
水面から飛び出した針の先には何も付いておらず。
さっきまでの激闘は何だったのかと言いたくなるほど簡単に上がった竿に、勢い余ってひっくり返り、岩場に思いっきり後頭部を強打した。
「~~~~~!!」
頭を押さえ岩場を転げ悶える青年に、男性は呆れた視線を向ける。
「やっぱり根がかりだったんじゃないか」
「だから違うって言ってんだろうがー!!」
あーだこーだと主張する青年と、はいはいわかったわかったと流す男性。
そんな二人の間に割って入る人影があった。
海の方から現れたその人に、二人の視線が向けられ。
脳がその姿を認識した瞬間。いや、青年の動きは反射によるものだったかもしれない。
覚醒状態を持続していた青年は咄嗟に人影に向かって蹴りを繰り出し、岩礁から海に蹴り落とした。
慌てたように男性に声を荒げる。
「逃げるぞおっさん!船に戻れ!早く!!」
「なななん「歪虚だよ!あんなイカレた姿した人間がいるか!さっさと船に!!」
「……す、すまん……腰が抜けた……」
「ああクソ!!」
青年はすぐに男性を抱え上げると、最短ルートで乗ってきた小舟に向かう。
何体もの歪虚が海から上がってくる音が聞こえる。
何かが背中に当たり激痛が走るが、その一切を無視した。
「つーかなにが悲しくておっさんをお姫様抱っこしなきゃなんねーんだ!!」
哀しき叫びを残し、彼らは全速力で島を後にしたのだった。
●
「このリゼリオのお膝元に現れるなんてツイてない連中ですよねー♪」
なにやら浮かれた様子の受付嬢は、資料を空中モニターに次々表示させ、大仰に頷いていた。
「それではパパッと説明しちゃいますね。
向かってもらうのはここリゼリオの沖にある島です。小舟で結構気軽に遊びに行けるくらい近い島で、徒歩でも半日くらいで一周できちゃうくらいの小島です。
その島の岩礁地帯、いわゆる釣りスポットらしいんですけど、そこを歪虚に占拠されてしまったらしく。それの殲滅が今回の依頼です」
島の地図が表示されていた画面を今回は必要ないからと切り替える。
「えー、それで皆さんに討伐してもらう歪虚なんですが……」
受付嬢はそこで一旦言葉を切り、上手い表現を探すように視線を彷徨わせた。
「えーとですね。人型っぽいですが、左半身は殻に覆われていて左腕はカニの鋏。右半身も所々に鱗がついているみたいですね。極め付けはイカ頭にゲソ髪ですよ。
このごちゃまぜな姿、いま自由都市周辺の海岸で多数目撃されている“狂気”の歪虚でしょうね」
今各地で狂気の歪虚による被害が増えている。これも無関係ではないだろうと彼女は語る。
「主な攻撃手段は鋏でしょう。それと鱗を飛ばしてくることも確認されています。髪はうねってるだけみたいですが、吸盤付きですし引っ付かれたら危ないんじゃないでしょうか」
気を付けてくださいねと念を押し、説明は以上です、とハンターたちに視線を向ける。
今のところ発見者の釣り人とハンターが襲われただけで大きな被害は出ていない。
しかし各地で増えている歪虚との関係性が疑われる以上、野放しにはできないというのがギルドの判断だった。
何より、釣り人たちの聖地を奪われたままにはしておけない。
つまり。
「まあ細かいことはいいんだよ!ってやつです。いつも通りぶっ潰しちゃってください!」
いい笑顔とサムズアップで、ハンターたちを送り出した。
解説
・現場
海辺の岩礁地帯。
足場がやや悪い。
歪虚は陸地でウロウロしている。
・敵情報
狂気の歪虚×3
外見ベースは人型。大きさは成人男性ほど。
左半身が殻に覆われ、左腕はカニの鋏。
右半身は所々に鱗がついている。
頭はまんまイカ。
攻撃手段は鋏で叩いたり鋏んだりする他、右半身の鱗を飛ばす射撃攻撃。
なお、近接攻撃時に運が悪いと頭のゲソに引っ付かれ、引き剥がすまで移動できなくなる。
移動できないだけで攻撃は可能だが、位置によっては他PCの攻撃に対する盾となる可能性あり。
自分のメイン消費で判定可(筋力以下を目標に1D50、自他の行動次第では+補正)。
また狂気歪虚の特徴として引くことを知らず、命尽きるまで向かってくる。
海辺の岩礁地帯。
足場がやや悪い。
歪虚は陸地でウロウロしている。
・敵情報
狂気の歪虚×3
外見ベースは人型。大きさは成人男性ほど。
左半身が殻に覆われ、左腕はカニの鋏。
右半身は所々に鱗がついている。
頭はまんまイカ。
攻撃手段は鋏で叩いたり鋏んだりする他、右半身の鱗を飛ばす射撃攻撃。
なお、近接攻撃時に運が悪いと頭のゲソに引っ付かれ、引き剥がすまで移動できなくなる。
移動できないだけで攻撃は可能だが、位置によっては他PCの攻撃に対する盾となる可能性あり。
自分のメイン消費で判定可(筋力以下を目標に1D50、自他の行動次第では+補正)。
また狂気歪虚の特徴として引くことを知らず、命尽きるまで向かってくる。
マスターより
こんにちは。
釣りには詳しくないくせにたまに無性にやってみたくなります、狭霧です。
リゼリオ沖の島に名状しがたい歪虚が居座りました。
目と鼻の先で歪虚の横暴を許してはギルドの名折れ。
岩礁釣りを楽しみにしている釣り人のためにも討伐してやってください。
よろしくお願いします。
釣りには詳しくないくせにたまに無性にやってみたくなります、狭霧です。
リゼリオ沖の島に名状しがたい歪虚が居座りました。
目と鼻の先で歪虚の横暴を許してはギルドの名折れ。
岩礁釣りを楽しみにしている釣り人のためにも討伐してやってください。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/05 00:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/21 19:04:44 |
|
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相談卓 シェリア・プラティーン(ka1801) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/07/26 10:29:27 |