ゲスト
(ka0000)
珈琲サロンとぱぁずの墓参り
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/10/07 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/10/16 22:00
オープニング
●※※※
秋晴れの良い天気。
1枚だけ桃色の東向きの窓から明るい日が差してくる。
カウンターの奥、棚に飾ったゴーグルを手に取ると、レンズに奔る罅を撫でながらユリアは静かに微笑んだ。
嘗て、このゴーグルを掛けて笑ってくれた人はいない。
けれど、その笑顔を、今はとても穏やかに思い出せる。
ユリアがゴーグルを棚に戻して振り返ると、カウンターの席にひとり座っていた。
艶やかな黒い髪を結い上げた華やかな和装、紅色の唇が、ユリア、と親しげに呼んだ。
「珈琲、頂戴」
「はい、かしこまりました」
ふたりきりの店内に、コーヒーの香りが広がっていく。
●
日が昇り、沈み、秋の日は落ちるのが早いねと笑い合って、ユリアはウェイトレスのモニカと並んでカップを洗う。
工場都市フマーレ商業区の喫茶店、もう1人の店員、ローレンツは常連客の忘れ物を届けに行ってまだ戻らない。
きっと話し込んでいるのだろう、ユリアがまだ幼い看板娘だった頃からの常連客だから。
からんとドアのベルが鳴る。客は捌けていたが閉店しているわけでは無い。
モニカがいらっしゃいと元気な声を掛けると、客の女性はユリアを見詰めて目を伏せた。
カウンターから離れて座ったその女性は、注文を聞きに来たモニカにぽつりと、陰気な店ねと呟いた。
「……あ。店長ですか? ごめんなさい、喪中なんですよー」
ユリアの装いは一見してそれと分かる黒い喪服、所々にレースがあしらわれているが地味で華の無い造りのワンピース。その上にフリルの愛らしいエプロンを着けて、髪はアップに纏めている。
モニカの朗らかな声に、その女性はユリアを軽く睨む様に見て、首を横に振った。
「コーヒー」
「はぁい、今すぐお煎れしますね――ユリアさーん、コーヒーです」
モニカの声が店に響いた。ユリアはカウンターから出ると、慌てて女性客の席へ向かって頭を下げた。
「ロロさん……えっと、コーヒーの担当が今、出ていて……」
「あなたが煎れるんじゃ無いの?」
「……私下手なんですよ。コーヒーだけは何だか、どうしても。ロロさん、すぐに帰って来るはずだから、待っていて貰えるかしら?……お詫びにクッキーサービスするわ」
クッキーは得意なの、そう言ってユリアはにこりと微笑んだ。
モニカが弟を迎えに行くと言って出て行くと、店内はユリアと女性客の2人きりになった。
クッキーを摘まみながら女性が。それ、とユリアのドレスを指した。
「この服? もう、脱がなきゃいけないって、分かっているんだけど忘れられなくて。お客さんも、優しい人が多くて、甘えてばかり……」
ローレンツを待ちながら、ユリアは湯を沸かして、豆を挽く。
女性は暫く黙り込んでから指を下ろして、項垂れた。
「八つ当たりしたの、ごめんなさい……大事な人を亡くしたのね」
女性の声が震えていた。
「夫……海で、殺されました。去年の、夏に」
淡々と、感情を殺した声でユリアが答える。
女性の視線が、東の窓から外を見詰めた。
「私もそう……去年の夏。お墓参りに行きたいんだけど、1人で街道を越えるのは難しくて」
海兵だったという。
休日だったにも関わらず、海から襲ってきた歪虚の群から街を護りに奔走して、彼女の下には亡骸すら帰って来ずに、慰霊碑に名前が刻まれただけだったという。
彼の眠っているだろう場所は、今は穏やかに海を臨む公園になっているそうだ。
からんとベルの音が鳴る。
「ただいま。随分としんみりしているが、いつもの所に相談したらいいだろう?」
ローレンツが怪訝な顔で佇んでいた。
●※※※
女性客はハンター達と奥のテーブルへ、天板に敷いた地図の上、行き先のポルトワールのある街に印のピンを立てている。
テーブルへはローレンツが煎れたコーヒーをモニカが運んで、時折興味深げにその話しを覗き込む。
「ふふ、素敵な方だったのね……ねえ、ユリア。ユリアは旦那さんにもう一度、あいたい?」
仕事の手を止めたユリアと向かい合うカウンターの席でコーヒーを飲みながら首を傾げる。
華やかな和装に合わせて飾る簪がしゃらんと小さな音を立てて揺れた。
硝子玉のような青い瞳でうっそりと笑む。
「私、特別なおまじないを知っているのよ」
途端、モニカの背に負ぶわれて眠っていたピノが大きな声で泣き出した。
秋晴れの良い天気。
1枚だけ桃色の東向きの窓から明るい日が差してくる。
カウンターの奥、棚に飾ったゴーグルを手に取ると、レンズに奔る罅を撫でながらユリアは静かに微笑んだ。
嘗て、このゴーグルを掛けて笑ってくれた人はいない。
けれど、その笑顔を、今はとても穏やかに思い出せる。
ユリアがゴーグルを棚に戻して振り返ると、カウンターの席にひとり座っていた。
艶やかな黒い髪を結い上げた華やかな和装、紅色の唇が、ユリア、と親しげに呼んだ。
「珈琲、頂戴」
「はい、かしこまりました」
ふたりきりの店内に、コーヒーの香りが広がっていく。
●
日が昇り、沈み、秋の日は落ちるのが早いねと笑い合って、ユリアはウェイトレスのモニカと並んでカップを洗う。
工場都市フマーレ商業区の喫茶店、もう1人の店員、ローレンツは常連客の忘れ物を届けに行ってまだ戻らない。
きっと話し込んでいるのだろう、ユリアがまだ幼い看板娘だった頃からの常連客だから。
からんとドアのベルが鳴る。客は捌けていたが閉店しているわけでは無い。
モニカがいらっしゃいと元気な声を掛けると、客の女性はユリアを見詰めて目を伏せた。
カウンターから離れて座ったその女性は、注文を聞きに来たモニカにぽつりと、陰気な店ねと呟いた。
「……あ。店長ですか? ごめんなさい、喪中なんですよー」
ユリアの装いは一見してそれと分かる黒い喪服、所々にレースがあしらわれているが地味で華の無い造りのワンピース。その上にフリルの愛らしいエプロンを着けて、髪はアップに纏めている。
モニカの朗らかな声に、その女性はユリアを軽く睨む様に見て、首を横に振った。
「コーヒー」
「はぁい、今すぐお煎れしますね――ユリアさーん、コーヒーです」
モニカの声が店に響いた。ユリアはカウンターから出ると、慌てて女性客の席へ向かって頭を下げた。
「ロロさん……えっと、コーヒーの担当が今、出ていて……」
「あなたが煎れるんじゃ無いの?」
「……私下手なんですよ。コーヒーだけは何だか、どうしても。ロロさん、すぐに帰って来るはずだから、待っていて貰えるかしら?……お詫びにクッキーサービスするわ」
クッキーは得意なの、そう言ってユリアはにこりと微笑んだ。
モニカが弟を迎えに行くと言って出て行くと、店内はユリアと女性客の2人きりになった。
クッキーを摘まみながら女性が。それ、とユリアのドレスを指した。
「この服? もう、脱がなきゃいけないって、分かっているんだけど忘れられなくて。お客さんも、優しい人が多くて、甘えてばかり……」
ローレンツを待ちながら、ユリアは湯を沸かして、豆を挽く。
女性は暫く黙り込んでから指を下ろして、項垂れた。
「八つ当たりしたの、ごめんなさい……大事な人を亡くしたのね」
女性の声が震えていた。
「夫……海で、殺されました。去年の、夏に」
淡々と、感情を殺した声でユリアが答える。
女性の視線が、東の窓から外を見詰めた。
「私もそう……去年の夏。お墓参りに行きたいんだけど、1人で街道を越えるのは難しくて」
海兵だったという。
休日だったにも関わらず、海から襲ってきた歪虚の群から街を護りに奔走して、彼女の下には亡骸すら帰って来ずに、慰霊碑に名前が刻まれただけだったという。
彼の眠っているだろう場所は、今は穏やかに海を臨む公園になっているそうだ。
からんとベルの音が鳴る。
「ただいま。随分としんみりしているが、いつもの所に相談したらいいだろう?」
ローレンツが怪訝な顔で佇んでいた。
●※※※
女性客はハンター達と奥のテーブルへ、天板に敷いた地図の上、行き先のポルトワールのある街に印のピンを立てている。
テーブルへはローレンツが煎れたコーヒーをモニカが運んで、時折興味深げにその話しを覗き込む。
「ふふ、素敵な方だったのね……ねえ、ユリア。ユリアは旦那さんにもう一度、あいたい?」
仕事の手を止めたユリアと向かい合うカウンターの席でコーヒーを飲みながら首を傾げる。
華やかな和装に合わせて飾る簪がしゃらんと小さな音を立てて揺れた。
硝子玉のような青い瞳でうっそりと笑む。
「私、特別なおまじないを知っているのよ」
途端、モニカの背に負ぶわれて眠っていたピノが大きな声で泣き出した。
解説
目的 女性の護衛
●エネミー
ゴブリン×7~
襤褸を纏い、木切れや小石で攻撃してきます。
援軍を呼ぶ場合がありますが、その場合の装備も同等の物となります。
●地形
両サイドが茂みと森に挟まれた街道
2人程度なら並んで戦うことが出来ます。
●その他
女性 護衛対象。指示には従いますが、戦闘は出来ません。馬や馬車などの移動手段を所持していません。
珈琲サロンとぱぁず 常連で賑わう商業区の喫茶店
ユリア 店長代理、妙齢の女性。夫と死別して実家に戻ったところ、怪我の勢いで隠居した祖父に、店を任されることになった模様。
モニカ ウェイトレス、ユリアよりも10程若い少女。元店長の隠居先で幼い弟のピノとともに保護され、とぱぁずでの仕事を斡旋された。
ロロ ローレンツ・ロンベルグ。珈琲担当。元店長と同年代、ユリアやモニカを心配しているが、素直になれない。
●エネミー
ゴブリン×7~
襤褸を纏い、木切れや小石で攻撃してきます。
援軍を呼ぶ場合がありますが、その場合の装備も同等の物となります。
●地形
両サイドが茂みと森に挟まれた街道
2人程度なら並んで戦うことが出来ます。
●その他
女性 護衛対象。指示には従いますが、戦闘は出来ません。馬や馬車などの移動手段を所持していません。
珈琲サロンとぱぁず 常連で賑わう商業区の喫茶店
ユリア 店長代理、妙齢の女性。夫と死別して実家に戻ったところ、怪我の勢いで隠居した祖父に、店を任されることになった模様。
モニカ ウェイトレス、ユリアよりも10程若い少女。元店長の隠居先で幼い弟のピノとともに保護され、とぱぁずでの仕事を斡旋された。
ロロ ローレンツ・ロンベルグ。珈琲担当。元店長と同年代、ユリアやモニカを心配しているが、素直になれない。
マスターより
行き先はユリアも一時期住んでいたポルトワールです。港町です。
馬に乗せても良し、徒歩の旅を楽しんでも良し……
よろしくお願いします。
馬に乗せても良し、徒歩の旅を楽しんでも良し……
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/10/16 01:02
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/07 13:49:12 |
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相談卓 イッカク(ka5625) 鬼|26才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/10/07 20:48:22 |