• 戦闘

グッバイ・イエスタデイ

マスター:神宮寺飛鳥

このシナリオは3日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/10/12 22:00
リプレイ完成予定
2015/10/24 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 ブラストエッジ鉱山に眠る邪神、ゾエル・マハ。その討伐作戦がいよいよ開始される。
 北伐作戦に帝国軍が注力している今、この問題をいつまでも放置するわけにはいかない。
 背後の憂いを絶ち、カルガナ・ブアナ率いる部隊も北伐作戦に参加しなければならないのだから。
 ベルフラウはシュシュが指揮する封印部隊と共にブラストエッジ鉱山へ突入。イヲの領域からベノの領域を通過し、最下層であるマハの領域を目指していた。
 機械仕掛けの聖剣を振るいながらベルフラウは目の前を進む少女達の姿を見つめる。
 コボルドとヒトの和平を実現させようと本気で取り組んできた彼等の姿はいつも眩しく、ベルフラウの胸を締め付ける――。

「――ヒトは醜く悍ましい存在……君はそう言ったね」
 少しずつ、失われて記憶が追いついてくる。
 あの日、帝国軍の部隊を襲撃したベルフラウを、たまたま居合わせた一人の戦士が組み伏せて言ったのだ。
「私も全く同感だよ」
 風のない、しかし雨の降る日の午後だった。分厚い雲を背に、這いつくばって見上げたその人は。
「これまで私は何人もの悪人を斬り殺して来た。止むを得なかったと言い訳をするつもりはない。良かれと思って、自らの正義にしたがって手を下したのだ。私と君にそれほど大きな違いはないのだよ」
 女はベルフラウの掌を大地に串刺しにしていた剣を抜き、胸ぐらを掴んで引き起こす。
「善人を悪人が食い物にしていた。悲劇を運命と言い換え、自分を慰める人を見た。自分が助かる為に他人を犠牲にする人を見た。そんな世界には反吐が出る。だからこそ、私はここにいる」
 その人の目はとても真っ直ぐで、とても純粋で――言い知れない絶望に満ちていた。
「クソッタレだと思うのなら、変えるために生きてみろ。自分は“そうではない”と胸を張ってみろ。最初はそれが嘘でもいい。いつか身に染みた嘘が決意に変わったのならば、君は自分を許せるだろう」
 流しすぎた血が体を冷やし、意識が遠のいていく。
「忘れるな。自分を決められるのは自分だけだ。誰かの“せい”ではなく。自分の“ため”に生きてみろ――」

 “絶望”と“希望”は紙一重だ。
 目の前の現実を受け入れられないから、諦める為に絶望する。
 だったらそれを乗り越えたのなら、後に残るのはただ希望だけじゃないか。
「……シュシュさん!」
 マハの領域、ゾエルの神殿。その途上に立ち塞がる小さな影があった。
 かつて自分と同じように、オルクスに集められ力を授けられた者たち……“ベルフラウ”の成れの果て。
 メイズ・ベルフラウ。黒衣の少女は軋むような笑みを浮かべ呼びかける。
「よお兄弟。再会にはいい夜だぜ?」
「皆さん、ここは私に任せてください。私の狙いは彼女ですし、彼女の狙いは私ですから」
 その言葉にシュシュは頷き、迷いなくベルフラウの肩を強く叩いた。
「わかっただ。ここは任せる。信じてるだよ」
 止める事も心配もしなかったシュシュの真っ直ぐな瞳に少し驚き、それから少女は力強く頷いた。
「……はいっ!! 皆さんが帰ってくるまでにあいつを退場させておきます!」
「行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
 走り去るシュシュ達をメイズは止めなかった。彼女にとって最早この鉱山での物語は終わっている。
 これから先何がどうなろうと、所詮は蛇足にすぎないのだ。
「今更お友達ごっことは泣かせてくれるじゃねぇか。お前の体もうボロッボロだろ? もうすぐ死ぬくせに何やってんだ」
「確かに私はもうすぐきっと死ぬよ。何ヶ月後か何週間後か何日後かはわからないけど。だけどそんなの、生きているなら当たり前でしょ?」
 すっと息を吸い、吐き出してみる。
 少しだけ心を軽くして、前に進む力に変えて。
「私決めたよ、メイズ。残り僅かな命だけど、やれるだけやってみる。この世界を変えてみる」
「と、いうと?」
「わかんない。だからまずは目の前のことから一つずつ。あなたを救ってみる。次のことは、それから」
「救うも何も俺はもう死んでるんだが……」
「死んでいるのに絶望だけを続けてるなんてあんまりでしょ?」
「偽善だな」
「自分でもそう思う。でも、どうせそれくらいの事しかできないから」
 ベルフラウ達は、オルクスの契約者。吸血鬼のなりそこないだ。
 少女たちは皆、ヒトの世に絶望し闇の力を頼った。他に生き方などなかった。
 だがその力は容易に死を引き寄せる。結局吸血鬼になる以外、彼女らに存続する方法はなかった。
 一人、また一人と道半ばで闇の力に耐え切れず死んでいく中で、引き返した者と引き返せなかった者が生まれ、相まみえた。
 二人にとってもう一人は辿れなかった可能性。ならば当然受け入れられるはずもない。
「否定しあうしかない。哀しいよなぁ、兄弟」
 メイズは自らの手首を引き裂き、足元へ血を滴らせる。
 落ちた雫は解き放たれるように広がり、ゾエルの神殿に続く通路の壁を飲み込んでいく。
「邪魔が入るのも面倒だ! 二度あるとは限らない兄弟ゲンカ、盛大にやろうぜ!」
 高まる負のマテリアルがメイズの長い髪を揺らし、壁面を輝かせる。
「祈り捧げよ我らが母へ! 天の涙は叩いて潰す! 降り注げ、百万の絶叫……!」
 眩い光と負のマテリアルが、周囲の空間を覆い尽くす。
「零式浄化血界! ブラッドフォート……“オラトリヲ”!」

 目を開くと、閉鎖的な地下空間は存在しなかった。
 広々とした、何らかの神殿。ステンドグラスから差し込む光を背にソレは浮いていた。
 複雑に絡み合う結晶のパイプオルガン。黒い翼を広げた少女はローブの下から六つの腕を伸ばし、鍵盤を叩く。
 途端、衝撃がベルフラウを吹き飛ばした。空中で体勢を整えながら魔法で反撃するが、空中に生じた血の結晶が防御する。
「オルクスと同じ絶対防御……!?」
「様をつけろよ出来損ないィッ!」
 聖機剣を変形させ、光を解き放つ。
 マテリアルの刃は衝撃波と激突し、相殺した。
「魔法を相殺した……?」
「ナサニエル院長が作ったこの剣は、ただ変形するだけのオモチャじゃないよ」
 自分の命を燃やして――。
「魔法術、結界陣をディスペルする破城兵器。なりそこないに持たせた、吸血殺しの聖剣」
 命がすり減っていく音を聞くのは心地よい。
 刹那的な考えはもう捨てたけれど。自分の本質は偽れない。
「私の命とあなたの命。どちらが重いか、比べっこしよ?」
「……死にたがりのキチガイが! お望み通り消え失せろ!!」
 吐き捨てるような叫びに少女は笑みを作る。まるで殺し合いを楽しむように。
「おもしれぇ! ヤろうぜ兄弟! “ベルフラウ”……! “スバル・ベルフラウ”ッ!!」
 嘘つきからはじめた勇気がその身に染みるまで。
 ずっと昔になくした名前を呼ばれ。今やっと、“自分”を見つけた気がした。

解説

●目的
吸血鬼メイズ・ベルフラウの撃破。


●概要
ブラストエッジ鉱山にて暗躍していた吸血鬼を撃破する。
現在、ブラストエッジ鉱山では邪神ゾエル・マハを滅ぼす為の作戦を遂行中だ。
帝国軍とハンター達で実行されたこの作戦でゾエルを倒せなければ、コボルド達に未来はない。
諸君らはベルフラウと共にこのブラストエッジ鉱山を根城としている吸血鬼を倒して欲しい。
敵はベルフラウと呼ばれる剣妃オルクスが血を分けたシリーズ個体の一体である。
劣化版とは言え、オルクスと同じ結界術を扱えるようだ。
メイズ・ベルフラウを倒し、血界城から離脱せよ。


●敵情報

「メイズ・ベルフラウ」
オルクスの実験体、ベルフラウシリーズの一体。タイプ・メイズ。
盲目の吸血鬼で、代わりに聴覚と触覚が研ぎ澄まされている。
血界城オラトリヲ内においては腕が六本に増え、結晶作りのパイプオルガンを纏っている。しかも浮いてる。
音波による極めて回避が困難な攻撃が確認されている他、オルクス同様血の障壁を扱う。
その他詳細不明。これまでのブラストエッジ鉱山攻略の経験から敵の能力を推測せよ。


●友軍情報

「スバル・ベルフラウ」
オルクスの実験体、ベルフラウシリーズの一体。タイプ・スバル。
聖導士であり、覚醒者。嘗て闇の力と契約していたせいで極端に寿命が短い。
聖機剣と呼ばれる錬魔院の特殊兵装のテスター。
正体は変形機構を持ち、装備者のマテリアルを多量に消費する事で、術にほころびを作る破城兵装。
高位の吸血鬼に対抗する為、ナサニエルがスバルを人柱にして作り上げた試作機。
何度かこの能力を使うとスバルは絶命する。

マスターより

お世話になっております、神宮寺でございます。

ブラストエッジの方もそうですが、需要がいまいちなタイミングなのでちょっと人数減らしました。
その分敵の数も減らしてあるので多分大丈夫です。
メイズの基本能力はオルクスの下位互換である為、固有能力にだけ気をつければこの戦闘で倒せます。
ベルフラウだらけになってきたので、ここからファーストネームで表記しようと思います。懐かしい?
尚、質問には特に関係ないナサニエルがお答えします。

それでは宜しくお願い致します。

関連NPC

  • ワルプルギス錬魔院院長
    ナサニエル・カロッサ(kz0028
    人間(クリムゾンウェスト)|28才|男性|機導師(アルケミスト)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/10/23 05:12

参加者一覧

  • Stray DOG
    ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • ノブリスオブリージュ
    リーリア・バックフィード(ka0873
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月(ka1895
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • 質実にして勇猛
    夕鶴(ka3204
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 轟雷の巫女
    七夜・真夕(ka3977
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • 遥か遠きプレアデス
    クドリャフカ(ka4594
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/10/10 04:54:58
アイコン 質問卓
シガレット=ウナギパイ(ka2884
人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/10/10 15:55:52
アイコン 相談卓
リーリア・バックフィード(ka0873
人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/10/12 21:37:21