• 戦闘

かぼちゃおばけ

マスター:芹沢かずい

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/10/17 09:00
リプレイ完成予定
2015/10/26 09:00

オープニング

●雨のあとで
「二日も雨だったから退屈だったな」
 そう言って二人の元にやってきたのは、活発そうな少年。名をレオと言う。彼を待ち受けていたのは、彼の遊び仲間の少年と少女。『遊び仲間』と言うと彼らのご機嫌を損ねるので、ここでは『探険仲間』としておこう。
 少女の名はディアナ。栗色の髪をポニーテールにしている。少年はグーマー。常にお菓子を携帯し、少しばかりふっくらしている。
「お日様が出てくれたけど、畑はぐちゃぐちゃでしょうね」
「僕は長靴だよ。パパのだから大きいけど」
 ディアナは大きな籠を背負い直すと、足元を見てがっかりしたような声。反対にワクワクした声を出すのはグーマーだ。水たまりや泥の中で踏み心地を試している。……が、穿いているモノはかなりオーバーサイズのようだ。
「よし、ぐずぐずしてたら日が暮れちまうな。行こうぜ」
「「うん!」」
 三人が目指す場所は、村の外れにある庭。庭と呼ぶにはかなり抵抗があるが、そこの持ち主がそう言うのだから仕方がない。
「パト婆のメモ持って来た? レオ」
「勿論。なくても分かると思うけど、似たような毒草があるって聞いてるからな。用心しないと」
「パト婆、今度はどんなおやつを作ってくれるのかな?」
「グーマーったら食べることばっかりね」
「薬草使うんだから、苦いのかもな?」
「ええ〜僕苦いのは嫌だよぅ」
 賑やかにおしゃべりしながら歩みを進める先には、鬱蒼とした(という言葉が相応しいだろう)茂み。多種多様の植物が、それぞれの成長を互いに補い合いながら生息している。
 ここの持ち主が、『パト婆』の愛称で親しまれているパトリシアだ。彼女は元ハンターと言う肩書きを持ちながら、今は隠居生活を楽しんでいる。子供達を相手に昔を語り、彼女の『庭』で採れる植物や果実を使って美味しいお菓子を作って日々を過ごしている。
 今回、三人組は彼女に薬草摘みを頼まれたらしい。二日程降り続いた雨の所為で、あちこちに水たまりはあるし、土はぬかるんですでに泥だらけだが、楽しそうだ。
 やがて三人は庭に辿り着いた。村の外れにあるパト婆の家の近くで待ち合わせ、子供の足で歩いて三十分程の場所に、それはあった。
 ……そして、『それ』も。

●何かが……
「ちょっとこれ……」
 ディアナが震えた声を出す。目の前のモノを見上げて、二の句が継げない。
 彼らの目の前にあったのは、巨大な蔓植物のようなもの。『ような』といったのは、それが明らかに普通ではないからだ。
「カボチャ……か……?」
 絞り出した声はかすれていたが、レオは気丈にもそれをしっかり観察していた。パト婆に知らせなくては。パト婆なら、対策を教えてくれるはずだ。
 目の前にあるのは、子供が中に入り込めそうな程の大きさのカボチャ。濁った汚いオレンジ色に、茶色の斑。至る所に大小様々の虫食い穴……見る角度によってはニヤけた顔にも見える。
 そんな巨大カボチャが、二メートル程の高さにぶら下がっている。
「レオ〜……」
「な、情けない声出すなよグーマー!」
「だって……蔓が動いてる! こっちに来るよぉ!」
 慌ててグーマーを振り返るレオ。彼が見たのは、じわりじわりとグーマーににじり寄っている太い蔓。成人男性の二の腕ほどはあるだろうか……まるで意志があるかのように、グーマーの持つお菓子袋に狙いを定めているようだ。
「逃げろよグーマー!」
「う、う……うん! あっ!」
 ずべしゃっ!
 コケた。泥の中に顔面から。泥に長靴を奪われて、脱げたらしい。
「グーマー!」
 慌てて辺りを見回すレオ。目が止まった先には手頃な棒切れ。迷わず引っ掴むと、そのままグーマーの盾になるように走り込む。 
「ディアナ! パト婆に連絡してくれ! こいつ、雑魔ってヤツかも知れない!」
 がむしゃらに棒切れを振り回して蔓を牽制しながら、レオが叫ぶ。
「わ、分かった! レオ、グーマー! 待っててね!」
 背中の籠を降ろすとパト婆の家目がけて猛ダッシュ。軽やかに走り出した彼女は、驚くべき早さでパトリシアの元に辿り着いたのだった。

●対峙
「……雑魔で間違いはなさそうだね」
 片腕に松葉杖を抱え、パトリシアがそれを見て確信する。

 ディアナからの報告を聞き、パトリシアはすぐに近くのハンターオフィスに連絡を取った。呼吸を整える暇もなく、断片的な言葉を聞いただけだったが、パトリシアは的確に、その言葉の意味するところを捉えていた。
 それから間もなく、ハンター達を伴ってこの場に辿り着いたのだ。

「動きがのんびりしてて助かってるけど……! 何とかしてくれよ!」
 ハンター達からカボチャを見て、その向こう側。腰を抜かしたらしいグーマーの傍で、レオが頑張って棒切れを振り回し、蔓の接触から逃れていた。
 彼らが目にしているモノ……不気味だがどことなくファンシーな香りがする。
 その形貌は、カボチャに手足が生えているようだ。巨大なカボチャが頭だとすると、幾つもの太い蔓が手足の代わりなのだろう。あちこちに蔓を伸ばしては周囲の植物を手当り次第に折り取り、引き抜いている。根は固定されたままだが、蔓の所為で全体が動いているように見えるのだ。
「でっかいてるてる坊主みたいだけど、レオ! 大丈夫かい?」
 声を張り上げ、パトリシアが問う。
「な、何とか大丈夫だけど! こいつの葉っぱヤスリみたいで痛いんだ! それと、周りの植物が吸い込まれてるみたいだ!」
 レオの言葉に、その場に居合わせた者たちが素早く反応した。
「カボチャ頭の根っこに吸い込まれてるみたい! 蔓から棘が出て来てる!」
「ディアナ! いくら動きが鈍いったって迂闊に近付くんじゃないよ。……周りの植物を取り込んで攻撃用の武器にでもしようってのかい」
 パトリシアの言葉に、三人の子供達は焦った。……今は動きの鈍い蔓とヤスリの葉っぱだけだが、いずれ取り込んだ植物が棘となって攻撃して来るかもしれない。
 蔓の動きが徐々に早くなる……これは気のせいではない! 根元近くの地面からは黒っぽい靄のようなものが立ち上る。
「このままじゃ、パト婆のお庭が……」
 呆然と立ち尽くして呟いたのはディアナ。
 その呟きを、その場に居合わせたハンター達が聞き逃す筈もなく、まして聞き流すことなど出来なかった。

解説

 突然目の前に現れた、植物系雑魔討伐の依頼です。
 近隣のハンターオフィス(支部)に声をかけたらしいパトリシアが、今回の依頼主です。

 今はまだレオでも棒切れで何とか応戦できるくらいのスピードと強さですが、辺りの植物を取り込んでいる以上、今後パワーアップしてくることも考えられます。
 ヤスリごりごり攻撃は予想されますが、その他にも攻撃用の棘が生えて来ています。成長するとどんな攻撃を仕掛けて来るか分かりません。不気味な顔の虫食い穴も何らかの攻撃手段があると用心すべきでしょう。

 二日降り続いた雨の所為で、足元にも注意が必要かもしれません。グーマーのように転ぶかも。

 子供達とパト婆を守りつつ、カボチャお化けを退治して下さい!
 戦闘が長引けば、周りの植物や大地に汚染が広がってしまいます。

 無事にカボチャお化けを退治できたら、パト婆の庭を見学してみるのも良いでしょう。何か役立つものが得られるかもしれません(?)
 ……庭にあるのは彼女の趣味で集めたものなので、期待しない方が良いかもしれませんが。

マスターより

 さて、今回は戦闘をメインに、そのあとで薬草摘みを手伝って頂こうという魂胆で書いてみました。
 是非とも、子供達とパト婆にカッコイイ戦闘シーンを見せつけて下さい!
 
 敵の雑魔は、季節を考えてカボチャです。
 ……ハロウィンって楽しいですね。お菓子を貰うとか仮装するワケでもないのに、この季節に登場する限定の雑貨やお菓子を見るとついつい集めたくなっちゃいます。

 昔、我が家の庭にカボチャが実ったのですが、近くに生えていたイチイの木に蔓が伸びて、まるでカボチャが木からなったように見えたことがありました。……それを思い出したので。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/10/25 01:13

参加者一覧

  • 遙けき蒼空に心乗せて
    ユキヤ・S・ディールス(ka0382
    人間(蒼)|16才|男性|聖導士
  • エルフ式療法士
    ソナ(ka1352
    エルフ|19才|女性|聖導士
  • 多彩な技師
    グエン・チ・ホア(ka5051
    人間(蒼)|21才|女性|疾影士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士
  • 鉄壁の守護神
    明王院 蔵人(ka5737
    人間(蒼)|35才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/10/15 07:32:18
アイコン カボチャおばけ
万歳丸(ka5665
鬼|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2015/10/16 18:55:07