ゲスト
(ka0000)
梓弓、東国の鬼の里で妖怪に遭遇す
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/10/20 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/10/29 09:00
オープニング
●幼いころの記憶
妹が生まれるより前の大江紅葉は一家の希望を背に、怖いもの知らずで屋敷の中を歩き回っていた。乳母の目を盗んで警備のために雇っている者たちの所に入り込み遊んでもらっていた。
彼らも非番であると、雇い主の娘と遊ぶのを楽しんでいる様子だった。
「あそんでたもー」
「おうおう、おひいさん、今日は何してあそぶんじゃ?」
「うーん、かくれおに」
「おひいさんは隠れるところは多いけどわしらには無理じゃ」
男たちは笑った。
「うーん、つのさわりしていい?」
「おう」
男の背中にへばりついて壁を登るように登って行く。時々、滑って尻餅ついたり、転げそうになるが何とか登る。
転がっても頭を打つことはない。登られている者以外が紅葉を受け止めるから。
「やった」
肩に登って角に触るが、その拍子に落ちる。やはり受け止めてもらって、ケラケラと笑う。
「おひいさんは元気じゃ」
紅葉は飛び起きた。
「ううん? 何この夢? え? あれ?」
鬼に助けてもらったときより古い記憶。天ノ都に来て陰陽寮に入って、家を守らないといけないと奔走のうちに忘れていた記憶。
「……道理で私、鬼に対して嫌悪感少ないわけね……」
両親は雇っていたのだ、鬼たちを。
●惨敗
エトファリカ連邦国天ノ都にある大江家の小さな屋敷。主たる紅葉が家臣を集めて話したことは、衝撃と懐かしみを生じさせた。後者は年寄りに多い感情で、若い者は困惑もしていた。
告げたのは人手不足により、警備に数名、内向きのことに1か2人鬼を雇うと言う計画だった。
「じい、やっぱり昔、我が家で鬼を雇っていたんですね」
「そうですよ? 戦が激しくなって敵ということになっておりましたし、都に住むにあたってさすがに無理だと言うことで解約したのですが……最後の最後で我々を守って死んだ者が多かったんですよ」
家令はしみじみと告げる。生き延びた年寄が同調してうなずいている。その子世代は「そういえばいたね」と何とも言えない顔。
「供養をとも思いますが……まだ難しいでしょうね」
家令は溜息を洩らした。南部に行けばいくほど、まだ妖怪が多くいるのだから。
「困っている方がいて、わたしたちも人手が欲しい……雇うことも彼らの種族への共存こそが供養だと考えますよ」
「じい、ありがとう」
「もったいなきお言葉、何もしてはおりませぬゆえ」
「まだ彼らの風当たりは強いし、我が家なんて吹き飛びそうな家だけど、草の根運動っていうし……」
紅葉はにこりと笑って、善は急げと陰陽寮に休暇願を出して里に赴いてみた。
単独でいくには道中に不安があったが、馬を飛ばせは何とかなると楽観することにした。
訪れたことはなかったが、里らしい空気は漂っていた。人気はあるが、紅葉が到着した瞬間、散り散りに消えた。
そんなか行った求人活動は惨敗した。一日で何とかなるとは思いもしなかったが、話すら聞いてもらえなかったのだ。近づくと逃げられ、遠くから話しかけても逃げられ。
紅葉を見つめる目もあった。以前助けた鬼の子のようだったが、彼らこそ「お久しぶり」といって再会するわけにはいかない、お互いのために。
空き家に入り込んで、丸くなって寝た。
●不安と共に
松永光頼は以前監視という任務でそばにいた大江紅葉が気になっていた。
(知り合ったのは任務だった……その後会うのはどうなんだろうか……公私混同か、う、ううう)
悩む彼に上司は気付き、温かい目で「いいんだよ、頑張って口説け」と言ったことが腹立つことだった。
結局、大江家に向かうと、紅葉は出かけていないとのことだった。元気ならいいと帰ろうとしたところ、応対に出た家令がぼそりと一言。
「松永様とご一緒ではなかったんですね」
「ちょっと待ってください。どういうことです」
家令は事情を話す。
「モノノフでも雇ったんでしょう」
「……へそくりがあるなら」
カネの管理は家令の役目らしい、この家は。
光頼はハンターを雇って鬼の里に急ぐことにした。
鬼が危険ではなく、問題は妖怪だ。
光頼はふと大仰に騒いでいる自分に驚いた。
「何もなければ、大江殿を護衛して帰ってくればいいんだ」
●誘拐事件
警備および家の中の仕事をしてくれる人募集中と旗を掲げ、ぼんやりと紅葉は待つ。
遠巻きに子どもや大人が見ているが、結局それで終わりだった。昨日よりは視線を感じるので、慣れてもらえて一歩前進したと考えるしかなかった。
「はあ。思った以上に溝が深いのかしら」
紅葉は昼過ぎに荷物を馬に積んで、帰ろうとした。
悲鳴が耳に届く。反射的に紅葉はそちらを見た。
妖怪が数匹、女の子とその祖父らしい鬼を襲っているのだ。大猿は女の子を連れて行こうとしているように見える。
紅葉は馬に積んであった弓と杖を手にすると駆けだす。
「やめなさいっ!」
杖で猪のような妖怪をぶん殴るが、狙ったのとは別の妖怪に当たった。
懐から札を出そうとして青くなる。
(ないっ!?)
ガブリと妖怪に手首をかじられた。
「きゃあ」
紅葉は痛みに一瞬頭の中が真っ白になった。
「おじいちゃん!」
この間にも大猿は女の子を連れ去ろうとしている。
紅葉は大猿に向かって杖を振るうが、猪の妖怪に体当たりされてバランスを崩した。
「テユカ!」
年配の鬼は大猿に殴り掛かろうとしたが、大猿が投げ捨てた女の子の落下地点に急いだ。
大猿は雑魔に囲まれ右往左往している紅葉の手首をつかんで自分の方に引いた。
「ちょ、いやああ」
倒れ込んだ紅葉を大猿は小脇に抱え林に向かった。一応、紅葉が抵抗しているが、大して効果がなかった。
「おじいちゃん!」
テユカと呼ばれた女の子が紅葉が連れ去られているのを見て悲鳴を上げるが、年配の鬼は雑魔に押し倒され守りに徹するので精いっぱいだった。
何とかなったときには、雑魔も林に消えていなくなっていた。
●助けないと
「さすがに放っておけないだろう」
駆け付けた鬼の一人は有志を募って助けに行こうと言う。
「あの林、奥までまだ行っていないし」
「……」
あれこれ話している間に、テユカが叫ぶ。
「あたしが行くよ! だってあのヒトと都行きたい!」
それは問題外で、行く者が決まった。
ここに、光頼とハンターがやってくる。
武力を持っている彼らに鬼たちは警戒するが、光頼らは馬から下りて礼儀正しく挨拶する。
「人間の女性は来ていませんか? 迎えに来たのですが」
心配そうにしている彼を見て、現在起っていることを告げた。
妹が生まれるより前の大江紅葉は一家の希望を背に、怖いもの知らずで屋敷の中を歩き回っていた。乳母の目を盗んで警備のために雇っている者たちの所に入り込み遊んでもらっていた。
彼らも非番であると、雇い主の娘と遊ぶのを楽しんでいる様子だった。
「あそんでたもー」
「おうおう、おひいさん、今日は何してあそぶんじゃ?」
「うーん、かくれおに」
「おひいさんは隠れるところは多いけどわしらには無理じゃ」
男たちは笑った。
「うーん、つのさわりしていい?」
「おう」
男の背中にへばりついて壁を登るように登って行く。時々、滑って尻餅ついたり、転げそうになるが何とか登る。
転がっても頭を打つことはない。登られている者以外が紅葉を受け止めるから。
「やった」
肩に登って角に触るが、その拍子に落ちる。やはり受け止めてもらって、ケラケラと笑う。
「おひいさんは元気じゃ」
紅葉は飛び起きた。
「ううん? 何この夢? え? あれ?」
鬼に助けてもらったときより古い記憶。天ノ都に来て陰陽寮に入って、家を守らないといけないと奔走のうちに忘れていた記憶。
「……道理で私、鬼に対して嫌悪感少ないわけね……」
両親は雇っていたのだ、鬼たちを。
●惨敗
エトファリカ連邦国天ノ都にある大江家の小さな屋敷。主たる紅葉が家臣を集めて話したことは、衝撃と懐かしみを生じさせた。後者は年寄りに多い感情で、若い者は困惑もしていた。
告げたのは人手不足により、警備に数名、内向きのことに1か2人鬼を雇うと言う計画だった。
「じい、やっぱり昔、我が家で鬼を雇っていたんですね」
「そうですよ? 戦が激しくなって敵ということになっておりましたし、都に住むにあたってさすがに無理だと言うことで解約したのですが……最後の最後で我々を守って死んだ者が多かったんですよ」
家令はしみじみと告げる。生き延びた年寄が同調してうなずいている。その子世代は「そういえばいたね」と何とも言えない顔。
「供養をとも思いますが……まだ難しいでしょうね」
家令は溜息を洩らした。南部に行けばいくほど、まだ妖怪が多くいるのだから。
「困っている方がいて、わたしたちも人手が欲しい……雇うことも彼らの種族への共存こそが供養だと考えますよ」
「じい、ありがとう」
「もったいなきお言葉、何もしてはおりませぬゆえ」
「まだ彼らの風当たりは強いし、我が家なんて吹き飛びそうな家だけど、草の根運動っていうし……」
紅葉はにこりと笑って、善は急げと陰陽寮に休暇願を出して里に赴いてみた。
単独でいくには道中に不安があったが、馬を飛ばせは何とかなると楽観することにした。
訪れたことはなかったが、里らしい空気は漂っていた。人気はあるが、紅葉が到着した瞬間、散り散りに消えた。
そんなか行った求人活動は惨敗した。一日で何とかなるとは思いもしなかったが、話すら聞いてもらえなかったのだ。近づくと逃げられ、遠くから話しかけても逃げられ。
紅葉を見つめる目もあった。以前助けた鬼の子のようだったが、彼らこそ「お久しぶり」といって再会するわけにはいかない、お互いのために。
空き家に入り込んで、丸くなって寝た。
●不安と共に
松永光頼は以前監視という任務でそばにいた大江紅葉が気になっていた。
(知り合ったのは任務だった……その後会うのはどうなんだろうか……公私混同か、う、ううう)
悩む彼に上司は気付き、温かい目で「いいんだよ、頑張って口説け」と言ったことが腹立つことだった。
結局、大江家に向かうと、紅葉は出かけていないとのことだった。元気ならいいと帰ろうとしたところ、応対に出た家令がぼそりと一言。
「松永様とご一緒ではなかったんですね」
「ちょっと待ってください。どういうことです」
家令は事情を話す。
「モノノフでも雇ったんでしょう」
「……へそくりがあるなら」
カネの管理は家令の役目らしい、この家は。
光頼はハンターを雇って鬼の里に急ぐことにした。
鬼が危険ではなく、問題は妖怪だ。
光頼はふと大仰に騒いでいる自分に驚いた。
「何もなければ、大江殿を護衛して帰ってくればいいんだ」
●誘拐事件
警備および家の中の仕事をしてくれる人募集中と旗を掲げ、ぼんやりと紅葉は待つ。
遠巻きに子どもや大人が見ているが、結局それで終わりだった。昨日よりは視線を感じるので、慣れてもらえて一歩前進したと考えるしかなかった。
「はあ。思った以上に溝が深いのかしら」
紅葉は昼過ぎに荷物を馬に積んで、帰ろうとした。
悲鳴が耳に届く。反射的に紅葉はそちらを見た。
妖怪が数匹、女の子とその祖父らしい鬼を襲っているのだ。大猿は女の子を連れて行こうとしているように見える。
紅葉は馬に積んであった弓と杖を手にすると駆けだす。
「やめなさいっ!」
杖で猪のような妖怪をぶん殴るが、狙ったのとは別の妖怪に当たった。
懐から札を出そうとして青くなる。
(ないっ!?)
ガブリと妖怪に手首をかじられた。
「きゃあ」
紅葉は痛みに一瞬頭の中が真っ白になった。
「おじいちゃん!」
この間にも大猿は女の子を連れ去ろうとしている。
紅葉は大猿に向かって杖を振るうが、猪の妖怪に体当たりされてバランスを崩した。
「テユカ!」
年配の鬼は大猿に殴り掛かろうとしたが、大猿が投げ捨てた女の子の落下地点に急いだ。
大猿は雑魔に囲まれ右往左往している紅葉の手首をつかんで自分の方に引いた。
「ちょ、いやああ」
倒れ込んだ紅葉を大猿は小脇に抱え林に向かった。一応、紅葉が抵抗しているが、大して効果がなかった。
「おじいちゃん!」
テユカと呼ばれた女の子が紅葉が連れ去られているのを見て悲鳴を上げるが、年配の鬼は雑魔に押し倒され守りに徹するので精いっぱいだった。
何とかなったときには、雑魔も林に消えていなくなっていた。
●助けないと
「さすがに放っておけないだろう」
駆け付けた鬼の一人は有志を募って助けに行こうと言う。
「あの林、奥までまだ行っていないし」
「……」
あれこれ話している間に、テユカが叫ぶ。
「あたしが行くよ! だってあのヒトと都行きたい!」
それは問題外で、行く者が決まった。
ここに、光頼とハンターがやってくる。
武力を持っている彼らに鬼たちは警戒するが、光頼らは馬から下りて礼儀正しく挨拶する。
「人間の女性は来ていませんか? 迎えに来たのですが」
心配そうにしている彼を見て、現在起っていることを告げた。
解説
大江紅葉の救出をお願いします。
鬼の女の子うまそう、老人まずそうにはじまり、人間女うまそうになった模様……。
●逃げ込んだ林
竹林です。
里にいる鬼たちは生活圏として二十メートルくらいは入っても、その先は行っていません。
さほど深い竹林ではなく、奥には小さい洞窟(大人が二人くらい入れる)もあるらしいですが未確認です。
●敵勢力
・イノシシ型の雑魔×3
突進してきます。体当たりや噛みつき。
・巨大な猿の形の歪虚×1
サイズ1、人間の平均的な大人並みの背丈があり、大きいです。狒々のイメージに近いです。
腕力頼みの攻撃。ただし、身体能力は優れているためすばしっこく、イノシシ型と異なり、竹に上って逃げる可能性もあります。
なお周りにある物を投げつけることもします。
●大江紅葉(おおえくれは)
22歳女性、陰陽寮所属。知識は大好き、術の修業さぼりまくった挙句、符術師としては大したことありません。
持ったままなら杖と弓を持っていますが……術に必要な道具は全部荷物の中。
●松永光頼
今回の依頼人。二十代半ば、闘狩人で武人。
真面目で質実剛健……紅葉を仕事して監視をしていたのですが、任を解かれた現在も気になって仕方がないらしいです。
鬼の女の子うまそう、老人まずそうにはじまり、人間女うまそうになった模様……。
●逃げ込んだ林
竹林です。
里にいる鬼たちは生活圏として二十メートルくらいは入っても、その先は行っていません。
さほど深い竹林ではなく、奥には小さい洞窟(大人が二人くらい入れる)もあるらしいですが未確認です。
●敵勢力
・イノシシ型の雑魔×3
突進してきます。体当たりや噛みつき。
・巨大な猿の形の歪虚×1
サイズ1、人間の平均的な大人並みの背丈があり、大きいです。狒々のイメージに近いです。
腕力頼みの攻撃。ただし、身体能力は優れているためすばしっこく、イノシシ型と異なり、竹に上って逃げる可能性もあります。
なお周りにある物を投げつけることもします。
●大江紅葉(おおえくれは)
22歳女性、陰陽寮所属。知識は大好き、術の修業さぼりまくった挙句、符術師としては大したことありません。
持ったままなら杖と弓を持っていますが……術に必要な道具は全部荷物の中。
●松永光頼
今回の依頼人。二十代半ば、闘狩人で武人。
真面目で質実剛健……紅葉を仕事して監視をしていたのですが、任を解かれた現在も気になって仕方がないらしいです。
マスターより
こんにちは。
【東征】でお世話になりました大江紅葉、のんびりと生きてます……が、なんかピンチに陥ってます。助けてください……。
よろしくお願いします。
【東征】でお世話になりました大江紅葉、のんびりと生きてます……が、なんかピンチに陥ってます。助けてください……。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/10/26 22:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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作戦相談 雪継・白亜(ka5403) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/10/19 14:45:09 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/16 19:24:57 |