• 深棲
  • 戦闘

【深棲】戦いの導き

マスター:藤城とーま

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
ガーディナ

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/07/30 15:00
リプレイ完成予定
2014/08/08 15:00

オープニング

●マギア砦・広間

 今日のマギア砦は、臨時として緊急会議が開かれていた。
 石を綺麗に敷き詰められた広間には、その場に座っても良いように羊毛で編まれた簡素なラグが敷かれ、多数の人々がひしめき合うようにして顔を突き合わせている。

 諸部族の代表者が一堂に会して意見交換を行い、辺境部族が協力しあい、今後の方針を決めるという【部族会議】……。
 無論辺境全ての部族がここに参加しているわけではない。
 会議の必要性を感じず、去って行った者もいれば参加を見送っている部族もある。
 だが、加入すれば多くの情報を手に入れる事が出来るし、何より比較的安価に物品が購入できる。
 資金もさることながら食物や物資も多くない辺境部族にとっては、これだけでも入る価値はあるというものだ。
 そのため、加入部族は多いが……その内情としては、決して堅く団結しあっているわけではない。

「俺たちは、そんなに部族数も多くない。その『歪虚』がこちらにも影響するかどうか、暫く様子見させてもらう」
 中年の部族長がそう告げれば、同じように顔を突き合わせている面々の中から賛同や反対の声が飛ぶ。
「うちは海からは遠いけど、聖なる山が近いから……。その周囲にある歪虚だまりから雑魔が出たら困るわ。だから、そちらの守備をしたい」
 褐色肌の女性部族長の意見にも、先ほどと同じように賛同や非難の声が上がった。
「……静かに。意見は挙手、もしくは順番に」
 進行役である最年長の男性が制すも、その声は喧騒にかき消されてしまう。

 このように各自に主張はあれど、己の意志を突き通す者が多く、妥協させるという所があまりない。
 毎回、こうしてある意味熱意ある侃々諤々の議論が展開されているのだが……悲しい事に遅々として進まない。
 現に、毎回この調子で何のための会議なのかと不満を漏らす者も少なくはなかった。

 静かに、と再び老人が声を上げたが、やはり誰も聞こえないのだろう。バタルトゥ・オイマト(kz0023)が見かねて口を開きかけた所で――『失礼しますよ』と、涼しげな男の声が場の空気を裂いた。
 広間の中に現れたのは、辺境要塞【ノアーラ・クンタウ】の管理者、ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)だ。
 帝国軍人のヴェルナーは、本来ここに来るはずの無い男である。
 彼の姿を見た途端、広間内に張りつめる緊張や敵意。気の弱い者にとっては場の空気だけで、息の詰まる思いがすることだろう。
「許可も無くやって来た事にはお詫びしましょう。私の事は気にせず、どうぞ会議を続行されてください」
 しかし、ヴェルナーもそんな空気には慣れているようだ。一同を見渡すと手で促した。
「何しに来たんだ! ここは貴様が来るようなところではない!」
「そうだ! 出てけ!」
 苛烈な言葉を浴びせる代表者たちを見つめ、ヴェルナーは相変わらずですねと皮肉めいた言葉を口にした。
「会議の場で感情の抑制も出来ぬとは。貴方がたは……本当に辺境を愛し、自身の部族を存続させたいとも思っているのですか?」
「なんだと!」
 途端に、数人が殺気立って立ち上がる。だが、ヴェルナーの顔色も態度も変わらない。
「……私に挑もうとするのは結構ですが、そのように荒ぶっている場合でもないのでは? 本日の議題はリゼリオ、及び海上に出現した歪虚への対処、部族民の派遣如何であったと記憶しています。それゆえ、どう動かれるのか興味を持ったのですが……」
 始まってから随分と経過していますが、当然話は終わったのでしょう――? とヴェルナーが涼しげな目を向ければ、あれほど騒がしかった広間に静寂が訪れた。
「……まとまらぬ談合。あのドワーフ王にはさぞ我慢ならなかったでしょう」
 会議はまだ終わりそうにない。剣の柄を人差し指で叩き、ふむ、とヴェルナーは会場の部族の面々を見つめた。
 それなら、数部族の意見を聞いて判断するべきと考えたようだった。
 やがて、ヴェルナーの気は、一人の女族長へと向いた。
「……スコール族長。貴女のご意見をお伺いいたします。此度の問題についてはどうお考えですか?」
 ファリフ・スコール(kz0009)は、驚いたような様子を見せたが……きゅっと拳を握ると立ち上がり、ヴェルナーをまっすぐ見つめた。
「僕は、リゼリオに行くよ。巫女様……リムネラ様の事も心配だし、リゼリオに隣接している同盟……特にヴァネッサさんには、たくさん恩があるんだ」
「貴女が向かわれると? 兵は? 留守はどうされるのです?」
「戦士を3割くらい連れていく。あとは……ハンターたちに力を借りようと思ってるし、留守は長老や、信頼できる人が守ってくれる……!」
 ヴェルナーは無表情で彼女を見つめた。この男が何を考えているのか、人生経験的も未熟で、腹芸も苦手なファリフにわかるはずはない。
「……結構です。では、次にオイマト族は?」
 次にヴェルナーが視線を投げたのは、親帝国派の部類にあるオイマト族だった。
 族長のバタルトゥは小さく頷くと、ファリフと入れ替わりに立ち上がり、周囲の部族を見渡すように告げた。
「我々は、辺境、特に自部族と要塞周辺への防衛・警戒強化を図る。何より、他所に割り振れる武力の余過剰など無い」
「オイマト族だけが派遣に反対だとしても……その対応を一貫するのですか?」
 ヴェルナーの問いかけにも、バタルトゥは無論だと頷く。彼の決意は固いようだ。
「わかりました。では、それ以外に意見のある方は――」
 その先は予想できていたが、先ほど息巻いていた部族長が『あんたらはどうするんだ』と問う。
「帝国軍としては、同盟海軍の留守を補う形でやヴァリオスやジュオルジへと派兵します。ですが……こちらも長短は把握しています。出来る範囲での補助、です」
 それ以外は、何も質問が無かった。ヴェルナーは以上と致しますと切り上げ、踵を返しかけ……立ち止まると肩越しに振り返る。

「……一応、ご忠告を。辺境内で、巨大な人影を見たという報告がありました。それが今回の事件に関係あるか、見間違いかは不明ですが……くれぐれも、油断なきよう。何かあればハンターたちへ相談されるとよいでしょう。では」

 足早に、マギア砦を後にするヴェルナー。
 彼らとの意見交換は無益であったとは思わない。だが、無駄が多すぎるのだ。
 馬車に乗り込み、要塞へ向かうよう指示しながら、ヴェルナーはリゼリオや辺境周辺への依頼内容を考えていた。

(人心と兵力、どちらも不足しているこの状態では、やはりそちら側に頼らざるを得ないでしょう……)
 辺境管理者というそこそこの立場にありつつも、この辺境では自由に扱える手駒も少ない。
 次にどう動くかを考えつつ、まずは――
(辺境の海岸線調査……か。商業などにも影響しては困る……ああ、するべきことは多いものだ)

 カバンからメモを取り出すと、ヴェルナーはさらさらと依頼内容を書き始めた。

解説

凄い長いOPですが、辺境も歪虚と戦い、辺境を防衛するための準備を始めています。
ファリフはリゼリオへと息巻き、バタルトゥは辺境内の防衛を重要と考えており、ヴェルナーは正確な情報を集めようとしているようです。

■今回やる事
ヴェルナーから、辺境の海岸線の調査を依頼されています。
リゼリオから離れているとはいえ、こちらの方に何らかの影響が表れているかもしれない、という懸念と防衛のためです。
なので、ハンターの皆様には辺境要塞より2日ほど馬車に乗って東に行ったところの警戒をお願いします。
ヴェルナーさんは一応頼めばついてきてくれますが、頼まれなければついていきません。

■PL情報

海岸の調査をしていると、なんだか魚の顔をした70センチ程度のカニ雑魔が10匹ほどいます。「ぐ、ぐぅう」とか変な声で鳴きます。
カニパンチが痛いです。何故かジャンプして攻撃もします。生臭いです。多分食べられません。
魚の口からは海水が出ます。あとちょっとかわいくないです。

マスターより

凄い真面目なんだかそうでないんだかわからない依頼ですが、
魚顔カニを退治する簡単なお仕事です。
どうぞよろしくお願いいたします★

関連NPC

  • 辺境要塞管理者
    ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/08/06 23:49

参加者一覧

  • 護りの弾丸
    シュタール・フラム(ka0024
    ドワーフ|29才|男性|機導師
  • スピードスター
    無限 馨(ka0544
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • ミワクノクチビル
    ナナート=アドラー(ka1668
    エルフ|23才|男性|霊闘士
  • 献身的な旦那さま
    テオバルト・グリム(ka1824
    人間(紅)|20才|男性|疾影士

  • アリス・ウィンベル(ka2260
    人間(蒼)|14才|女性|猟撃士
  • 妨害の緑
    フィドルフ(ka2525
    エルフ|18才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/07/25 10:36:56
アイコン 辺境海岸線調査
無限 馨(ka0544
人間(リアルブルー)|22才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/07/30 07:54:12