ゲスト
(ka0000)
【郷祭】失敗作から新商品を
マスター:龍河流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/07 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/11/16 22:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
その日、ハンターオフィスに作業着に土をつけたままの数人がやって来た。
「だから、この花をうまく活用してくれる人をね」
「とにかく知恵が回って、料理とか上手なのがいいかな」
「食用なのに、劇的に不味いんだ。これを加工する方法を知ってる人がいれば」
「単にお金を払ってくれる人でもいいけど」
「あ、それでもいい」
「うん、出資者募集」
「依頼を出しに来て、お金出せって、あんた方なんですかーっ!」
食用花を食べられるようにしてくれと、そんな不可思議なことを口走っている集団は、最後にはスポンサー探しを始めようとして、オフィスの係員に怒られている。
最初に彼らが何を頼みたかったのかは……
自由都市同盟にある農業振興地区ジェオルジには、領主のジェオルジ一族の直接管理する地域以外に複数の村がある。
その村々の長が顔を揃えて、地域の諸々を相談する村長会議は、すでに終了。ここからは郷祭とも呼ばれる、村長祭の始まりだ。
ジェオルジ各所でも、村の名物を楽しんだり、競馬が行われたりと、様々な催しが計画、実行されている。
そう、祭はこれからが本番。
だと言うのに、ジェオルジのど真ん中にて、一人黄昏れている人物がいた。
名前は、ルーベン・ジェオルジ。現領主のセストの父親にして、先代領主である。
過去に幾種類もの新種植物を発見、交配し、研究者としての実力は一流だ。
けれども、まだ少年期の息子に『自分が研究に没頭したいから』と領主の座を押し付けたことは、ジェオルジでは有名、同盟の評議会でも大抵知っている話のため、誰も人格者だとは思っていない。その通りなので、当人も気にしていない。
そんなルーベンが落ち込む理由は、研究がうまく行かなかったからだ。今回彼が手掛けていたのは、食用花の交配である。
「絶対に、完璧な出来だと思ったのに……」
食用花と言えば、おおむね料理の彩りに添えられ、主役にはなり難い。ルーベンの素早い資料入手によると、東方では食用花のおひたしなる副菜も存在するが、皆が日常的に食べるものではないらしい。
そもそも、食用とはいえ花。色や形、鮮度を保つのにも、いささか手間が掛かる食材だ。その割に食べて感動するほどの味ではないとなれば、流通量も限られる。
ならば、食用花だけで一品が成立し、老若男女が受け入れる味と香りになれば、ジェオルジの名物として販路が広げられる。ルーベンはこう思い立ち、交配を進めた結果、完成一歩手前の試作ではほぼ完璧なものが出来上がった。
味、甘い。
色、赤系と黄色系、その混合色の橙系ばかりだが、華やかで美しい。
香り、ふんわりと甘さを感じさせる。
形、見栄えも良い。
収穫量、残念ながら低い。
栽培、水やりに気を付ける以外は、難しくない。
この食用花だけで、デザートの一品になれると勢い込んだルーベンは、意気揚々と収穫量を上げるための交配を続け、ようやく満足がいく結果を導き出した。
しかし。
「どうして、こんなに渋いんだ!!」
何がどこでどう間違ったのか。
この郷祭でのお披露目を目指して栽培された食用花は、劇的に味が変化してしまっていた。
とにかく、渋い。渋柿という東方の果物をうっかり食べたことがある人なら、その記憶を悪い方に五倍くらい修正してもらえば、この花を口にせずとも味が分かるだろう。
加えて、色が落ちやすい。瑞々しさは保てるのだが、何故か色だけは収穫直後からすぐに薄まって来て、やがて白くなってしまう。形は保てても、真っ白では見栄えも良くない。
香りと形に変わりはないが、その印象で、かえって味の渋みが増して感じられるという意見まで出る始末。
まったく、どこで間違ったのか不明なままだ。
更に悪いことには、関係者の誰の不注意か、この不出来な新種の花粉が交配途中の苗の保管温室に運ばれて、過去の優良だった食用花も全部がこの激渋に変化してしまったのである。
それがなければ、ルーベンのこと。今年は無理でも、来年の春の祭りを目指して品種改良のやり直しに勤しんでいただろう。けれど、さすがの彼も、この失敗には気力を失ってしまっている。
研究途中で資金が付きて、勝手に他の実験農場の予算を持ち出し、妻で領主代行も務めるバルバラにぎっちり絞られた時より、十倍も落ち込んでいた。
「困ったね」
「うん、あの人があのままだと、お金が出ないもんね」
「この際、強壮剤でも何でもいいから薬効を見付けるか、加工方法を確立して、バルバラ様やセスト様に次の研究予算を貰えるようにしなきゃ」
そして。
困った人の部下に当たる困った研究者達は、ルーベンの落ち込みなど放置して、新たな研究予算を得るために、不良品化した食用花の活用方法を見付ける依頼を出したのだった。
その日、ハンターオフィスに作業着に土をつけたままの数人がやって来た。
「だから、この花をうまく活用してくれる人をね」
「とにかく知恵が回って、料理とか上手なのがいいかな」
「食用なのに、劇的に不味いんだ。これを加工する方法を知ってる人がいれば」
「単にお金を払ってくれる人でもいいけど」
「あ、それでもいい」
「うん、出資者募集」
「依頼を出しに来て、お金出せって、あんた方なんですかーっ!」
食用花を食べられるようにしてくれと、そんな不可思議なことを口走っている集団は、最後にはスポンサー探しを始めようとして、オフィスの係員に怒られている。
最初に彼らが何を頼みたかったのかは……
自由都市同盟にある農業振興地区ジェオルジには、領主のジェオルジ一族の直接管理する地域以外に複数の村がある。
その村々の長が顔を揃えて、地域の諸々を相談する村長会議は、すでに終了。ここからは郷祭とも呼ばれる、村長祭の始まりだ。
ジェオルジ各所でも、村の名物を楽しんだり、競馬が行われたりと、様々な催しが計画、実行されている。
そう、祭はこれからが本番。
だと言うのに、ジェオルジのど真ん中にて、一人黄昏れている人物がいた。
名前は、ルーベン・ジェオルジ。現領主のセストの父親にして、先代領主である。
過去に幾種類もの新種植物を発見、交配し、研究者としての実力は一流だ。
けれども、まだ少年期の息子に『自分が研究に没頭したいから』と領主の座を押し付けたことは、ジェオルジでは有名、同盟の評議会でも大抵知っている話のため、誰も人格者だとは思っていない。その通りなので、当人も気にしていない。
そんなルーベンが落ち込む理由は、研究がうまく行かなかったからだ。今回彼が手掛けていたのは、食用花の交配である。
「絶対に、完璧な出来だと思ったのに……」
食用花と言えば、おおむね料理の彩りに添えられ、主役にはなり難い。ルーベンの素早い資料入手によると、東方では食用花のおひたしなる副菜も存在するが、皆が日常的に食べるものではないらしい。
そもそも、食用とはいえ花。色や形、鮮度を保つのにも、いささか手間が掛かる食材だ。その割に食べて感動するほどの味ではないとなれば、流通量も限られる。
ならば、食用花だけで一品が成立し、老若男女が受け入れる味と香りになれば、ジェオルジの名物として販路が広げられる。ルーベンはこう思い立ち、交配を進めた結果、完成一歩手前の試作ではほぼ完璧なものが出来上がった。
味、甘い。
色、赤系と黄色系、その混合色の橙系ばかりだが、華やかで美しい。
香り、ふんわりと甘さを感じさせる。
形、見栄えも良い。
収穫量、残念ながら低い。
栽培、水やりに気を付ける以外は、難しくない。
この食用花だけで、デザートの一品になれると勢い込んだルーベンは、意気揚々と収穫量を上げるための交配を続け、ようやく満足がいく結果を導き出した。
しかし。
「どうして、こんなに渋いんだ!!」
何がどこでどう間違ったのか。
この郷祭でのお披露目を目指して栽培された食用花は、劇的に味が変化してしまっていた。
とにかく、渋い。渋柿という東方の果物をうっかり食べたことがある人なら、その記憶を悪い方に五倍くらい修正してもらえば、この花を口にせずとも味が分かるだろう。
加えて、色が落ちやすい。瑞々しさは保てるのだが、何故か色だけは収穫直後からすぐに薄まって来て、やがて白くなってしまう。形は保てても、真っ白では見栄えも良くない。
香りと形に変わりはないが、その印象で、かえって味の渋みが増して感じられるという意見まで出る始末。
まったく、どこで間違ったのか不明なままだ。
更に悪いことには、関係者の誰の不注意か、この不出来な新種の花粉が交配途中の苗の保管温室に運ばれて、過去の優良だった食用花も全部がこの激渋に変化してしまったのである。
それがなければ、ルーベンのこと。今年は無理でも、来年の春の祭りを目指して品種改良のやり直しに勤しんでいただろう。けれど、さすがの彼も、この失敗には気力を失ってしまっている。
研究途中で資金が付きて、勝手に他の実験農場の予算を持ち出し、妻で領主代行も務めるバルバラにぎっちり絞られた時より、十倍も落ち込んでいた。
「困ったね」
「うん、あの人があのままだと、お金が出ないもんね」
「この際、強壮剤でも何でもいいから薬効を見付けるか、加工方法を確立して、バルバラ様やセスト様に次の研究予算を貰えるようにしなきゃ」
そして。
困った人の部下に当たる困った研究者達は、ルーベンの落ち込みなど放置して、新たな研究予算を得るために、不良品化した食用花の活用方法を見付ける依頼を出したのだった。
解説
・依頼内容
味が激渋で、そのままでは商品化が困難な食用花を売り出せるように、加工方法か薬効を見出すこと
商品化までこぎつけなくとも、その可能性があると判明すればよい
また、花そのものと商品化した場合に付ける名前の案も募集中
・食用花(名前未定)
外見はリアルブルー人はゼラニウム、東方出身者はテンジクアオイと呼ぶ植物によく似ている
花の色、形は多少の種類はあるが、いずれも味と香りに大差はない
栽培方法さえ間違えなければ、少量の肥料を適宜与えるだけで冬以外は花が咲く
この花が食用になり、濡れた布の上に並べて置けば一か月前後は鮮度が保たれ、「蜜煮菫のように甘い」(ルーベン談)味がした
品種改良失敗で味は激渋、鮮やかな花色は時間経過とともに真っ白に変化
香りと形は変化していないが、生食は不可能になった
依頼開始まで、生食以外の摂取方法は試していない
※食用花のジェオルジ外持ち出しは厳禁
・品種改良責任者ルーベン
頭はいいが、行動と性格が駄目で、差し引きマイナス評価のジェオルジ先代領主のおっさん
今回もジェオルジの実験農場資金の使い込みが発覚し、次の研究にと手配していた東方農産物入手の費用と相殺されたので、この食用花の開発で一山当てる気でいた
依頼開始時は落ち込み中だが、ちょっとつつくと回復するので、試作品の味見などは率先してやってくれる
部下達も、頭はいいしやる気もあるけど、そのせいで暴走する傾向があるよねな感じの若手植物学者達
彼らは食用花の専門助手で、ルーベンの周囲にまともな人物がいない訳ではない
・現地
畑と温室、研究施設のあるジェオルジの中心部のちょっと南側
農作物の食品加工に要する設備や道具はだいたいがあるか、すぐに調達可能
試作品に要する食料、調味料、薬品なども、同盟内で手に入るものなら都合をつけてくれるが、リアルブルー製品は無理
味が激渋で、そのままでは商品化が困難な食用花を売り出せるように、加工方法か薬効を見出すこと
商品化までこぎつけなくとも、その可能性があると判明すればよい
また、花そのものと商品化した場合に付ける名前の案も募集中
・食用花(名前未定)
外見はリアルブルー人はゼラニウム、東方出身者はテンジクアオイと呼ぶ植物によく似ている
花の色、形は多少の種類はあるが、いずれも味と香りに大差はない
栽培方法さえ間違えなければ、少量の肥料を適宜与えるだけで冬以外は花が咲く
この花が食用になり、濡れた布の上に並べて置けば一か月前後は鮮度が保たれ、「蜜煮菫のように甘い」(ルーベン談)味がした
品種改良失敗で味は激渋、鮮やかな花色は時間経過とともに真っ白に変化
香りと形は変化していないが、生食は不可能になった
依頼開始まで、生食以外の摂取方法は試していない
※食用花のジェオルジ外持ち出しは厳禁
・品種改良責任者ルーベン
頭はいいが、行動と性格が駄目で、差し引きマイナス評価のジェオルジ先代領主のおっさん
今回もジェオルジの実験農場資金の使い込みが発覚し、次の研究にと手配していた東方農産物入手の費用と相殺されたので、この食用花の開発で一山当てる気でいた
依頼開始時は落ち込み中だが、ちょっとつつくと回復するので、試作品の味見などは率先してやってくれる
部下達も、頭はいいしやる気もあるけど、そのせいで暴走する傾向があるよねな感じの若手植物学者達
彼らは食用花の専門助手で、ルーベンの周囲にまともな人物がいない訳ではない
・現地
畑と温室、研究施設のあるジェオルジの中心部のちょっと南側
農作物の食品加工に要する設備や道具はだいたいがあるか、すぐに調達可能
試作品に要する食料、調味料、薬品なども、同盟内で手に入るものなら都合をつけてくれるが、リアルブルー製品は無理
マスターより
今までのお祭りでは、おにぎり草「まめし」や採光花「咲蛍」をリリース(?)してきたルーベンさんも、たまには失敗するようです。
その失敗作をどうにかするのが、今回の依頼となります。
世の中には生食はしないけれども、加工されて商品展開する花は色々ありますので、その辺りも参考に、何か新たな道が開けないかを模索してください。
もちろん斬新なアイデアも、お持ちいただければ幸い。
その過程で、ルーベンさんと助手達の舌がとんでもない事になっても、それは彼らの自業自得です。
その失敗作をどうにかするのが、今回の依頼となります。
世の中には生食はしないけれども、加工されて商品展開する花は色々ありますので、その辺りも参考に、何か新たな道が開けないかを模索してください。
もちろん斬新なアイデアも、お持ちいただければ幸い。
その過程で、ルーベンさんと助手達の舌がとんでもない事になっても、それは彼らの自業自得です。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/11/18 02:37