ゲスト
(ka0000)
【闇光】歌は戦場に響くか
マスター:神宮寺飛鳥

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/14 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/11/28 12:00
オープニング
それは、噂として流した『秋の特大ライブ』が告知されてから、数日後のことだった。
――歪虚王襲撃、全軍撤退戦開始、の報が入ったのは。
●Side:帝国歌舞音曲部隊
「特大ライブの中止を告知しよう」
部隊長クレーネウスは、すぐさまそう指示を出した。
元々、北伐に向かった兵士達の慰問をメインとし、帝都住民の慰労も兼ねたライブである。その帝国軍が危機的状況と言うならば中止する他ないし、それ以上に――グリューエリン・ヴァルファー(kz0050)は、軍人だ。
「出陣命令に備え、戦闘訓練の比率を上げてもらうように伝えて……それから」
一通り指示を出し終えて、最後の懸案にクレーネウスはしばし考え込む。
実を言えば、現在グリューエリンと錬魔院所属アイドルであるブレンネ・シュネートライベン(kz0145)は共にレッスンを行っている。互いに良い影響を与え合えばという思惑もあったし、ブレンネ自身の素質や性格を近くで把握したいというのもある。錬魔院はその申し出を快く承諾したし、秋の特大ライブではデュエット曲を用意しようという相談もあった。
しかし、このような状況になってみれば、錬魔院の動き方がわからない以上、一度ブレンネを錬魔院に戻すべきか――その時、残るのがクレーネウス1人となった部屋に、ノックすらなく扉の開く音が響き渡る。
「どなたですか、一体……!?」
振り向いたクレーネウスの瞳が大きく見開かれる中、その人物はニコニコと楽しげに片手を上げた。
●Side:2人のアイドル
「グリューエリン!」
後ろから声を掛けられて、炎色の髪を揺らして少女は振り向いた。
けれど口を開く前に、ライバルであると同時に練習仲間ともなった、短い銀髪の少女が真っ直ぐに蒼い瞳を向ける。
「前線に、兵士達を励ましに行こう!」
「え?」
ぽかんとしたグリューエリンの肩に、ぽんと少女としては大き目の手が乗る。
「だって、あたし達アイドルの本来の仕事でしょ?」
「ええ、ブレンネ。それは勿論ですわ」
だが、軍人としては弱小なれど、アイドルとしてのグリューエリンは代わりのいない存在である。それに軍人である以上、戦地に勝手に向かうことは許されない。
そう口にしようとした反論は、ブレンネの言葉でまた吹き飛ばされた。
「あのね、錬魔院から連絡があったの。ステージ搭載の魔導アーマーでパフォーマンスをして、兵士達を応援するんだって。もう歌舞音曲部隊の方にも話は行ってるからって」
「そ、そうなのですか?」
「うん。応援のための曲も、ナサニエルさんが考えてくれてる」
「ナサニエルさんが、自ら……」
ブレンネが重ねる言葉に思案し始めたグリューエリンの耳に、歌舞音曲部隊員の1人の声が届いたのは、その時だった。
●Side:錬魔院
「仮にも軍属アイドルを借りる以上、主戦場へと送り込むわけにはいかないですからねぇ、戦場の端の方でいいんです。それに、その方が都合がいいですからね」
ナサニエル・カロッサ(kz0028)の言葉に、大柳莉子はどのような表情を浮かべるべきか迷っているような顔で頷いた。
2人の目の前には、ステージと音響装置などを搭載し、タイヤで動くように改良された魔導アーマー。2人のアイドルが全力で歌って踊るには若干狭いが、そこはナサニエルが調整して楽曲を作ってある。
「心配なんですかぁ? 大丈夫です、2人で負荷を分担しますから、死にはしませんよ」
「……そう、ですね」
そう、これは、夢のために必要なこと――そう、莉子は自分に言い聞かせる。
ブレンネの。そして、自分自身の。
「まぁ仮に死んだとしても、あくまでアイドルは媒体ですからねぇ。軍属アイドルの方は、ちょっと面倒なことになりますけど」
「ナサニエルさん、そういうことは冗談でも」
「本気ですよぉ?」
あっさりと言い放つナサニエルに、莉子が思わず言い返そうと口を開く――より前に。
「彼女にその重荷を背負わせることに同意したのは、貴女じゃないですかぁ」
容赦のない事実を突き付けられ、唇を噛む。そう言われてしまえば、もう首を横に振ることはできなかった。
●Side:戦場
その惨状を前に、グリューエリンは何も言えなかった。
ブレンネ、クレーネウスから依頼を請けたハンター達、歌舞音曲部隊員、そして錬魔院の担当人員と共に訪れた野営地の至る所に広がるのは、血と――死の、臭い。幾つものテントでは重い怪我を負った兵士達が呻き、軽傷で済んだ者達が暗い顔で忙しく立ち働いている。全く無傷の者など1人も存在しない。敗戦の重い空気、同輩を失った痛み、次は誰が死ぬかもわからないという緊迫感――全てが渦巻き、淀んでいる。
思えば、明るい所でしか歌ったことはなかったとグリューエリンは思う。下水道は暗くとも共に掃除し歌った皆は明るかった。ライブ会場の観客達は温かく迎えてくれた。初めて戦場に出た剣機リンドヴルム戦は、帝都を守る為に必死だった。
迎える人々が前向きでいてくれれば、歌やダンスは心に届く。
けれど、今はそれどころではないのでは――?
「何て顔してるのさ、グリューエリン」
けれど魔導アーマーに搭載されたステージの中央に一緒に立つブレンネは、瞳を輝かせ笑みを浮かべていた。その身体に纏う、衣装の一部のように作られた魔導機械は、グリューエリンと揃いのものだ。
「こういう時こそ、アイドルが歌わなきゃ。みんなを元気にしなきゃ」
「え、ええ。ですが……今は、歌やダンスより必要なものがあるように思えてならないのです」
「だったら、グリューエリンが一番前で、歪虚王と戦えるの?」
唇を噛み、グリューエリンは首を横に振る。
「それなら、兵士のみんながそうできるようにするのが、あたし達の役目」
「……そう、ですわね」
肯定を返しつつ、グリューエリンの胸の中にはもやりとしたものが広がる。――それでも、音響装置から流れる音楽に合わせて、必死に笑顔を作り、声を張り、ステップを踏む。いつもよりずっと疲労感があるのは、滝のように汗が溢れるのは、心の重さ故なのだろうか――。
「立ち上がろう!」
グリューエリンとブレンネの歌が、そう揃った瞬間。
兵士達が武器を抜いた。一瞬目を見張ったグリューエリンだが、彼らが向かったのは前線の方向。
重傷で寝ていた兵士の中にも、必死に動き出す者達がいる。軽傷の者の3人に1人ほど、重傷の者は10人に1人ほどが、続々と戦場に駆けていく。引き留めようとする仲間を振り払って。
「これが、歌の力なんだね……」
「ええ、歌……の……」
見せつけられた光景に、感動よりも心が警鐘を鳴らす。おかしい。何かがおかしい。
その時、剣戟の音が耳を打った。追撃をかける歪虚達と今駆け出した兵士達の間に、戦線が開かれる。
「彼らを殿とし、ここは撤退を!」
部隊長らしき女性が指示を伝える中、グリューエリンはマイクを握り締めて戦場を見つめていた。
――歪虚王襲撃、全軍撤退戦開始、の報が入ったのは。
●Side:帝国歌舞音曲部隊
「特大ライブの中止を告知しよう」
部隊長クレーネウスは、すぐさまそう指示を出した。
元々、北伐に向かった兵士達の慰問をメインとし、帝都住民の慰労も兼ねたライブである。その帝国軍が危機的状況と言うならば中止する他ないし、それ以上に――グリューエリン・ヴァルファー(kz0050)は、軍人だ。
「出陣命令に備え、戦闘訓練の比率を上げてもらうように伝えて……それから」
一通り指示を出し終えて、最後の懸案にクレーネウスはしばし考え込む。
実を言えば、現在グリューエリンと錬魔院所属アイドルであるブレンネ・シュネートライベン(kz0145)は共にレッスンを行っている。互いに良い影響を与え合えばという思惑もあったし、ブレンネ自身の素質や性格を近くで把握したいというのもある。錬魔院はその申し出を快く承諾したし、秋の特大ライブではデュエット曲を用意しようという相談もあった。
しかし、このような状況になってみれば、錬魔院の動き方がわからない以上、一度ブレンネを錬魔院に戻すべきか――その時、残るのがクレーネウス1人となった部屋に、ノックすらなく扉の開く音が響き渡る。
「どなたですか、一体……!?」
振り向いたクレーネウスの瞳が大きく見開かれる中、その人物はニコニコと楽しげに片手を上げた。
●Side:2人のアイドル
「グリューエリン!」
後ろから声を掛けられて、炎色の髪を揺らして少女は振り向いた。
けれど口を開く前に、ライバルであると同時に練習仲間ともなった、短い銀髪の少女が真っ直ぐに蒼い瞳を向ける。
「前線に、兵士達を励ましに行こう!」
「え?」
ぽかんとしたグリューエリンの肩に、ぽんと少女としては大き目の手が乗る。
「だって、あたし達アイドルの本来の仕事でしょ?」
「ええ、ブレンネ。それは勿論ですわ」
だが、軍人としては弱小なれど、アイドルとしてのグリューエリンは代わりのいない存在である。それに軍人である以上、戦地に勝手に向かうことは許されない。
そう口にしようとした反論は、ブレンネの言葉でまた吹き飛ばされた。
「あのね、錬魔院から連絡があったの。ステージ搭載の魔導アーマーでパフォーマンスをして、兵士達を応援するんだって。もう歌舞音曲部隊の方にも話は行ってるからって」
「そ、そうなのですか?」
「うん。応援のための曲も、ナサニエルさんが考えてくれてる」
「ナサニエルさんが、自ら……」
ブレンネが重ねる言葉に思案し始めたグリューエリンの耳に、歌舞音曲部隊員の1人の声が届いたのは、その時だった。
●Side:錬魔院
「仮にも軍属アイドルを借りる以上、主戦場へと送り込むわけにはいかないですからねぇ、戦場の端の方でいいんです。それに、その方が都合がいいですからね」
ナサニエル・カロッサ(kz0028)の言葉に、大柳莉子はどのような表情を浮かべるべきか迷っているような顔で頷いた。
2人の目の前には、ステージと音響装置などを搭載し、タイヤで動くように改良された魔導アーマー。2人のアイドルが全力で歌って踊るには若干狭いが、そこはナサニエルが調整して楽曲を作ってある。
「心配なんですかぁ? 大丈夫です、2人で負荷を分担しますから、死にはしませんよ」
「……そう、ですね」
そう、これは、夢のために必要なこと――そう、莉子は自分に言い聞かせる。
ブレンネの。そして、自分自身の。
「まぁ仮に死んだとしても、あくまでアイドルは媒体ですからねぇ。軍属アイドルの方は、ちょっと面倒なことになりますけど」
「ナサニエルさん、そういうことは冗談でも」
「本気ですよぉ?」
あっさりと言い放つナサニエルに、莉子が思わず言い返そうと口を開く――より前に。
「彼女にその重荷を背負わせることに同意したのは、貴女じゃないですかぁ」
容赦のない事実を突き付けられ、唇を噛む。そう言われてしまえば、もう首を横に振ることはできなかった。
●Side:戦場
その惨状を前に、グリューエリンは何も言えなかった。
ブレンネ、クレーネウスから依頼を請けたハンター達、歌舞音曲部隊員、そして錬魔院の担当人員と共に訪れた野営地の至る所に広がるのは、血と――死の、臭い。幾つものテントでは重い怪我を負った兵士達が呻き、軽傷で済んだ者達が暗い顔で忙しく立ち働いている。全く無傷の者など1人も存在しない。敗戦の重い空気、同輩を失った痛み、次は誰が死ぬかもわからないという緊迫感――全てが渦巻き、淀んでいる。
思えば、明るい所でしか歌ったことはなかったとグリューエリンは思う。下水道は暗くとも共に掃除し歌った皆は明るかった。ライブ会場の観客達は温かく迎えてくれた。初めて戦場に出た剣機リンドヴルム戦は、帝都を守る為に必死だった。
迎える人々が前向きでいてくれれば、歌やダンスは心に届く。
けれど、今はそれどころではないのでは――?
「何て顔してるのさ、グリューエリン」
けれど魔導アーマーに搭載されたステージの中央に一緒に立つブレンネは、瞳を輝かせ笑みを浮かべていた。その身体に纏う、衣装の一部のように作られた魔導機械は、グリューエリンと揃いのものだ。
「こういう時こそ、アイドルが歌わなきゃ。みんなを元気にしなきゃ」
「え、ええ。ですが……今は、歌やダンスより必要なものがあるように思えてならないのです」
「だったら、グリューエリンが一番前で、歪虚王と戦えるの?」
唇を噛み、グリューエリンは首を横に振る。
「それなら、兵士のみんながそうできるようにするのが、あたし達の役目」
「……そう、ですわね」
肯定を返しつつ、グリューエリンの胸の中にはもやりとしたものが広がる。――それでも、音響装置から流れる音楽に合わせて、必死に笑顔を作り、声を張り、ステップを踏む。いつもよりずっと疲労感があるのは、滝のように汗が溢れるのは、心の重さ故なのだろうか――。
「立ち上がろう!」
グリューエリンとブレンネの歌が、そう揃った瞬間。
兵士達が武器を抜いた。一瞬目を見張ったグリューエリンだが、彼らが向かったのは前線の方向。
重傷で寝ていた兵士の中にも、必死に動き出す者達がいる。軽傷の者の3人に1人ほど、重傷の者は10人に1人ほどが、続々と戦場に駆けていく。引き留めようとする仲間を振り払って。
「これが、歌の力なんだね……」
「ええ、歌……の……」
見せつけられた光景に、感動よりも心が警鐘を鳴らす。おかしい。何かがおかしい。
その時、剣戟の音が耳を打った。追撃をかける歪虚達と今駆け出した兵士達の間に、戦線が開かれる。
「彼らを殿とし、ここは撤退を!」
部隊長らしき女性が指示を伝える中、グリューエリンはマイクを握り締めて戦場を見つめていた。
解説
●目的
この部隊の安全地帯への撤退
●状況
部隊は生存者180人程で構成されており、覚醒者は15人。
そのうち50人程度(覚醒者全員を含む)が大量の歪虚と交戦中。
歪虚は多くは近接攻撃のみを行う死体型であるが、少数の吸血鬼型・亡霊型を含む。
追撃を食い止めつつ、10kmほど先の人間の領域まで一気に撤退する必要がある。
なお、戦闘に加わらず残っている人員130名のうち70名程度は重傷者であり、軽傷者も士気は低い。
魔導アーマーはグリューエリンを乗せたものとブレンネを乗せたものとで2機が別々にあり、移動力3で移動することができる。
ステージ部分を使用すれば人員輸送も可能。1機につき立っていれば15人、横たわっていても5~6人は乗ることができる。
魔導アーマーの操縦はPCが行ってもよいし、誰も名乗りでない場合は錬魔院が派遣したパイロットが操縦する。
グリューエリンとブレンネはかなり消耗しており、戦闘に加わることは不可能。
●帝国歌舞音曲部隊員
非覚醒者4名。いずれもバックラーと銃を携帯している。
●錬魔院職員
覚醒者(錬金術師)2名、非覚醒者6名。いずれもバックラーと銃を携帯している。
●交戦中の兵士達について
放っておけば全員が死ぬまで戦闘を行う。その前に撤退させるためには、適切な説得か歪虚の殲滅が必要。
なお、歪虚の殲滅はこの場に集まった全員の総力によっても、かなり難しいと思われる。
この部隊の安全地帯への撤退
●状況
部隊は生存者180人程で構成されており、覚醒者は15人。
そのうち50人程度(覚醒者全員を含む)が大量の歪虚と交戦中。
歪虚は多くは近接攻撃のみを行う死体型であるが、少数の吸血鬼型・亡霊型を含む。
追撃を食い止めつつ、10kmほど先の人間の領域まで一気に撤退する必要がある。
なお、戦闘に加わらず残っている人員130名のうち70名程度は重傷者であり、軽傷者も士気は低い。
魔導アーマーはグリューエリンを乗せたものとブレンネを乗せたものとで2機が別々にあり、移動力3で移動することができる。
ステージ部分を使用すれば人員輸送も可能。1機につき立っていれば15人、横たわっていても5~6人は乗ることができる。
魔導アーマーの操縦はPCが行ってもよいし、誰も名乗りでない場合は錬魔院が派遣したパイロットが操縦する。
グリューエリンとブレンネはかなり消耗しており、戦闘に加わることは不可能。
●帝国歌舞音曲部隊員
非覚醒者4名。いずれもバックラーと銃を携帯している。
●錬魔院職員
覚醒者(錬金術師)2名、非覚醒者6名。いずれもバックラーと銃を携帯している。
●交戦中の兵士達について
放っておけば全員が死ぬまで戦闘を行う。その前に撤退させるためには、適切な説得か歪虚の殲滅が必要。
なお、歪虚の殲滅はこの場に集まった全員の総力によっても、かなり難しいと思われる。
マスターより
こんにちは、旅硝子です。
アイドル急展開。今回は戦場です。しかもシリーズです。
さらにグリューエリンだけではなくブレンネも登場です。
よろしくお願いします!
アイドル急展開。今回は戦場です。しかもシリーズです。
さらにグリューエリンだけではなくブレンネも登場です。
よろしくお願いします!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/17 21:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/10 21:01:16 |
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【相談卓】歌声よ響け、戦場に Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/14 08:59:39 |
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【質問卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/12 22:22:22 |