ゲスト
(ka0000)
月夜の音楽会
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/25 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/12/04 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●再会
秋の薔薇が香る庭園の東屋で、ティーカップとソーサーのふれあう音が響いた。
「……まさか、貴方とこうしてまたお茶が出来る日が来るなんてね」
白いベールの奥で目尻のしわを深めながら、老婦人は微笑った。
「……本当に……人生何があるか分からないものです」
向かいでティーカップを傾ける老紳士――フランツ・フォルスター(kz0132)も少し寂しげに微笑み返す。
「本当、今日までに何度貴方をお茶にお誘いしたかしら? わたくし」
指折り始める老婦人に、フランツは困ったような笑みを浮かべて頭を下げる。
「いやはや、勘弁して下さい、カサンドラ様」
「いやねぇ、昔のようにキャスと読んで頂戴。今も貴方の方が爵位は上なのだし」
そう言って老婦人――カサンドラは鈴を転がしたように笑う。
「でも、本当に嬉しいわ。またリヴァとの思い出話が出来る人とこうしてお茶が出来るのが。……この盲いた目には新しい物はもう何も映らないから」
うっすらと開かれた両目、その眼球は白濁して明暗しか情報を与えない。彼女の目は、どのような回復スキルも薬も受け付けず、失明してもう15年になる。
その足元には1匹の大型犬が静かに寄り添い、彼女の生活をサポートしていた。
それ以外にも、元領主であり、聖導士の彼女を『聖母』と慕う人々達により彼女の生活は成り立っている。
「ねぇ、フラット。貴方、ハンターの方々と協力してあのレオポルド伯を追い詰めたって本当?」
唐突な話題転換に思わず口に含んだ紅茶を気道に入れかけて、フランツはごほごほと咳き込んだ。
「あらあら、大丈夫? ダメよ気をつけなきゃ。誤嚥は老人にとって一番の死因よ」
ゆっくりと席を立ち、フランツの背をさする。
「あぁ、はい。大丈夫です、有り難うキャス。協力……と言いますか、ハンターの皆さんが働いて下さったお陰です」
その答えを聞いて、カサンドラは満足そうに微笑んだ。
「ねぇ、フラット。貴方のそのツテを使って、一つお願い事を聞いてくれない?」
小さな村だ。1番近い転移門からでも馬車を使って半日ほど走らなければ到着出来ない。
もっとも、覚醒者でもないフランツはそのまま更に2日ほど馬車を走らせなければ自分の領地に帰ることも出来ないのだが。
しかし、そんな特に特産品も無かった小さな村は、嫁いできたカサンドラが清水の流れる川を見て「ハーブなら育ちそう」と閃いたのを切欠に、現在はハーブの名産地として安定した収入を得るまでになっている。
その元領主であるカサンドラ・クスターからの『お願い』に、フランツはひっそりと溜息を吐いた。
「わし、そんなに人望はないんだがなぁ……」
しかも、今は帝国内に限らずこのクリムゾンウェスト全土で歪虚との抗争によりハンター達が連日戦地へと赴いている状態だ。
それとなくそれを伝えたのだが、カサンドラはそれを意に介さず朗らかに笑った。
「ならば、この企画が癒しになって下さるよう祈るだけですわね」
前向きでひたむきで、優しくて強い。カサンドラの人柄は昔と寸分変わっていなかった。
そのことが嬉しかったのも事実で、だからフランツは『お願い』を引き受ける事として、この二ヶ月間で通い慣れたハンターオフィスに足を向けたのだった。
●月夜の音楽会
「白亜宮、と呼ばれておる屋敷があってな。そこの女主人が……まぁ、わしにとっては姉みたいな人なんじゃが、毎年この時期になると村人を招待しての音楽会を開いておるんじゃ。それが、今年は様々な音楽を沢山の人と楽しみたいと言っておってな……手空きなハンターの方がおればご助力願いたいのじゃ」
フランツは説明係の女性にそう告げる。
「楽器の演奏、歌の披露、芝居、朗読、何でも良いんだが、ここの女主人は目が見えん。なので、音と振動、光なんかで楽しませて貰えると有り難い」
光であれば、白いのか、青いのか、赤いのか等の判別は付くらしい。
「食事は主に特産品のハーブを使ったパスタやピザ、飲み物はハーブティにハーブ酒などになろうかのぅ……一応わしからも飲み頃のワインも持って行く予定じゃが」
「楽器は何か備え付けの物などあるんですか?」
女性に問われ、フランツは首を傾げた。
「チェンバロ……というのだったか。あれなら確かサロンにあったはずじゃ。あとは無いと思うので各自の物を持ってきて貰う形になるかのぅ」
昔、妻と一緒にカサンドラの屋敷に遊びに行った時に確か彼女が披露してくれたのがチェンバロだったはず。
甦る遠い記憶に思わずフランツの顔に笑みが浮かぶ。
「ドレスコードなどはあるんですか?」
女性の問いかけに我に返り、あぁ、とフランツは指先で髭を撫でた。
「村人達は精一杯のおしゃれをしてくるそうだが、これと言ったドレスコードはないはずじゃよ。……まぁ、あまり物々しい鎧などではない方が有り難いかもしれんが」
「なるほど。確かに音楽会ですからね……まぁ、常識程度に、というくらいで良いしょうか」
女性の言葉に頷いて、フランツは「そうそう」と付け加えた。
「夜はそのまま白亜宮や近隣の空き家に泊めて貰えるそうじゃから、心配はしなくて良いそうじゃ。それではすまんが、宜しく頼むの」
「わかりました。声を掛けておきますね」
女性に一礼して、脱いでいた帽子を被ると、フランツは外に出る。
晩秋の風はいつの間にか初冬の冷気を帯びていて、フランツは薄手のコートを羽織ると馬車へと急いだ。
●再会
秋の薔薇が香る庭園の東屋で、ティーカップとソーサーのふれあう音が響いた。
「……まさか、貴方とこうしてまたお茶が出来る日が来るなんてね」
白いベールの奥で目尻のしわを深めながら、老婦人は微笑った。
「……本当に……人生何があるか分からないものです」
向かいでティーカップを傾ける老紳士――フランツ・フォルスター(kz0132)も少し寂しげに微笑み返す。
「本当、今日までに何度貴方をお茶にお誘いしたかしら? わたくし」
指折り始める老婦人に、フランツは困ったような笑みを浮かべて頭を下げる。
「いやはや、勘弁して下さい、カサンドラ様」
「いやねぇ、昔のようにキャスと読んで頂戴。今も貴方の方が爵位は上なのだし」
そう言って老婦人――カサンドラは鈴を転がしたように笑う。
「でも、本当に嬉しいわ。またリヴァとの思い出話が出来る人とこうしてお茶が出来るのが。……この盲いた目には新しい物はもう何も映らないから」
うっすらと開かれた両目、その眼球は白濁して明暗しか情報を与えない。彼女の目は、どのような回復スキルも薬も受け付けず、失明してもう15年になる。
その足元には1匹の大型犬が静かに寄り添い、彼女の生活をサポートしていた。
それ以外にも、元領主であり、聖導士の彼女を『聖母』と慕う人々達により彼女の生活は成り立っている。
「ねぇ、フラット。貴方、ハンターの方々と協力してあのレオポルド伯を追い詰めたって本当?」
唐突な話題転換に思わず口に含んだ紅茶を気道に入れかけて、フランツはごほごほと咳き込んだ。
「あらあら、大丈夫? ダメよ気をつけなきゃ。誤嚥は老人にとって一番の死因よ」
ゆっくりと席を立ち、フランツの背をさする。
「あぁ、はい。大丈夫です、有り難うキャス。協力……と言いますか、ハンターの皆さんが働いて下さったお陰です」
その答えを聞いて、カサンドラは満足そうに微笑んだ。
「ねぇ、フラット。貴方のそのツテを使って、一つお願い事を聞いてくれない?」
小さな村だ。1番近い転移門からでも馬車を使って半日ほど走らなければ到着出来ない。
もっとも、覚醒者でもないフランツはそのまま更に2日ほど馬車を走らせなければ自分の領地に帰ることも出来ないのだが。
しかし、そんな特に特産品も無かった小さな村は、嫁いできたカサンドラが清水の流れる川を見て「ハーブなら育ちそう」と閃いたのを切欠に、現在はハーブの名産地として安定した収入を得るまでになっている。
その元領主であるカサンドラ・クスターからの『お願い』に、フランツはひっそりと溜息を吐いた。
「わし、そんなに人望はないんだがなぁ……」
しかも、今は帝国内に限らずこのクリムゾンウェスト全土で歪虚との抗争によりハンター達が連日戦地へと赴いている状態だ。
それとなくそれを伝えたのだが、カサンドラはそれを意に介さず朗らかに笑った。
「ならば、この企画が癒しになって下さるよう祈るだけですわね」
前向きでひたむきで、優しくて強い。カサンドラの人柄は昔と寸分変わっていなかった。
そのことが嬉しかったのも事実で、だからフランツは『お願い』を引き受ける事として、この二ヶ月間で通い慣れたハンターオフィスに足を向けたのだった。
●月夜の音楽会
「白亜宮、と呼ばれておる屋敷があってな。そこの女主人が……まぁ、わしにとっては姉みたいな人なんじゃが、毎年この時期になると村人を招待しての音楽会を開いておるんじゃ。それが、今年は様々な音楽を沢山の人と楽しみたいと言っておってな……手空きなハンターの方がおればご助力願いたいのじゃ」
フランツは説明係の女性にそう告げる。
「楽器の演奏、歌の披露、芝居、朗読、何でも良いんだが、ここの女主人は目が見えん。なので、音と振動、光なんかで楽しませて貰えると有り難い」
光であれば、白いのか、青いのか、赤いのか等の判別は付くらしい。
「食事は主に特産品のハーブを使ったパスタやピザ、飲み物はハーブティにハーブ酒などになろうかのぅ……一応わしからも飲み頃のワインも持って行く予定じゃが」
「楽器は何か備え付けの物などあるんですか?」
女性に問われ、フランツは首を傾げた。
「チェンバロ……というのだったか。あれなら確かサロンにあったはずじゃ。あとは無いと思うので各自の物を持ってきて貰う形になるかのぅ」
昔、妻と一緒にカサンドラの屋敷に遊びに行った時に確か彼女が披露してくれたのがチェンバロだったはず。
甦る遠い記憶に思わずフランツの顔に笑みが浮かぶ。
「ドレスコードなどはあるんですか?」
女性の問いかけに我に返り、あぁ、とフランツは指先で髭を撫でた。
「村人達は精一杯のおしゃれをしてくるそうだが、これと言ったドレスコードはないはずじゃよ。……まぁ、あまり物々しい鎧などではない方が有り難いかもしれんが」
「なるほど。確かに音楽会ですからね……まぁ、常識程度に、というくらいで良いしょうか」
女性の言葉に頷いて、フランツは「そうそう」と付け加えた。
「夜はそのまま白亜宮や近隣の空き家に泊めて貰えるそうじゃから、心配はしなくて良いそうじゃ。それではすまんが、宜しく頼むの」
「わかりました。声を掛けておきますね」
女性に一礼して、脱いでいた帽子を被ると、フランツは外に出る。
晩秋の風はいつの間にか初冬の冷気を帯びていて、フランツは薄手のコートを羽織ると馬車へと急いだ。
解説
白亜宮と呼ばれる屋敷に赴いて、満月の夜に音楽とご飯を楽しむ会です。
行き帰りは転移門まで送迎がありますので、お気になさらずに。
夜は大分冷え込むようになりましたが、サロンの中は暖かく保たれていますので、防寒着など無くとも楽に過ごすことが出来ます。
主内容としては下記の3つになるかと思います。
どれか一つ、もしくは欲張っても二つまでに絞ってのご参加を推奨します。
1.音楽会に演者として楽しむ
何かしらの演奏や披露をしたい人はこちらで。
楽器はチェンバロ(ピアノの古い形)ならありますが、他の楽器はご自分でプレイング内に明記して下さい。
2.音楽会に観客として楽しむ
演奏をせず、パスタやピザなどを食べながら楽しみたい人はこちらへ。
食べものは主にトマトやオリーブオイルベースのパスタと同様のピザとなります。
飲み物はお酒類は赤・白ワイン、ハーブ酒(ジンにハーブが使った物とお考え下さい)、果実酒。
ノンアルコール飲料類は秋の果実を搾ったフレッシュジュース、果実をつけ込んで作った果実ジュース、ハーブティなどになります。
3.庭園を散歩し、月光浴を楽しむ
今宵は晴天の満月。少し肌寒くなってきましたので、暖かくしてお出かけ下さい。
丁度咲き終わりの秋の薔薇が満開になっています。
屋敷から聞こえる音楽をBGMに、ロマンティックな夜をお楽しみ下さい。
また、今回はシナリオ中にもフランツがおりますので、何か絡みたい方がいらっしゃいましたらどうぞ。
■注意事項■
・ご一緒に参加される方が居る場合は【同行者のIDと名前】もしくは【グループ名】をプレイング内にお願いします。
・未成年者は飲酒が出来ません。飲酒希望の方は【成人済み】の一言をプレイング内に入れて下さい。
・描写は音楽会のシーンのみとなります。送迎の道中やベッドルーム、翌朝などの描写はありませんのでご了承下さい。
行き帰りは転移門まで送迎がありますので、お気になさらずに。
夜は大分冷え込むようになりましたが、サロンの中は暖かく保たれていますので、防寒着など無くとも楽に過ごすことが出来ます。
主内容としては下記の3つになるかと思います。
どれか一つ、もしくは欲張っても二つまでに絞ってのご参加を推奨します。
1.音楽会に演者として楽しむ
何かしらの演奏や披露をしたい人はこちらで。
楽器はチェンバロ(ピアノの古い形)ならありますが、他の楽器はご自分でプレイング内に明記して下さい。
2.音楽会に観客として楽しむ
演奏をせず、パスタやピザなどを食べながら楽しみたい人はこちらへ。
食べものは主にトマトやオリーブオイルベースのパスタと同様のピザとなります。
飲み物はお酒類は赤・白ワイン、ハーブ酒(ジンにハーブが使った物とお考え下さい)、果実酒。
ノンアルコール飲料類は秋の果実を搾ったフレッシュジュース、果実をつけ込んで作った果実ジュース、ハーブティなどになります。
3.庭園を散歩し、月光浴を楽しむ
今宵は晴天の満月。少し肌寒くなってきましたので、暖かくしてお出かけ下さい。
丁度咲き終わりの秋の薔薇が満開になっています。
屋敷から聞こえる音楽をBGMに、ロマンティックな夜をお楽しみ下さい。
また、今回はシナリオ中にもフランツがおりますので、何か絡みたい方がいらっしゃいましたらどうぞ。
■注意事項■
・ご一緒に参加される方が居る場合は【同行者のIDと名前】もしくは【グループ名】をプレイング内にお願いします。
・未成年者は飲酒が出来ません。飲酒希望の方は【成人済み】の一言をプレイング内に入れて下さい。
・描写は音楽会のシーンのみとなります。送迎の道中やベッドルーム、翌朝などの描写はありませんのでご了承下さい。
マスターより
初めまして、または、またお目にかかれて光栄です、葉槻(はづき)と申します。
今回はおじいちゃんの古い知人である老婦人の屋敷で開かれる音楽会へのご協力要請となります。
また、メシマズな帝国にしては比較的まともな料理が出ますので、皆さん安心してご参加いただければと思います。
それでは、お一人様はもちろん、恋人を誘って、もしくは仲の良いお友達同士と良い夜をお過ごし下さいませ。
今回はおじいちゃんの古い知人である老婦人の屋敷で開かれる音楽会へのご協力要請となります。
また、メシマズな帝国にしては比較的まともな料理が出ますので、皆さん安心してご参加いただければと思います。
それでは、お一人様はもちろん、恋人を誘って、もしくは仲の良いお友達同士と良い夜をお過ごし下さいませ。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/03 03:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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【相談・雑談】受付はこちら ルナ・レンフィールド(ka1565) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/11/25 02:05:51 |
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【S】 PP相談卓 エステル・クレティエ(ka3783) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/12/15 20:26:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/24 21:16:12 |