ゲスト
(ka0000)
オルソンの誤算
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/27 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/12/06 15:00
オープニング
●
どうしてこうなった。
飯屋を開業したばかりのオルソンは、一ヶ月もしないうちに頭を抱えていた。
洞窟の中で飯屋を経営すれば、家賃はかからない。やってきたハンターを客にすれば、集客にも困らない。何より洞窟の奥から漂う食欲誘う香りに、誰もが吸い寄せられる。
自信と確信の中で始めたオルソン飯店。
しかし、一ヶ月の営業成績はゼロだった。衝撃的な数字がひとつ、ちょこんと座っているだけである。
なんてこった。
依頼がなければ、ハンターは洞窟にこないのだ。今さらながらに気づき、オルソンは愕然とする。
この分では、洞窟の前に客寄せとして置いたどんぶりも、昨夜と同じ状態で残っているはずだ。
今朝の絶望を終えたあと、なけなしの希望を持って洞窟の外にでる。
――ない。
どんぶりの中身が見事にない。
「ついにきた。俺の時代が……神様、母ちゃん、ありがとう! 少しばかり遅れたけど、今から俺のサクセスロードが始まるんだ!」
握り拳を空高くつきだせば、欠片ほどしかなかった希望が手の中でむくむくと大きくなってくるのがわかる。
世界はこんなにも明るく、暖かかったんだな。待ってろ世界! すぐにでも頂点へ行ってやるからな。
冷静になれば赤面するしかないような台詞を心の中で叫び、根城である洞窟内へ戻る。
その時だった。洞窟の奥で開店中のオルソン飯店から、何者かの気配がするではないか。
客だ! この感覚はまごうことなき客だ! ついにオルソン飯店に初めての客が訪れたのだ。開店から一ヶ月も経過しちゃってるけど。
全力ダッシュで店へ帰ったオルソンは、客の背中に満面の笑みで「いらっしゃいませ!」と挨拶する。
声に気づいた客が振り返り、顔を見たオルソンは笑顔を崩さずに呟く。
「……コボルドじゃねーか」
客の来なかった一ヶ月のうちに枯れ果ててしまったのか、涙の代わりに鼻水がこぼれそうになった。
客じゃなくて敵対的な亜人とは。どうすりゃ、いいんだ。まだ一匹しかいないから、店の奥のあるロングソードでなんとかならないか。
「いや、待てよ。よくよく考えてみれば、コボルドが食ってるのは俺の作った飯じゃねえか。つまり! 俺の飯はコボルドすらうならせる絶品ということだ!」
完全に視界が開けた。どこに繋がってるかはまったくわからないが、とにかく道はできたのだ。
「こうなればコボルドでも構わない。客は客だ! 俺は料理人。求める奴には、喜んで飯を提供するぜ。こいつがオルソン飯店自慢のごった煮具入りスープだ。たっぷり食らいやがれ!」
洞窟へ来たハンターは疲弊しきっている。体力を回復させるのは何より大事。そのための特製料理だ。
りんご、はちみつ、にんにくを混ぜて基本のスープを作り、近くで農家をしているゲンさんから提供してもらったじゃがいもやにんじん、たまねぎをふんだんにぶち込む。
疲れてる人間には、味の濃い料理が定番だ。さらに汗もかいてるだろうから、塩分も失われているはずだ。そこで塩もスープに浮くくらい塊で突っ込んでいる。これがオルソン特製のごった煮具入りスープだった。
正式な名前はまだない。ちなみに開店前、ゲンさんに味見させた時は、口に入れるなり家まで全力で走って帰れるほど元気になってくれた代物だ。もちろんコボルドは完食。これで繁盛間違いなしだ。
しかし、オルソンは盛大に間違っていた。相手は人ではなくコボルド。そもそもお金を使って商品を購入するという、基本的な知識がない。さらに人間の言語もわからない。コボルドを相手に商売するなど、土台無理なのである。
人間を捕らえて脅し、料理を作らせようなんて考えにも、もちろん到達しない。人を襲う性質を存分に発揮し、オルソンに襲い掛かる。
「ちょっと、お客さん!? 食い逃げする気かよ! 困りますって無視かよ! くそっ! こうなったら退治を――って、何だ?」
店の出入口からカシャンカシャンと音がする。不思議がって注目していると、音の正体がやってきた。
「嘘……だろ……? どこからやってきたんだよ、このデカいサソリは……」
姿を現したのは、巨大化したサソリだった。先ほどの音は、両手のハサミから発生したものだった。
ギロリと睨みつけられたオルソンは、即座に自分で敵を退治しようという気力を失う。
殺されると思ったが、サソリが興味を示したのは、なんとオルソンの作った特製スープだった。
「い、今のうちに、急いで洞窟から出よう……!
なんとか洞窟から町に逃げたオルソンは、その足でハンターへ依頼を出したのだった。
●
「以上が事の顛末と、出された依頼の内容になります」
オルソンの話を、そのままハンターに伝えた支部の若い男性受付はふうと小さなため息をついた。
「目的のひとつは店を取り戻すこと。大型のサソリというのは、恐らく雑魔でしょう。気を抜かないでください。コボルドの方は、依頼者が逃げて来た時には一匹しかいなかったみたいです。しかしながら、暇さえあれば数を増やすのがコボルドですので、今はどれくらいになっているかもわかりません。どこからかやってきたのを考慮すれば、近くに巣みたいなのが存在する可能性もありますしね」
話を聞いているハンターを見ながら、受付の男性は説明を続ける。
「退治の際は依頼者も同行するそうです。依頼者は一般人で、戦闘訓練を受けているわけではありません。駄目だと止めたのですが……。店を取り戻したあとは、ハンターの方々に味見とアドバイスをお願いしたいそうです。新たな料理の発案でも構わないみたいですね。ハンターを相手に商売をしようと考えていたわけですから、アドバイスを求めるのが遅いような気もしますけどね。ともかく依頼者は、入手しやすいリンゴ、はちみつ、にんにく、じゃがいも、ニンジン、タマネギを使えるメイン料理が欲しいそうです。コボルドやサソリに大人気の特製スープはこりごりだと言ってました。料理を作る腕は普通みたいですが、発想が普通ではないというか、突拍子もない感じなのでしょうね」
調達しやすいわけではないですが、キャベツやトマトも手に入るそうですと付け加えて、受付によるひとまずの依頼説明は終了した。
「後々を考えれば敵の殲滅が望ましい依頼です。引き受けるのであれば、しっかりと準備をして臨んでください」
どうしてこうなった。
飯屋を開業したばかりのオルソンは、一ヶ月もしないうちに頭を抱えていた。
洞窟の中で飯屋を経営すれば、家賃はかからない。やってきたハンターを客にすれば、集客にも困らない。何より洞窟の奥から漂う食欲誘う香りに、誰もが吸い寄せられる。
自信と確信の中で始めたオルソン飯店。
しかし、一ヶ月の営業成績はゼロだった。衝撃的な数字がひとつ、ちょこんと座っているだけである。
なんてこった。
依頼がなければ、ハンターは洞窟にこないのだ。今さらながらに気づき、オルソンは愕然とする。
この分では、洞窟の前に客寄せとして置いたどんぶりも、昨夜と同じ状態で残っているはずだ。
今朝の絶望を終えたあと、なけなしの希望を持って洞窟の外にでる。
――ない。
どんぶりの中身が見事にない。
「ついにきた。俺の時代が……神様、母ちゃん、ありがとう! 少しばかり遅れたけど、今から俺のサクセスロードが始まるんだ!」
握り拳を空高くつきだせば、欠片ほどしかなかった希望が手の中でむくむくと大きくなってくるのがわかる。
世界はこんなにも明るく、暖かかったんだな。待ってろ世界! すぐにでも頂点へ行ってやるからな。
冷静になれば赤面するしかないような台詞を心の中で叫び、根城である洞窟内へ戻る。
その時だった。洞窟の奥で開店中のオルソン飯店から、何者かの気配がするではないか。
客だ! この感覚はまごうことなき客だ! ついにオルソン飯店に初めての客が訪れたのだ。開店から一ヶ月も経過しちゃってるけど。
全力ダッシュで店へ帰ったオルソンは、客の背中に満面の笑みで「いらっしゃいませ!」と挨拶する。
声に気づいた客が振り返り、顔を見たオルソンは笑顔を崩さずに呟く。
「……コボルドじゃねーか」
客の来なかった一ヶ月のうちに枯れ果ててしまったのか、涙の代わりに鼻水がこぼれそうになった。
客じゃなくて敵対的な亜人とは。どうすりゃ、いいんだ。まだ一匹しかいないから、店の奥のあるロングソードでなんとかならないか。
「いや、待てよ。よくよく考えてみれば、コボルドが食ってるのは俺の作った飯じゃねえか。つまり! 俺の飯はコボルドすらうならせる絶品ということだ!」
完全に視界が開けた。どこに繋がってるかはまったくわからないが、とにかく道はできたのだ。
「こうなればコボルドでも構わない。客は客だ! 俺は料理人。求める奴には、喜んで飯を提供するぜ。こいつがオルソン飯店自慢のごった煮具入りスープだ。たっぷり食らいやがれ!」
洞窟へ来たハンターは疲弊しきっている。体力を回復させるのは何より大事。そのための特製料理だ。
りんご、はちみつ、にんにくを混ぜて基本のスープを作り、近くで農家をしているゲンさんから提供してもらったじゃがいもやにんじん、たまねぎをふんだんにぶち込む。
疲れてる人間には、味の濃い料理が定番だ。さらに汗もかいてるだろうから、塩分も失われているはずだ。そこで塩もスープに浮くくらい塊で突っ込んでいる。これがオルソン特製のごった煮具入りスープだった。
正式な名前はまだない。ちなみに開店前、ゲンさんに味見させた時は、口に入れるなり家まで全力で走って帰れるほど元気になってくれた代物だ。もちろんコボルドは完食。これで繁盛間違いなしだ。
しかし、オルソンは盛大に間違っていた。相手は人ではなくコボルド。そもそもお金を使って商品を購入するという、基本的な知識がない。さらに人間の言語もわからない。コボルドを相手に商売するなど、土台無理なのである。
人間を捕らえて脅し、料理を作らせようなんて考えにも、もちろん到達しない。人を襲う性質を存分に発揮し、オルソンに襲い掛かる。
「ちょっと、お客さん!? 食い逃げする気かよ! 困りますって無視かよ! くそっ! こうなったら退治を――って、何だ?」
店の出入口からカシャンカシャンと音がする。不思議がって注目していると、音の正体がやってきた。
「嘘……だろ……? どこからやってきたんだよ、このデカいサソリは……」
姿を現したのは、巨大化したサソリだった。先ほどの音は、両手のハサミから発生したものだった。
ギロリと睨みつけられたオルソンは、即座に自分で敵を退治しようという気力を失う。
殺されると思ったが、サソリが興味を示したのは、なんとオルソンの作った特製スープだった。
「い、今のうちに、急いで洞窟から出よう……!
なんとか洞窟から町に逃げたオルソンは、その足でハンターへ依頼を出したのだった。
●
「以上が事の顛末と、出された依頼の内容になります」
オルソンの話を、そのままハンターに伝えた支部の若い男性受付はふうと小さなため息をついた。
「目的のひとつは店を取り戻すこと。大型のサソリというのは、恐らく雑魔でしょう。気を抜かないでください。コボルドの方は、依頼者が逃げて来た時には一匹しかいなかったみたいです。しかしながら、暇さえあれば数を増やすのがコボルドですので、今はどれくらいになっているかもわかりません。どこからかやってきたのを考慮すれば、近くに巣みたいなのが存在する可能性もありますしね」
話を聞いているハンターを見ながら、受付の男性は説明を続ける。
「退治の際は依頼者も同行するそうです。依頼者は一般人で、戦闘訓練を受けているわけではありません。駄目だと止めたのですが……。店を取り戻したあとは、ハンターの方々に味見とアドバイスをお願いしたいそうです。新たな料理の発案でも構わないみたいですね。ハンターを相手に商売をしようと考えていたわけですから、アドバイスを求めるのが遅いような気もしますけどね。ともかく依頼者は、入手しやすいリンゴ、はちみつ、にんにく、じゃがいも、ニンジン、タマネギを使えるメイン料理が欲しいそうです。コボルドやサソリに大人気の特製スープはこりごりだと言ってました。料理を作る腕は普通みたいですが、発想が普通ではないというか、突拍子もない感じなのでしょうね」
調達しやすいわけではないですが、キャベツやトマトも手に入るそうですと付け加えて、受付によるひとまずの依頼説明は終了した。
「後々を考えれば敵の殲滅が望ましい依頼です。引き受けるのであれば、しっかりと準備をして臨んでください」
解説
●目的
1.敵の殲滅
2.敵を殲滅後、オルソンに料理のアドバイスをする
●簡易map
※上から見下ろしてる感じになります。
ABCDEFGHI
■■■■■■■■■■ 1マス=2sq。移動や射程などが影響を受ける
a■□□□1□□1□■ map外へはみ出しての行動は不可
b■□□□1□1□□■ 店=オルソン飯店
c■□□□1□□1□■ ※=脱出地点
d■111□□1□□※
e■店2□□□□□ハ※ 1=コボルドLV1
f■111□□□1□※ 2=サソリ(雑魔)
g■□□□1□1□□■
h■□□□1□□1□■ ハ=ハンター初期位置
i■□□□1□1□□■
■■■■■■■■■■
●味方情報
オルソン=近くで隠れてる。脱出地点に重なる形でコボルドに脱出されると危険。コボルドが三体以上逃げると、見つかって殺されてしまうので、注意が必要。
●敵情報
名前 生命力 回避 受け 受防 防御 攻撃 命中 移動 性格 行動
コボルドLV1 低 低 低 激低 低 低 中 中 単純 視界に入った敵を狙う
サソリ(雑魔) 高 低 低 中 中 高 中 低 好戦的 視界に入った敵を狙う
※コボルドは爪で攻撃。
※サソリはハサミと尻尾攻撃。尻尾の一撃には強度3の毒判定が入る。毒になると1ラウンド毎にに15の防御無視ダメージが発生。
※依頼開始時点では、ハンターは敵の正確な数を知らない。
●成功条件
成功=目的を達成する
失敗=目的を失敗及びコボルドを三体以上逃がす
●オルソンへの料理アドバイス
本文内にある素材を使って、新メニューもしくは現メニュー改良のアドバイス
売上がないので、金銭での他の素材調達は困難
料理の腕は普通にある。思考をなんとかすれば、普通の料理人。
限られた素材で作られる美味しい料理だけでなく、オルソンのリビドーを刺激するような奇想天外な料理提案でも可能。
1.敵の殲滅
2.敵を殲滅後、オルソンに料理のアドバイスをする
●簡易map
※上から見下ろしてる感じになります。
ABCDEFGHI
■■■■■■■■■■ 1マス=2sq。移動や射程などが影響を受ける
a■□□□1□□1□■ map外へはみ出しての行動は不可
b■□□□1□1□□■ 店=オルソン飯店
c■□□□1□□1□■ ※=脱出地点
d■111□□1□□※
e■店2□□□□□ハ※ 1=コボルドLV1
f■111□□□1□※ 2=サソリ(雑魔)
g■□□□1□1□□■
h■□□□1□□1□■ ハ=ハンター初期位置
i■□□□1□1□□■
■■■■■■■■■■
●味方情報
オルソン=近くで隠れてる。脱出地点に重なる形でコボルドに脱出されると危険。コボルドが三体以上逃げると、見つかって殺されてしまうので、注意が必要。
●敵情報
名前 生命力 回避 受け 受防 防御 攻撃 命中 移動 性格 行動
コボルドLV1 低 低 低 激低 低 低 中 中 単純 視界に入った敵を狙う
サソリ(雑魔) 高 低 低 中 中 高 中 低 好戦的 視界に入った敵を狙う
※コボルドは爪で攻撃。
※サソリはハサミと尻尾攻撃。尻尾の一撃には強度3の毒判定が入る。毒になると1ラウンド毎にに15の防御無視ダメージが発生。
※依頼開始時点では、ハンターは敵の正確な数を知らない。
●成功条件
成功=目的を達成する
失敗=目的を失敗及びコボルドを三体以上逃がす
●オルソンへの料理アドバイス
本文内にある素材を使って、新メニューもしくは現メニュー改良のアドバイス
売上がないので、金銭での他の素材調達は困難
料理の腕は普通にある。思考をなんとかすれば、普通の料理人。
限られた素材で作られる美味しい料理だけでなく、オルソンのリビドーを刺激するような奇想天外な料理提案でも可能。
マスターより
お世話になっております、鳴海惣流です。
今回の依頼は、開店したばかりのオルソン飯店に訪れた危機を救ってあげてください。自業自得さ全開ですが;
大成功への道は依頼達成に加えて、オルソン飯店の未来へ希望を与えてあげることです。
それでは、皆様の参加をお待ちしております。
よろしくお願いします。
今回の依頼は、開店したばかりのオルソン飯店に訪れた危機を救ってあげてください。自業自得さ全開ですが;
大成功への道は依頼達成に加えて、オルソン飯店の未来へ希望を与えてあげることです。
それでは、皆様の参加をお待ちしております。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/11/30 16:15
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
オルソン店奪還作戦! エヴァンス・カルヴィ(ka0639) 人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/11/27 11:14:07 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/26 14:22:41 |