ゲスト
(ka0000)
これは魔法の粉なのだ
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2015/12/05 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/12/14 19:00
オープニング
極彩色の町ヴァリオス。
ハンターたちは町の美術商から以下の依頼を受けた。
「ヴァリオス郊外にある美術館に品を届ける際の、護衛をして欲しいんですよ。何しろとても高価なものですので、もし間違いがあると、大変なことになりますのでね。ですから、念には念をとあなたがたをお呼びいたしました次第で。何しろお高いものですので。とにかく扱いには気をつけてくださいね。万一にも傷が付いたりましてや壊れたりすることなどないように。とにかく高価なものですので」
美術商はくどいほど品の金銭的価値を繰り返す。
だが依頼を受けたハンターたちには、その言葉がいまいち実感出来なかった。
大きさは普通の花瓶くらい。素材は陶器。適当に捻り出した突起が足の役割をしているのでなければ、どんな水平面に置いても立ち上がらないだろうほど歪みまくった楕円形。
色は余った塗料を適当にぶちまけたみたいなまだら模様。眺めていると目がチカチカしてくる。
しかし驚くなかれこの無用の長物としか見えない置物、価格が1個4000000。
べらぼうとしか言いようがない。
今回担当するのは梱包済みの1ダース。総額48000000。
あり得ないとしか言いようがない。
「……よくこんなもんにそこまで金出すな……」
「……子供でも作れるだろ、あれくらいなら」
「……いや、意外とああいうものほど作るのが難しいのかも……」
依頼を受けたメンバーの中には、兼業画家の八橋杏子もいるのだが、彼女もこの高価格には首をひねっている。
「杏子さん、美術業界の相場的には普通なんですか、こういうの」
「うーん……どうかしらねえ。私は絵画が専門で陶芸にはあまり詳しくないんだけど……それでも破格だと思うわよ? よっぽど名の通った人の作品とかじゃない限り、ここまで値がつくかどうか……あまり聞いたことないんだけどね、この制作者……」
会話が聞こえたのだろう、美術商がうおっほんと咳払いした。
「何をおっしゃる。この方は知る人ぞ知る正真正銘新進気鋭のアーチストですぞ。自由都市同盟内のみならず王国、帝国さては辺境にも順次売り出していく予定であります」
●
クリムゾンウェストにあまたいるゴブリン盗賊団の1つは、ヴァリオスに通じる街道で、とある荷馬車を見つけた。
ハンターが左右に付き従って、まこと物々しい警備。荷台には幾重にもくるまれた箱。
こいつは金目の物に違いないと踏んだ頭目のゴブリンは、襲撃を決めた。
相手に分からないようこっそりと後をつけ、山間の隘路に差しかかったところで、前後から挟み撃ち。
足止めはコボルドにやらせる――コボルドは何匹死んでも構わない。すぐ増えるのだし、替えはいくらでもいる。
その間に自分はあの箱をとって逃げる。
安全なところまで逃げて中身を確かめる。
それがいいものだったら、全部自分のものにする……。
●
ハンターたちは急に襲ってきたコボルドたちを一匹のこらず返り討ちにし、その機に乗じて箱を盗み逃げたゴブリンを追跡し首を撥ねた。
そして、梱包を解かれ剥き出しとなった箱に駆け寄る。
「荷物は、荷物は大丈夫か!」
ゴブリンごときに一時的にせよ荷を奪われるとは、ハンターとして苦々しい限り。これでもし荷物が破損していたら、苦々しいどころではすまない限り。弁償しろとか言われたら確実に進退窮まる。
どうかどこも欠けたり割れたりしていませんようにと神や精霊や英霊に祈りを捧げ、1つ1つ取り出し調べる。
ややもして杏子が、絶望的な呟きを漏らした。
「……足の先っぽが取れてる……」
勘弁してくれ。
その思い一つが一同の胸を満たす。
「やばい……弁償だ」
「1つ4000000……でしたっけ?」
「……ま、待ってください……この折れたところを接着剤でくっつけておけば分からないんじゃないでしょうか?」
「いや、それはまずいんじゃ……ばれたときに……」
そこで杏子が急に目を細め、置物の欠けた部分を覗き込んだ。
「……あれ、何これ」
「どうしたんですか杏子さん」
「これ……中が空洞になってる……」
欠けた方を下にして置物を振ると、さらさらした白っぽい粉が出てきた。
杏子はそれを指につけ舌に乗せ、大急ぎで吐き出した。
「一体何だったんです?」
「……小麦粉でも砂糖でもないことは確実ね……舌に乗せた瞬間びりっときたわ……」
ハンタ-たちは視線を交わし合った。
恐らく他の置物にもこれと同様、粉が詰まっている。破格の値段はその粉につけられたものであって、外側につけられたものではない。売り手と買い手はもちろんこのことを知っているはずだ。
いち早くしかるべき場所へ通報するのが筋だろう。
だが今通報してしまったら、依頼主から金を受け取れなくなってしまう。報酬は、荷が確実に届けられたと確認してから支払われる手筈になっているのだから。
荷馬車の御者は確か美術商が雇っている人間だ。であればこの事情を知っている可能性が高い。
……自分たちが事の真相に気づいたと察したら、果たしてどんな行動を取ろうとするだろうか……。
ハンターたちは町の美術商から以下の依頼を受けた。
「ヴァリオス郊外にある美術館に品を届ける際の、護衛をして欲しいんですよ。何しろとても高価なものですので、もし間違いがあると、大変なことになりますのでね。ですから、念には念をとあなたがたをお呼びいたしました次第で。何しろお高いものですので。とにかく扱いには気をつけてくださいね。万一にも傷が付いたりましてや壊れたりすることなどないように。とにかく高価なものですので」
美術商はくどいほど品の金銭的価値を繰り返す。
だが依頼を受けたハンターたちには、その言葉がいまいち実感出来なかった。
大きさは普通の花瓶くらい。素材は陶器。適当に捻り出した突起が足の役割をしているのでなければ、どんな水平面に置いても立ち上がらないだろうほど歪みまくった楕円形。
色は余った塗料を適当にぶちまけたみたいなまだら模様。眺めていると目がチカチカしてくる。
しかし驚くなかれこの無用の長物としか見えない置物、価格が1個4000000。
べらぼうとしか言いようがない。
今回担当するのは梱包済みの1ダース。総額48000000。
あり得ないとしか言いようがない。
「……よくこんなもんにそこまで金出すな……」
「……子供でも作れるだろ、あれくらいなら」
「……いや、意外とああいうものほど作るのが難しいのかも……」
依頼を受けたメンバーの中には、兼業画家の八橋杏子もいるのだが、彼女もこの高価格には首をひねっている。
「杏子さん、美術業界の相場的には普通なんですか、こういうの」
「うーん……どうかしらねえ。私は絵画が専門で陶芸にはあまり詳しくないんだけど……それでも破格だと思うわよ? よっぽど名の通った人の作品とかじゃない限り、ここまで値がつくかどうか……あまり聞いたことないんだけどね、この制作者……」
会話が聞こえたのだろう、美術商がうおっほんと咳払いした。
「何をおっしゃる。この方は知る人ぞ知る正真正銘新進気鋭のアーチストですぞ。自由都市同盟内のみならず王国、帝国さては辺境にも順次売り出していく予定であります」
●
クリムゾンウェストにあまたいるゴブリン盗賊団の1つは、ヴァリオスに通じる街道で、とある荷馬車を見つけた。
ハンターが左右に付き従って、まこと物々しい警備。荷台には幾重にもくるまれた箱。
こいつは金目の物に違いないと踏んだ頭目のゴブリンは、襲撃を決めた。
相手に分からないようこっそりと後をつけ、山間の隘路に差しかかったところで、前後から挟み撃ち。
足止めはコボルドにやらせる――コボルドは何匹死んでも構わない。すぐ増えるのだし、替えはいくらでもいる。
その間に自分はあの箱をとって逃げる。
安全なところまで逃げて中身を確かめる。
それがいいものだったら、全部自分のものにする……。
●
ハンターたちは急に襲ってきたコボルドたちを一匹のこらず返り討ちにし、その機に乗じて箱を盗み逃げたゴブリンを追跡し首を撥ねた。
そして、梱包を解かれ剥き出しとなった箱に駆け寄る。
「荷物は、荷物は大丈夫か!」
ゴブリンごときに一時的にせよ荷を奪われるとは、ハンターとして苦々しい限り。これでもし荷物が破損していたら、苦々しいどころではすまない限り。弁償しろとか言われたら確実に進退窮まる。
どうかどこも欠けたり割れたりしていませんようにと神や精霊や英霊に祈りを捧げ、1つ1つ取り出し調べる。
ややもして杏子が、絶望的な呟きを漏らした。
「……足の先っぽが取れてる……」
勘弁してくれ。
その思い一つが一同の胸を満たす。
「やばい……弁償だ」
「1つ4000000……でしたっけ?」
「……ま、待ってください……この折れたところを接着剤でくっつけておけば分からないんじゃないでしょうか?」
「いや、それはまずいんじゃ……ばれたときに……」
そこで杏子が急に目を細め、置物の欠けた部分を覗き込んだ。
「……あれ、何これ」
「どうしたんですか杏子さん」
「これ……中が空洞になってる……」
欠けた方を下にして置物を振ると、さらさらした白っぽい粉が出てきた。
杏子はそれを指につけ舌に乗せ、大急ぎで吐き出した。
「一体何だったんです?」
「……小麦粉でも砂糖でもないことは確実ね……舌に乗せた瞬間びりっときたわ……」
ハンタ-たちは視線を交わし合った。
恐らく他の置物にもこれと同様、粉が詰まっている。破格の値段はその粉につけられたものであって、外側につけられたものではない。売り手と買い手はもちろんこのことを知っているはずだ。
いち早くしかるべき場所へ通報するのが筋だろう。
だが今通報してしまったら、依頼主から金を受け取れなくなってしまう。報酬は、荷が確実に届けられたと確認してから支払われる手筈になっているのだから。
荷馬車の御者は確か美術商が雇っている人間だ。であればこの事情を知っている可能性が高い。
……自分たちが事の真相に気づいたと察したら、果たしてどんな行動を取ろうとするだろうか……。
解説
補足説明。
これは魔法の粉の運び屋さんに密着するお仕事です。
よき市民としてしかるべき機関に通報するのは当然として、それをどのタイミングでどのように行うかが、今回の依頼の要であります。
本文にもありますように、即通報したら依頼報酬は支払われません。公的機関から金一封(1000G)出るだけとなります。 その場合判定は『失敗』になります。
逆に運び屋から報酬をもぎ取れれば、『成功』ということになります。
美術商、御者、美術館の館長、皆グルです。美術品の販売という体裁を装ってあちこちに粉を売り荒稼ぎ。少しでも真相に気づかれたと察したら、すぐさま手持ちの粉を処分し証拠隠滅を図ってきます。
ゴブリンに荷を奪われたというアクシデントが起きた時点で、向こうの頭には常に「もしや気づかれたのでは?」という疑いがちらついております。PCは全力で「全然何も怪しんでいない」というふりをしてください。
壊れた置物(足の先がちょっと欠けただけですが)は一つだけ、後は全部無傷です。
ちなみにこの置物を作ったのは美術商です。作者名はデタラメにつけたものです。
登場NPC:八橋杏子(やつはしあんこ)/女/22/人間(リアルブルー)/画家兼ハンター(ソードダンサー)/味の違いが分かる女
これは魔法の粉の運び屋さんに密着するお仕事です。
よき市民としてしかるべき機関に通報するのは当然として、それをどのタイミングでどのように行うかが、今回の依頼の要であります。
本文にもありますように、即通報したら依頼報酬は支払われません。公的機関から金一封(1000G)出るだけとなります。 その場合判定は『失敗』になります。
逆に運び屋から報酬をもぎ取れれば、『成功』ということになります。
美術商、御者、美術館の館長、皆グルです。美術品の販売という体裁を装ってあちこちに粉を売り荒稼ぎ。少しでも真相に気づかれたと察したら、すぐさま手持ちの粉を処分し証拠隠滅を図ってきます。
ゴブリンに荷を奪われたというアクシデントが起きた時点で、向こうの頭には常に「もしや気づかれたのでは?」という疑いがちらついております。PCは全力で「全然何も怪しんでいない」というふりをしてください。
壊れた置物(足の先がちょっと欠けただけですが)は一つだけ、後は全部無傷です。
ちなみにこの置物を作ったのは美術商です。作者名はデタラメにつけたものです。
登場NPC:八橋杏子(やつはしあんこ)/女/22/人間(リアルブルー)/画家兼ハンター(ソードダンサー)/味の違いが分かる女
マスターより
KINUTAです。
悪い奴らと化かし合い。
皆様の演技力に期待しております。
悪い奴らと化かし合い。
皆様の演技力に期待しております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/10 23:58
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/04 15:06:12 |
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化かし合い相談卓 フェイル・シャーデンフロイデ(ka4808) 人間(クリムゾンウェスト)|35才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/12/05 18:54:18 |