• 戦闘

マスター:鳴海惣流

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2015/12/08 12:00
リプレイ完成予定
2015/12/17 12:00

オープニング


「帰れ! 俺に顔を見せるな」

 グラズヘイム王国ラスリド領にある田舎村リーランに住む刀匠ドリューは声を荒げ、近くにあった適当なものを投げつけた。
 刀を作ってほしい。尋ねて来た女の鬼を鋭く睨みつける。

「俺は東方の生まれだ。お前たち鬼のせいで、妻は……ちくしょう!」

 直接の原因でなかったにしろ、故郷を鬼に追われたせいで体の弱かったドリューの妻は移住先で病に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
 故郷を追い出したのは目の前にいる鬼ではないかもしれない。だが、仲良くする気にはなれなかった。
 事情を聞いた女鬼は怒るでもなく、肩を落としてドリューの前から立ち去った。


 その日の夜。ドリューの娘のエリーは夢を見た。
 住み慣れた故郷を怖い鬼に追われ、逃れた先で最愛の母は死んだ。病気のせいだとエリーの父親ドリューは言った。
 その後、エリーはドリューと一緒にリーランへ移住した。とてものどかで温かい村だった。
 そのうちに、ソニアという少女と仲良くなった。
 いつしかエリーは、ママの分まで生きようと思うようになっていた。
 そんな時、平和なリーランに多くのゴブリンが攻め込んできた。その際に、ソニアの母親は死んだ。エリーやソニアの目の前で。

「うわあっ!」

 死んだソニアの母親と目が合ったところで、エリーは飛び起きた。
 ベッドから起きたエリーは、隣を見た。同じ部屋でソニアが眠っている。起こしてしまったかと思ったが、すやすやと心地よさそうに寝息を立てている。
 よかったと安堵してから、窓際に立つ。月がとても綺麗だ。
 久しぶりに見た悪夢で怖くなったエリーは、自分の宝箱から小さな短剣を手に取った。それは友情の証として、ソニアがくれたものだった。
 最初、エリーは困惑して受け取るのを拒否した。短剣だから危ないと思ったわけではない。その短剣は、ソニアの母親の形見だったからだ。

 ――こんなに大切なもの、貰えないよ。

 エリーは言った。するとソニアは微笑んだ。

 ――これはエリーちゃんに持っていてほしいの。私たち二人の友情の証として。

 何度かのやりとりの末、最終的にエリーは受け取った。二人のお守りとして大切に持っておこうと決めた。
 何気なく鞘から引き抜いた短剣の輝きが巡り会わせたのか、エリーは遠目に巨大な影が動くのを見た。
 すでに外は徐々に明るくなりつつある。何だろうと思ったエリーは急いで着替え、外に出てみた。
 吐く息が白く舞い上がる中、小走りで巨大な影を見た方へ向かう。
 そこでエリーは見てしまう。傷を負い、村奥の森へ向かう一体のゴブリンを。
 遠目からでも絶対に見間違わない。それは何度も夢に出てきた顔だった。
 反射的に浮かぶソニアの母親の最後と、ソニアの泣き顔。
 何かを考える前に、エリーは走り出していた。ソニアの母親の形見である短剣を片手に。


 早朝。エリーの父親のドリューは、激しくドアを叩く音で起こされた。
 ドアを開けると、村の男が立っていた。

「た、大変だ。村の奥の森に、デカいゴブリンがいたんだ!」
「ゴブリン? まさか村に攻め込んできたんですか!?」
「いや。一体だけで、どうやら傷を負っていたみたいだった。だが問題はそこじゃないんだ!」

 焦った様子の男は、とんでもない発言をした。
 なんと、エリーがそのゴブリンの後を追って、森へ入ったというのである。
 一瞬にして、ドリューの顔から血の気が引いた。眠気も吹き飛び、嫌な汗が全身からどっと噴き出す。

「声をかけようとしたんだが、追いかけた時には森の中へ入って、どこへ行ったかわからなくなっちまったんだ。エリーは手に短剣を持っていた。変なことを考えてなきゃいいんだが……」

 変なこと。それはすなわち仇討ちだ。
 ドリューと男の話が聞こえていたのか、ソニアが部屋から出て来た。

「おじさん……エリーちゃんは……私が短剣なんてあげたりしなければ……!」
「落ち着くんだ、ソニア。君のせいじゃない。相手がゴブリンだというのなら、俺たちじゃどうにもならない。すぐにハンターへ依頼を出そう」
「だ、だが、ハンターが来るまでは時間がかかる。その間にエリーは殺されちまうぞ!」

 そんなのは百も承知だ。だからといって適当に追いかけたら、エリーともどもゴブリンの餌食にされる可能性が高い。
 どうすればいいんだ。頭を抱えるドリューの家のドアが、何者かに叩かれた。
 訪ねて来たのはつい先日、激しく追い返したばかりの女鬼だった。

「アタシさ、ラスリド領内で売ってたアンタの刀に惚れたんだ。どうしても作ってほしいんだよ」

 申し訳なさそうな顔をする女鬼に、ドリューは躊躇いなく頭を下げた。

「頼む! 助けてくれ!」
「え? な、何があったんだい?」

 妻を失ってしまった悲しみや、故郷を追われた憎しみは絶対に消えない。それでもなお、ドリューは娘のために女鬼へ懇願した。娘を、エリーを助けてほしいと。


「そんなチンケな武器で、このドンガ様を殺そうとしやがったのか。チビニンゲンめ!」

 エリーが見上げる先で、一体の茨小鬼が叫ぶ。
 後をつけ、不意打ちを食らわせたまではよかった。だが致命傷を与えられなかった。

「そうだよ。ソニアちゃんのママの形見で、エリーが仇を討つんだもん!」
「グギャギャ! じゃあ、俺もオマエを殺してやる。他のニンゲンに傷をつけられた腹いせにナァ!」

 ドンガが丸太のような腕から、棍棒を振り下ろそうとする。
 殺される。エリーが目を閉じた時、衝撃音がすぐ前方で響いた。
 目を開けると、そこには女性の鬼が立っていた。両手に持つ大剣で、ゴブリンの棍棒を受け止めている。

「お、鬼!? ど、どうして……」
「アンタがエリーかい。アタシはアオユキだ。アンタの父親に頼まれた――って、どこへ行こうとするんだい!」
「鬼なんて嫌いっ! 守ってくれなくていいもん! だって、だって、エリーのママは、ママは……!」
「事情は聞いてる。けど、アンタが死んだら、父親は悲しむだろ。頼むからおとなしくしてておくれよ!」
「ヤだっ! 鬼と一緒になんかいたくないっ!」
「く……ど、どうすればいいんだいっ!」


 勢いよく、グラズヘイム王国ラスリド領内のとある街にあるハンター支部のドアが開かれた。
 やってきたのは田舎村リーランに住むドリューという男だった。

「た、助けてくれっ! 娘を! エリーを一刻も早く!」

 求められたのはエリーという娘の救出。
 偶然村に居合わせたアオユキという女鬼に救出をお願いしたが、森には他にも歪虚が住み着いていたりで、覚醒者でもないアオユキだけでは時間稼ぎがやっとだと言う。
 エリーを助けるためには迅速な決断と行動が必要と判断し、受付の若い男性はドリューの依頼を受理した。
 そしてすぐに、たまたま支部を訪れていたハンターたちに声をかける。

「どなたか! 今すぐにでもリーランへ向かえる人はいませんか!?」

解説

●目的

エリーの救出

●簡易map
※上から見下ろしてる感じになります。

 ABCDEFGHI 1マス=4sq。移動や射程などが影響を受ける
a□エ□□□□□2□ map外へはみ出しての行動は不可
b□ア□□□□2□□ ■=木(通行不可)
c□□□□□□2□□ エ=エリー
d□1□□□□□2□ ア=アオユキ
e□□□□■■□□■
f□□□□■□□□■ 1=ドンガ
g□□□□■■222 2=蜘蛛
h□□□□■□□□□
i□□□□■□□ハ□ ハ=ハンターの初期位置

※ハンターは事前に敵配置などの詳細を知りません。

●味方情報

名前   生命力 回避 受け 受防 防御 攻撃 命中 移動 性格 行動
エリー   45 20 10 10 10 10 30  2 直情 アオユキから離れたがる
アオユキ 150 40 60 50 30 60 80  3 豪快 エリーを守ろうとする

※アオユキは覚醒者の素質はあるものの、精霊と契約していない
※エリーは短剣、アオユキは両手剣を所持。
※故郷を追われた理由上、エリーはPCに鬼がいた場合、非友好的な態度をとる
※エリーは鬼のアオユキを嫌い、逃げ出したがる
※アオユキはエリーを守るのに専念。ドンガの相手だけでやっと

●敵情報

名前     生命力 回避 受け 受防 防御 攻撃 命中 移動 性格 行動
蜘蛛(雑魔)   高  低  低  低  低  中  高  中 狡猾 弱い者から先に狙う
茨小鬼ドンガ   高 激低  高  高  中 激高  低  低 激昂 手当たり次第に襲う

※ドンガは負傷中で激昂状態。力任せに棍棒を振るう。命中力が低い代わりに、一撃当たれば重体にもなりかねない攻撃力
※ドンガは特殊攻撃で振り回し。回避可。命中と威力が従来値よりマイナス。ドンガを中心に範囲攻撃。範囲は狭
※蜘蛛は特殊攻撃で口から糸。回避可。食らうと、移動、回避が半減

●成功条件

成功=エリー救出及び敵殲滅
失敗=エリー救出失敗

マスターより

お世話になっております、鳴海惣流です。

今回の依頼はエリーの救出になります。
過去の一件でエリーは鬼を嫌っていて、後先考えずに行動してしまいます。
今回の依頼で、少しでも鬼へのわだかまりがなくなるといいのですが……。

皆様の依頼への参加をお待ちしております。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/12/13 18:22

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 勝利の女神
    アニス・エリダヌス(ka2491
    エルフ|14才|女性|聖導士
  • ツナサンドの高みへ
    ティス・フュラー(ka3006
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 最強守護者の妹
    コントラルト(ka4753
    人間(紅)|21才|女性|機導師

  • 高槻 龍一郎(ka4896
    人間(蒼)|34才|男性|舞刀士
  • 疾風の癒し手
    十色 乃梛(ka5902
    人間(蒼)|14才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓です
ティス・フュラー(ka3006
エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/12/07 12:43:33
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/04 05:39:51