ゲスト
(ka0000)
路地裏工房コンフォートのトパーズ
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/06 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/12/15 09:00
オープニング
●
蒸気工場都市フマーレの商業区。常連で賑わう小さな喫茶店、珈琲サロンとぱぁず。老いた店長が怪我を理由に隠居を宣言し、今はその孫娘のユリアが店長代理として、祖父の頃からの店員、ローレンツと切り盛りしている。
ポルトワール近くの海に面した村へ嫁ぎ、漁師をしていた夫を若くして亡くしたユリアは、生家のとぱぁずに戻って一年と数ヶ月、街の住人や常連のお喋りに励まされ笑顔を取り戻していた。喪服は脱げずに常に黒いドレスを纏っているが、エプロンはいつもフリルとレースをあしらう可憐な物を身に着けている。
極彩色の街ヴァリオス、その大通りを曲がった路地裏に小さな宝飾工房がある。宝飾工房コンフォート、軒先に小さなランプを揺らす、優しい雰囲気の古い店。
とぱぁずの店長、エーレンフリート。その妻の生家で、今はエーレンフリートが隠居がてらに、宝飾技師だった義父の遺品と遺作を片付けている。工房は動かさず店も殆どの日は閉めていて、義父と縁のある客人が尋ねてきた時だけ開けていた。
ある日、エーレンフリートは小さな弟を抱えた1人の少女と出会った。
少女はモニカと名乗り、身寄りは無いが宝飾の仕事には覚えが有ると言ってエーレンフリートへの師事を請うた。エーレンフリートはモニカに事情を説明し、暫くは店番として家に置いてた。
ユリアよりも10程若い少女と、まだ言葉も話さぬ小さな弟。
二人は後日、フマーレへ移り、モニカは生活の為、珈琲サロンとぱぁずでのウェイトレスの仕事に就いた。
フマーレ商業区、珈琲サロンとぱぁず。モニカがウェイトレスの仕事に就いて数ヶ月。
いつもの店に一通の手紙が届いた。ユリアに宛てて祖父の病床を伝える物だった。店を離れられないユリアに代わり、モニカがヴァリオスに向かうことにした。
無事到着し、元気なエーレンフリートと対面し。
そして、それから一ヶ月。
●sideコンフォート
「ふぅ、こんな所か……この辺りの机は、まあ、追々だろうな」
バーナーを乗せて床に固定した机、研磨機を乗せて、バイスを乗せて。或いは、用途の想像の付かない物も有る。動かせる物の粗方を処分した工房は閑散としているが、老人と少女と幼児の3人ではこの辺りが限界らしい。
その内人に処分を頼むことになるだろう。同業の誰かに貰われていくかも知れないが、これだけ年季が入っていると引き取り手も無さそうだ。
終ぞ触れることの無かった機械を撫でてエーレンフリートは溜息を吐いた。
その機械の隙間に数枚の紙が挟まっていた。
「お祖父さん、お茶煎れましたよー、休憩しましょ、休憩。あたし、手に肉刺出来ちゃいましたよー」
背中に弟のピノを負ぶって、負んぶ紐を括ったモニカが工房のドアを足で押さえながらトレーを運ぶ。
カップに注がれた紅茶の香りが広がっていく。
「何ですか、それ?」
モニカが紙を覗き込んだ。何等かのアクセサリーと思しき数枚のデザイン案と記号混じりの数字だった。
カップを取り、エーレンフリートはそれをモニカに差し出した。
「店のショウケースを後で見てきなさい。この石はまだ売れ残っているはずだから」
紅茶を啜る。添えられたレモンの爽やかな香りが広がった。
――パパ! 私たちね、お店を出すことが出来たのよ!――
――とぱぁずっていうの、素敵でしょ?――
父親の反対を押し切ってエーレンフリートの元へ嫁いできた妻は、後に和解した父親にとぱぁずの開店を嬉々として報告した。
義父は相変わらず難しい顔をしていたが、口許は僅かに微笑んで、祝いに何を作ってやろうかと呟いていた。
その祝いが完成する前に、妻は逝って仕舞った。
モニカは真剣な面持ちでデザイン画を見詰めている。
もしも形にすることが出来たなら、2人は喜ぶだろうか。
●
休憩を終えてカップを片付けると、モニカは朝食のパンとベーコンを買いに店を出る。出掛けに覗いたショウケースから摘まんだ四角くカットされたトパーズのルース、カーテンの隙間から零れる光りに翳すと、石の内側できらきらと光りが溢れるように瞬いた。
「綺麗だねー、ピノ。……さて、買い物ー、買い物―」
デザイン画をケースの上へ残し、光りに空かしていたトパーズは摘まんだまま、片手は温かな毛糸のミトンに突っ込んで、もう片方は薄い綿の白手袋を付けたまま、鍵を開けて、行ってきますとバスケットを提げる。
路地を出て通りを暫く。
「ねーえ、ピノ……あたしさ、何か、この感じに覚えが有るんだよねー」
まだここに来たばかりの頃、エーレンフリートに見せて貰ったブローチを眺めていて、うっかりそのまま街へ出てきてしまって。
「今度は、あんなことにならないといいよねー」
慌てて返しに戻ろうとしたら、コボルトに取られて、逃げられて。追いかけて。
追いかけっこが通報されて、ハンターさん達と出会ったんだったなぁ、なんて、綺麗な思い出も、有って。
「でも、今日はもう帰るだけだからね。大丈夫-、だいじょう、ぶ、?」
トパーズは白手袋に確り包んでコートの内ポケットの底。けれど。
「おばちゃん! 借りるね!」
パンを買って、3つ先でベーコンを買って、そういえば無くなっていたと思い出したピクルスの瓶と、トマトの缶詰を買いにちょっと歩いて。そして帰り道のパン屋の前。
隣の店との細い隙間から、獣の目玉が覗いている。
軒に置いてあったデッキブラシで隙間を突くと、きゅ、と鳴いて逃げていった。
何かいたの、と店の婦人が用を終えたデッキブラシを受け取りながら尋ねる。モニカが、小さいコボルトがいたと答えると、顔を顰めて震える肩を抱きながら、もういない、と何度も尋ねた。
モニカが路地を覗き込むと、
「――っ、あ。あ。うわぁ……」
底には7対の目玉がぎょろりと覗き、もう1匹、突かれて転けた小さなコボルトが藻掻きながら起き上がっている。
「……な、なんか、いっぱいいます……」
婦人が悲鳴を上げて卒倒した。騒ぎを聞きつけた住人がハンターオフィスへ連絡した。
蒸気工場都市フマーレの商業区。常連で賑わう小さな喫茶店、珈琲サロンとぱぁず。老いた店長が怪我を理由に隠居を宣言し、今はその孫娘のユリアが店長代理として、祖父の頃からの店員、ローレンツと切り盛りしている。
ポルトワール近くの海に面した村へ嫁ぎ、漁師をしていた夫を若くして亡くしたユリアは、生家のとぱぁずに戻って一年と数ヶ月、街の住人や常連のお喋りに励まされ笑顔を取り戻していた。喪服は脱げずに常に黒いドレスを纏っているが、エプロンはいつもフリルとレースをあしらう可憐な物を身に着けている。
極彩色の街ヴァリオス、その大通りを曲がった路地裏に小さな宝飾工房がある。宝飾工房コンフォート、軒先に小さなランプを揺らす、優しい雰囲気の古い店。
とぱぁずの店長、エーレンフリート。その妻の生家で、今はエーレンフリートが隠居がてらに、宝飾技師だった義父の遺品と遺作を片付けている。工房は動かさず店も殆どの日は閉めていて、義父と縁のある客人が尋ねてきた時だけ開けていた。
ある日、エーレンフリートは小さな弟を抱えた1人の少女と出会った。
少女はモニカと名乗り、身寄りは無いが宝飾の仕事には覚えが有ると言ってエーレンフリートへの師事を請うた。エーレンフリートはモニカに事情を説明し、暫くは店番として家に置いてた。
ユリアよりも10程若い少女と、まだ言葉も話さぬ小さな弟。
二人は後日、フマーレへ移り、モニカは生活の為、珈琲サロンとぱぁずでのウェイトレスの仕事に就いた。
フマーレ商業区、珈琲サロンとぱぁず。モニカがウェイトレスの仕事に就いて数ヶ月。
いつもの店に一通の手紙が届いた。ユリアに宛てて祖父の病床を伝える物だった。店を離れられないユリアに代わり、モニカがヴァリオスに向かうことにした。
無事到着し、元気なエーレンフリートと対面し。
そして、それから一ヶ月。
●sideコンフォート
「ふぅ、こんな所か……この辺りの机は、まあ、追々だろうな」
バーナーを乗せて床に固定した机、研磨機を乗せて、バイスを乗せて。或いは、用途の想像の付かない物も有る。動かせる物の粗方を処分した工房は閑散としているが、老人と少女と幼児の3人ではこの辺りが限界らしい。
その内人に処分を頼むことになるだろう。同業の誰かに貰われていくかも知れないが、これだけ年季が入っていると引き取り手も無さそうだ。
終ぞ触れることの無かった機械を撫でてエーレンフリートは溜息を吐いた。
その機械の隙間に数枚の紙が挟まっていた。
「お祖父さん、お茶煎れましたよー、休憩しましょ、休憩。あたし、手に肉刺出来ちゃいましたよー」
背中に弟のピノを負ぶって、負んぶ紐を括ったモニカが工房のドアを足で押さえながらトレーを運ぶ。
カップに注がれた紅茶の香りが広がっていく。
「何ですか、それ?」
モニカが紙を覗き込んだ。何等かのアクセサリーと思しき数枚のデザイン案と記号混じりの数字だった。
カップを取り、エーレンフリートはそれをモニカに差し出した。
「店のショウケースを後で見てきなさい。この石はまだ売れ残っているはずだから」
紅茶を啜る。添えられたレモンの爽やかな香りが広がった。
――パパ! 私たちね、お店を出すことが出来たのよ!――
――とぱぁずっていうの、素敵でしょ?――
父親の反対を押し切ってエーレンフリートの元へ嫁いできた妻は、後に和解した父親にとぱぁずの開店を嬉々として報告した。
義父は相変わらず難しい顔をしていたが、口許は僅かに微笑んで、祝いに何を作ってやろうかと呟いていた。
その祝いが完成する前に、妻は逝って仕舞った。
モニカは真剣な面持ちでデザイン画を見詰めている。
もしも形にすることが出来たなら、2人は喜ぶだろうか。
●
休憩を終えてカップを片付けると、モニカは朝食のパンとベーコンを買いに店を出る。出掛けに覗いたショウケースから摘まんだ四角くカットされたトパーズのルース、カーテンの隙間から零れる光りに翳すと、石の内側できらきらと光りが溢れるように瞬いた。
「綺麗だねー、ピノ。……さて、買い物ー、買い物―」
デザイン画をケースの上へ残し、光りに空かしていたトパーズは摘まんだまま、片手は温かな毛糸のミトンに突っ込んで、もう片方は薄い綿の白手袋を付けたまま、鍵を開けて、行ってきますとバスケットを提げる。
路地を出て通りを暫く。
「ねーえ、ピノ……あたしさ、何か、この感じに覚えが有るんだよねー」
まだここに来たばかりの頃、エーレンフリートに見せて貰ったブローチを眺めていて、うっかりそのまま街へ出てきてしまって。
「今度は、あんなことにならないといいよねー」
慌てて返しに戻ろうとしたら、コボルトに取られて、逃げられて。追いかけて。
追いかけっこが通報されて、ハンターさん達と出会ったんだったなぁ、なんて、綺麗な思い出も、有って。
「でも、今日はもう帰るだけだからね。大丈夫-、だいじょう、ぶ、?」
トパーズは白手袋に確り包んでコートの内ポケットの底。けれど。
「おばちゃん! 借りるね!」
パンを買って、3つ先でベーコンを買って、そういえば無くなっていたと思い出したピクルスの瓶と、トマトの缶詰を買いにちょっと歩いて。そして帰り道のパン屋の前。
隣の店との細い隙間から、獣の目玉が覗いている。
軒に置いてあったデッキブラシで隙間を突くと、きゅ、と鳴いて逃げていった。
何かいたの、と店の婦人が用を終えたデッキブラシを受け取りながら尋ねる。モニカが、小さいコボルトがいたと答えると、顔を顰めて震える肩を抱きながら、もういない、と何度も尋ねた。
モニカが路地を覗き込むと、
「――っ、あ。あ。うわぁ……」
底には7対の目玉がぎょろりと覗き、もう1匹、突かれて転けた小さなコボルトが藻掻きながら起き上がっている。
「……な、なんか、いっぱいいます……」
婦人が悲鳴を上げて卒倒した。騒ぎを聞きつけた住人がハンターオフィスへ連絡した。
解説
目的 コボルトの駆除
●エネミー
コボルト×8~
特記事項の無いコボルトとなります。
細い路地に8匹程犇めいています。
更に数匹隠れている場合があります。
●場所
パン屋(営業中)と、果物屋(閉店中)の間の細い隙間。
30センチ程度。
野次馬が集まりだしています。
道幅は大型の馬車が通れる程度。
●NPC
モニカ 「大丈夫じゃ無かったみたいだねー、ピノ。どうしよっかー」
10代の少女、ヴァリオス出身でフマーレでウェイトレスをしている。
ヴァリオス在住の店長(エーレンフリート)が風邪を引いたので見舞いに来ていた。
婦人が落としたデッキブラシを拾って構えています。
ハンターの指示があれば従いますが、ピノの安全を最優先に行動します。
ピノ 「もー(モニカの意)、ぃい(お祖父さんの意)」
最近喋り始めた小さな子供。モニカの背中に負ぶわれている。
エーレンフリート 「今日は冷えるな……おや?」
とぱぁずの隠居中の店長。モニカとピノの保護者。コンフォートにて待機。
ついさっきモニカが忘れていった手袋の片方を発見、どうした物かと思いながら外を眺めている。
●エネミー
コボルト×8~
特記事項の無いコボルトとなります。
細い路地に8匹程犇めいています。
更に数匹隠れている場合があります。
●場所
パン屋(営業中)と、果物屋(閉店中)の間の細い隙間。
30センチ程度。
野次馬が集まりだしています。
道幅は大型の馬車が通れる程度。
●NPC
モニカ 「大丈夫じゃ無かったみたいだねー、ピノ。どうしよっかー」
10代の少女、ヴァリオス出身でフマーレでウェイトレスをしている。
ヴァリオス在住の店長(エーレンフリート)が風邪を引いたので見舞いに来ていた。
婦人が落としたデッキブラシを拾って構えています。
ハンターの指示があれば従いますが、ピノの安全を最優先に行動します。
ピノ 「もー(モニカの意)、ぃい(お祖父さんの意)」
最近喋り始めた小さな子供。モニカの背中に負ぶわれている。
エーレンフリート 「今日は冷えるな……おや?」
とぱぁずの隠居中の店長。モニカとピノの保護者。コンフォートにて待機。
ついさっきモニカが忘れていった手袋の片方を発見、どうした物かと思いながら外を眺めている。
マスターより
翌月1日に公開予定の「珈琲サロンとぱぁずのバリスタ」のヴァリオスサイドのシナリオです。
うようよしているコボルトの駆除をよろしくお願いします。
うようよしているコボルトの駆除をよろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/15 00:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/04 01:49:27 |
|
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相談卓 マキナ・バベッジ(ka4302) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/12/06 08:04:35 |