• 調査

【審判】天に至る道

マスター:藤山なないろ

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/12/07 22:00
リプレイ完成予定
2015/12/16 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●審判
「うお……おおおおおッ」
 静謐な闇の玉座より響く、悲嘆の叫び。
「私の……クラベルよおおおぉぉぉッ」
 途方もない怒りを遮るように、現れた“異形”が言う。
「ふむ、存外に脆かったな」
 尾を一度動かすだけの“それ”に、黒大公ベリアルは悲憤を隠さない。
「メフィスト、貴様ぁッ!!」
 玉座を立ち、獣の瞳をぎらつかせる巨体を制し、メフィストと呼ばれた異形は笑い声をあげた。
 その声が、恐ろしいまでの冷たさをもって場を支配する。あのベリアルが、笑い声一つで黙らされたのだ。
 あとじさる哀れな羊に尚も笑いかけるメフィストは、殺気立っていた羊の腹を軽く叩く。
「こんなにも心惹かれるのは久方ぶりだな。なに、ベリアル。6年前の傷も癒えたのだろう? 今度はもっとマシなものを作るがよい。“あの御方”の怒りに触れぬように、な」
 青ざめるベリアルを残し、身を翻す異形。冷たい廊下に響く足音。メフィストの姿が徐々に闇に溶け行く中、
「探究は退屈を紛らわす。それが主への手柄足りうるものならば、猶の事な」
 最後に残った声はどこか愉悦を含む色をしていたのだった。



 グラズヘイム王国。
 王城の円卓の間では王国騎士団長エリオット・ヴァレンタインが報告を終えたところだった。
「まずは、先の作戦にて黒大公配下の歪虚、クラベルを討ち取ったこと、その作戦も見事だった。王国騎士団長」
「は。本作戦の実行部隊に敬意を表したいと」
 厳しい表情を寛げて、随分朗らかに笑う大司教セドリック・マクファーソン。その背景には、これまで歪虚を相手に後手を続けてきた王国が、遂に先の一手で黒大公ベリアル直轄の幹部を討伐したという喜ばしい出来事があった。
 しかしそんななか、
「正直、エリオット殿があのような手を使うとは思っていませんでした」
 聖堂戦士団長ヴィオラ・フルブライトが鋭い視線を送る。
「そう言わずとも、聖堂戦士団長、君も認めてはどうだ」
「認めていないわけではありません。私はただ……」
 会議の場であるというのに、随分砕けた口調でセドリックが言う。唇を引き結び、しばし目も合わせずにいた戦乙女は、ややあって意を決したように騎士団長の青い双眸を捉えた。
「ともあれ、先の発言は撤回させて頂きます」
 言うが早いか、女はふいと視線をそらす。
 だが当のエリオットは「何を撤回されたのか」がよくわからない。
 元々自分に向けられる悪意の類には無頓着な男だ。言われたこと自体、余り覚えていないのだろう。
 助けを求めるように大司教を見るエリオットの表情を確認し、セドリックは深い溜息をついた。

 定例会議の後、エリオットがヴィオラに連れられてきた場所は、グラズヘイム王城のすぐ隣に聳え立つエクラ教の総本山“聖ヴェレニウス大聖堂”。当時の王国の技術の粋を凝らした傑作と謳われるステンドグラス絵画が壁面を煌びやかに飾り、光の大精霊を祀るに相応しい場所だ。
 聖堂を抜け、ひんやりとした部屋に通される。そこは、無数のろうそくに火が灯っただけの、日の光の届かぬ薄暗い部屋だった。
「解りやすく、人目を避けたな」
 青年の言葉を受けてか否か、彼女は思い返すように呟く。
「“余計なことはしないでください”」
「……?」
「先日、私が貴方に申し上げたことです。それを、撤回すると言いました」
 ──なるほど、先の発言はそのことか。
 独りごちるエリオットを呆れたように一瞥し、彼女はなおも続ける。
「貴方の指摘通り、エクラの巡礼者が歪虚に狙われる事件が多発しています」
 こうして“エクラ教巡礼者襲撃事件“に関する情報がヴィオラの口から初めて共有されることとなった。
「エクラの巡礼……国の繁栄を願って行われる儀だが、古くから言い伝えがあるな」
 未だ“秘密の暴露”を懸念する様子の女に対し、青年は自らの推論を述べた。
「巡礼は“魔をよける”という民間伝承がある。真偽は不明だが、千年前から続く儀式、その規模は王国全域だ」
 一呼吸おいて、エリオットは真っ直ぐに女に問う。
「これは、一体何を成す? 先にオーレフェルトでオーラン・クロスが張り巡らせた法術陣は文字通り“魔をよけた”という。あの男は茨の王との戦の直前、大司教に謁見したとの報告もある」
 女は逡巡し、ややあって美しい赤をした唇をゆっくりと開いた。
「国家の最重要機密に値するもの故に、法術陣が持つ真の効力は私にもわかりかねます。ですが、此度の巡礼者襲撃は、歪虚が明白にそれを妨害する意図をもっていると言って間違いないでしょう」
「それはつまり、歪虚にとって巡礼が厄介なものであるから、か」
「はい。先の北方動乱の折、オーラン・クロスがなしたことを存じていますか?」
「先の千年祭で消失したと思われていた途方もない量のマテリアルを回収した、と」
「我が国は、千年以上の永きに渡り、国全域に及ぶ巨大な法術陣へ正のマテリアルを貯蔵しています。その力をもって、“魔をよけ”、国を守るために。エクラの巡礼は、真実、巡礼者から法術陣へマテリアルを流し込む行為そのものです。無論、当人らにその意識はありませんが。大人数の巡礼が狙われやすいのは、より多くのマテリアル供給源になり得るからかと」
 話が途切れると、青年が深い息をついた。
「途方もないな。アーティファクトと呼ばれる代物ですら、比較にならない」
「だからこそ、この先千年も守り継がねばならないのです」
「聖堂教会と王家が、隠し続けてきた国の至宝、か」
 ふと、気付いたようにエリオットが尋ねる。
「この話を知っているのは?」
「さぁ。殿下が存じているかは解りませんが、本来的には代々の王と、そして教会のトップくらいではないかと」
「なぜ、ここまで秘匿されていものが今になって歪虚に狙われているか、心当たりがあるか」
 自らの疑念を払うように訊ねるエリオット。それに、ヴィオラはややあってこう答えた。
「幾つか懸念は。一つは、オーラン・クロスの存在。法術研究家の彼が、昨今の北方動乱で表舞台へ立ち、その最中で研究が盗まれた、あるいは一部が流出した懸念。もう一つは、昨年の王都へのベリアル侵攻の際、“この国に仕掛けられた”マテリアルの流れに歪虚自身が気付いた懸念。もう一つは……」
 目を伏せ、言葉を選ぶヴィオラをよそに、エリオットが淀みなく言い放った。
「……情報を知り得る何者かが歪虚へリークした懸念、か」
「ええ。ですが、それはさすがに考え辛い話でしょう」
 凛とした声で突っぱねるヴィオラに、どこか後ろ暗い思いのままエリオットが「そうだな」と曖昧に応じた。
「とはいえ、先程申し上げたように巡礼は王国の繁栄、存続において日々実際的に貢献するものです。それを歪虚の脅威に屈し、規制する訳にはまいりません」
「そうだな。……打って出るほかないだろう」



「今日集まってもらったのは他でもない」
 ハンターたちを前に、王国騎士団長はある調査を託したのだった。

解説

「先の調査の結果、エクラ教巡礼者の間で“絶対に狙われない巡礼者”の存在が噂になっていた。今回、それを調査してもらいたく集まってもらった」
 王国騎士団長から説明された依頼内容は「エクラ教巡礼者襲撃事件の調査」だった。

●目的
“絶対に狙われない巡礼者”の噂を調査せよ

●内容
前回、エクラ教巡礼者の間で「歪虚に狙われない巡礼者がいる」という噂を入手しました。
この噂の真偽を確認し、そして該当巡礼者に関する情報を1つでも多く入手してください。

●概要
巡路の中でも襲撃が多発している区域はある程度絞られています。
最も襲撃が多発している王都近くの区域を抜けてきた巡礼者のなかから
該当する巡礼者を見つけてください。
方法は、ハンターに一任されます。
これまでに手に入れたPC情報を駆使して、適切な調査法を立案し、実行してください。

今回は王国騎士団も出動し、別地点を張って調査します。
ですが、可能性が高く難易度も低いと思しき場所を皆様に託しており
本件でエリオットは皆様に同行します。

●位置情報
皆様の張り込み地点は
王都からさほど離れていない街道で、エクラ教の巡礼ルートでもあります

見渡す限り平野
なだらかで障害物はなく、馬なども使用可

エクラ教の巡礼者のほか、王都から出発してきた旅人、行商人、騎士など少なくない人が行き交います

●PL情報
絶対に狙われない巡礼者は居ます
エクラ教の巡礼者たちと同じルートを巡礼しています
調査方法、接触方法に注意をはかり、戦闘が発生した場合はこれを“適切に対処”してください

●プレイヒント
※危険、注意※

1)篩の掛け方
目的は提示されている状況ですが
「どこで(※)」「何を」「どのように」調べ、戦うのかは大事です

2)狙われない巡礼者の正体、その他の情報を得ることが肝要です
「歪虚に狙われない」理由とは……?

3)これまでの調査で得た情報が非常に有用です
藤山の『【審判】閉じた世界』『【審判】ワールドグレイヴ』等

マスターより

【審判】とは
『ある事件を、聖堂戦士団サイド、王国騎士団サイドに分かれて2つのパーティで同時に追いかけていく』
という連動ですが、今回のように増えることもあります。

さて。
【聖呪】終結を受け、その流れが【審判】へ合流し、大きく進展したものがあります。
それは、先の戦でその名が解禁された『法術陣』──王国が千年の長きにわたって守り続けてきた究極の至宝です。

ここまでの情報整理等でOPがほぼPL情報になってしまい本当にすみません……
皆様がこれを知るにはまだ少し時間が必要そうですが、確実に距離を縮めていることは明白です。
長い道程も今の一歩を確実に刻まねば越えることができません。油断は禁物です。

不明点は質問卓へ

関連NPC

  • 王国騎士団“黒の騎士長”
    エリオット・ヴァレンタイン(kz0025
    人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/12/16 07:43

参加者一覧


  • ルカ(ka0962
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワース(ka2004
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 未来を想う
    アイシュリング(ka2787
    エルフ|16才|女性|魔術師
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • ミストラル
    ウォルター・ヨー(ka2967
    人間(紅)|15才|男性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/04 13:21:57
アイコン 相談卓
ルカ(ka0962
人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/12/07 22:04:54
アイコン 質問卓
ルカ(ka0962
人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/12/05 21:30:21