ゲスト
(ka0000)
【闇光】少年、歌と死を贈る
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/15 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/12/24 07:30
オープニング
●嫌悪
エクエスは無垢な顔で眠るプエル(kz0127)を見つめ苛立ちを募らす。
「こうなったのもアレのせいであり……」
エクエスは嫌悪に満ちた顔でプエルの首に手を伸ばす。
布団から顔をのぞかせているレチタティーヴォを模した布製の人形が、ボタンの目でじっと見ている。ただの人形にも関わらず、心を見透かしているようで気持ちが悪かった。
「ちっ」
首を絞めてみようとしたのをやめて、少し前の出来事を思い返す。
夢幻城に到着したプエルをレチタティーヴォは迎えた。エクエスからしてみれば、レチタティーヴォらしくない行動であり、らしい行動でもある。
演出の為、確認の為、プエルが望むだろうことをレチタティーヴォはした、それだけのこと。
レチタティーヴォに会った瞬間、プエルは安堵と恐怖という相反する表情をしていた。なお、プエルはレチタティーヴォに会ったことすら記憶していないし、頭を撫でられたなどもっと知らない。
「このガキのせいで……すべてがめちゃくちゃだ」
エクエスはすやすやと眠るプエルに怒りをぶつけるのをためらった。愛らしい寝顔は心を和ませるが、怒りも一緒に連れてくる。
レチタティーヴォ人形を殴り飛ばそうと思ってプエルから取り上げようとしたが、人形にしがみついているプエルが邪魔でできなかった。
●恐怖
目を覚ましたプエルはベッドの上に座り、毛布をかぶって震える。
「プエル様、それでは何も解決しませんよ?」
「……怖い物は怖いんだっ! 痛いのは大嫌いだっ!」
「あのお方は特に何もおっしゃっていませんが……人間を追い立てに向われるそうですよ?」
「……ううっ!」
エクエスが言ったことはプエルも知っている。だからこそ、自分も何かしないといけないのも理解している。
きちんとした部屋をもらえたのもレチタティーヴォのお蔭であり、なんとしても役に立たないといけないと考えている。
一方で人間に手ひどくやられたことが怒りと恐怖につながる。
人間を殺さないといけないと考えつつも、もっと遊びたいと考えるとハンターに遭いたくはない。
「モフリがいなくなったのは僕のせい。僕が頑張れば、モフリは出かけなかったんだよね」
事実誤認もあるがエクエスは何も言わず、じっとしている。
実際は手違いの荷物をもらい、エクエスがモフリに促したのだから。モフリは抵抗せず、出かけて行ったのは間違いない。
「怖いんだよ」
レチタティーヴォを模したと思われる布で来た人形を抱きしめ、プエルは毛布の間から顔だけ出す。その顔に浮かぶのは泣き出しそうな表情で、不安と何かにすがりつきたいと言う思いが伝わる。少女めいている整った顔の為に、妖しい雰囲気が漂う。
エクエスはプエルの顔を見て唇を噛み、表情を変えない努力をする。ベッドに座り、プエルの方を向く。
「エクエスは僕の側にいてくれる?」
「もちろんですよ」
エクエスが頭をなでるとプエルは嬉しそうな声を上げる。プエルは毛布ごとエクエスの胸に飛び込んだ。
「さすがにこのままはまずいでしょう? あなたはあなたのなせることをしましょう?」
「でも……」
「幸いなことに……手を貸していただけていますので、あなたが『死の演出』をして差し上げればいいのです」
エクエスが自信ありげに告げるが、プエルは良くわからなかった。何かさせてくれる、怖いことはないと力説されてうなずいた。
●死神の歌
撤退を行う人間のキャンプ地。
負傷した者もいる為、簡単にはことが運ばない。
戦えないが動けるとしても、戦況は希望を奪い、寒さは気力を凍らせていく。
幸いなことにまだ食料はあるし、暖を取るすべは残っている。これらのお蔭で、逃げ切り温かい家に戻れると言う夢を見ることができた。幾人か集まれば、当たり障りのない話から噂話まで出る。
「なあ訊いたか?」
撤退中の行列かキャンプ地かで多くの人間が死んだと言う。
「すべてが死んだわけではなく、生き延びた人間もいて目撃者がいるんだ」
「あれか? 死者を呼ぶ歌」
「そうそれ」
「なんだそれ?」
「見回りもいるんだが、突然歌が聞こえてくるんだそうだ。白い服を来た十代半ばくらいの子が現れるんだ、もちろんその子が歌っているんだよ」
歌声は澄んでおり、慰問を兼ねて戦場を回っているエクラ教信徒か司祭かと思われている。歌い方が声楽のようなそれであり、歌もまた子が歌うような合唱の曲だと言うこともあり、慰問者が来たという認識だった。
危険地帯であっても来るその子供に、疑問もあるが心身共に疲れている者たちにとっては天使のように見えたようだった。
声を聞いた重傷の者は一時痛みを忘れてうっとりしていた、と看護をしていた者は見たと言う。
しばらくすると楽器の音が響く、弦楽器の美しい音色が。
ここからが地獄の始まりだという。
現れた楽団は人間の大人等身大の陶器の人形であり、白い楽器を奏でる姿は人間ではありえない。
歌う子が人間と思われるため、守るために引き寄せようとした者は赤いマントを羽織った騎士のような者に殺された。フードを目深にかぶっているためそれが何か良くわからないが、人間と判断した。
また、歪虚に対して攻撃をしたり、子どもに近づこうとした者はことごとく殺されていく。目撃した者によると、土の壁に阻まれ攻撃できなかったり、細い糸で斬り裂かれたり、広範囲の炎の魔法や直線に走る電撃を見たという。
「つまり、歪虚に利用されている子がいるってことかい?」
「らしいぞ?」
「で、それで終わりか?」
「それと、ラッパを吹くスケルトンのようなものが来て、スケルトンが湧きだしたと言うのも聞いた」
「……ハンターもいたよな?」
「もちろん。ただ、ハンターが近づいてきた時点で彼らは離脱してしまった」
「……頭いいよな」
「まあな」
実際それがある事なのか、噂話をしていただけだ。
戦場であり、何があるかなど分からない。これが真実だろうと虚構だろうとも、混沌とする戦場で油断はできないと言う教訓である。
このキャンプ地は夜が明ける時間になれば、撤収を始める。
●悦楽
プエルはこの作戦が気に入っていた。
人前で存分に歌い、怪我をしないで済むなんて嬉しい限りだ。
「ふふっ、楽しい」
プエルは白いローブをひらひらさせくるりと回り、小走りに走る。首にかけてあるペンダントのヘッドが移動し、シャラシャラと音を立てる。
「これ、何なのかなぁ」
モフリがしていたのはどうしてなのかよくわからない鳥かごの細工のペンダントヘッド。中に入っている石は赤い。
難しいことは考えない。
人間を殺すことが正しいのだ。そして、重要なのは自分が楽しいこと。
「ふふっ、次はここだね?」
白い布をすっぽりかぶり、プエルはキャンプ地に近づいた。
エクエスは無垢な顔で眠るプエル(kz0127)を見つめ苛立ちを募らす。
「こうなったのもアレのせいであり……」
エクエスは嫌悪に満ちた顔でプエルの首に手を伸ばす。
布団から顔をのぞかせているレチタティーヴォを模した布製の人形が、ボタンの目でじっと見ている。ただの人形にも関わらず、心を見透かしているようで気持ちが悪かった。
「ちっ」
首を絞めてみようとしたのをやめて、少し前の出来事を思い返す。
夢幻城に到着したプエルをレチタティーヴォは迎えた。エクエスからしてみれば、レチタティーヴォらしくない行動であり、らしい行動でもある。
演出の為、確認の為、プエルが望むだろうことをレチタティーヴォはした、それだけのこと。
レチタティーヴォに会った瞬間、プエルは安堵と恐怖という相反する表情をしていた。なお、プエルはレチタティーヴォに会ったことすら記憶していないし、頭を撫でられたなどもっと知らない。
「このガキのせいで……すべてがめちゃくちゃだ」
エクエスはすやすやと眠るプエルに怒りをぶつけるのをためらった。愛らしい寝顔は心を和ませるが、怒りも一緒に連れてくる。
レチタティーヴォ人形を殴り飛ばそうと思ってプエルから取り上げようとしたが、人形にしがみついているプエルが邪魔でできなかった。
●恐怖
目を覚ましたプエルはベッドの上に座り、毛布をかぶって震える。
「プエル様、それでは何も解決しませんよ?」
「……怖い物は怖いんだっ! 痛いのは大嫌いだっ!」
「あのお方は特に何もおっしゃっていませんが……人間を追い立てに向われるそうですよ?」
「……ううっ!」
エクエスが言ったことはプエルも知っている。だからこそ、自分も何かしないといけないのも理解している。
きちんとした部屋をもらえたのもレチタティーヴォのお蔭であり、なんとしても役に立たないといけないと考えている。
一方で人間に手ひどくやられたことが怒りと恐怖につながる。
人間を殺さないといけないと考えつつも、もっと遊びたいと考えるとハンターに遭いたくはない。
「モフリがいなくなったのは僕のせい。僕が頑張れば、モフリは出かけなかったんだよね」
事実誤認もあるがエクエスは何も言わず、じっとしている。
実際は手違いの荷物をもらい、エクエスがモフリに促したのだから。モフリは抵抗せず、出かけて行ったのは間違いない。
「怖いんだよ」
レチタティーヴォを模したと思われる布で来た人形を抱きしめ、プエルは毛布の間から顔だけ出す。その顔に浮かぶのは泣き出しそうな表情で、不安と何かにすがりつきたいと言う思いが伝わる。少女めいている整った顔の為に、妖しい雰囲気が漂う。
エクエスはプエルの顔を見て唇を噛み、表情を変えない努力をする。ベッドに座り、プエルの方を向く。
「エクエスは僕の側にいてくれる?」
「もちろんですよ」
エクエスが頭をなでるとプエルは嬉しそうな声を上げる。プエルは毛布ごとエクエスの胸に飛び込んだ。
「さすがにこのままはまずいでしょう? あなたはあなたのなせることをしましょう?」
「でも……」
「幸いなことに……手を貸していただけていますので、あなたが『死の演出』をして差し上げればいいのです」
エクエスが自信ありげに告げるが、プエルは良くわからなかった。何かさせてくれる、怖いことはないと力説されてうなずいた。
●死神の歌
撤退を行う人間のキャンプ地。
負傷した者もいる為、簡単にはことが運ばない。
戦えないが動けるとしても、戦況は希望を奪い、寒さは気力を凍らせていく。
幸いなことにまだ食料はあるし、暖を取るすべは残っている。これらのお蔭で、逃げ切り温かい家に戻れると言う夢を見ることができた。幾人か集まれば、当たり障りのない話から噂話まで出る。
「なあ訊いたか?」
撤退中の行列かキャンプ地かで多くの人間が死んだと言う。
「すべてが死んだわけではなく、生き延びた人間もいて目撃者がいるんだ」
「あれか? 死者を呼ぶ歌」
「そうそれ」
「なんだそれ?」
「見回りもいるんだが、突然歌が聞こえてくるんだそうだ。白い服を来た十代半ばくらいの子が現れるんだ、もちろんその子が歌っているんだよ」
歌声は澄んでおり、慰問を兼ねて戦場を回っているエクラ教信徒か司祭かと思われている。歌い方が声楽のようなそれであり、歌もまた子が歌うような合唱の曲だと言うこともあり、慰問者が来たという認識だった。
危険地帯であっても来るその子供に、疑問もあるが心身共に疲れている者たちにとっては天使のように見えたようだった。
声を聞いた重傷の者は一時痛みを忘れてうっとりしていた、と看護をしていた者は見たと言う。
しばらくすると楽器の音が響く、弦楽器の美しい音色が。
ここからが地獄の始まりだという。
現れた楽団は人間の大人等身大の陶器の人形であり、白い楽器を奏でる姿は人間ではありえない。
歌う子が人間と思われるため、守るために引き寄せようとした者は赤いマントを羽織った騎士のような者に殺された。フードを目深にかぶっているためそれが何か良くわからないが、人間と判断した。
また、歪虚に対して攻撃をしたり、子どもに近づこうとした者はことごとく殺されていく。目撃した者によると、土の壁に阻まれ攻撃できなかったり、細い糸で斬り裂かれたり、広範囲の炎の魔法や直線に走る電撃を見たという。
「つまり、歪虚に利用されている子がいるってことかい?」
「らしいぞ?」
「で、それで終わりか?」
「それと、ラッパを吹くスケルトンのようなものが来て、スケルトンが湧きだしたと言うのも聞いた」
「……ハンターもいたよな?」
「もちろん。ただ、ハンターが近づいてきた時点で彼らは離脱してしまった」
「……頭いいよな」
「まあな」
実際それがある事なのか、噂話をしていただけだ。
戦場であり、何があるかなど分からない。これが真実だろうと虚構だろうとも、混沌とする戦場で油断はできないと言う教訓である。
このキャンプ地は夜が明ける時間になれば、撤収を始める。
●悦楽
プエルはこの作戦が気に入っていた。
人前で存分に歌い、怪我をしないで済むなんて嬉しい限りだ。
「ふふっ、楽しい」
プエルは白いローブをひらひらさせくるりと回り、小走りに走る。首にかけてあるペンダントのヘッドが移動し、シャラシャラと音を立てる。
「これ、何なのかなぁ」
モフリがしていたのはどうしてなのかよくわからない鳥かごの細工のペンダントヘッド。中に入っている石は赤い。
難しいことは考えない。
人間を殺すことが正しいのだ。そして、重要なのは自分が楽しいこと。
「ふふっ、次はここだね?」
白い布をすっぽりかぶり、プエルはキャンプ地に近づいた。
解説
皆さんがいるキャンプ地に「噂」に上がっていた者たちが現れるため、その対処を行ってください。
現れたと認識できるのは十代くらいの子が歌い始めたためです。
●大よその位置
大きなかがり火を中心に、指揮官のテントと重傷者用のテントがあります。このキャンプ地では自分で動けないけが人や病人は10人程度です。
規則的にいくつかのテントが並んでいます。
見張りは何か所かに固定いる組と見回り組があります。なお、位置を固定して見張っている所には暖を取ることができる火が置かれています。
このキャンプ地は100m×100m以下、移動中であるため柵等はありません。
●敵勢力
・憂悦孤唱プエル 少年の姿の嫉妬の歪虚、自分が傷つくのは大嫌い。
今回は歌っているだけ。武器は持っていませんが、魔法で応戦する可能性はあります。
・エクエス プエルを見守る青年姿の嫉妬の歪虚。フード付の赤いマントを羽織ってます。
・人形楽団×5
バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスを担当しており、バイオリンのみ2体おり、他は一体ずつ。
近づいてくる者からプエルを守ろうとします。物理・魔法攻撃をそれぞれしてくるようです。
なお、楽器の素材は不明ですが白いです。音色は一般的な楽器と変わりありません。
・スケルトン(ラッパ)×1
スケルトンですが青いマントを羽織り、ラッパを持っています。
プエルたちからはやや離れたところに出現し、ラッパを吹きます。
・スケルトン×10
一般的なスケルトン、だいたい10体います。
現れたと認識できるのは十代くらいの子が歌い始めたためです。
●大よその位置
大きなかがり火を中心に、指揮官のテントと重傷者用のテントがあります。このキャンプ地では自分で動けないけが人や病人は10人程度です。
規則的にいくつかのテントが並んでいます。
見張りは何か所かに固定いる組と見回り組があります。なお、位置を固定して見張っている所には暖を取ることができる火が置かれています。
このキャンプ地は100m×100m以下、移動中であるため柵等はありません。
●敵勢力
・憂悦孤唱プエル 少年の姿の嫉妬の歪虚、自分が傷つくのは大嫌い。
今回は歌っているだけ。武器は持っていませんが、魔法で応戦する可能性はあります。
・エクエス プエルを見守る青年姿の嫉妬の歪虚。フード付の赤いマントを羽織ってます。
・人形楽団×5
バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスを担当しており、バイオリンのみ2体おり、他は一体ずつ。
近づいてくる者からプエルを守ろうとします。物理・魔法攻撃をそれぞれしてくるようです。
なお、楽器の素材は不明ですが白いです。音色は一般的な楽器と変わりありません。
・スケルトン(ラッパ)×1
スケルトンですが青いマントを羽織り、ラッパを持っています。
プエルたちからはやや離れたところに出現し、ラッパを吹きます。
・スケルトン×10
一般的なスケルトン、だいたい10体います。
マスターより
こんにちは。
混沌としている戦場にプエルもうろうろしに出向きます。
いや、もう、レチタティーヴォ様が元気なのが何よりです。
歪虚NPCを書いていると、どうも思考が歪虚寄りになりますね……。
よろしくお願いします。
混沌としている戦場にプエルもうろうろしに出向きます。
いや、もう、レチタティーヴォ様が元気なのが何よりです。
歪虚NPCを書いていると、どうも思考が歪虚寄りになりますね……。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/20 21:52
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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噂をすれば影がさす【相談卓】 ステラ・レッドキャップ(ka5434) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/12/15 05:24:36 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/12 06:32:47 |