ゲスト
(ka0000)
【空の研究】レイニィ・ララバイ
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/16 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/12/25 07:30
オープニング
ウォリスにとって最大の敵は、いつだって「睡眠」だった。人ならざる者ですら寝静まる夜更けになっても寝ることができず、ようやくうとうとできたかと思うと、もう夜明け。そんな日を幾日か過ごし、ある日、体に限界が来てぱったりと倒れる。……そんなことを、幼いころから繰り返していた。何人もの医者にかかったが、原因はわからなかった。
そんなウォリスが、唯一、深い眠りにつけるときがあった。
それは、雨の日である。
軒先の石畳にぽたぽた落ちる雨音を聞いていると、自然と眠くなった。ウォリスの神経をゆっくりとほどいてゆくような、静かな音の連なりは、どんな薬よりも、どんな子守唄よりも効果があった。まさに、恵みの雨である。
少年から青年へ成長してゆく間に、ウォリスは考えるようになった。この、雨の旋律を皆と共有できないものか……、すなわち、雨の子守唄の楽譜を作れないものか……、と。
ウォリスは音楽の勉強をした。そして、たくさんの曲を作った。けれど、自分に眠りを与えてくれる雨のメロディを再現することは、できずにいた。
何年も何年も、もどかしい思いで、それでも音楽の勉強を続けていた、そんなウォリスのもとに、ある日、不思議な人物が現れた。
「ウォリスさんに、これを復元していただきたいんですねーえ」
フードを目深にかぶったその人物は、男か女かもわからない上、妙なイントネーションで喋り、見るからに風変わりであった。ウォリスは少なからず、警戒していた。
「な、なんでしょうか」
「ふるーい、ふるーい、楽譜なのですがねーえ。どうやら、魔法の子守唄の楽譜らしいんですねーえ。……曲名は『レイニィ・ララバイ』というそうで」
「!! 雨の、子守唄……!!」
ウォリスの警戒は、吹き飛んだ。フードの人物が差し出した紙の束を受け取って、一枚一枚確かめてみる。用紙は茶色く変色し、ところどころ破れたり掠れたりして読めなくなっていた。
「王国の、とある場所から発見されたのですがねーえ、私は音楽に関してはさっぱりでして。あなたは長年、雨の音楽を研究していると聞きましたので、もしかしたら、復元してくださるのではないかと思ったんですよぉ」
「是非ともやらせていただきたく思います! ですが、私には魔法の知識がありませんが……」
「ああ」
フードの下から、わずかにみえている口元が、にぃ、と笑った。
「もし困ったことがあったら、ハンターに依頼してはどうですかねーえ。資金は、私が置いていきますから」
「はあ……」
「では、よろしくお願いしますねーえ」
裾の長いフードコートを翻して、その人物はさっさと、ウォリスの前から立ち去ったのだった。
それから、一年の時が流れた。
ウォリスは、試行錯誤を重ね、ついに楽譜を完成させた。調べに調べ、考察を重ね、これがピアノ、バイオリン、フルートでの三重奏の譜面であることを突き止め、抜けた音符を補って新たな用紙に書き起こした。
「ようし。音楽仲間に声をかけて、演奏会に協力してもらおう。……だが、やはり、魔法の子守唄であるというのが気がかりだなあ」
ウォリスは、少しだけ迷ったが、フードの人物のアドバイスに従って、ハンターに依頼をすることにした。魔法に関するアドバイスをしてもらうか、それが無理でも演奏会を見届けてもらおうと思ったのである。
演奏会には、当然、雨の予報の日を選んだ。楽器だけでは、この音楽は成り立たないのだ。雨の音が、必要不可欠。眠れる雨の演奏会。それは珍しくも優しい催しとなりそうであった。
ところが。
演奏会の、前日。
ハンターへの依頼も済ませ、演奏会の段取りをほぼ完了させたウォリスは、演奏を手伝ってくれる友人たちやハンターたちと共に、演奏会会場での準備を終えて自宅へ帰ろうとしていた。
「ダメダメ! ここから先は通れないよ!」
演奏会場から、自宅までの街道が、封鎖されていたのである。
「何か、あったんですか?」
ウォリスが、街道の警備員に尋ねると。
「雑魔が出たらしいんだよ。それも、複数。これからハンターに依頼するところさ。三日くらいは通れないよ」
「そんな……! 楽譜が、家に置いたままなのに……! 演奏会は、明日だ……!」
「よくわかんないけど、とにかく、無理だよ」
にべもなく追い返され、ウォリスは途方に暮れた。
「そうだ、子守唄は完成している! あれを使えば雑魔を眠らせることができるのでは!? いや、しかしその子守唄の楽譜がないのだった……、どうしたら……」
呆然と立ち尽くしたウォリスの頬に、ぽつり、と。雨の雫が落ち始めた。
ウォリスはハッと気が付く。そうだ、ハンターなら、ここに。
「お願いです! 最初の依頼内容と違うことはわかっていますが! どうか! 私に楽譜を取りに行かせてください!」
そんなウォリスが、唯一、深い眠りにつけるときがあった。
それは、雨の日である。
軒先の石畳にぽたぽた落ちる雨音を聞いていると、自然と眠くなった。ウォリスの神経をゆっくりとほどいてゆくような、静かな音の連なりは、どんな薬よりも、どんな子守唄よりも効果があった。まさに、恵みの雨である。
少年から青年へ成長してゆく間に、ウォリスは考えるようになった。この、雨の旋律を皆と共有できないものか……、すなわち、雨の子守唄の楽譜を作れないものか……、と。
ウォリスは音楽の勉強をした。そして、たくさんの曲を作った。けれど、自分に眠りを与えてくれる雨のメロディを再現することは、できずにいた。
何年も何年も、もどかしい思いで、それでも音楽の勉強を続けていた、そんなウォリスのもとに、ある日、不思議な人物が現れた。
「ウォリスさんに、これを復元していただきたいんですねーえ」
フードを目深にかぶったその人物は、男か女かもわからない上、妙なイントネーションで喋り、見るからに風変わりであった。ウォリスは少なからず、警戒していた。
「な、なんでしょうか」
「ふるーい、ふるーい、楽譜なのですがねーえ。どうやら、魔法の子守唄の楽譜らしいんですねーえ。……曲名は『レイニィ・ララバイ』というそうで」
「!! 雨の、子守唄……!!」
ウォリスの警戒は、吹き飛んだ。フードの人物が差し出した紙の束を受け取って、一枚一枚確かめてみる。用紙は茶色く変色し、ところどころ破れたり掠れたりして読めなくなっていた。
「王国の、とある場所から発見されたのですがねーえ、私は音楽に関してはさっぱりでして。あなたは長年、雨の音楽を研究していると聞きましたので、もしかしたら、復元してくださるのではないかと思ったんですよぉ」
「是非ともやらせていただきたく思います! ですが、私には魔法の知識がありませんが……」
「ああ」
フードの下から、わずかにみえている口元が、にぃ、と笑った。
「もし困ったことがあったら、ハンターに依頼してはどうですかねーえ。資金は、私が置いていきますから」
「はあ……」
「では、よろしくお願いしますねーえ」
裾の長いフードコートを翻して、その人物はさっさと、ウォリスの前から立ち去ったのだった。
それから、一年の時が流れた。
ウォリスは、試行錯誤を重ね、ついに楽譜を完成させた。調べに調べ、考察を重ね、これがピアノ、バイオリン、フルートでの三重奏の譜面であることを突き止め、抜けた音符を補って新たな用紙に書き起こした。
「ようし。音楽仲間に声をかけて、演奏会に協力してもらおう。……だが、やはり、魔法の子守唄であるというのが気がかりだなあ」
ウォリスは、少しだけ迷ったが、フードの人物のアドバイスに従って、ハンターに依頼をすることにした。魔法に関するアドバイスをしてもらうか、それが無理でも演奏会を見届けてもらおうと思ったのである。
演奏会には、当然、雨の予報の日を選んだ。楽器だけでは、この音楽は成り立たないのだ。雨の音が、必要不可欠。眠れる雨の演奏会。それは珍しくも優しい催しとなりそうであった。
ところが。
演奏会の、前日。
ハンターへの依頼も済ませ、演奏会の段取りをほぼ完了させたウォリスは、演奏を手伝ってくれる友人たちやハンターたちと共に、演奏会会場での準備を終えて自宅へ帰ろうとしていた。
「ダメダメ! ここから先は通れないよ!」
演奏会場から、自宅までの街道が、封鎖されていたのである。
「何か、あったんですか?」
ウォリスが、街道の警備員に尋ねると。
「雑魔が出たらしいんだよ。それも、複数。これからハンターに依頼するところさ。三日くらいは通れないよ」
「そんな……! 楽譜が、家に置いたままなのに……! 演奏会は、明日だ……!」
「よくわかんないけど、とにかく、無理だよ」
にべもなく追い返され、ウォリスは途方に暮れた。
「そうだ、子守唄は完成している! あれを使えば雑魔を眠らせることができるのでは!? いや、しかしその子守唄の楽譜がないのだった……、どうしたら……」
呆然と立ち尽くしたウォリスの頬に、ぽつり、と。雨の雫が落ち始めた。
ウォリスはハッと気が付く。そうだ、ハンターなら、ここに。
「お願いです! 最初の依頼内容と違うことはわかっていますが! どうか! 私に楽譜を取りに行かせてください!」
解説
シリーズではございますが、前作がわからなくても、まっっったく問題ありません。
■成功条件
雑魔の撃破と、楽譜の回収。
見事撃破・回収できた際には、演奏会のお手伝いもしていただきます。演奏者として参加していただくことも可能。
■雨の子守唄
ウォリスが完成させた、古い古い音楽。雨の音と混ぜて演奏することで眠りを誘う魔法として使用できるらしい。
■街道に出た雑魔
鳥の姿をした雑魔が三体。翼を広げた状態での体長が二メートル。爪、嘴ともに、殺傷能力は高くない小物だが、とにかく素早い。銃弾もらくらく避ける上、魔法での攻撃も上手く避ける飛行技術を持っている。
街道はウォリスの家の付近から直線約1kmの間が封鎖されている。
■楽譜
街道を抜けてすぐそばのウォリスの家の、ピアノ室にある。
■成功条件
雑魔の撃破と、楽譜の回収。
見事撃破・回収できた際には、演奏会のお手伝いもしていただきます。演奏者として参加していただくことも可能。
■雨の子守唄
ウォリスが完成させた、古い古い音楽。雨の音と混ぜて演奏することで眠りを誘う魔法として使用できるらしい。
■街道に出た雑魔
鳥の姿をした雑魔が三体。翼を広げた状態での体長が二メートル。爪、嘴ともに、殺傷能力は高くない小物だが、とにかく素早い。銃弾もらくらく避ける上、魔法での攻撃も上手く避ける飛行技術を持っている。
街道はウォリスの家の付近から直線約1kmの間が封鎖されている。
■楽譜
街道を抜けてすぐそばのウォリスの家の、ピアノ室にある。
マスターより
雨の日は眠くありませんか。わたくしだけでしょうか。
さて。
シリーズ2作目でございます。前作とは繋がっていないようなものですので、お気軽にご参加くださいませ!
演奏を聴いたら、きっと聴衆が皆眠ってしまう、というちょっと変わった、ほほえましい演奏会を是非、成功させていただきたいものだと思います。
……楽譜だけ置いて行ってしまった、あの変な人は、演奏会に来るのかなあ……。
さて。
シリーズ2作目でございます。前作とは繋がっていないようなものですので、お気軽にご参加くださいませ!
演奏を聴いたら、きっと聴衆が皆眠ってしまう、というちょっと変わった、ほほえましい演奏会を是非、成功させていただきたいものだと思います。
……楽譜だけ置いて行ってしまった、あの変な人は、演奏会に来るのかなあ……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/20 09:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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打ち合わせ ルナ・レンフィールド(ka1565) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/12/16 06:48:03 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/14 22:54:37 |