ゲスト
(ka0000)
【深棲】解き放たれし汚濁
マスター:ムジカ・トラス

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/08/09 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/18 22:00
オープニング
●
「匂いについて、言おう。いや、言わせて頂こう!」
その男は声を大にして言った。リアルブルーからやってきたこのひょろっこい男は、カガクの自由とやらを求めてハンターになったのだという。
私と仲間内はこいつをメガネと呼んでいる。正直なところ、話が長くてウンザリしているのだが、危なっかしくて誰かしら面倒を見てしまっている内に仲間みたいな位置に居座ってしまった。
迷惑甚だしいが、拾った猫か何かと同じ扱いで、大の大人として今更捨てるのもハズカシイので全員で面倒を見ている。
今もそうだ。
偵察の仕事に連れてきている。自分の食い扶持くらいは稼いで貰わなくては困るから。
そんなことは露知らず、メガネは意気揚々と喋り始めた。
「匂いは物質だ。匂いそのものに匂いは無く、その実態は匂いを我々に感知させる物質である、物質Xを受容する受容器にこそある」
「……それで?」
「シャーリーズ・クラウディア・スタウス君。君はどこで匂いを嗅ぐ?」
「鼻、だけど」
「うむ、その通りだ。我々は鼻腔内にある嗅裂を介して匂いを嗅いでいる。嗅裂は鼻腔の最上部にあり、第一の脳神経である嗅神経から出る嗅毛が顔をだす場所でもある」
「きゅう……なんだい?」
「なんだね、どの嗅だい」
「いや、もういい。続けたけりゃ続けな」
「うむ。嗅毛には嗅覚受容体がある。それこそが匂いの受容器であり、匂いの局在なのだ」
「……」
冴えない風貌の上に、空気も読めないのだから、リアルブルーでも鼻つまみ者だったのだろう。
そう、鼻つまみ者だ。メガネは今、鼻を摘んで熱弁しているのだ。鼻声で。
「解るかね、シャーリーズ・クラウディア・スタウス君」
「なにがだい」
「……ああ、嘆かわしい。これもまた科学の敗北か」
首を振ってそういう姿が心底苛立たしいが、メガネは気にせずに続けた。
「つまり」
鼻を摘んだまま、中指でそっと眼鏡を押し上げて、言う。
「なんとも! 嘆かわしく!! 腹立たしい事に!!! 我々の鼻には、彼らの《くさい匂いを我々に知覚させる不衛生な物質》が紛れも無く入り込んでいるっていうことだ!!!!!」
言っている事の殆どはわからないままだけど、少しくらいは想像がついた。
こいつ、殺そうかなって本気で思った。
ほんの少しだけ実践することにした。これも躾けだ。
●
この世界には深淵なんて有りはしない。ただ光が届いていないだけだ、とメガネは言う。エクラ教徒のような口ぶりだ。メガネが言うにはカガクの光、とのことだが。
光が届いていない、ってことはつまり、影ってことだろう。
「影、ねえ……」
だとしたら、人の世の影とやらは本当に罪深い。アイツらの匂いには覚えがあった。いわゆる生活排水の末路的なアレである。
「どうしたね、シャーリーズ・クラウディア・スタウス君」
「五月蝿い。黙れ。口を開くな息をするな死ね」
「……」
先ほどの『躾け』が良く効いたか、メガネは従順に従って口を閉ざした。
非常によろしい。最後の命令までしっかりと聞き届けてくれると私の心に平穏が訪れるのだけど――。
それより、仕事だ。
まずは“そいつら”を観察することにした。
二匹、いる。両方ともに左右非対称なデカイザリガニ、という風情だ。三メートルくらい。とてもくさい。
甲殻はヘドロ的などろついた何かで覆われている。とてもきたない。
ヘドロ的などろついた何かは、藻のようにも見える。歩く度に不快な音を立てた。とてもおぞましい。
ただ、前足が普通のザリガニと違う。左前脚は大きく発達したハサミ風。右前脚は一メートル半くらいの長く異様に太い腕に、銃口のような小さな穴を有している。とてもにおう。
まず間違いなく、歪虚の類だろう。
それも、できることなら戦いたくはない歪虚だ。
これが偵察の仕事であることをこの上なく感謝した。けど、も。
「……これだけじゃ芸がないよね」
悩んだ。仕事は大凡終わったと言ってもいいが、それだけでは美しくない。
「メガネ。あっちの、銃口みたいな右手、何だと思う?」
「…………」
目を剥いて口元を指し示すメガネが目に入った。
「息をしていいから」
「ふっ! ッハー!!」
盛大に深呼吸をするメガネの仕草に苛立ちが募る。
「で、何だと思う?」
「……ふむ」
じっと見つめ、考えこむメガネ。
「シャーリーズ・クラウディア・スタウス君。君は人間がどうやって排尿をするか知っているかい」
「……」
「知っているかい」
「殺すよ」
「ま、まてまて、まってくれ。人は腎臓で血液から尿を漉しだし、尿管を経て膀胱に尿を貯めるんだ。括約筋と腹圧、その他諸々の関与を経て我々は排尿をしている」
「……それで」
「異様に太い前腕の正体が何かは解らない。甲殻に覆われているからね。ただ、その用途が僕の想定通りであれば、その内側には発達した筋組織か、海綿体……つまり静脈叢、もしくはその両方ではないかと想定される。そして恐らく、あの腕の何処かには膀胱相当の《弾倉》があるのではないかな。彼か彼女かは解らないが……いや、彼だろうな。うん、絶対彼、だ」
メガネは話している内に興が乗ってきたようだ。
「つまり、構造や見た目はともかくとして、アレは我々人間種で言うところのペn……アッ」
危険を感じて、身を隠していた草むらからメガネの身体を蹴り飛ばした。
「アッーーー!!」
途端、メガネの身体が【何か】に弾かれて草むらに消えていった。
うん、想定通りだ。確認も出来たことだし、そそくさと撤退を選ぶ。
メガネは残念ながら生きていた。気絶していることは不幸中の幸いである。抱えて、走る。
どうやら、ザリガニ達の脚は遅いよう。必死に追いかけているようだが、私達に追いつく気配はかけらもない。逃げ足には自信はあるほうだが、まあ、朗報だ。
ただ、走りながら、気がついたことがある。
「……絶対に討伐の依頼は受けないようにあいつらに言っとかないと」
適当な所でメガネは置いていこう。
たしかこの辺りには温泉があったハズ。直ぐに入ろうと心に刻む。
――撃ちぬかれたメガネから漂う異臭は、先ず間違いなくあのザリガニの仕業だった。
「匂いについて、言おう。いや、言わせて頂こう!」
その男は声を大にして言った。リアルブルーからやってきたこのひょろっこい男は、カガクの自由とやらを求めてハンターになったのだという。
私と仲間内はこいつをメガネと呼んでいる。正直なところ、話が長くてウンザリしているのだが、危なっかしくて誰かしら面倒を見てしまっている内に仲間みたいな位置に居座ってしまった。
迷惑甚だしいが、拾った猫か何かと同じ扱いで、大の大人として今更捨てるのもハズカシイので全員で面倒を見ている。
今もそうだ。
偵察の仕事に連れてきている。自分の食い扶持くらいは稼いで貰わなくては困るから。
そんなことは露知らず、メガネは意気揚々と喋り始めた。
「匂いは物質だ。匂いそのものに匂いは無く、その実態は匂いを我々に感知させる物質である、物質Xを受容する受容器にこそある」
「……それで?」
「シャーリーズ・クラウディア・スタウス君。君はどこで匂いを嗅ぐ?」
「鼻、だけど」
「うむ、その通りだ。我々は鼻腔内にある嗅裂を介して匂いを嗅いでいる。嗅裂は鼻腔の最上部にあり、第一の脳神経である嗅神経から出る嗅毛が顔をだす場所でもある」
「きゅう……なんだい?」
「なんだね、どの嗅だい」
「いや、もういい。続けたけりゃ続けな」
「うむ。嗅毛には嗅覚受容体がある。それこそが匂いの受容器であり、匂いの局在なのだ」
「……」
冴えない風貌の上に、空気も読めないのだから、リアルブルーでも鼻つまみ者だったのだろう。
そう、鼻つまみ者だ。メガネは今、鼻を摘んで熱弁しているのだ。鼻声で。
「解るかね、シャーリーズ・クラウディア・スタウス君」
「なにがだい」
「……ああ、嘆かわしい。これもまた科学の敗北か」
首を振ってそういう姿が心底苛立たしいが、メガネは気にせずに続けた。
「つまり」
鼻を摘んだまま、中指でそっと眼鏡を押し上げて、言う。
「なんとも! 嘆かわしく!! 腹立たしい事に!!! 我々の鼻には、彼らの《くさい匂いを我々に知覚させる不衛生な物質》が紛れも無く入り込んでいるっていうことだ!!!!!」
言っている事の殆どはわからないままだけど、少しくらいは想像がついた。
こいつ、殺そうかなって本気で思った。
ほんの少しだけ実践することにした。これも躾けだ。
●
この世界には深淵なんて有りはしない。ただ光が届いていないだけだ、とメガネは言う。エクラ教徒のような口ぶりだ。メガネが言うにはカガクの光、とのことだが。
光が届いていない、ってことはつまり、影ってことだろう。
「影、ねえ……」
だとしたら、人の世の影とやらは本当に罪深い。アイツらの匂いには覚えがあった。いわゆる生活排水の末路的なアレである。
「どうしたね、シャーリーズ・クラウディア・スタウス君」
「五月蝿い。黙れ。口を開くな息をするな死ね」
「……」
先ほどの『躾け』が良く効いたか、メガネは従順に従って口を閉ざした。
非常によろしい。最後の命令までしっかりと聞き届けてくれると私の心に平穏が訪れるのだけど――。
それより、仕事だ。
まずは“そいつら”を観察することにした。
二匹、いる。両方ともに左右非対称なデカイザリガニ、という風情だ。三メートルくらい。とてもくさい。
甲殻はヘドロ的などろついた何かで覆われている。とてもきたない。
ヘドロ的などろついた何かは、藻のようにも見える。歩く度に不快な音を立てた。とてもおぞましい。
ただ、前足が普通のザリガニと違う。左前脚は大きく発達したハサミ風。右前脚は一メートル半くらいの長く異様に太い腕に、銃口のような小さな穴を有している。とてもにおう。
まず間違いなく、歪虚の類だろう。
それも、できることなら戦いたくはない歪虚だ。
これが偵察の仕事であることをこの上なく感謝した。けど、も。
「……これだけじゃ芸がないよね」
悩んだ。仕事は大凡終わったと言ってもいいが、それだけでは美しくない。
「メガネ。あっちの、銃口みたいな右手、何だと思う?」
「…………」
目を剥いて口元を指し示すメガネが目に入った。
「息をしていいから」
「ふっ! ッハー!!」
盛大に深呼吸をするメガネの仕草に苛立ちが募る。
「で、何だと思う?」
「……ふむ」
じっと見つめ、考えこむメガネ。
「シャーリーズ・クラウディア・スタウス君。君は人間がどうやって排尿をするか知っているかい」
「……」
「知っているかい」
「殺すよ」
「ま、まてまて、まってくれ。人は腎臓で血液から尿を漉しだし、尿管を経て膀胱に尿を貯めるんだ。括約筋と腹圧、その他諸々の関与を経て我々は排尿をしている」
「……それで」
「異様に太い前腕の正体が何かは解らない。甲殻に覆われているからね。ただ、その用途が僕の想定通りであれば、その内側には発達した筋組織か、海綿体……つまり静脈叢、もしくはその両方ではないかと想定される。そして恐らく、あの腕の何処かには膀胱相当の《弾倉》があるのではないかな。彼か彼女かは解らないが……いや、彼だろうな。うん、絶対彼、だ」
メガネは話している内に興が乗ってきたようだ。
「つまり、構造や見た目はともかくとして、アレは我々人間種で言うところのペn……アッ」
危険を感じて、身を隠していた草むらからメガネの身体を蹴り飛ばした。
「アッーーー!!」
途端、メガネの身体が【何か】に弾かれて草むらに消えていった。
うん、想定通りだ。確認も出来たことだし、そそくさと撤退を選ぶ。
メガネは残念ながら生きていた。気絶していることは不幸中の幸いである。抱えて、走る。
どうやら、ザリガニ達の脚は遅いよう。必死に追いかけているようだが、私達に追いつく気配はかけらもない。逃げ足には自信はあるほうだが、まあ、朗報だ。
ただ、走りながら、気がついたことがある。
「……絶対に討伐の依頼は受けないようにあいつらに言っとかないと」
適当な所でメガネは置いていこう。
たしかこの辺りには温泉があったハズ。直ぐに入ろうと心に刻む。
――撃ちぬかれたメガネから漂う異臭は、先ず間違いなくあのザリガニの仕業だった。
解説
●目的
・人類の生活排水をたんまりと浴びて出てきた、深き者達を撃破してください。
●解説
沿岸部の平地での戦闘。冒頭の通りメガネとシャーリーズを追走した結果、見通しが良い場所を二匹でゆっくりと移動中。
▽敵戦力
狂気の大ザリガニx2
・サイズ2。
・右前脚はアレっぽい銃相当。左前脚は分厚いハサミ風。
・動きは遅いがとても硬め。そしてタフ。
・そしてとてもくさい。生活排水を濃縮したような匂い。
・全体にヘドロ風の何かが付着している。こそぎ落とすとピンク色の甲殻が見える筈。とてもくさい。
・ザリガニの攻撃が一度でも命中するとバッドステータス「とてもくさい」が付与されます。
・バッドステータスに深い意味も特殊効果もありません。演出的価値だけあります。
●補足
・メガネとシャーリーズはこの依頼には登場しません。
・依頼はこの二匹に接近するところから始まります。
・ザリガニはそれなりに強めです。どうアプローチするかが肝要ですが、右腕はとても……硬いです……。
・近くに温泉があるので身を清める事は可能です。
●とても大事な補足
・地熱で暖められた水が地表に湧き出している系の温泉。
・階段状に湯船相当の岩盤が配されているだけのオープンスペース。
・オープンスペースなので、事前に水着を着ていく事をオススメ致します。
・身体は清められても服を清めて乾かすものがないので必要な場合は着替えをお持ちになるといいでしょう。
●温泉に並々ならぬ興味が有る方への補足
・某イタリ■のサトゥルニ■温泉をイメージしていただけたら幸いです。
・人類の生活排水をたんまりと浴びて出てきた、深き者達を撃破してください。
●解説
沿岸部の平地での戦闘。冒頭の通りメガネとシャーリーズを追走した結果、見通しが良い場所を二匹でゆっくりと移動中。
▽敵戦力
狂気の大ザリガニx2
・サイズ2。
・右前脚はアレっぽい銃相当。左前脚は分厚いハサミ風。
・動きは遅いがとても硬め。そしてタフ。
・そしてとてもくさい。生活排水を濃縮したような匂い。
・全体にヘドロ風の何かが付着している。こそぎ落とすとピンク色の甲殻が見える筈。とてもくさい。
・ザリガニの攻撃が一度でも命中するとバッドステータス「とてもくさい」が付与されます。
・バッドステータスに深い意味も特殊効果もありません。演出的価値だけあります。
●補足
・メガネとシャーリーズはこの依頼には登場しません。
・依頼はこの二匹に接近するところから始まります。
・ザリガニはそれなりに強めです。どうアプローチするかが肝要ですが、右腕はとても……硬いです……。
・近くに温泉があるので身を清める事は可能です。
●とても大事な補足
・地熱で暖められた水が地表に湧き出している系の温泉。
・階段状に湯船相当の岩盤が配されているだけのオープンスペース。
・オープンスペースなので、事前に水着を着ていく事をオススメ致します。
・身体は清められても服を清めて乾かすものがないので必要な場合は着替えをお持ちになるといいでしょう。
●温泉に並々ならぬ興味が有る方への補足
・某イタリ■のサトゥルニ■温泉をイメージしていただけたら幸いです。
マスターより
こんにちは、ムジカ・トラスです。
とても御機嫌でご立派なザリガニ雑魔とたのしい時間をお過ごしいただけると幸いです。
ナリはこんなのですが、敵と見定めたら死ぬまで闘い続ける生粋の狂気のファイターですので、頑張ってくださいね!
なお、サイズ差もあって顔面を狙われやすくなっています。人間としての尊厳の為に装備は慎重にお選びください。
さらに補足ですが、■にはアが入ります。検索の際にはご利用ください。
とても御機嫌でご立派なザリガニ雑魔とたのしい時間をお過ごしいただけると幸いです。
ナリはこんなのですが、敵と見定めたら死ぬまで闘い続ける生粋の狂気のファイターですので、頑張ってくださいね!
なお、サイズ差もあって顔面を狙われやすくなっています。人間としての尊厳の為に装備は慎重にお選びください。
さらに補足ですが、■にはアが入ります。検索の際にはご利用ください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/16 19:37
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談の卓、です メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2014/08/09 12:22:50 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/04 11:32:32 |