ゲスト
(ka0000)
路地裏工房コンフォートのクリスマス
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/29 15:00
- リプレイ完成予定
- 2016/01/07 15:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
工房の大きな窓は南向き。光が一杯差し込んで、昼間は部屋よりも暖かいくらい。
極彩色の街ヴァリウス、広い通りを曲がった路地裏に佇む宝飾工房コンフォートで手伝いをしている少女モニカは、毛布に包まって眠る弟を負んぶ紐で背中に括り、今日も作業に勤しんでいる。
過日、今のこの工房の持ち主であるエーレンフリートより託されたデザイン画とトパーズのルースと睨めっこだ。
「これは、絶対可愛く作ってあげないとねー。ね、ピノ?」
背中をそっとあやしながら白手袋の指で摘まむ石を見詰めた。エーレンフリートとその妻と、彼女の父親であり、この工房の主人だった人の思い出の石だから。
からんと来客を告げるベルが鳴った。
工房は、今は閉めている店とドア1つで続いている。
モニカが店に顔を出すと、杖を手にした中年の女性が怪訝な顔で入ってきた。
「お嬢ちゃん、1人?」
「ええ、まあ……」
部屋にはエーレンフリートもいたが、彼は冬の入りに風邪を引いて以来、調子の悪い日は店には出ていない。
元より、彼は主人を失ったこの工房を片付けているだけで、本来はフマーレで喫茶店を営んでいる。
女性は深く溜息を吐いた。
「昔、若い頃にね、ここで買ったブローチが壊れてしまって……修理を、ね、お願いしたいのよ……」
女性が鞄の中からハンカチを取りだして、モニカの前に開いて見せた。
緑の石が1つころんと転がって、ひしゃげた台座に、砕けた透かし彫りの蝶。
モニカは天鵞絨を貼ったトレイを差し出し、白手袋の指で石を摘まむ。
「翡翠、丈夫な石ですね。台座は何とかなりそうですが、こっちはパズルみたいですね」
羽に花を彫った蝶、大きな羽が1枚と、3つに割れた小さな羽。元の形を想像しながら並べ直して見ても、どうしても前羽1枚分の欠片が足りない。
「思い出の品ですか?」
パズルのように一つ一つ並べながらモニカが尋ねると、女性は首を横に振った。
思い出があって求めた物では無い。
若い頃に気に入って、それ以来ずっと身に着けてきた物だと。
「気に入っていたから、もし、直るならと思って持ってきたけど……邪魔しちゃったわね、ごめんなさい」
女性の杖がことんと鳴った。
パズルに集中していたモニカが顔を上げると、少し前に怪我をしたという。その時にブローチも割れてしまったと。
完全に直すことは出来ないとモニカが言う。壊れて、パーツも欠けてしまった物だから。
「でも、ばらばらになった羽の欠片を無くさないように繋いでおくくらいなら出来ますよ。後は、少し整えれば、普段使いに出来るくらいには。石が綺麗に残っているので、それだけをペンダントにしてもきっと素敵です」
女性は静かに目を閉じた。
まだ若い頃、初めて覗いた宝石の店。綺麗、と、不透明な深緑の翡翠に映り込んだ己の姿は、すっかりその石に魅了されていた。
その時は買えず、主人に頼み込んで長い間取り置きにしてもらって、初めて胸に飾ったのも、丁度こんな寒い日だった。
「お願いしようかしら。どんな風にしてもらえるの?」
モニカが描いたデザイン画に、女性は満足そうに微笑んだ。
●
仕上がりの予定日はカレンダーの日付を数えながら、数日後。
丁度その日はリアルブルーの友人がクリスマスのパーティーを開くから、と。
「夕方に取りにきたらいいかしら?……もしお休みなら、あなたにもパーティーに出て欲しいわ。リアルブルーの色んな地域の伝統料理を振る舞ってくれるそうなの」
お友達も歓迎よ。
いつでも休みだとモニカは笑った。
形の残っている羽を溶接し、台座に磨き上げた石を留め直す。輪郭だけを再現した羽はそれ以上の手を付けず、その空間にチェーンを掛けてペンダントに。
トルソーに飾ると白い胸に傾いだ蝶が煌めいた。
「ピノ、どうかな? 気に入ってくれるかな?――さ、続き、続き―っと」
モニカの背で小さな弟がふにゃふにゃと笑う。
最近言葉を話し始めたが、まだ名前を呼ぶのが精一杯で、機嫌の良い時は大抵手足を揺らしながら、こうして笑っているばかりだ。
モニカがトパーズを眺めながら、指先でニードルを回す。
不意にノックの音が響いた。
「モニカ君、いいかな?――今、ブローチのお客さんが見えて、これを……おや、綺麗になっているじゃないか」
工房に来たエーレンフリートはモニカに走り書きの地図を差し出した。
トルソーの蝶を見詰めたエーレンフリートの目は優しげに笑む。
「当日、昼に用事が出来てしまったようでね、こっちに寄る時間が取れないから、パーティーへの出席ついでに届けて欲しいそうだよ。無理なら、翌日に取りに来ると言っていたけれど……ああ、完成していたなら、少し引き留めれば良かったかな」
「いいえ。直接渡してきます。私も、パーティー楽しみなんで!」
ご飯が美味しそうなんです。
●
当日。
モニカは困っていた。
昼頃、ペンダントに仕立て直したブローチにラッピングを施して、モニカとピノもいつもよりも少しだけおめかしを。小さな蝶ネクタイを飾るとピノはそれが気に入ったのか腕をばたばたと振り回していた。
地図を眺めてここならそう遠く無いから、壁の時計を眺めながらそわそわとお茶を飲んで、そろそろ出発と、ピノを抱き上げた頃、店のベルが鳴るのを聞いた。
「お客さんかな-、どうしたんだろうねー?」
ピノをエーレンフリートに預けて店を覗くと慌てた顔の青年がドアを叩いていた。
「急に済まない、これ、直らないだろうか?」
差し出されたのは、彼の指には小さな指輪とその指輪に付いていたであろう透明な石。モニカがルーペを覗き込む。
「ダイヤモンドですか? 爪が割れちゃいましたかねー。ちょっと失礼します」
リングを摘まんで石止めの爪をじっと見詰める。爪は欠けており、石を留め直すには足りない。
「修理がいりますね。お渡しは、明日か、」
「すぐには、無理だろうか。妻の物なんだが、パーティーに呼ばれていて……」
「……石がくっついてるだけで良ければ1時間、もうちょっと整えるなら2時間って、とこですね」
待つと言った青年とその妻を店内へ招く。
ペンダント、どうしよう。
間に合わないなと溜息を吐いた。
「あ! あのー! すみません、これ、お願いします!」
通りすがりのハンターへ。
ペンダントの配達が依頼された。
●
工房の大きな窓は南向き。光が一杯差し込んで、昼間は部屋よりも暖かいくらい。
極彩色の街ヴァリウス、広い通りを曲がった路地裏に佇む宝飾工房コンフォートで手伝いをしている少女モニカは、毛布に包まって眠る弟を負んぶ紐で背中に括り、今日も作業に勤しんでいる。
過日、今のこの工房の持ち主であるエーレンフリートより託されたデザイン画とトパーズのルースと睨めっこだ。
「これは、絶対可愛く作ってあげないとねー。ね、ピノ?」
背中をそっとあやしながら白手袋の指で摘まむ石を見詰めた。エーレンフリートとその妻と、彼女の父親であり、この工房の主人だった人の思い出の石だから。
からんと来客を告げるベルが鳴った。
工房は、今は閉めている店とドア1つで続いている。
モニカが店に顔を出すと、杖を手にした中年の女性が怪訝な顔で入ってきた。
「お嬢ちゃん、1人?」
「ええ、まあ……」
部屋にはエーレンフリートもいたが、彼は冬の入りに風邪を引いて以来、調子の悪い日は店には出ていない。
元より、彼は主人を失ったこの工房を片付けているだけで、本来はフマーレで喫茶店を営んでいる。
女性は深く溜息を吐いた。
「昔、若い頃にね、ここで買ったブローチが壊れてしまって……修理を、ね、お願いしたいのよ……」
女性が鞄の中からハンカチを取りだして、モニカの前に開いて見せた。
緑の石が1つころんと転がって、ひしゃげた台座に、砕けた透かし彫りの蝶。
モニカは天鵞絨を貼ったトレイを差し出し、白手袋の指で石を摘まむ。
「翡翠、丈夫な石ですね。台座は何とかなりそうですが、こっちはパズルみたいですね」
羽に花を彫った蝶、大きな羽が1枚と、3つに割れた小さな羽。元の形を想像しながら並べ直して見ても、どうしても前羽1枚分の欠片が足りない。
「思い出の品ですか?」
パズルのように一つ一つ並べながらモニカが尋ねると、女性は首を横に振った。
思い出があって求めた物では無い。
若い頃に気に入って、それ以来ずっと身に着けてきた物だと。
「気に入っていたから、もし、直るならと思って持ってきたけど……邪魔しちゃったわね、ごめんなさい」
女性の杖がことんと鳴った。
パズルに集中していたモニカが顔を上げると、少し前に怪我をしたという。その時にブローチも割れてしまったと。
完全に直すことは出来ないとモニカが言う。壊れて、パーツも欠けてしまった物だから。
「でも、ばらばらになった羽の欠片を無くさないように繋いでおくくらいなら出来ますよ。後は、少し整えれば、普段使いに出来るくらいには。石が綺麗に残っているので、それだけをペンダントにしてもきっと素敵です」
女性は静かに目を閉じた。
まだ若い頃、初めて覗いた宝石の店。綺麗、と、不透明な深緑の翡翠に映り込んだ己の姿は、すっかりその石に魅了されていた。
その時は買えず、主人に頼み込んで長い間取り置きにしてもらって、初めて胸に飾ったのも、丁度こんな寒い日だった。
「お願いしようかしら。どんな風にしてもらえるの?」
モニカが描いたデザイン画に、女性は満足そうに微笑んだ。
●
仕上がりの予定日はカレンダーの日付を数えながら、数日後。
丁度その日はリアルブルーの友人がクリスマスのパーティーを開くから、と。
「夕方に取りにきたらいいかしら?……もしお休みなら、あなたにもパーティーに出て欲しいわ。リアルブルーの色んな地域の伝統料理を振る舞ってくれるそうなの」
お友達も歓迎よ。
いつでも休みだとモニカは笑った。
形の残っている羽を溶接し、台座に磨き上げた石を留め直す。輪郭だけを再現した羽はそれ以上の手を付けず、その空間にチェーンを掛けてペンダントに。
トルソーに飾ると白い胸に傾いだ蝶が煌めいた。
「ピノ、どうかな? 気に入ってくれるかな?――さ、続き、続き―っと」
モニカの背で小さな弟がふにゃふにゃと笑う。
最近言葉を話し始めたが、まだ名前を呼ぶのが精一杯で、機嫌の良い時は大抵手足を揺らしながら、こうして笑っているばかりだ。
モニカがトパーズを眺めながら、指先でニードルを回す。
不意にノックの音が響いた。
「モニカ君、いいかな?――今、ブローチのお客さんが見えて、これを……おや、綺麗になっているじゃないか」
工房に来たエーレンフリートはモニカに走り書きの地図を差し出した。
トルソーの蝶を見詰めたエーレンフリートの目は優しげに笑む。
「当日、昼に用事が出来てしまったようでね、こっちに寄る時間が取れないから、パーティーへの出席ついでに届けて欲しいそうだよ。無理なら、翌日に取りに来ると言っていたけれど……ああ、完成していたなら、少し引き留めれば良かったかな」
「いいえ。直接渡してきます。私も、パーティー楽しみなんで!」
ご飯が美味しそうなんです。
●
当日。
モニカは困っていた。
昼頃、ペンダントに仕立て直したブローチにラッピングを施して、モニカとピノもいつもよりも少しだけおめかしを。小さな蝶ネクタイを飾るとピノはそれが気に入ったのか腕をばたばたと振り回していた。
地図を眺めてここならそう遠く無いから、壁の時計を眺めながらそわそわとお茶を飲んで、そろそろ出発と、ピノを抱き上げた頃、店のベルが鳴るのを聞いた。
「お客さんかな-、どうしたんだろうねー?」
ピノをエーレンフリートに預けて店を覗くと慌てた顔の青年がドアを叩いていた。
「急に済まない、これ、直らないだろうか?」
差し出されたのは、彼の指には小さな指輪とその指輪に付いていたであろう透明な石。モニカがルーペを覗き込む。
「ダイヤモンドですか? 爪が割れちゃいましたかねー。ちょっと失礼します」
リングを摘まんで石止めの爪をじっと見詰める。爪は欠けており、石を留め直すには足りない。
「修理がいりますね。お渡しは、明日か、」
「すぐには、無理だろうか。妻の物なんだが、パーティーに呼ばれていて……」
「……石がくっついてるだけで良ければ1時間、もうちょっと整えるなら2時間って、とこですね」
待つと言った青年とその妻を店内へ招く。
ペンダント、どうしよう。
間に合わないなと溜息を吐いた。
「あ! あのー! すみません、これ、お願いします!」
通りすがりのハンターへ。
ペンダントの配達が依頼された。
解説
目的 ペンダントを届ける
●依頼について
モニカより、
・ペンダント
幾つもの花を透かし彫りにした蝶
中心に大粒の翡翠
片方の前羽は縁取りのみで、そこにチェーンを通している。
・地図
届け先までを走り書きにしたもの
を受け取り、
・中年女性
少し背が高く、細身で色白、髪は黒
上品で厳しそうな顔
黒い杖を持っている
の容姿と、
・伝言
行けなくなって申し訳ありません
気に入って貰えると嬉しいです
手直しはしますので、何かあれば店に来てください
を伝えられ、
・お願い
行けなくなった理由は出来るだけ言わないで欲しい
料理は楽しみだったので、どんな物が出たか教えて欲しい
パーティーを楽しんできて欲しい
をされます。
●パーティーについて
・会場
少し広い屋敷のホールでの立食パーティー
ツリーが飾られ、ピアノでクリスマスソングが演奏されていますが
料理にはクリスマスらしさは無く食べやすいオードブルが中心です。
・時間
出入りは自由で夕方から夜まで、3~4時間程度
・参加者
主催者の友人と、その友人、時間帯により、10~30人程度
・料理
オープンサンド、飾り寿司、パスタ
テリーヌ、ローストビーフ、ミートローフ、キッシュ
グラタン、カルパッチョ、パエリア
マドレーヌ、マカロン、団子、月餅、ガトーショコラ
その他諸諸
ペンダントが女性の手に渡った段階で依頼は達成となりますので、
以降はお好きなように行動して下さい。
●依頼について
モニカより、
・ペンダント
幾つもの花を透かし彫りにした蝶
中心に大粒の翡翠
片方の前羽は縁取りのみで、そこにチェーンを通している。
・地図
届け先までを走り書きにしたもの
を受け取り、
・中年女性
少し背が高く、細身で色白、髪は黒
上品で厳しそうな顔
黒い杖を持っている
の容姿と、
・伝言
行けなくなって申し訳ありません
気に入って貰えると嬉しいです
手直しはしますので、何かあれば店に来てください
を伝えられ、
・お願い
行けなくなった理由は出来るだけ言わないで欲しい
料理は楽しみだったので、どんな物が出たか教えて欲しい
パーティーを楽しんできて欲しい
をされます。
●パーティーについて
・会場
少し広い屋敷のホールでの立食パーティー
ツリーが飾られ、ピアノでクリスマスソングが演奏されていますが
料理にはクリスマスらしさは無く食べやすいオードブルが中心です。
・時間
出入りは自由で夕方から夜まで、3~4時間程度
・参加者
主催者の友人と、その友人、時間帯により、10~30人程度
・料理
オープンサンド、飾り寿司、パスタ
テリーヌ、ローストビーフ、ミートローフ、キッシュ
グラタン、カルパッチョ、パエリア
マドレーヌ、マカロン、団子、月餅、ガトーショコラ
その他諸諸
ペンダントが女性の手に渡った段階で依頼は達成となりますので、
以降はお好きなように行動して下さい。
マスターより
クリスマスー。
ほのぼのホームパーティーです。
楽しんで頂ければ幸い。
ほのぼのホームパーティーです。
楽しんで頂ければ幸い。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/01/05 02:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/26 00:57:39 |
|
![]() |
相談卓 仁川 リア(ka3483) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/12/29 01:28:15 |