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マスター:楠々蛙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/01/17 22:00
リプレイ完成予定
2016/01/26 22:00

オープニング

「何で俺が荷物持ちを……」
 交易が盛んな町の市で、ぼやく男が一人。誰あろう、キャロル=クルックシャンクである。彼の左腕は食品の入った紙袋を抱えていた。
「仕方ないでしょ。バリーはいつも通り職探しに行っちゃったし。それともなに、まさか女の子に荷物を持たせる気?」
 その隣で店先に陳列された商品を物色する少女は、ラウラ=フアネーレだ。
「ん? 何の騒ぎかしら?」
 市場のメインストリートから外れた路地から聞こえた騒々しい音へ、ラウラは視線を向ける。
 聞こえたのは、男の怒声と動物の威嚇音──
「ねこ?」
「おい、何処に──」
 ラウラは首を傾げながら、路地の方へと寄って行く。物陰から路地を覗き見ると、そこには二人組の男と、それに毛を逆立てて威嚇の声を上げる一匹の黒猫が居た。
「この糞猫が、いい加減にしやがれよ」
 男の一人が懐から一本の短剣を取り出す。
「待て、ラウラ──」
 それを見たラウラは、キャロルの制止の声を振り払って物陰から飛び出していた。
「ちょっと待ちなさい!」
 短剣を構える男に一声浴びせると同時に、猫を掬い上げる。
「ねこを相手にそんなもの振り回して、恥ずかしくないの?」
「あ? なんつった?」
 突如現れた少女に罵られた男は、苛立ちを募らせてラウラを睨む。その怒気──最早日課となっているキャロルとの口論で彼から浴びせられるものとは別種のそれを受けて、ラウラは肩を震わせた。
「──き、聞こえなかったの? 性根だけじゃなくて耳まで腐ってるのね」
 しかし、猫を抱く腕に力を籠めて震えを抑えた彼女は、果敢に食って掛かる。
「この、クソガキがっ!」
 その嘲りで沸点に達した男が、感情に身を任せて短剣を突き出した。
 刃が少女を襲おうとしたその時、
「──ったく、手間こさえやがって!」
 割って入ったブーツのつま先が、短剣を弾き飛ばした。続けて、翻った蹴撃が男の腹を突く。
「……っ、何しやがるてめえ!」
 突き飛ばされた男が腹を押さえながら吼える。ブーツの主──キャロルは今しがた蹴りを放ったその足を下ろすと、聞き慣れた挨拶に応じる様な調子で応えた。
「落ち着けよ、お互い無駄弾は放りたくないだろ?」
 キャロルは暗に男の膨らんだ左胸の中身の正体を指摘した。男だけでなく、もう一人の連れを含めて動揺を露にする。
 男達の視線が地面の短剣とキャロルとの間を行き交う。今すぐその短剣を拾うべきか、それとも左胸の中身──その銃把を握るべきか、そんな迷いを籠めた視線を。
「──抜くのか? だったら覚悟しろ」
 一目瞭然の迷いを読み取ったキャロルの右手が、彼らの機先を制してリボルバーの銃把に掛かる。
「今の俺は虫の居所が悪いからな、ちっとばかし引鉄が軽いぜ」
 腰のホルスターに納まったまま、それも撃鉄は起きていない。キャロルの銃は、手を上げろ(Hold up)には二手足りない。
「くそが……!」
「もう止せ、行くぞ」
 それでも尚、その二手を埋める事は決して叶わないと悟ったのか、それとも単に市場の傍で銃声を鳴らすのを避けたかったのか、男達は踵を返して路地から走り去って行く。
「覚えてやがれ!」
「月並みな捨て台詞だな」
 鼻で笑って彼らを見送ったキャロルが、ラウラの方へと振り返る。
「──お前は何を考えてんだ! 刃物構えた相手の前に飛び出して、挙句の果てには煽り文句までくれやがって、そんなに死にてえのか!」
 いきなり怒声を浴びせられたラウラが、身を竦める。
「あ、えと……」
 二の句を告げないで居る彼女の頭に手を載せながら、キャロルは呟いた。
「……勘弁しろ、寿命が縮む」
「ご、ごめんなさい」
 ラウラの口が、謝罪の言葉を衝く。震えるそれを聞いたキャロルは溜息一つを零すと、
「まあ良い……、それで、そいつは何だ?」
 彼女が胸に抱えているものに視線を落した。
「……ねこ」
「それは見りゃわかる。……黒猫か、疫病神め。お前のせいでロクな目に遭わない」
「酷い言い草、この子は悪くないでしょ。って、きゃっ、ちょっと」
 段々本来の調子を取り戻すラウラの腕の中で、黒猫が暴れ始めた。どうやら、さっきの男達が去った方角へ行こうとしているらしいと覚ったラウラは、逃がさない様に抱き締める。
「駄目よ! 今度は本当に殺されちゃうわ」
 それでも頻りに黒猫はもがいたが、やがて恩人の懸命さが伝わったのか大人しくなった。
「で、結局何なんだこの黒猫は。随分と連中に御執心みてえだが。連中も連中で、堅気じゃねえな」
「わかんない。この子、野良猫かしら。首輪をしてないみたいだけど。でも毛並みは良いみたい」
 その紫を帯びた毛並みには艶があった。蒼い瞳からも野良猫の強かさではなく、気品の良さが窺える。
「そうか? さっき連中に突っかかってた時はドラ猫って感じ──」
 キャロルが猫の頭に手を伸ばすと、猫の手がそれを払い除ける。その様子を見たラウラが笑い、
「嫌われちゃったわね」
「……ほっとけ」
 キャロルが憮然とした顔で答える。
「こんな所で何してるんだ?」
 そんな二人に声を掛ける者が一人。
「あ、バリー」
 市場の方から路地に入って来たバリー=ランズダウンである。
「ん、どうしたんだ、その黒猫は」

「成程、そういう事があったわけか」
 一通り事情を聞き終えたバリーが、ラウラを一瞥する。彼女の委縮する様子から反省しているらしいと見たバリーは、肩を竦めて跪くと、
「そこの毛並みの美しいお嬢さん、触らせて貰っても?」
 恭しい仕草でラウラに抱かれた黒猫へ手を差し出した。
「へー、この子女の子なの……え? 何で一目でそれがわかったの?」
「一目瞭然だろう。っと」
 黒猫がラウラの腕からすり抜けて、バリーの懐に飛び込んだ。彼女は甘い猫撫で声を上げて、顔を擦り付ける。
「……何だか、裏切られた気分だわ」
「この猫、やっぱり噂で聞いた猫かもしれん」
 黒猫の顎をくすぐってやりながら、バリーが思案顔を浮かべる。
「噂? 何のだよ」
「この街一番の富豪が強盗に遭ったって話だよ。三日前の朝、雇われの使用人が富豪の家に入ると、金目の物がなくなっていて彼の遺体が転がっていたらしい。家族はただ一匹の黒猫だったそうだ。その猫の特徴と、この猫は一致する」
「でもこの子、首輪をしていないわ」
「銀細工の首輪をしてたそうだからな、それも強盗に奪われたんだろう。ところで、さっき話に出てた連中の風貌は覚えているか?」
「まあ、一応な。……あいつらが、その強盗ってわけか?」
「憶測だがな、調べてみる価値はあるさ。軍に先んじて捕らえれば、それなりの報酬が望めるかもしれん。ついでにこのお嬢さんの首輪も盗品の中から取り返してやれる」
 バリーが背を撫でると、黒猫が嬉しそうな鳴声を一つ上げた。
「場合によっては手勢を集める必要があるな。猫に手を貸してやれる暇な人間が居れば良いんだが」

解説

・目的
盗賊の捕縛

・フィールド
街外れに建つ空き家。元は宿屋だったらしく、相応の広さを有している。
二階建て。表、裏に入口が一つずつ。硝子の割れた窓が幾つかある
疾影士のみ、道具なしに二階からの侵入が可能

・敵
盗賊一味
武装は短剣、リボルバー
人数は十人以上、二十人以下。覚醒者の有無は不明
戦闘終了時のみ、必要に応じて敵に回復系魔法の行使が可能

・味方
キャロル=クルックシャンク
武装はシングルアクションリボルバー(リロードに1ラウンド費やす)×2

バリー=ランズダウン
武装はリボルバー

ラウラ=フアネーレ、黒猫は戦闘時に留守番
黒猫に触れる際は、彼女自身に申し出ないと拒絶される

・バリーからハンターへ
今回、厳密に言えば依頼人は不在だ。強いて言うなら猫がそうだが、彼女には支払い能力がないからな。
取り敢えず連中の塒を突き止める事ができたが、実を言えば、軍にはその事を報告していない。すればこっちに仕事が回されるとは限らんし、盗品の中から首輪をくすねるのは難しいからな。とは言え、それ以外のお宝に目を眩ませるのは止してくれよ? 後々、面倒になるからな。
軍には事後報告という形になるわけだが、その際に死体を渡すわけにもいかないだろう。死人に口なし、俺達がやったのは盗人退治だと証明できなければ色々と厄介だ。できれば全員、最悪一人でも良いから生け捕りで頼む。
事が済んだら、軍との交渉は任せてくれ。そういうのは得意だ。生け捕りした盗賊の数が多い方が、交渉を有利に運べるだろうな。
屋内での戦闘になる。その点を十分に考慮した方が良い。

マスターより

 タイトルを和訳すると「今、お暇?」になりますね。
 というわけで、そこの暇を持て余した方は寄ってらっしゃい。多忙な方もよろしければ見てらっしゃい。
 屋内での戦闘は確かに制限も色々あるでしょう。広いとは言え、通路なんかは手狭になります。ですが何事もやり様です。屋内だからこそできるアクションだって山ほどあります。

 黒猫は、今後西武劇トリオの旅に同行する事になります。これでようやく男女比半々。動物が加わった事で、ある程度まろやかになるかも? 
 ちなみに彼女の名前はルーナ、首輪に書いてあります。某魔法使い少年の海外小説が映画化された時、同名のキャラの役者があまりにも可愛くて驚いたのは僕だけでしょうか?

関連NPC

  • Senorita
    ラウラ=フアネーレ(kz0162
    人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|一般人
  • TriggerHappy
    キャロル=クルックシャンク(kz0160
    人間(リアルブルー)|21才|男性|猟撃士(イェーガー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/01/22 02:52

参加者一覧

  • SUPERBIA
    フォークス(ka0570
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • クールガイ
    エリミネーター(ka5158
    人間(蒼)|35才|男性|猟撃士
  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士
  • 無垢なる黒焔
    ソフィア・フォーサイス(ka5463
    人間(蒼)|15才|女性|舞刀士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ステラ・レッドキャップ(ka5434
人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/01/17 20:16:02
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/16 01:04:27